感想一覧
▽感想を書く毎回感じるのは本文と感想のコメ返しの文章が全然違う事
感想コメみたいに本文も書いてほしい
本文は機械が書いてるみたいな無機質な感じで
感想は作者の心が伝わるから
感想コメみたいに本文も書いてほしい
本文は機械が書いてるみたいな無機質な感じで
感想は作者の心が伝わるから
ご感想ありがとうございます。
正直に言うと、少し考え込んでしまいました。
感想返信では、読んでくださった方の言葉を受け取り、その方へ直接お返事をしているので、自分の気持ちや普段の話し方がそのまま出やすいのだと思います。
一方で本文を書くときは、登場人物の感情を作者が先回りして説明しすぎないように、起きたことや言葉を少し引いた位置から置くことが多いです。今回も、セシリアの痛みを強い言葉で語るより、奪われた名前や両親の言動を淡々と重ねることで伝えたいと考えていました。
ただ、その書き方が「機械が書いているような無機質さ」として届いたのなら、意図していた静けさと、実際に読者の方が受け取った印象との間に、かなり距離があったのだと思います。
感想返信の文章には心が伝わると言っていただけたことは、素直に嬉しかったです。それと同時に、その温度を本文でも感じたかったというお言葉も、軽く流さず受け止めたいと思います。
本文と感想返信は目的が違うため、まったく同じ文章にはならないと思いますが、抑えた文体の中でも人物の体温がきちんと残っているか、これから書く際に改めて考えてみます。
率直なお言葉をありがとうございました。
正直に言うと、少し考え込んでしまいました。
感想返信では、読んでくださった方の言葉を受け取り、その方へ直接お返事をしているので、自分の気持ちや普段の話し方がそのまま出やすいのだと思います。
一方で本文を書くときは、登場人物の感情を作者が先回りして説明しすぎないように、起きたことや言葉を少し引いた位置から置くことが多いです。今回も、セシリアの痛みを強い言葉で語るより、奪われた名前や両親の言動を淡々と重ねることで伝えたいと考えていました。
ただ、その書き方が「機械が書いているような無機質さ」として届いたのなら、意図していた静けさと、実際に読者の方が受け取った印象との間に、かなり距離があったのだと思います。
感想返信の文章には心が伝わると言っていただけたことは、素直に嬉しかったです。それと同時に、その温度を本文でも感じたかったというお言葉も、軽く流さず受け止めたいと思います。
本文と感想返信は目的が違うため、まったく同じ文章にはならないと思いますが、抑えた文体の中でも人物の体温がきちんと残っているか、これから書く際に改めて考えてみます。
率直なお言葉をありがとうございました。
- 月白ふゆ
- 2026年 07月18日 21時57分
今回は定番の“婚約破棄もの”に“いがみあう姉妹もの”を反転させたものを掛け合わせて一捻りを加えたもので、非常にツッコミどころ満載の楽しい一作であった。
そう、まず常識外れな展開が実際に起こったとして、どうなったらそうなるのかを考察するのが非常に楽しい、将来が非常に楽しみでならない問題国家であったな。
沙汰はどうなったことやら。全員のその後が描かれていないからこその空白の楽しみである。
>「嫉妬に狂い、私と親しくなったマリアンヌを排除しようとした。そういうことだろう」
まず、“婚約破棄もの”で見れば、相変わらずのバカ王子ぶりであり、婚約者である悪役令嬢と向き合おうとせずに破局するのはまあバカ王子も一人の人間だからしかたないとして、
問題は勝手に婚約破棄して修道院行きを言い渡して、方や公共の場で間女に仕立て上げてしまう罪深さよ。
驕り高ぶり 己の狭い了見の 正義に酔い痴れたお前だけが外聞を悪くするんじゃないんだぞ。隣に立たせた女も巻き込むことに考えが及ばないオツムの弱さよ。
こんな残念な男と結婚するはずだった亡き姉君が無念でしかたないな。まあ、その残念さを姉君は最初から見抜いていたわけなので、別に姉君が亡くなっていなくても似たようなことが起きても不思議ではないな、“婚約破棄もの”のバカ王子として存在を定義されている以上。
