イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

思うこと、描くこと。伝えたいと願い行動すること。

あるところで猫が生まれて、生きて、そして別れのときを迎えました。

その間に、たくさんの物を見ました。
その目に写した物をただ、点のようにひとつひとつ丁寧においていきます。
何があったのかとらえようのないものを。

ぼくに起きたことは、なんだったのか。

それぞれにとってのあの日。
言葉にしよう、描こう、そうしてこの日、もういちど向き合ってみよう。
伝えてみよう、誰かの心に届くなら……そう祈るように言葉にならないことをできるだけの言葉にして、物語にして手を差し伸べる。

その一歩を感じてほしい。
かがんだきり立ち上がれなくなった背中に、思いを掻き散らしてがむしゃらに進んできた背中に、「わかるよ」ってただそっと寄り添ってもらえたような。
そういう物語。

合わせて『命と震災とできること』というエッセイも是非ご覧ください。

猫も生きている。何があったか分からずとも、それでも生きる

  • 投稿者: 退会済み   [2017年 01月 17日 16時 34分]
管理
震災という言葉は、この日本ではよく耳にします。地震大国と言われているが故なのでしょう。

猫はいうものように、のんびりとマイペースに過ごしていました。
しかし……あの出来事が、彼の心に深く突き刺さる。猫だって、心はあります。怖い気持ちだってあります。

人間よりも敏感な動物視点で描かれる物語は、とても切ないです。

忘れてはいけない。忘れる事の出来ない……そんな出来事を小動物という形で表しているので、とても辛く共感してしまいました。

「大丈夫だよ」

この一言だけでも、救われるのかもしれません。

この日を忘れてはいけない。

  • 投稿者: 蒼龍 葵   [2017年 01月 17日 13時 46分]
1995年1月17日、この日のことを私達は決して忘れてはいけない。

猫視点で語られる、猫の兄姉との別れ、母の死、それから起きた震災の記録。
実際に体験した方にしかわからない恐怖と不安。
どうしても震災は動物達が人の命よりも後にされてしまうことが多いが、この作品はそんな猫ちゃんと最後まで一緒に生き抜いた過程まで書かれている。
当時子供だった人も少しずつ大人になり、復興後に産まれた子供達からは本の世界に見えてしまうかも知れない。
でもこれは実際にあった記録なのだ。人は震災を決して忘れてはいけない。
そこで学んだ教訓と、復興に向けて人々が失ったものの大きさ。

伝える勇気は難しい事。今もなお恐怖と不安に苦しんでいる方が沢山いる。
どうか、忘れないで。私達がこの出来事を忘れない事こそが、何よりも大切なのだから。
心の記憶を再び思い起こしてくれたこの作品に、ただ感謝です。
↑ページトップへ