イチオシレビュー一覧

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死に隔てられようと、彼らのアイは揺るがない。

 「UteLs」と呼ばれる、とある奇妙なクラブがある。そこに暮らす少年・桜散春樹は、梅咲冬子という可憐な少女と巡り逢い――並々ならぬ執着を見せるようになる。
 だが、浅はかな恋慕のようにも見える、その恋路には――人智を超越する存在さえ穿つ、狂気にも似た情熱が秘められていた。

 不条理と死と苦悩が絶えず響き渡る、ダークファンタジーアクション。救い難い世の中で、それでも愛する女のためにひた走る――そんな男の逝き様を、とくとご覧あれ。

理不尽な世界における破壊と再生の物語

  • 投稿者: 柴田 洋   [2017年 02月 02日 20時 26分]
今、生きていて、この世界をすばらしいと思える人は、とても運が良いと思う。

この世界には、理不尽で悲惨な出来事がたくさんあって、少しでも運が悪ければ、その当事者になってしまうからだ。

そして、この小説は、たぶん、この世界がすばらしいと思える人には必要のないものだろう。

でも、この世界は、全ての人々がすばらしいと感じるような理想郷ではない。

だから、こういう小説が必要なのだ。

きっと作者は違うと言うだろうけど、この小説は、理不尽な世界の元凶となるもの破壊しながら、その世界が再生する可能性を示唆する癒しの物語だと、私は思う。

途中の展開からは想像もできないくらい、結末が爽快なので、最後まで読む事をおすすめします。
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