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[一言]
創作屋の武器が蜘蛛糸 つまり、秋せつら いやスパイディ
このたびは拙作にお時間を割いて頂き、ありがとうございます。

まぁ、秋せつらっちゅーか、夜叉丸っちゅーか、風閂っちゅーか、ウォルター的な?

とにかくワイヤーアクションがやりたかったんすよねぇw
[一言]
伊原誠一 ぎるもあはかせのしりあいか
このたびは拙作にお時間を割いて頂き、ありがとうございます。

加速そぉぉ――――ち!な感じのギミックはこれからもわんさか出てきます。

ギルモア博士みたいに、いかにも見た目が博士っぽいキャラは少ないですね。この都市の科学者は「戦闘もできてこそ一流」という裏設定があるので。格闘に精通していないと。

[良い点]
10話まで読みました。かなり好みです。ルビの振り方や名言などがシンクロしてていいとおもいました。
  • 投稿者: 退会済み
  • 18歳~22歳 男性
  • 2018年 08月13日 07時15分
管理
このたびは拙作にお時間を割いていただきまして、ありがとうございます。
返信が遅くなってしまって、申し訳ございません。

ルビや言葉遊びにはそれなりに力を入れましたので、そう言っていただけると書いた甲斐があるというものです。

ありがとうございます。どうか引き続きお楽しみくだされば幸いです。
[良い点]
とりあえず速読なしでもう一度この作品を一から読んでみたいと思います。
感想遅くてすみません。
  • 投稿者: 退会済み
  • 18歳~22歳 男性
  • 2018年 08月11日 19時16分
管理
ありがとうございます。

感想が遅いだなどと、とんでもございません。もう一度いちから読んでくださるというだけで嬉しいです。

それだけ、この作品が狸塚様に『何か』を与えたということでしょうか。であるとするなら、書いてよかったなという気分でございます。

引き続き、よろしくお願いいたします。
[良い点]
・名言製造機
この言葉を贈りたいです。
各種キャラクター達の紡ぐ言葉の数々に大きな感銘を受けました。特に。

征服欲――人間の根源に眠る本能が、言葉を編み出し、会話という習慣を根付かせた。

作中で一番お気に入りのシーンである美琴とフリップフロップとのやり取りでの一節。

このセリフから紡がれる後の文章にはひたすらにのめり込まされました。そしてその最後に「筆談」という手段を美琴が取った事で収束した流れ。

もうね、最高かと。

これは君へ手向ける礼儀でもある。私の気まぐれな言葉の数々を、沈黙という手段を以て耐えた君へのね。それじゃ、話してくれたまえ。私の気分が変わらないうちに

この言葉と悪戯な笑みで結ばれたこの話はちょっと宝物になりました。本当にありがとうございます。

こういった場面だけではなく、前述しました通り考えさせられる、感に入る言葉が多く、素晴らしかったです。

・良質な群像劇
良い話展開でした。最初の幕真にて語られた二人の人物の正体をそこまでもったいぶらずに明示したことは特に良かったです。二幕において、敵の姿を浮かび上がらせ、その相手とどういった絡み合いが起きるのか。そしてラストシーンをこの段階から想起させる物であり、一言上手いと唸ることが出来ました。
余計な話が無い、といえば少しさみしく聞こえてしまうかも知れませんが、群像劇を描くにあたり、必要なシーン、描写をしっかり提示し、その事が作品全体への味を深めていると思います。

・適切な装飾文
文章を彩る装飾語がちょうどいい塩梅だと感じました。
今の状態を超えるとややクドくなり、下回れば面白みがない。実に作品に合った匙加減だったと思います。

