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愛は与えて忘れよとは、実は残酷な仕打ちなのかもしれない

  • 投稿者: 退会済み   [2018年 10月 09日 12時 38分]
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100篇の詩集。全部が揃った時に見えてくる、真実。

「恋の詩なんて、ふわふわしている。甘い」などと言うのは、どうかしてる。この詩集は、一片一遍は甘いが(時に罪深く、時に女々しく)全体として見ると、劇薬。

「とある人」という存在が占めている存在感は、恐らく、作者の人生に対して、無くてはならないものだったはずだと、私は感じる。
しかし、あまりにも、こんな意見は非常に冷酷なのかもしれないけれど、「異界の住人」と「人間」の恋、とでも形容したらいいのか。とにかく、ハッピーエンドでは終わらない予感。それが、心臓を握りつぶされるような痛みをもたらす。少なくとも私は、そう感じた。

お若い皆さま。ババアが一つ、ご忠告申し上げる。
出会って、触れ合い、愛し合って下さい。
ネット上あるいは、夢の中だけで会おうなんて、20年早い。
愛は与えて、奪って下さい。

とある人に捧げる百篇の詩、おすすめです。

これは詩という形式の、一つの恋愛物語

これは、『すべてとある人に捧げる詩』である。

では、ここに記されている《貴女》はいったい誰なのか?これが、この詩集を引き付ける最大の魅力である。詩の断片から少しずつ見えてくるが、雲を掴むかのように実像としては現れてこない。

彼女なのか、母なのか、娘なのか、それとも片思いの相手か?
いつの出来事なのか?
生きているのか、死んでいるのか?
はたまた、実在しているのかしていないのか?

最初はそんな疑問符とともに、読み進めていくが、日常の一ページを切り取り、二百文字程度の言葉で思いを綴っていく、橋本氏の繊細な言葉遣い、文字の息遣い、世界観に吸い込まれ、そんなことは些末なことの様に思えてしまう。

そう、これは詩という形式の、一つの恋愛物語である。

そして、徐々に見えてくる関係性。予想される結末。

現在、約90篇。100篇の詩が捧げられたとき、一体どんな結末を迎えるのでしょうか?
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