イチオシレビュー一覧

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料理3割、お姫様3割、推理小説1割、犬1割、他、日常。

  • 投稿者: 風待月   [2017年 02月 28日 22時 51分]
 異世界からお姫様がやってきました。
 帰るための魔力を溜めるには、主人公の料理を食べる必要があります。
 内容を削りに削って説明すると、たったそれだけ。

 ものすごい料理が出てくるわけでもない。
 手が込んでいると言えても、日常的な、ごく普通の家庭料理だけ。
 非現実的なリアクションがあるわけでもない。
 色気より食い気優先なお姫様は、幸福そうに食べるだけ。
 料理が誰かの生き様を、国や歴史を変える、縁の下の力持ちになるわけでもない。
 犬と戯れて、小説を読んで、だらけて、料理して、食べる。
 言ってしまえば、たったそれだけの繰り返し。

 けれども、それこそがこの作品の魅力。
 驚きや冒険や奇跡がなくとも、変わらない日常の積み重ねこそが人の幸福なのだと、この作品はそれとなく伝えてくれる。
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