・各キャラクターへの理解
こちらは、あえてこういう人物であると明言せずに、セリフ回しやそれへ他者の絡み、地の文を使用して、「察せさせる」という手法が上手く活きていると思います。
各キャラクターが読者の頭に浮かんだ人物像から少しズレた動きをしても納得できる、いわば、読者の遊びという余裕がありました。また、その余裕部分が作中に出てくるキャラクター達の味を深めさせる良いファクターでした。
具体的に挙げますと、15歳のはずの美琴。
義務教育が終わった程度の人間が「出来かねます」等言うのは少し違和感を感じるもの。
ですが、その両親を失い、歩んできたであろう凄惨な過去から精一杯大人びる必要に迫られた事からそういった物言いをしてしまうのだろう。等と。
上手く自然に違和感を味へと変換できました。

・退廃的な世界観
かなり好みでした。裏と表がひっくり返ったといえば大げさになるのかも知れませんが、外界との常識の差を上手く描写されていたこともあり、幻幽都市の一員になったかのような錯覚と共にのめり込みました。
すぐ死んでしまいそうですが、住人になってみたいなとも。

・命の安さ
当たり前に死ぬし、死にかける。
危険が身近に潜んでいるのだという事がしっかり伝わってきました。そう合った場合は、こうなるとも。味わい深い。
[気になる点]
三人称神視点の良いところをしっかり活かせられている反面、陥ってしまいがちである、「お硬く、印象に残りにくい説明文(地の文)」「平易な文章」という二点でしょうか。
後者に関してはあえてそうしている、という可能性もあるのですが、少し具体的に。

・用言止めが多い。
~をした。~をしている。
こういった文末、止め方が多く、特に多く目を引いたのが「~だった」「~であった」という形。
これらが続くと、地の文における強調したい語句や表現等がイマイチ伝わりにくいです。

そしてそれらを解決出来る物が「体言止め」や「形容詞止め」と言った手法になります。

具体的に行きましょう。
第7部、果たすべき約束より。

 再牙とエリーチカにとって、このたった一枚の写真こそ、何物にも代えがたい正真正銘の宝だった。
 これに比べたら山ほどに積まれた札束など、ただの紙屑同然に等しかった。
 そんな物質的な幸福よりも、ずっと得難い精神的な幸福を獲得できたことが、二人にとっての最大の自慢だった。

こちらの文章。これは後を読めば読むほど、二人がある人との絆を大事にしている事を伺わせ、強調している物です。

何を強調したいのか。
ここからは私の受け取った所感に基づき、体言止めや形容詞止めを使用し強調してみます。

 再牙とエリーチカにとって、このたった一枚の写真。
これこそが、何物にも代えがたい正真正銘の宝。
 山ほどに積まれた札束など、ただの紙屑に等しい。
そんな物質的な幸福よりも遥かに得難い、精神的な(絆という)幸福を獲得できたこと。それが二人にとっての最大の自慢だった。

こちらが、その一例になります。()内の物はなんとなくつけてみただけです。絆を示したいなら入れてもいいかな?
と思っただけです。

元の文章と照らし合わせてみて、作者さんの意図に沿って解釈して頂ければと思います。

一つ言えることは、用言止めを多く用い、それが続いていってしまうと、如何に装飾されていても、「似たような文」と一括りにされてしまい、印象に残りづらいと言うことです。

あくまでも個人的な所感の上ですが、作品を通して「あぁ、ここが大事なんだろうな。でも勿体無い」と、多く感じました。
意味合いは通る、だけど強く伝わらなくて勿体無い。
セリフが個性的で魅力的な分、地の文も特色良く描かれていれば……。そういった思いが強かったです。
[一言]
完結まで、本当にのめり込むように拝読しました。
電脳世界や幽玄都市。あらゆる世界が魅力的に伝わって来て、楽しかった。
重ねて言いますが、名言だと感じるセリフがとても多かったです。たまりませんです。

とても充実した時間を、ありがとうございます。
また、別の作品でも是非お会いすることが出来ればと願います。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2018年 05月21日 00時14分
管理
このたびは拙作にお時間を割いて頂き、誠にありがとうございます。