>――アルフォンス殿下は、怒ると右の眉だけが上がるの。ご本人は気づいていらっしゃらないみたい。
>広間の端に並んだ公爵夫妻は、異を唱えなかった。娘を見ようとさえしない。
しかし、“いがみあう姉妹もの”で見るなら、一番の卑怯者は当然ながら悪役令嬢の両親であり、極度の日和見主義のせいで、他に子供がいないはずなのに、唯一の子供を守ろうとしないのが全ての発端だった。
聞けば、今回の婚約者を寝取ったことになる間女は将来の王妃の座に固執した両親によってバカ王子の婚約者である娘が死んだ事実を隠蔽するために追放されてしまった人間の縁者であり、
巡り巡って、無用の混乱を避ける名目で 常識的に考えて期間限定で成り代われるはずもない ニセの婚約者の秘密を知る者を親子揃って迫害した結果、肝腎のバカ王子に嫌われて 婚約破棄を言い渡される 無用の混乱を招いているのだから、まさに因果応報。
最初から素直に婚約者である姉が亡くなったので政略結婚を継続させるために双子の妹と婚約を結び直すだけで済んだ話を、その場しのぎの嘘に姉を失ったばかりの傷心の一人娘を巻き込んでおいて、何が『守りたかった』だ、キチガイめ。
なぜ踏むべき手順を、通すべき筋を……、そんな簡単なこともわからないなら、それはもう無能を通り越してキチガイだ。
>「ですが、わたくしが罪を犯したからといって、あなた方の罪が消えるわけではありません」
>「私たちは、あなたを守ろうとしたのよ」
>「わたくしを?」
>「真実を明かせば、あなたまで裁かれた。公爵家を失えば、将来もなくなる」
>「将来」「姉の名前で王太子妃となり、姉の名で子を産み、姉の名で死ぬことが、わたくしの将来だったのでしょうか」
>「それでも王妃になれたのよ。誰もが望んでも得られない地位だったのに」
>「お母様は、最後までお分かりにならないのですね」
>「何を」
>「わたくしは、王妃になりたかったのではありません」
しかし、今作の最大の特徴は 登場する親世代の全員が何らかの咎を負っていたり筋を違えたていたりする 不甲斐ない親ばかりで、そのせいで子世代がバカ王子とニセの婚約者の婚姻をめぐる無用の混乱に巻き込まれたことであろう。
今回は実は味方ポジションだった間女でさえも、母親が追い出された原因が死んだはずの令嬢の名を呼んだことであり、その一言で娘に苦労をかけさせたのなら迂闊でしかないし、
悪役令嬢と呼ばれるきっかけになった姉君の過去を知る旧友にしても、親が正真正銘の悪事を働いていたばかりに通報せざるを得なかったわけなので、誰一人として完全なシロと呼べる親がいないのが凄い。
そして、その不甲斐ない親の筆頭格というのが、他ならぬバカ王子の親;つまりは国王であり、
未来の王妃に目が眩んで その場しのぎのことに死に物狂いになった 悪役令嬢のキチガイの両親の陰謀を承認していたのなら、いや、普通に家同士の結びつけるものなんだから双子の妹と婚約を結び直すだけで収まる話をややこしくした張本人であり、国王が本当にそうだとしたら宮廷はその場しのぎの嘘が蔓延しているのではないかと疑ってしまう。
そういう大変不健全な貴族の社交場だったから、悪役令嬢の両親が瑕疵がつくのを異様に恐れて、その場しのぎの積み上がっていくとてつもない嘘に固執する視野狭窄のキチガイになってしまったのではないか。
一方、後から知って黙認していたとするなら、公共の場で大勢の人が見ている前でバカ王子が妹を死んだことにさせてまで婚姻の体裁を守ろうとした悪役令嬢の努力を踏み躙ったことを咎めねば、示しがつかぬではないか。
その後、他ならぬバカ王子の婚約破棄は通り、無用の混乱を避けるという名目でその場しのぎで王族を謀っていたキチガイの両親もお家取り潰しの報いを受けることにはなったが、本来ならば断罪の場を制して率先して王国の秩序と範を示すべき国王がずっと口を開かずにいたのはなんでなんだ? 置物同然になったことで王の権威に傷がついたのではないだろうか? いや、統率力がなくて場 を収めることができないような 存在感のない王様だったのか? だから、秩序が乱れているのか?
