イチオシレビュー一覧

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こんなSFを待っていた

いやー、一読して言える言葉は「良かった」の一言。

この作品からは、もう、あれです、発想と勢いで一気に最後まで読ませる1970年代の日本SF発展期の香りがプンプンと漂ってくる。もし主人公である隆之介の一人称が「僕」じゃなく「俺」なんかだったら、ちくまあたりのアンソロジーに載っていても全くに違和感がない。

もちろん、全くに粗がないわけではない。しかし、そんなことはどうでもいい。学校という狭い空間のみで、矛盾なく話を展開させ、伏線も綺麗に回収した構成力にただただ脱帽するばかりなのだ。

青春ユーモアSFという、古典的ながらそこまで作品が多いわけではないジャンルに、社会問題も絡ませて挑戦し、見事成功された作者さんに乾杯。

やや古めの日本のSF作家が好きな人には断然オススメしたい作品だ。
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