加えて、この長い物語を最後までお読みくださり、それだけでなく、こんなにも熱量の籠ったご感想をくださり、作者としましては感無量です。

私は元来、地の文と会話文で言ったら前者の方が書きやすく、そのためにキャラ同士の会話がおろそかになりがちな面がありました。

なので、この作品では会話文で力を抜かないよう意識しました。あえて会話の応酬のみでキャラクターの心情を掘り下げていく手法もとりました。それが一番現れているのが、第三幕の琴美とフリップ・フロップのやりとりだと思います。

彼らに語らせた「言葉」というものに対する印象は、私が常日頃から考えている内容を喋らせたものです。あまり作者の主張がでないよう制御するのに苦労しました(笑)。この会話の流れは、書いている私自身でも驚くぐらいにスラスラ書けた部分です。なので「宝になった」と、とんでもなく高い評価をくださり、本当に嬉しい限りです。

群像劇ということで、この作品には数多くのキャラが登場します。なので読者様が混乱しないよう、貼った伏線は早めに回収するよう心掛けました。バジュラとアヴァロのくだりがそこですね。

ここは最初の構想ではもう少し引っ張る予定だったのですが、読者様の「興味の持続」を効果的に働かすためには、バジュラとアヴァロの関係性を速めに明らかにして、そこから二人がどんな選択をし、どんな結末を迎えるのか気になる方向にシフトしていったほうがいいかなと思い、ああいう形にしました。結果として正解だったと、柿崎様のご感想を読んで自信が持てました。

それと命の描写については、私はあえて安っぽく書いています。安っぽいというのは「あまり情緒的な書き方はしたくない」という意味です。

それはなぜかというと、我々の現実世界でも同じことが言えるからです。現実世界における命の消費のされ方ってのは、ドラマチックなものでもなんでもなく、道端に咲いた花が誰にも知られず枯れていくようなものだと思ってます。その考えを作品世界に取り入れることで、より「リアリティ」が出るかなと思ってます。

そして文体についてですが、仰る通り用言終止形の多用は「わざ」とやっています。そのため、印象に残りにくいというご意見も十分ご理解できます。ただ、私としてはこう、感覚的な話になってしまいますが、物語全体にばーっと意識が散っている状態ではなく、ポイントポイントで心を揺さぶるような文体の方が、メリハリがつくかなと思って、この文体に落ち着きました。

それと、これもまた感覚的な話になってしまいますが、この物語は縦書きで詰めて読むと、また受け取り方が違ってくるように思います。人間の目の動きを考えると、横よりも縦に動いた方が、物語を読むにはより適していると思うのです。

事実、この作品はワードで縦書きに書いてから投稿しているのですが、その時に書いた内容となろうに投稿した内容を照らし合わせると、結構印象が違うなというところが結構ありました。

ネット小説と紙媒体の小説では、読者様の意識を引っ張る文体というのは、必ずしも同じ形式ではないと言えるのかなと、そんな感想を持ちました。

最後に、名言製造機だなんて過分な評価をくださり、本当に勿体ない気分です。

長々となりましたが、このたびは本当にありがとうございました!
[良い点]
よく練られた設定とわかりやすいストーリーですね( ´艸`)オカルトっぽいところが気に入りました
  • 投稿者: 退会済み
  • 18歳~22歳 男性
  • 2018年 05月20日 20時06分
管理
このたびは拙作にお時間を割いてくださいまして、ありがとうございます。

ストーリーが分かりやすいと仰っていただけたのが嬉しく思います。群像劇の形を取りながら、話の筋は王道を目指しましたので。

オカルトについては子供のころから親しんでいて、好きなエッセンスの一つなので、今後も積極的に物語に取り入れていきたいと思います。

重ね重ね、このたびはありがとうございました!
[一言]
 浦切三語様

 こんにちは、中村尚裕です。

 『アナザポリス・リビルド』、前回から間が空きましたが、第三幕を拝読しての感想になります。


 まず、そこかしこから匂い立つ“幻幽都市の底知れなさ”が秀逸です。
 一箇所でまとめて記述するような無粋はせず、また総括せず散りばめることで、混沌と奥深さの両者を提示することに成功しているものと拝察します。
 また、都市の住人一人一人に短くも焦点を合わせることで、都市細部の存在感が浮き彫りになっている――だけでなく。多様な技術や背景を“説明せず描写する”ことに成功しているものと拝察します。お見事!