そう、まず常識外れな展開が実際に起こったとして、どうなったらそうなるのかを考察するのが非常に楽しい、将来が非常に楽しみでならない問題国家であったな。
沙汰はどうなったことやら。全員のその後が描かれていないからこその空白の楽しみである。
>「嫉妬に狂い、私と親しくなったマリアンヌを排除しようとした。そういうことだろう」
まず、“婚約破棄もの”で見れば、相変わらずのバカ王子ぶりであり、婚約者である悪役令嬢と向き合おうとせずに破局するのはまあバカ王子も一人の人間だからしかたないとして、
問題は勝手に婚約破棄して修道院行きを言い渡して、方や公共の場で間女に仕立て上げてしまう罪深さよ。
驕り高ぶり 己の狭い了見の 正義に酔い痴れたお前だけが外聞を悪くするんじゃないんだぞ。隣に立たせた女も巻き込むことに考えが及ばないオツムの弱さよ。
こんな残念な男と結婚するはずだった亡き姉君が無念でしかたないな。まあ、その残念さを姉君は最初から見抜いていたわけなので、別に姉君が亡くなっていなくても似たようなことが起きても不思議ではないな、“婚約破棄もの”のバカ王子として存在を定義されている以上。
>――アルフォンス殿下は、怒ると右の眉だけが上がるの。ご本人は気づいていらっしゃらないみたい。
>広間の端に並んだ公爵夫妻は、異を唱えなかった。娘を見ようとさえしない。
しかし、“いがみあう姉妹もの”で見るなら、一番の卑怯者は当然ながら悪役令嬢の両親であり、極度の日和見主義のせいで、他に子供がいないはずなのに、唯一の子供を守ろうとしないのが全ての発端だった。
聞けば、今回の婚約者を寝取ったことになる間女は将来の王妃の座に固執した両親によってバカ王子の婚約者である娘が死んだ事実を隠蔽するために追放されてしまった人間の縁者であり、
巡り巡って、無用の混乱を避ける名目で 常識的に考えて期間限定で成り代われるはずもない ニセの婚約者の秘密を知る者を親子揃って迫害した結果、肝腎のバカ王子に嫌われて 婚約破棄を言い渡される 無用の混乱を招いているのだから、まさに因果応報。
最初から素直に婚約者である姉が亡くなったので政略結婚を継続させるために双子の妹と婚約を結び直すだけで済んだ話を、その場しのぎの嘘に姉を失ったばかりの傷心の一人娘を巻き込んでおいて、何が『守りたかった』だ、キチガイめ。
なぜ踏むべき手順を、通すべき筋を……、そんな簡単なこともわからないなら、それはもう無能を通り越してキチガイだ。
>「ですが、わたくしが罪を犯したからといって、あなた方の罪が消えるわけではありません」
>「私たちは、あなたを守ろうとしたのよ」
>「わたくしを?」
>「真実を明かせば、あなたまで裁かれた。公爵家を失えば、将来もなくなる」
>「将来」「姉の名前で王太子妃となり、姉の名で子を産み、姉の名で死ぬことが、わたくしの将来だったのでしょうか」
>「それでも王妃になれたのよ。誰もが望んでも得られない地位だったのに」
>「お母様は、最後までお分かりにならないのですね」
>「何を」
>「わたくしは、王妃になりたかったのではありません」
しかし、今作の最大の特徴は 登場する親世代の全員が何らかの咎を負っていたり筋を違えたていたりする 不甲斐ない親ばかりで、そのせいで子世代がバカ王子とニセの婚約者の婚姻をめぐる無用の混乱に巻き込まれたことであろう。
今回は実は味方ポジションだった間女でさえも、母親が追い出された原因が死んだはずの令嬢の名を呼んだことであり、その一言で娘に苦労をかけさせたのなら迂闊でしかないし、
悪役令嬢と呼ばれるきっかけになった姉君の過去を知る旧友にしても、親が正真正銘の悪事を働いていたばかりに通報せざるを得なかったわけなので、誰一人として完全なシロと呼べる親がいないのが凄い。
そして、その不甲斐ない親の筆頭格というのが、他ならぬバカ王子の親;つまりは国王であり、
