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レスキューヒーロー小説の最高峰

  • 投稿者: MrR   [2017年 07月 23日 14時 21分]
 私はプロアマ通してこれまで様々なヒーロー小説を見てきました。
 その中でこの作品は最高峰のヒーロー小説だと思います。
 とある事情で一気見したんですがもっと早く読めば良かったと今更ながら後悔しています。
 
 本作品には他のヒーロー物に出て来るような強大な悪や敵はいません。
 ただひたすら「人助けをするヒーロー」、「レスキューヒーロー」の姿を描く熱いドラマです。

 もしもヒーロー物に興味があるのなら是非見て下さい。

  

リアリティのある描写が、よりカタルシスを際立たせる

 ヒーローは得てして悩み続ける存在である。
 ご多分に漏れず、それはこの作品においても同じです。
 誰かを助けるために人知れず戦い、そして傷ついていくヒーロー達。
 少なくない犠牲のもとに、やっと報われた“誇り”がある。

 この『メタル・ライフセーバーズ』においては、ヒーロー達の敵は悪の秘密結社でもなく、殺人鬼でもありません。
 彼らが戦うのは、事故と災害です。
 我々の身近にあり、そして圧倒的な力を持つそれらと戦う彼ら。
 そして舞台裏で繰り広げられたであろう奮闘の数々。
 それらが絶妙なバランスで絡み合い、リアリティを与えているのです。

 切なくてアツい屈指の傑作アクション小説は、ここにあります。

「まとえ、着鎧甲冑! 立ち向かえ、紺碧の深海! 真のヒーローになるために!」

 着鎧甲冑、それは通常時リストバンド状でありながら有事の際には耐水耐圧、人体を遥かに超える力を与えてくれる、変身にも似たテクノロジー。この作品の根幹のキーアイテムだ。

 伊葉和士は自他ともに認める優秀な男。アカデミーに当然主席入学、と思いきや次席扱いだった。
 ならば主席は? 彼の目の前に現れたのは、顔立ちこそイケメンだが麦わら帽子に古びた着物の明らかな田舎者だった。
 東北の寂れた漁村出身、ハードコアズーズー弁の好青年海原凪は彼の目の前で実力差を見せつける。その出会いは彼らに更なる運命をもたらしていた。
 父の汚名を濯ぐため、村の名誉を守るため、目的は違っても二人は徐々にお互いを認め合う。
 そんな中現れた一人の高飛車な美少女。彼女は二人に、また着鎧甲冑に更なる変革をもたらそうとしていた。

 海を舞台に繰り広げられる熱いSFレスキュードラマ、海難事故で奪われる命を救え、その手で!!

戦うばかりが、正義の味方じゃない。異色のヒーローアクションここに復活!

ヒーロー。
その四字は、人々の敵と戦う英雄を表す言葉。

しかし、人間の敵とは、なにも悪の組織とは限らない。
本来であれば人が抗えない自然災害。それから人々を救うべく、専用のパワードスーツが開発された。

海を、空を、あるいは大地を駆けるそのスーツ『着鎧甲冑』をまとうことになった新世代の装着者、伊葉和士。
これは、彼の運命の出会いと苦い別れと、それを経ての成長の物語。

特撮版海猿とも言うべき、異色ながらも上手くマッチさせた世界観が魅力の傑作シリーズの新章です。

ルーキーの目を通じて、ヒーローとは何か、改めて考えさせてくれることでしょう。
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