 さらに、“部外者としての琴美”と“都市住人としての再牙”のかみ合わせがまた絶妙。これに琴美のトラウマまでもが噛み合って、様々な意味で深みを持ち、なおかつ幻幽都市の姿と過去を語るシークェンスとなっていますね。もちろん、会話としてもごく流麗です。素晴らしい!


 琴美のトラウマに“フリップ・フロップ”が絡むシークェンス、ここでは琴美と“フリップ・フロップ”両者が否応にも過去と向き合わざるを得ない描写に膝を打ちます。
 見ず知らずの相手の肚を探り探られ、その中にそれぞれのトラウマが覗く流れはまさに白眉と言えましょう。
 さらには琴美と“フリップ・フロップ”の両者が共感を育てていくさま、これは読んでいてカタルシスを覚えます。個人的には“フリップ・フロップ”のポイント制に琴美が振り回される描写、これをもっと拝見したい(解説ではなく)気分は感じます。ただしこの場合は長さに気を遣う必要がもちろんあって、そこは思案のしどころではあります。


 ネオ・エンペラーの乱入から妖触樹の出現まで。
 “フリップ・フロップ”の飄然とした立ち回りが爽快です。
「返す言葉を口にする権利は、潔く放棄させてもらう」
 この科白が決まっています。
 また、“マクシミリアン”も存在感充分。再牙の沈着さと相まって、圧倒的な頼もしさで魅了してくれますね。


 バジュラの存在と再牙の正体。
 こうきましたか! と拍手を差し上げたい思いです。
 夜城があっけらかんと大事を口にするのもさることながら、大嶽の科白回しがまた最高。腹に一物抱えた人物の思わせぶりな科白がたまりません。
 なればこそ致死性攻征部隊の描写も慎重になる道理です。納得しました。少なくともアヴァロは、あの時点では血に飢えている必要があるわけですね。


 と、全体的に力の込もる出来栄えでした。さすが浦切様入魂の作、意気込みが心地よいですね。

 長くなりましたが、頑張って下さい。

 これからも楽しみにしています。
  • 投稿者: 中村尚裕
  • 40歳~49歳 男性
  • 2018年 05月16日 21時34分
このたびは拙作にお時間を割いてくださいまして、ありがとうございます。
メッセージに引き続き返信が遅れてしまう私……もうしわけございません!
そして二度目のご感想、繰り返しになりますがありがとうございます。

第三幕部分は、前半部分は琴美と再牙の会話を通じての、アンドロイドを始めとする都市についての在り方を論じるところがポイントだと思っています。

外部からやってきた琴美と、都市に馴染んでしまった再牙。両者の視点の違いを描くことで、そこからお互いの価値観の違いに繋がり、琴美の心理的状況を覗かせる手法を取らせて頂きました。

第三幕の中盤は、中村様が褒めてくださったところの、フリップ・フロップと琴美のやりとりをどう見せるかが肝でした。キャラクターに厚みを持たせるためにも、琴美には一度でいいから、自分に対して最初から好意的姿勢を持っていない人物と意見を交換してもらう展開が必要だなと感じました。そこでフリップ・フロップの設定を、オリジナル版から大きくリメイクいたしました。

彼は獣人ということもあって離人感を出すように心がけましたが、彼にも人間だったころの想い出があって、そこから琴美が何かを学んだり感じ取ったりする展開にしたかったのです。