未来の王妃に目が眩んで その場しのぎのことに死に物狂いになった 悪役令嬢のキチガイの両親の陰謀を承認していたのなら、いや、普通に家同士の結びつけるものなんだから双子の妹と婚約を結び直すだけで収まる話をややこしくした張本人であり、国王が本当にそうだとしたら宮廷はその場しのぎの嘘が蔓延しているのではないかと疑ってしまう。
そういう大変不健全な貴族の社交場だったから、悪役令嬢の両親が瑕疵がつくのを異様に恐れて、その場しのぎの積み上がっていくとてつもない嘘に固執する視野狭窄のキチガイになってしまったのではないか。
一方、後から知って黙認していたとするなら、公共の場で大勢の人が見ている前でバカ王子が妹を死んだことにさせてまで婚姻の体裁を守ろうとした悪役令嬢の努力を踏み躙ったことを咎めねば、示しがつかぬではないか。
その後、他ならぬバカ王子の婚約破棄は通り、無用の混乱を避けるという名目でその場しのぎで王族を謀っていたキチガイの両親もお家取り潰しの報いを受けることにはなったが、本来ならば断罪の場を制して率先して王国の秩序と範を示すべき国王がずっと口を開かずにいたのはなんでなんだ? 置物同然になったことで王の権威に傷がついたのではないだろうか? いや、統率力がなくて場 を収めることができないような 存在感のない王様だったのか? だから、秩序が乱れているのか?
いつも丁寧に読み込んでくださり、ありがとうございます。
今回は、定番の婚約破棄と姉妹ものを使いながら、「姉妹がいがみ合っていたのではなく、姉妹を入れ替えて都合よく使った大人たちの側に問題があった」という形を置きました。そのため、姉のベアトリスも、妹のセシリアも、マリアンヌも、セリーヌも、基本的には親世代が作った歪みへ巻き込まれた子供たちです。
おっしゃる通り、この話で最も罪が重いのは公爵夫妻と国王です。
ベアトリスとアルフォンスの婚約は、単なる公爵家と王家の政略結婚ではなく、十二諸侯によるアルフォンスの継承支持と、ベアトリス本人の名を結びつけた盟約でした。そのため、妹のセシリアへ婚約者を変更すれば、支持を一から取り直す必要があり、第二王子派が動く可能性があった。
とはいえ、それは入れ替わりを正当化する理由ではありません。
本来ならば、ベアトリスの死を公表し、セシリアとの婚約を改めて諸侯へ提示し、必要な手続きを踏むべきでした。時間もかかり、政治的な危険も伴いますが、王家とは本来、その危険を引き受けて秩序を守る側です。
ところが国王と公爵夫妻は、その責任を負う代わりに、十歳の少女一人へ押しつけました。
最初は「半年だけ」と言い、誓約が更新された後は「今さら公表すれば盟約そのものが詐欺になる」と言い出す。おっしゃる通り、その場しのぎの嘘を守るために、さらに大きな嘘が必要になり、最後には引き返せないのではなく、引き返したくない者たちになっています。
国王が断罪の場でほとんど口を開かなかったのも、最初から入れ替わりを承認していた当事者だからです。
王太子に「ご存じだったのですか」と問われて答えれば、自分が王子も諸侯も欺いていたと認めることになる。だから沈黙した。
ただ、その沈黙によって、国王は王として最もしてはならない姿を晒しました。
本来ならば、混乱した場を収め、事実を確認し、当事者を保護し、司法へ引き渡すべき立場です。それなのに、自分の罪を隠すために何もできず、法院と大神殿に場を奪われた。あの瞬間、国王は単に黙っていたのではなく、王として場を制する資格を失っています。
その後に退位や処分を細かく書かなかったのは、王家と公爵家だけを処罰して終わる話にしたくなかったためでもあります。
国王が替え玉を承認し、王太子が十分な調査もせず公開断罪を行い、公爵夫妻が娘を共犯として切り捨てようとした。この事実が公になった以上、爵位や王位だけを整理しても、失われた信用までは戻りません。
アルフォンスは替え玉を知らされていなかった被害者ではあります。
けれど、被害者であることと、加害を行っていないことは別です。
