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社会が選んだのは「均等に生きること」であり、それはいのちだまという個人の可能性を再分配することで成立します。しかし誠也にとって、指を伸ばせば届いたはずのものが、背伸びしても届かなくなりました。これは「誰かが損をした公平」と言えます。
誰にも選択肢がありません。それでよいのかという問い掛けが物語全体を覆っているように思いました。

航が誠也の玉を借りることで「同じ景色を見て生活できる」一方、その足置きは誠也の能力を削り取ることでもありました。これは純粋な善意や正義では語りきれない非対称性です。航はそれを強く感じ取っていたから去ってしまいます。

才能に手を伸ばしたことへの後悔なのか、それとも航を失ったことへの後悔なのか。誠也はその二つを自分でも分けられていないようです。本来、正解、不正解の言葉でへだてることができない感情のやり場です。それを子どもたちにシェアしようとする場面は、彼にとっての誠実さではあるのでしょう。

ただ、それは残酷な選択肢を見せているだけのように思います。
そして子どもたちにはそもそも選択肢が与えられていません。それでも、答えを探し続けることができるでしょうか。
 拙作に真摯に向き合ってくださり、誠にありがとうございます。
 人生には、自分では選べないことがたくさんあるのだと思います。それは時代だったり、社会だったり、制度や環境だったり――。
 誠也もまた、「選べない中でどう生きるか」を、どこかで前向きに捉えようとしていたのだと思います。だからこそ最初は、用意された原稿の言葉をそのまま伝えようとしていました。
 けれど、いざ語ろうとしたときに、「正しい」「正しくない」「公平」「不公平」といった言葉では、自分の実感を言い表せない――そんな感覚に直面したのではないか、と感じています。
 苦しさもあった。けれど、精一杯生きてきた時間も確かにあって、航がいなければ今の自分はなかったという思いも、同時にある。それらをひとつの言葉で整えてしまうことに、どこかためらいがあったのかもしれません。
 だからこそ、「きれいな答え」ではなく、そのときの自分の言葉で語ろうとしたのだと思います。せめて「どう感じるか」だけは、自分で決めてほしい――、と。
 とはいえ、書いた私自身も、まだうまく言葉にしきれていない部分があります(^^;)人の数だけ受け取り方があり、それぞれに考えていただけたら嬉しいです。

 このように深く読み取っていただき、本当にありがとうございました。改めて作品と向き合う、大切な機会をいただきました。
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