そしてフリップ・フロップの科白ですが、これもまた彼の離人感を滲ませるような台詞運びを心がけました。これは書いていて、なかなか楽しかったです。

大嶽は、イメージとしては機動警察パトレイバーの後藤隊長を彷彿とさせる感じで、まさに腹に逸物抱えているキャラにしてみました。これが上手い具合に絡んでくれて、よかったと思います。

続きの方も、どうかごゆるりと楽しんで下されば幸いです。

重ね重ね、このたびはありがとうございました!
[良い点]
いいですね……独自単語が分かりやすくそして脳髄をビリビリ刺激してくるパワーワードばかりです。面白い…!
魔界都市、いいですよね。「新宿」「トーキョーN◎VA」「サタスペ」「シャドウラン」!燦然と輝く科学と魔道のごった煮……!私も大好きです。
砂漠で同郷の人を見かけた気分です。
続きはゆっくりと読ませてもらいますね。
このたびは拙作にお時間を割いて頂き、ありがとうございます。

そして早速のご感想をありがとうございます。

サイバーパンクとオカルトパンクを組み合わせた本作ですが、同様の作品を書いていらっしゃる方にこうして出会えて、私も嬉しく思います。

あとでそちらにもお邪魔させて頂きますね。

ではではー!
[良い点]
∀・)幻幽都市、この世界観は独特で実に1つの壮大なSFの世界観を見事に形成していました。そのなかでの物語の展開もスリリングで、キャラクターの個性また感情の推移を妙を突く感じで良かったです。琴美と再牙それぞれの生き様というか、物語の中での存在感も発揮してたし、終盤の涼子さんも個人的には良い味だしてる登場キャラだなと思いました。後書きでの説明も丁寧で好印象です。何より浦切様の持たれている哲学を作品に取り込まれている感じが肌に伝わってくるようでした。人間としての命、でも社会という社会は全て護ってくれるワケではない。そこを大事にされている考えですね。
[気になる点]
∀・;)とってもコアなSF作品だと思うんです。ゆえにちょっと読者としての感情の持ちようがわからなくなる場面がところどころありましたが、大枠は主要人物の行動を基に綴られていたので、まぁ、ホント、ちょっとした部分だと言っておきます。
[一言]
∀・)浦切様の代表作、堪能させていただきました。なるほどこれは相当なまでに完成度が高い作品なのではないかと思います。大作の執筆お疲れ様でした(いまさら)☆
このたびは拙作にお時間を割いて下さり、ありがとうございます。また、骨太なご感想に感謝申し上げます。返信が遅れてしまい、申し訳ございません。

哲学、というほどでもないですが、一応意識していることはあります。

私の書きたいSFというのは、センス・オブ・ワンダー的な、いわゆる「アイディア一発勝負」のSFではなく、行き過ぎた科学技術に取り囲まれた世界を舞台に、そこで生きる人間の感情や行動を描き出そうとする作品です。

科学が今より発展して、人間と機械の境目が曖昧になったり、社会がどこか冷徹に人間を見つめていたり、人の意識というものに科学的メスが入りかけている世界で、いかにして人間は人間であるべきか。人間は何を大事にして生きていけば良いのか。そういったことを意図して書いたのが本作です。

なので、キャラクターそれぞれの生き様というものをしっかり描き出そうと。それを第一にしたかったのです。乱暴かもしれませんが、ストーリーがどこか破綻してしまっても(結果的にはそうならずに済んだわけですが)、キャラクターの心の機微は丹念に描きたかったのです。琴美しかり再牙しかり、ホムンクルスたちしかり。

自分では上手く描けたつもりなのですが、やはり作品を評価するのは読者様ですから、正直不安ではありました。が、こういったご感想を頂く度に、こちらの伝えたいことはちゃんと伝わっているんだなと、安心します。

またおっしゃるように、拙作はSFの中でもコアな種であり、また群像劇ということもあって、とっつきにくい印象を与えてしまうのが本作の難点であると思います。そこを汲み取っていただきつつ、最後までお読みくださったことに、イデッチ様の優しさを感じました。