婚約者と向き合わず、マリアンヌの言葉も十分に聞かず、自分の見た範囲だけで嫉妬と断定し、大勢の前で婚約破棄と修道院送りを宣言した。しかも、その場へマリアンヌを立たせることで、彼女まで「王太子と通じて婚約者を追い落とした女」として見られる危険へ晒しています。
自分の正義に酔った結果、断罪対象だけではなく、守っているつもりの相手まで傷つけている。この点は、まさにご指摘の通りです。
ベアトリスが生きていても、いずれ似たような破綻が起きたのではないか、という読みも非常に面白かったです。
日記に残った「怒ると右の眉だけが上がる」という一文は、ベアトリスがアルフォンスをよく見ていた証拠である一方、アルフォンスが自分自身をあまり見ていない人間だという小さな予兆でもあります。
ベアトリスが彼の未熟さをどこまで理解していたのかは本文では断定していませんが、少なくともセシリアより先に、彼の分かりやすさや狭さには気づいていたのだと思います。
ルシールについては、セシリアの名を一度呼んだから追放されたというより、その呼びかけによって「入れ替わりを知り、今もセシリアをセシリアとして認識している人間」だと確認されたため、口止めのうえ王都から遠ざけられました。
確かに、不用意だったと言えば不用意です。
ただ、目の前にいる十歳の子供が、死んだ姉として扱われている。その子を本当の名前で呼んでしまったことを、ルシールの大きな罪にはしたくありませんでした。むしろ、大人たちが誰一人呼ばなくなった名前を、彼女だけが呼んだ。その人間らしい反応が、権力側には危険だったのだと思います。
セリーヌの父親については、不正が裁かれたこと自体は当然です。
セシリアが罪だと考えているのは、不正を見つけたことでも、監察院へ提出したことでもありません。姉との思い出を尋ねられて正体が露見することを恐れ、本来なら別の時機や方法も選べた告発を、セリーヌを黙らせる目的で使ったことです。
父親が罪を犯していた以上、家が無傷で済まないのは当然です。それでもセシリアは、自分の恐怖のために、その崩壊を意図的に早め、最大限に利用した。その部分まで「仕方なかった」で済ませれば、彼女は悪役令嬢と誤解されただけの善人になります。
今回は、事情があっても本当に人を傷つけた者として書きたかったため、本人にも自分の加害を認めさせました。
そして、今回の一番の中心は、誰がどれだけ処罰されたかではなく、入れ替えられた姉妹を元へ戻すことでした。
生きているセシリアは、ベアトリスの名で生かされた。
死んだベアトリスは、セシリアの名で葬られた。
大人たちは政略を守ったつもりでしたが、実際には一人の生を奪い、もう一人の死まで奪っています。
だから最後は、王家が滅びた、公爵夫妻が落ちぶれた、王太子が廃嫡された、というざまぁではなく、墓の下でベアトリスがベアトリスとして眠り、地上でセシリアがセシリアとして生きるところで閉じました。
その後、国王やアルフォンス、この国の権威がどうなったのかは、あえて余白にしています。
ここまでのことが公になった国家が、処分だけで元へ戻れるとは思いません。王位継承を支えた盟約自体が欺瞞の上にあったこと、国王が替え玉を承認していたこと、次代の王が事実確認もできず公開断罪を行ったこと。どれも、この先長く囁かれ続けるはずです。
その空白まで含めて楽しんでいただけたのが、とても嬉しかったです。
今回は、定番の婚約破棄と姉妹ものを使いながら、「姉妹がいがみ合っていたのではなく、姉妹を入れ替えて都合よく使った大人たちの側に問題があった」という形を置きました。そのため、姉のベアトリスも、妹のセシリアも、マリアンヌも、セリーヌも、基本的には親世代が作った歪みへ巻き込まれた子供たちです。
おっしゃる通り、この話で最も罪が重いのは公爵夫妻と国王です。
ベアトリスとアルフォンスの婚約は、単なる公爵家と王家の政略結婚ではなく、十二諸侯によるアルフォンスの継承支持と、ベアトリス本人の名を結びつけた盟約でした。そのため、妹のセシリアへ婚約者を変更すれば、支持を一から取り直す必要があり、第二王子派が動く可能性があった。
