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「個」に寛容な世界

  • 投稿者: 檸檬 絵郎   [2017年 10月 25日 23時 46分]
優劣とか、そんなんじゃないんだ。
周りがね、多様な価値観を持ってあげればいいんだよ。

私はこの作品を読んで、そう感じました。
(この作品の主役は、「周り」ではないのですが)

最近はテレビや、ネットのコラムなどの浸透によって、「こういう男はダメ」「こういう女とは付き合うな」「これが理想」「性格イケメン」というような価値観の押し付けのようなことが起きているように思うのです。
たしかに、世間一般の傾向として、ある性質が好まれるということはあるかと思いますが、なんとなく世間で言われているから、という理由で他人を判断してしまう人もいるのではないかなと思うのです。

人間は社会的動物。流されやすいのは当たり前。
だからもっと、この作品の世界のように、周りが多様性に寛容になってあげてもいいんじゃないかなと私は思うのです。



最後に別の観点から。
描写がとても丁寧で、作品世界に惹きこまれます。

声を届けよ。生きる為に。

  • 投稿者: 蒼原悠   [2016年 12月 25日 00時 40分]
不思議な祭に巻き込まれてしまった男と女がいた。
盛りある男女が無数に集まり、男は唄う。己の魅力を高らかに唄いあげる。女は探す。己のそれと見初めた唄声の持ち主を見つけ、探しにゆく。
それが、この「祭」のすべて。
だが男も女も、なかなか上手く加わることができない。それはひとえに、己の弱さのため。
一歩を踏み出すことの、ただ、恐ろしいがため──。

誰かと結ばれ、子孫を残し、世界を繋げてゆく。それは最も単純な、すべての生物に共通の営みだ。
しかし人に限ってはそうではない。感情、思考、様々な内的要因で、人には他の生物には容易い事ができなくなることがある。
それは進化を極めた者の宿命なのか。
本当は能力も魅力も備わっているのに、己を認められない。そんな「普通ではない」者に、未来を見る資格はないのか?

前を向くのがつらくなった時、弱気になった時。
この作品はあなたにきっと、勇気を与えてくれるはずだ。
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