イチオシレビュー一覧

　人は一人では生きられないとは、よく聞くフレーズだ。あまっちょろい戯れ言と笑う人もいるかもしれない。けれど、別に頼る頼られる関係だけじゃない。普段は背中を向けていても、いざというときだけ向き合えばいいんだ。

　その少年は、危険な紛争地帯を切り抜けてきた。まだ年端もいかないのに、死と隣り合わせの日々。魂を磨り減らす毎日は、いきなり終わりを告げる。

　彼の新たな任務は、美少女三人のアイドルユニットの護衛。何だこれはと嘆く間もなく、名家のしがらみと人の欲が渦巻く死闘へと放り込まれる。生き残らなきゃ、あいつらを守る為に。あいつらの夢のステージを支える為に。

　元気娘とはハイタッチ、引っ込み思案の子には控えめな微笑みを、姉的存在に対しては優雅に手を取りながら。そして彼は気がつくのさ。こんなたわいもないやり取りの積み重ね、それが忘れていた笑顔を取り戻させたってことを。