とはいえ、それは入れ替わりを正当化する理由ではありません。
本来ならば、ベアトリスの死を公表し、セシリアとの婚約を改めて諸侯へ提示し、必要な手続きを踏むべきでした。時間もかかり、政治的な危険も伴いますが、王家とは本来、その危険を引き受けて秩序を守る側です。
ところが国王と公爵夫妻は、その責任を負う代わりに、十歳の少女一人へ押しつけました。
最初は「半年だけ」と言い、誓約が更新された後は「今さら公表すれば盟約そのものが詐欺になる」と言い出す。おっしゃる通り、その場しのぎの嘘を守るために、さらに大きな嘘が必要になり、最後には引き返せないのではなく、引き返したくない者たちになっています。
国王が断罪の場でほとんど口を開かなかったのも、最初から入れ替わりを承認していた当事者だからです。
王太子に「ご存じだったのですか」と問われて答えれば、自分が王子も諸侯も欺いていたと認めることになる。だから沈黙した。
ただ、その沈黙によって、国王は王として最もしてはならない姿を晒しました。
本来ならば、混乱した場を収め、事実を確認し、当事者を保護し、司法へ引き渡すべき立場です。それなのに、自分の罪を隠すために何もできず、法院と大神殿に場を奪われた。あの瞬間、国王は単に黙っていたのではなく、王として場を制する資格を失っています。
その後に退位や処分を細かく書かなかったのは、王家と公爵家だけを処罰して終わる話にしたくなかったためでもあります。
国王が替え玉を承認し、王太子が十分な調査もせず公開断罪を行い、公爵夫妻が娘を共犯として切り捨てようとした。この事実が公になった以上、爵位や王位だけを整理しても、失われた信用までは戻りません。
アルフォンスは替え玉を知らされていなかった被害者ではあります。
けれど、被害者であることと、加害を行っていないことは別です。
婚約者と向き合わず、マリアンヌの言葉も十分に聞かず、自分の見た範囲だけで嫉妬と断定し、大勢の前で婚約破棄と修道院送りを宣言した。しかも、その場へマリアンヌを立たせることで、彼女まで「王太子と通じて婚約者を追い落とした女」として見られる危険へ晒しています。
自分の正義に酔った結果、断罪対象だけではなく、守っているつもりの相手まで傷つけている。この点は、まさにご指摘の通りです。
ベアトリスが生きていても、いずれ似たような破綻が起きたのではないか、という読みも非常に面白かったです。
日記に残った「怒ると右の眉だけが上がる」という一文は、ベアトリスがアルフォンスをよく見ていた証拠である一方、アルフォンスが自分自身をあまり見ていない人間だという小さな予兆でもあります。
ベアトリスが彼の未熟さをどこまで理解していたのかは本文では断定していませんが、少なくともセシリアより先に、彼の分かりやすさや狭さには気づいていたのだと思います。
ルシールについては、セシリアの名を一度呼んだから追放されたというより、その呼びかけによって「入れ替わりを知り、今もセシリアをセシリアとして認識している人間」だと確認されたため、口止めのうえ王都から遠ざけられました。
確かに、不用意だったと言えば不用意です。
ただ、目の前にいる十歳の子供が、死んだ姉として扱われている。その子を本当の名前で呼んでしまったことを、ルシールの大きな罪にはしたくありませんでした。むしろ、大人たちが誰一人呼ばなくなった名前を、彼女だけが呼んだ。その人間らしい反応が、権力側には危険だったのだと思います。
セリーヌの父親については、不正が裁かれたこと自体は当然です。
セシリアが罪だと考えているのは、不正を見つけたことでも、監察院へ提出したことでもありません。姉との思い出を尋ねられて正体が露見することを恐れ、本来なら別の時機や方法も選べた告発を、セリーヌを黙らせる目的で使ったことです。