重ね重ね、このたびはありがとうございました!
[良い点]
※特に、と思ったものを挙げます。
■世界観
・設定の作り込み
『サイバーパンクとオカルトがごっちゃになった退廃的な未来都市』というと、
 似た世界観は過去の名作映画、小説、あるいはゲームやアニメの中で描かれているのを見る事は出来ますが、
 同じコンセプトでオリジナルの世界観を作ろうと思うと、相当の研究、作り込みが必要だと思います。
 その点、少なくとも私は「こういう世界観なのね」と受け入れる事が出来ました。 

・生活感
 上記の"設定の作り込み"があるからこそなのでしょう。
 幻幽都市の日々の営み、「都民の日常」がとても丁寧かつ情感豊かに描かれているなと感じました。
 ……あくまで小ネタなのでしょうが、Tipsの解説は油断してモーニングコーヒーを嗜んでいた私にダメージを与えました。

■キャラクター
・「作り込まれた背景」
 脇役に至るまで背景(恐らく劇中に描写されないものも含めて)が作りこまれているのではないでしょうか?
 名前と強い個性を持ったキャラが多数登場し、中にはあまり出番のないキャラクターも当然居ますが、
 それぞれどういったキャラなのか、どういった考えで動くのか……区別がつきましたし、想像もさせられました。
 どこかのコラムで読んだ表現で申し訳ないんですが、「キャラが生きてる」ってのはこういうことかなと。

 特に気に入ったキャラクターとしてはフリップフロップ(名前通りながら熱さも持ち合わせており格好良い)、
 マヤ(アイデンティティを明確に持ちながらも、それすら掌の上で転がされているだけ…哀れ)。
 
 バジュラが暴走するきっかけも、皮肉さがとても好みです。

 
■その他
・「文章力、語彙」
 他の方も多く書かれていますが、どうやって身に着けてるんでしょうか。
 やっぱり読書量ですかね……生態端末でインストール出来る日、早くこねえかな…
・「雑学関連」
 引き出しが豊富なこと豊富なこと……!
 SF以外にも色々と勉強されてるのかなと思わされました。見習いたい…。
[気になる点]
個人の感想として、気になった事を挙げます。
もし「確かに」と思われたり、別の読者から同様の意見が沢山出た時だけ参考にしてください。

■キャラクターの変化(変遷、結末)
・「琴美の変化・成長」
 度々描写される彼女の回想・自己評価と、私が感じた彼女の印象が乖離していたせいだと思います。
 彼女自身の独白の中では、「自分の意見を伝えられない」「周囲に流されがち」など消極的になってしまっている事が伺えたのですが、
 私の印象では、序盤から既に"危険を顧みない行動力※1"、"自分の考えをはっきり言える意志の強さ※2,3"がある子だったなと感じてました。
 ※1. 父親を捜しに危険な幻幽都市に単身やってきた(一大決心なのでアリだと思いますが
 ※2. お人よしの再牙はともかく、見た目からしてとっつき辛いフリップフロップ相手にはっきり意見を言えている
 ※3. 現実を突き付けられながらも"モノ"として打ち棄てられたアンドロイドに優しさを向けられる

 6-11で大きな転機を迎え、彼女が心の中で枷から解き放たれたこと、精神的に成長したことは事象としては伝わったのですが、
 「他人を守る為に化け物の前に立ち塞がる」という行為が、どれだけ「今までの彼女ではありえなかった行動」なのか、ピンと来なかったのです。

 ……私が汚い人間をもっと見たかっただけかもしれません…

・「涼子さんと再牙の関係」
 これも悪い所という訳でなく、私が読み取れなかっただけかもしれません。
 涼子が再牙のどの辺から"生きる楽しさ"を貰ったのか分かりませんでした。
 (もしかすると序盤にあった情報を忘れてしまったのかもしれません…)
 自分のイメージですが、「家族」辺りがキーワードですかね?
 帰った時に誰かが出迎えてくれること、食事を一緒にとることは、それまで一人だった彼女にとっては特別なことでしょうし。

