感想一覧

　この国にいるロゥリング族は主人公と密入国者のふたりだけなので、王都にいたクセイナーは存在すら忘れていたでしょう。魔力に敏感という特性も一般にはほとんど伝えられていません。彼女が情報収集を怠ったことは事実なのですが、責めるのはかわいそうなくらい、いるはずのない相手だったのです。

　主人公たちが獲物を得られなければいいだけなので、横取りまでする必要はありません。逃がしてしまうとか、ダメにしてしまうという手もアリですね。

　サブタイトルはクセイナーの獲ってきた獲物。つまり、勝敗を分けるラインを指しています。

　ユニコーンは馬よりも瞬発力に優れている分、森の中でも素早く動けます。ただ、身体構造的に適しているわけでも、得意なステージというわけでもありません。マラソンの選手に短距離を走らせるようなもので、そもそも身体を動かさない人よりは早いけど……といった感じです。

　ゾルディエッタは主人公が狩猟に長けていることを知っていましたし、ロゥリング族の特性があれば負けないと踏んで勝負を受けています。勢いだけでなく、ちゃんと計算もしていたのですが、人族の使う狩猟の道具は扱えないということを見落としました。

　タルトの意識はどうでもいい試合の勝敗よりオムツ仲間を増やすことの方に向いていますので、主人公たちが負けることに期待しています。

　実力があると言っても、生まれも育ちもいいゾルディエッタはやっぱりゼネラリストなんですね。主人公やパナシャといったスペシャリストが生きる場面では、どうしても彼らに一歩譲らざるを得ません。

　四次元ポケットにどこでもドアを持っているタルト。持っていないのはタイムマシンくらいでしょう。ですが、人が大問題と頭を抱える騒動もタルトにとっては自然の範疇だったりします。人と価値観を共有していない青タヌキですね。

　競技会ではＡクラスになるという契約者の目的がかかっていました。「下僕の頑張る日ではない」には、ここで勝利することに意味はないという意図が込められています。負けても構わないという判断のもとにタルトは行動するでしょう。

　宝の持ち腐れとわかっていても欲しくなるのが人の心理。筆者の知り合いも、レースに参加するわけでもないのにランエボやインプといった４ＷＤターボ車を欲しがっていました。

　ゾルディエッタは結構負けん気が強いです。だからこそ主席の座につけるわけですね。

　美的センスは種族によって変わるものですけど、丈夫で多産なことは共通して求められる特性です。妊娠期間が長く一度にひとりかふたりしか産まない人族やエルフでは雌オークの地位を脅かすに至りません。

　タルトとクマネストではロクなタイムが出せないでしょう。二本足で走らせたり、跳んでる最中にポーズを決めたりとか始めるに決まっているのです。

　大雑把に言ってしまえば、知性や身体的特徴の似かよった種族同士でいくつかのグループが形成されている状態ですね。人族とドラゴンの様に、生き物として違いすぎる種族同士の関係はほとんどが餌か敵です。

　人族に近いドワーフやエルフに限って言えば、互いに国家を形成する種族なので関係性は種族ではなく国家単位になります。アーカン王国とは取引のあるドワーフ国も、外交を断絶している人族国家が存在しないわけではありません。

　ゴブリンはロゥリング族が人族との混血児を受け入れなかったがゆえに生まれた種族。つまりは捨てられた子供ですので、何よりもロゥリング族に見つかることを恐れています。

　なお、この世界における異種族嫁ランキングのトップは雌オーク。そして、エルフ娘は最下位グループに属します。エルフを美しいと称賛するのは人族くらいしかいないのです。

　処女スキーで有名なユニコーンですが、種族の特性として処女（それも他種族）にこだわるということに合理的な理由をつけるのはなかなか難しいです。個体の性癖ということならもちろんアリなのですが……

　主人公はさして政治的ではなく、領と領の間の力関係や背後にある事情まで考慮することはできません。ただ、打算的な部分は人並みにあります。

　まだ少数ではありますが、主人公の価値に気が付いている人間はすでに取り込みを画策しています。

　廃嫡されたバグジード君には後がありません。ヨウクーシャをお断りしたければ、父親の元から出奔する覚悟がいるでしょう。学費を自ら賄い、仕官先も探さなければいけなくなります。

　まあ、主人公と同じっちゃあ同じなのですが……