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町育ちの少年がお盆の田舎で出会った、不思議な青年との交流のお話。

駆(かける)は町育ち。
毎年お盆を田舎で過ごしますが、野山での遊び方を知らない駆にとっては退屈そのものです。
小学五年生の夏も、曾祖父の初盆のため、彼は両親に連れられて田舎を訪れます。
ゲーム漬けの駆に、外で遊んでくるようにと言う大人たち。
駆は渋々外に出ますが、町育ちの駆はどこで遊んだらよいのか分かりません。
途方に暮れた駆が神社で休んでいると、青年・政蔵(まさぞう)と出会います。
政蔵は駆に村を案内して回り、虫や魚、蛙といった小さな生き物との触れあい方を教えてくれました。
そして川で遊んだ後、政蔵は駆に語ります。
「自分は人を迎えに来たのだ」と……。

町育ちの少年の、自然の中での遊び方を覚えていく様子が、爽やかに描かれています。
政蔵が駆を弟のように可愛がる姿も微笑ましく、二人の夏は、青空の入道雲のように夢見心地。
ラストの仕掛けには、思わず人の縁の強さについて考えさせられます。

優しさに満ちた夏に抱かれて

  • 投稿者: 退会済み   [2016年 06月 27日 19時 59分]
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古き良き時代の日本の風景が広がる田舎にしぶしぶ両親と帰省した少年、駆。わずか3日の滞在、その中で出会った一人の青年とのふれあいで、少年は心身ともに大きく成長していく。
美しい描写に彩られた世界に漂う優しい風。その風に乗り、悠々と飛ぶとんぼたち。
ラストはもう、とても涼やかで、懐かしさとともに田舎に帰りたいという衝動を呼び起こす。

大きな手に撫でられたあの日を思い出して――

これから迎える夏にぴったりの一作。あなたの心もきっと揺さぶられるに違いないのです。
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