イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く伊藤潤二の『なめくじ少女』
岩明均の『寄生獣』
『未熟なたまごを持つふたり』を読んで、この二作が思いうかんだ。
けれど、そのどちらともちがう。異質、唯一無二の世界。
耳孔から入りこんで、宿主の脳髄と記憶を啜る寄生生物。
流しこまれるあまい毒、構築される仮想空間。
究極的なサディズムと、抗いきれぬマゾヒズム。
恋愛小説としても、まったくあたらしい。
カラスウリさんの世界を知らないことは、クリエイターにとっての損失である。
私もこのかたつむり少女のように、カラスウリさんの世界を啜りとってわがものとしたい。
……というようなことを書くと変態そのものだ。カラスウリさんの書く世界そのものが、あまい毒である。私の脳髄もすでに、やられているのかもしれない。
岩明均の『寄生獣』
『未熟なたまごを持つふたり』を読んで、この二作が思いうかんだ。
けれど、そのどちらともちがう。異質、唯一無二の世界。
耳孔から入りこんで、宿主の脳髄と記憶を啜る寄生生物。
流しこまれるあまい毒、構築される仮想空間。
究極的なサディズムと、抗いきれぬマゾヒズム。
恋愛小説としても、まったくあたらしい。
カラスウリさんの世界を知らないことは、クリエイターにとっての損失である。
私もこのかたつむり少女のように、カラスウリさんの世界を啜りとってわがものとしたい。
……というようなことを書くと変態そのものだ。カラスウリさんの書く世界そのものが、あまい毒である。私の脳髄もすでに、やられているのかもしれない。
本作に登場する螺は、脆弱な存在として描かれている。
自分の世界のなかでは勝気で、傲慢で、捻くれている。しかし、ひとたび心の内を覗いてみれば、そこにいるのは儚く繊細なひとりの乙女だ。
(……あれ? この螺、ツンデレじゃね? それともヤンデレ?)
とにもかくにも、強烈な個性を発揮している。
夏の太陽が照りつける海。その水面を走る汽車のなか。
そこで繰り広げられる悲恋。
ほどよく説明的で、かつ幻想的なことば選び。
キャラ良し、世界観良し、文体良し。
傑作だ。
自分の世界のなかでは勝気で、傲慢で、捻くれている。しかし、ひとたび心の内を覗いてみれば、そこにいるのは儚く繊細なひとりの乙女だ。
(……あれ? この螺、ツンデレじゃね? それともヤンデレ?)
とにもかくにも、強烈な個性を発揮している。
夏の太陽が照りつける海。その水面を走る汽車のなか。
そこで繰り広げられる悲恋。
ほどよく説明的で、かつ幻想的なことば選び。
キャラ良し、世界観良し、文体良し。
傑作だ。
『つぶり』に取り付かれた者は夢を見る。
その夢は、静かに浸食してやがて、宿主を食らい尽くす。
でも、捕食者であっても『つぶり』は、彼をジロを好きで仕方がないのだ。
追う者と追われる者でありながら、自らの淡い恋の形に具現化した『つぶり』に翻弄され続ける主人公、慈浪。
何故かその夢という仮想空間においてホオジロ、ジロと呼ばれながら、好きだった相手の姿をとる『つぶり』に彼は翻弄され、甘やかな恋に苦しめられる。
行間から滲み出る切なさが、不思議な魅力を放つこの作品。気付けばあなたもさ迷い虜になるやもしれません。
その夢は、静かに浸食してやがて、宿主を食らい尽くす。
でも、捕食者であっても『つぶり』は、彼をジロを好きで仕方がないのだ。
追う者と追われる者でありながら、自らの淡い恋の形に具現化した『つぶり』に翻弄され続ける主人公、慈浪。
何故かその夢という仮想空間においてホオジロ、ジロと呼ばれながら、好きだった相手の姿をとる『つぶり』に彼は翻弄され、甘やかな恋に苦しめられる。
行間から滲み出る切なさが、不思議な魅力を放つこの作品。気付けばあなたもさ迷い虜になるやもしれません。
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