イチオシレビュー一覧

『次こそは、失敗しないと良いのだけれど…』

　　勝手なこと言うな。
　　誰なんですあなたは？
　　結衣、イヤだったらやめてもいいんだぜ？

「……マジですか。異世界トリップしたとして何も特殊能力無いとかあり得ない！」

　　言わんこっちゃない。
　　お前には無理だ、あきらめろ。

　　　バッドエンド。
　　　夢で見たお姫様の死を回避すべく……

いや、なんで結衣が回避しなきゃなんないのよ。
とにかくお姫様を死なせないために、彼女はこの世界にやってきた。ごめん間違えた。

　　この世界が、彼女を呼んだ。

はて迷惑な。
結衣はねえ、健気で純真で無垢で……
結衣がひどい目に合うことや、ひどいものを見ることを誰も望んでいない。
だから、ユイ。イヤだったらやめてもいいんだぜ？


　　「私をフローラ姫のところに連れて行って欲しい。できれば、今すぐにでも」

(;´・ω・)　こんの、バカ娘……

決して幸福だったとは言えない十五歳の少女が異世界に転移して奔走する話です。
まずは王女様を助けるために奔走します。
なぜ彼女は他人のためにここまで健気になることができるのだろう？　という気持ちにさせます。
異世界に来ることができたのだから、この世界では辛かった現実のことを忘れて幸せを求めれば良いのに、彼女はそうしようとしません。
その理由はきっと、彼女はとても優しく天使のような人だからなのだと思います。
彼女の通った後には幸せだけが残っているに違いありません。
「バッドエンドは変えられる」
このことを心の底から信じている彼女に読んでいる私たちも心を突き動かされてしまうような作品です。

日々に退屈し、異世界や新しい何かに想いを馳せているのであれば、是非読んでいただきたい作品です。
ある日突然に異世界へ転移しても、大丈夫です。
特別なスキルを持っていなくても、大丈夫です。
何の前触れもなく異世界転移してしまった彼女の物語を読んでいれば、大丈夫です。
突然の事に戸惑いながらも、幸せな結末を懸命に模索する彼女。
決して挫けず、ひたすらに前向きな彼女の姿勢は、あなたが異世界に転移した時に参考になるはず。

そしてふと気が付いた時、現実世界に生きるあなたにも力を与えてくれている。
そんな優しい力をもらえる作品です。

ただし、作品を読む上で注意点が一つだけ。
真っすぐで純粋な主人公に惹かれ過ぎないよう、ご注意ください。