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キャラクターの宝石箱や!

  • 投稿者: 伊勢 周   [2018年 12月 11日 18時 54分]
面白いです。
この作者様は本当にキャラクターメーカーで、男性も女性も次から次へ個性的なキャラを魅せてくれます。
特に、こんな色んな意味で危なかっかしい主人公は滅多にお目にかかれないのでは。

豊富なキャラクター達が、様々な人間模様を見せて、愛憎やら恋やら友情、慕い慕われ……そんなお話が時に優しく時にブラックにコメディータッチで描かれる。そんなストーリーがこの作品のメインです。
作者様はシリアスが苦手だそうですけど、私は迫真の戦闘シーンも見どころだと思います。

腕や首がたまにぶっ飛び血しぶきが時折舞う、結構やばい……異能力バトルコメディ群像劇(?)……読んでみてください。
あと女の子がかわいい。

読後に見出すのは別のものですよ?

 身の内に朱雀を宿す翔。感情が薄く記憶も薄い、茫洋とした彼を取り巻くのは、いつもの面々。
 バラエティー豊かに様々な能力を誇る彼らだが、特別な暮らしをしている訳ではない。そう呼ぶには多大なる語弊があるとは思うが、彼らなりに普通に暮らしている。

 ローファンタジーの定番だと言える、超常能力のオンパレードみたいなキャラクター達が織りなす物語は、時に血生臭くもあるがそれも日常なのである。
 任務も甘い物を食べるのも恋愛も、全てが生活なのだ。
 力も能力も外見も全ては彼らを覆っている一部に過ぎない。大切なのはその中心にあるもの。

 読後に残るのは、至って普通の心の触れ合いだと僕は主張します。

覚えていますか?ご存知ですか? 少女漫画がいちばん元気だった頃。

 舞台は裏社会にして稼業は暗殺。
 現れるは妖怪、魔法に陰陽術。かと思いきや遺伝子操作。
 駆け抜けるは中性的な少年に耽美的な青年たち。
 「あの時代」世に送り出されたありとあらゆる名作が、フラッシュバックを引き起こす。
 だがごった煮ではない。もちろんパクリなどでもない。
 練り込まれた世界観と設定、キャラクターの性格に背景。
 前作『ウサギ印の暗殺屋』(完結済。こちらも強くお勧めする)を併せて読めば、巧みな伏線と小気味良い話の展開に痺れすら覚えるだろう。
 描写も巧みだ。コメディタッチの日常から、突如スタイリッシュな文体でハードなシーンが紡ぎ出される。
 多言に過ぎた。総じて評するならこの言葉が適切だと思う。
 官能的な小説、作品群である。

 
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