イチオシレビュー一覧

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思考とは何か?~予言の政治経済学原理により巫女姫と転生商人…が持ち込んでくる異世界災害に対策を余儀なくされる周囲の話~

災害の予言という要素のあるファンタジー系異世界の中で、予言された災害に現代知識とその思考プロセスで対応を図っていく物語。
タイトルでは単に経済学とあるが、内容的には政治経済学の領域まで踏み込んで、政治の様子も描写される。
ここでいう政治経済学は、ジェームズ・ステュアートが1767年の政治経済学原理の研究で語るところのそれであり、作品は生活資料のファンドの確保と、不安定要素の排除を体現し、物語としてキャラや舞台を加えて再構成したような内容である。
物語の導き手、予言の受諾者たる巫女姫アルフィーナと、彼女の協力者である転生者商人リカルドが、毎回発生した、或いは発生しうる問題を、無理矢理巻き込んだ周囲の人々と共に解決を図るディザスターパニック&サスペンス要素、ジェットコースターのような難解な軌道と勢いの両立によるスリルある物語の構成の裏には、政治経済学原理的思考プロセスが垣間見える。

この作品以外は、軽々しく「知識チート」という言葉を使うべきでないかもしれない。

  • 投稿者: oct   [2023年 07月 08日 00時 42分]
作中主人公は自らを凡人と称しているが、実際は「博覧強記」と言っても過言ではない。
物理的な力は一切持たないが、物理学的な力で異世界の理を丸裸にしていく様は、これこそ知識チートと呼ぶにふさわしい。

これほどまで、ファンタジーの世界を科学的にとらえた作品は他に類を見ないと思われる。

また小説として、構成力、文章力共に素晴らしく、飽きることなく最後まで一気に読んでしまった。


知識チート系が好きな方は是非

  • 投稿者: ディア   [2023年 04月 09日 02時 33分 ()]
水車など農業改革やグルメ系の知識は数あれど
科学経済に深く踏み込んでそれをファンタジー要素と絡めて書いてる秀逸な作品

しょっぱなは予言の正確性をいかに社会学的知識で解き明かすか?というところから始まり、そこから徐々に世界の大きな不思議にどんどん乗り込んでいくところはぐいぐい読ませられる

ヴィルミーナや拓銀令嬢が好きな方とか
内政系作品を読み漁ってる方には強くオススメします
その上でこれはトップ層に面白い

作者は是非カクヨムとかに(同じ内容で良いので)投稿しなおしてみるとかしてほしい、今なら絶対注目を浴びると思うので

極限の知識チート


 異世界転生知識チート系の究極、自分はそう断ずる。

 馬車や、食事、よくある知識チート部分もある。この小説では、それがボールベアリングであり、抹茶アイス餡子を添えてではあるが。

 この小説の恐ろしい所は、知識チートを概念として捉え、魔力を第五の力として解析していくことであり。そして、その解析過程が物語の盛り上がりを促していくという過程と感じてしまうところだと思えてしまうところだろう。

「異世界転生知識チートはSF足りうり、そして小説として成立しうる」、それがこの小説「予言の経済学」であり、ひとつの極限だと信じるわけになっちゃうわけである。

 要は、大好き。というか、なろう小説に順位をつけるのは無粋なれど、やっぱりこの小説が一番好きなのは、完結してから数年たっても、変わらない事実なのである。

やれやれ系の王道

  • 投稿者: 明夜   [2021年 01月 03日 11時 25分]
涼宮ハルヒの憂鬱で流行ったやれやれ系主人公。その王道キャラクターが簡単に言ってしまえば主人公の性格。口では保身保身と言いつつ周囲の仲間にお節介を焼いていく様はお約束でありつつもだからこそ安心して読める。序盤は誰も信じない巫女の予言に対して客観的な視点で本当に起こりうるのか、起こるのならばどのように対処すればいいのかを考えていく。ここで遺憾なく主人公の有能さが発揮されるので読むのが楽しくなってくる。しかしその後2章から3章にかけて失速するのが残念。理由としては1章に比べて主人公の活躍があまり感じられず、直面する問題も危機感が薄いものだからだろう。また主人公はひたすら言行不一致かつ保身という言葉を非常に多用する。おそらくやれやれ系主人公が好きじゃない人は保身ジェットストリームの前に脱落する。そこが合わないと感じた人は別の小説に行くことをおすすめする。