・「サブキャラクターの落としどころ」
 個性豊かなキャラクターが沢山出てきますが、死んでいったキャラクターはともかく、役目を終えたらフェードアウトしていくキャラがちょくちょく居たのが気になりました。
 自分がもうちょっと見ていたい、というのもあるかもですが、例えばフリップフロップ。
 特に彼は琴美とドラマがあったキャラクターなので、成長した後の彼女と何も絡まないのは違和感がありました。
 誰かが彼の事を話題にするか、何かしら登場することはあると予想していたので………って、あれ、死んだりしてないですよね?(ちゃんと読んだつもりですが、読み飛ばしていたら大変申し訳ありません

 全員は要らんと思いますが、再牙らメイン3人のいずれかと絡みがあったキャラクターについては、事件解決後の描写は欲しかったです。
 誰もが何かしら思う所があった事件だったと思っているので…。
 ただこれは、キャラクターがちゃんと作り込まれているから、余計にそう感じるのだと思います。
[一言]
長文コメントすみません。
このボリュームのものを最初から最後までストレスなく読了させて頂いたのは初めてです。とても楽しく読ませて頂きました。
上で何度も書いてしまってますが、ここまでキャラクター、文章、場面転換が多いと、私は大抵混乱してしまうのですが、
その点に関しては不思議なぐらいすらすら楽しめましたし、題材、ストーリー共にとても好みでした。

というか、こういったニッチかつ、やろうとすると敷居の高い題材で、ここまでまとまりつつも好き勝手(良い意味です)出来るのかとちょっと感動しました。
ワナビとしては勝手に勇気づけられました(激しくどうでも良い

他の作品も絶対に読ませて頂きます。
これからの新作も、楽しみにお待ちしております。
  • 投稿者: 大惨事苦労
  • 23歳~29歳 男性
  • 2018年 04月11日 05時14分
このたびは拙作にお時間を割いて下さり、ありがとうございます。

また骨太且つ熱いメッセージを送っていただき、感謝いたします。ご指摘いただいた箇所に関して、自作を振り返りながら色々と考えるきっかけにもなりました。一つひとつ、出来得る限り丁寧にお答えしていきたいと思います。


・「琴美の変化・成長」
琴美ちゃんがこの作品のヒロインな訳ですが、私ってあまり受動的すぎるヒロインって好きじゃないんですよね。最初から最後まで受け身で振り回されるのは自己主張がない存在のように思えてしまって。なにより本作は群像劇なので、琴美にも能動的に動いてもらわないとお話にならない。そのあたりが琴美のキャラ設定に関わっています。

彼女も最初のころは、幻幽都市の異形さに翻弄されて色々と大変な目に合っています。しかし、徐々に都市の空気になれていきます。彼女が能動的な動きを見せるのは、それが顕著になりつつある第三幕からですね。

で、世間を見渡してみると、琴美のような子ってわりかしいると思うんです。つまり、他人から見ると「この子なかなか度胸あるし、優しい子だなぁ」って評価されていても、本人は(謙遜とかなしで)自分は大したことのない人間だと、過小評価を下しているタイプ。

赤の他人に対して優しさを向けてあげたり、譲れない信念だってある。だけれども、どうも自分の人生を歩いている感じがしない。そこを解決しないことには、琴美は父の真相を知っても、この先ずっと自分を過小評価して生きていかなきゃいけないんですね。そこを解決する……つまり「父親へ向ける愛憎」にどう折り合いをつけるかというのが、本作の軸の一つな訳です。

そうして、自分の心の問題を解決して初めて、人は外の世界と正しい姿で向き合い、障害に立ち向かえるんじゃないかと思うのです。それが「生きる」ことだと思うのです。

障害に向き合うケースは色々とあります。夢をかなえるための試験勉強であったり、曖昧な言い方になってしまいますが、社会の理不尽さに牙を剥いたり。そしてまた、「にっちもさっちもいかなくなって、マジで困っている大切な友人を助ける」というのも、障害に向き合うケースの一つであります。

