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とても印象に残る作品でした。
恋愛やサスペンスの形を取りながら、「誰にでも平等に優しいことは、本当に優しさなのか」という問いを描いているところが面白かったです。

主人公の茉莉花は、誰にでも同じように接する人間として描かれていますが、それは単純な優しさというより、誰かを特別に選ばないことで、自分自身を守るための生き方でもあったように感じました。人を傷つけないための平等が、見方を変えると「誰にも踏み込まない」「誰も特別にしない」ことにもなってしまう。その危うさが、物語全体に静かに漂っていたと思います。

特に、向日葵の使い方が印象的でした。明るさや憧れの象徴にも見える花が、この作品では「視線」や「執着」、「あなただけを見つめる」という圧力の象徴になっていて、読んでいて不穏さが強く残りました。向日葵畑での事件、潰された眼球、過去に渡された花束、最後に届く向日葵まで、すべてが「見られること」と「選ばれること」の怖さにつながっていたと思います。

友樹の言葉は明らかに歪んでいるのに、茉莉花の中にある弱さや逃げを正確に突いてくるところも怖かったです。「全員に同じ量だけ無関心だったのではないか」という問いは、犯人の理屈としては狂っているけれど、茉莉花自身が自分を見つめ直すきっかけにもなっていて、単なるサスペンスでは終わらない読後感がありました。

最後に茉莉花が婚姻届を破る場面も良かったです。誰かの特別になることを拒むだけではなく、「太陽」のように誰にでも同じ光を向ける存在でいることもやめて、ただの茉莉花として自分で選ぶ場面に見えました。

少し説明的に感じる部分もありましたが、テーマと象徴がはっきりしていて、短編として強い余韻のある作品でした。優しさ、平等、特別、視線という言葉の意味が、読み終わったあとに少し怖くなるような作品だったと思います。
読んでいただきありがとうございます!
太陽の方へ向く向日葵。そして太陽をやめる選択をした茉莉花。
サスペンスは書くの初めてだったので手探りでしたが、楽しんでいただけてなによりです!
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