神秘的で曖昧なイメージから数値による予測へ。

  • 投稿者: 水無   [2020年 11月 14日 15時 39分]
「どうか聞いてください。今年、西方より大いなる災いがこの国を襲います。」
王国に予言が告げられるが、反逆者の血筋の姫の言葉は無視されてしまう。
「信じません。判断するだけです。」
転生者の主人公リカルドは己の保身を求めつつも現代経済の概念を魔力災害に応用して予言を解明していく。

魔力や予言、ファンタジーのすこし不思議な世界観を現代知識で解明していく物語です。リカルドには戦う力もチート能力もありません。あるのは経済学と現代の知識だけ。ちょっと物理系の知識が深すぎる気がしますがそこはご愛敬かなと。

物語は11章と後日譚で構成されていて、1、2章ごとに文庫本を読んだような気にもなれます。起承転結しっかりしていて、読みやすい文章です。転生者のやることの規模が段々大きくなるのはお約束の様な形ですが、無理矢理感はなく自然な形に構成されていると感じます。
完結済みで安心なので、是非読んでみて下さい。

作者の頭の中はどうなってるんだ!?

  • 投稿者: ryo   [2020年 07月 30日 00時 29分]
物語の設定を考える際に、ここまで詳しく、異世界の魔法科学の法則を考えるだろうか…?

物語の前半はとてもおもしろい小説。そして、とてもおもしろい経済学あるいは商学でした。ここの話はこの分野が主に使われてるなとか、考えながら読み進めるのが楽しい作品で続きが気になる良作です。

問題は物語の後半からです。一気に展開は加速し、濃密かつ構成力のある傑作に変貌します。作者が小説家として一流であることがはっきりわかります。しかし、それと同時に経済学主体だったのが、物理学主体になります。しっかりと理解しながら読み進めるのが困難なほど、練り込まれた設定に圧倒されます。

読者の立場では理解が困難で話がつくのですが、これを一から考えるのはもう、作者の頭の中はどうなってるんだ!?としか言いようがない笑
はっきり言って、400字では語れないほどの、ものすごい傑作です。是非、読んでみてください!!

これが本当の魔法

  • 投稿者: Leoreg   [2020年 07月 03日 07時 48分]
魔法を論理的に解釈しそれを研究して新たなものを作る。なんとも男心を擽られる作品です。専門的な知識も使われていますが、とてもわかりやすく記されているので、読んでいて苦になりません。
またヒロインが可愛いです。主人公とヒロインのやり取りにニヤニヤしてしまいます。とても読みやすい作品なので是非読んでほしいと思います。
何様のつもりだと思われる方もいらっしゃるでしょうが、多くの人にこの作品を読んでもらえる事を願っています。

夜の闇を照らす灯りのような

  • 投稿者: 宵凪海理   [2020年 03月 15日 23時 00分]

魔力や魔獣の存在する世界の、零細商家の息子に転生した主人公。
彼の住む王国は、ここしばらく戦争もなく平穏な時代を謳歌していた。
現代知識のある彼からすると、柵があったり自由度が低く、悩みが絶えなかったようですけど。
コミュ障を自称する彼は、身分関係なく通える学院でも、敵を作ってしまっていましたし。
そんな中で、災厄を予言した姫君との縁ができて。
断片情報から、予言を予測に組み替えていくことに。
前世の記憶があったとして、一足飛びに結果を出せるわけではありませんが。
異なる世界でも、積み重ねてきた歴史は、先を照らす導となっています。
保身を旨としている割には甘いですけど、その甘さがクセになる作品。

ファンタジーに理論を求める人必見

  • 投稿者: あん   [2019年 05月 02日 16時 52分]
とても面白いです。
「世界に第五の力、魔力があるとして」を本気で考えて、あくまで物理的に存在する物質として考え抜かれてます。
読んだ感想としては物理5、生物3、化学2くらいの構成だと思います。

惜しむらくは、小説として洗練されている事です。
登場人物たちの紹介、困難、試行錯誤、解決、と各パートの文量まで完璧だと思います。
だからこそ、魅力的な登場人物達の不必要なストーリーがスプライシングされているように感じました(笑)
それを求めるのはワガママだとは分かっていても、読みたいと思ってしまいます。

この物語は完成されているのでしょう。
なので私が彼等の物語を覗く事はもうないのでしょう。
それがとても惜しいと思える程、面白いです。
オススメです。

ただ、私を含め理屈っぽい人や物語にも理論を求める人は、しばらく他の小説が読めなくなります。
そこは覚悟の上でお読みください。
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