この作品では分かりやすく、キリキックという「障害」を設定してあります。つまり琴美が彼に銃を向けた時点で、彼女は初めて自分個人の問題から離れ、「友人を助ける」という「己の人生を歩む上で、どうしてもやらなければいけない障害」に立ち向かう意思表示をしたわけです。

そこに、琴美の精神的成長が顕れているわけですが、いかんせん、私の文章が非力なせいであまり上手く伝わらなかった……というか、ちょっと構造的に分かりにくかったかもしれません。すいやせん。


・「涼子さんと再牙の関係」
この辺りは何だか雰囲気だけでそれっぽく匂わせる感じになってしまいましたが、仰っている通り「家族が増えて楽しい!」ってニュアンスで捉えていただいて問題ございません。

裏設定は色々あるんですけどね。そこを語るとちょっとこのスペースでは書き切れないので、申し訳ございませんが割愛させて頂きます。


・「サブキャラクターの落としどころ」
ここがですね。実は書こうかどうかずーっと迷っていました。仰っていることはよくよく分かっております。

フリップ・フロップだけじゃなくて、村雨と七鞍のその後とかも……ちなみに彼らはあの事件の後、テロ組織の一人を斃して拠点の情報を獲得した功績が認められて、本部に栄転しています。そこらへんの下りとも書こうかと思いました。

フリップ・フロップは事件後に行きつけのバーで、マスターに「面白い女の子がいてさぁ」と、琴美の話をさも楽しそうに語る様子とか、色々と書きたい絵は浮かんでいたのです。

ですが……それを語ってしまうとなんか蛇足感が凄いなと思ってしまいまして。このお話ってすごいややこしいんですよね。群像劇とか言ってるくせに、主軸は再牙と琴美とバジュラの3人に向けられているので。

あと、私はどうも物語を創造する上で「語らない美学(?)」のようなものを持っていまして。別に語ってもいいんですが、敢えて語らずに想像の余地を残させるという傾向にあります。別に美学というほどのものでもないんですけどね(笑)。

ただ、そういった話を読みたかったと仰ってくださるほど本作にのめり込んで下さり、大変嬉しく思っております。



・良い点について
過分な評価すぎる、というのが正直なところです。まだまだストーリーの構築術も拙いですし、もっと上手くキャラクターを動かせるようになりたいと感じています。

ただその中でも、フリップ・フロップとマヤを気に入ってくださり、ニンマリしてしまいます(笑)。特にマヤに関しては、自分の中に溜まっている鬱憤を糧に書いていました。自分の人生を歩めていないと自覚しており、何とか頑張ろうとするけれども、結果的に敗北してしまう。琴美のように、自分の人生を獲得できた者がいる一方、敗れ去っていく者の姿もしっかり書かないとダメかなと思ったので。

個人的には、今でもチャミアを死なせたことを悔やんでおります。なんとか生かす方法を探していたのですが、結局ああいう最期を迎えるしかなくて。なんとも沈痛な気分で彼女の結末を書きました。

文章力についてですが、私の場合、大好きな本一作だけを選んで、それを2~3日に一度の頻度で朗読したり、実際に紙に文章を書いたりしています。これをやるだけでも、大分力になります。目指すところまではまだ届いておりませんが。
あとは、電車の中釣り広告で目に留まった文章をメモしたり、ノベルゲームから比喩表現を学んだり、とにかく文章というのは他分野からも学べるのでいいですね。

雑学が豊富と仰っていただけたことも、有難いです。子供の頃から雑学が大好きで、そのあたりの知識をフル活用して本作を執筆しました。

最後に、私のくだらない(笑)用語解説の犠牲になってしまったモーニングコーヒーの飛沫たちに、ごめんね☆と言わせてください。

大変な長文になってしまいましたが、このたびは本当にありがとうございました。
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