父親が罪を犯していた以上、家が無傷で済まないのは当然です。それでもセシリアは、自分の恐怖のために、その崩壊を意図的に早め、最大限に利用した。その部分まで「仕方なかった」で済ませれば、彼女は悪役令嬢と誤解されただけの善人になります。
今回は、事情があっても本当に人を傷つけた者として書きたかったため、本人にも自分の加害を認めさせました。
そして、今回の一番の中心は、誰がどれだけ処罰されたかではなく、入れ替えられた姉妹を元へ戻すことでした。
生きているセシリアは、ベアトリスの名で生かされた。
死んだベアトリスは、セシリアの名で葬られた。
大人たちは政略を守ったつもりでしたが、実際には一人の生を奪い、もう一人の死まで奪っています。
だから最後は、王家が滅びた、公爵夫妻が落ちぶれた、王太子が廃嫡された、というざまぁではなく、墓の下でベアトリスがベアトリスとして眠り、地上でセシリアがセシリアとして生きるところで閉じました。
その後、国王やアルフォンス、この国の権威がどうなったのかは、あえて余白にしています。
ここまでのことが公になった国家が、処分だけで元へ戻れるとは思いません。王位継承を支えた盟約自体が欺瞞の上にあったこと、国王が替え玉を承認していたこと、次代の王が事実確認もできず公開断罪を行ったこと。どれも、この先長く囁かれ続けるはずです。
その空白まで含めて楽しんでいただけたのが、とても嬉しかったです。
- 月白ふゆ
- 2026年 07月18日 15時20分
この国は王子が王になったら滅びますね
事実も調べず目に見えた状況だけで人を裁くとか愚かです。
そして訂正もしないマリアンヌも卑怯ですしね
それとセリーヌを傷つけたとかどうとか言ってるけど親が不正したのだから仕方ないのでは?
親が不正してて娘が社交界に残っている方が可笑しい。
むしろ社交界に付き添いとはいえ戻ってきてるほうが可笑しいのでは?
事実も調べず目に見えた状況だけで人を裁くとか愚かです。
そして訂正もしないマリアンヌも卑怯ですしね
それとセリーヌを傷つけたとかどうとか言ってるけど親が不正したのだから仕方ないのでは?
親が不正してて娘が社交界に残っている方が可笑しい。
むしろ社交界に付き添いとはいえ戻ってきてるほうが可笑しいのでは?
ご感想ありがとうございます。
王太子については、本人も替え玉の被害者ではありますが、十分に事情を調べないまま、目の前の状況だけで公の断罪と修道院送りを決めた点は、大きな問題として書いています。マリアンヌも、自分と証拠を守るためとはいえ、王太子の誤解を訂正せず利用した側面がありますので、卑怯と感じられるのも分かります。
セリーヌについては、父親の不正が裁かれたこと自体を、セシリアが自分の罪だと考えているわけではありません。姉との昔話をされ、正体が露見することを恐れたため、本来なら別の時機や方法も選べた告発を、セリーヌを黙らせるために利用した点を、自身の加害として認めています。
また、セリーヌは令嬢として社交界へ復帰した設定ではありません。父の爵位剥奪後は、引き取られた母方の伯爵夫人の身の回りを手伝っており、この夜会にも招待客としてではなく、伯爵夫人付きの侍女に近い立場で会場に控えていました。
ただ、本文では「付き添い」とだけ書いたため、社交界へ戻ってきたようにも読める表現になっていたと思います。分かりにくい部分へのご指摘、ありがとうございました。
王太子については、本人も替え玉の被害者ではありますが、十分に事情を調べないまま、目の前の状況だけで公の断罪と修道院送りを決めた点は、大きな問題として書いています。マリアンヌも、自分と証拠を守るためとはいえ、王太子の誤解を訂正せず利用した側面がありますので、卑怯と感じられるのも分かります。
セリーヌについては、父親の不正が裁かれたこと自体を、セシリアが自分の罪だと考えているわけではありません。姉との昔話をされ、正体が露見することを恐れたため、本来なら別の時機や方法も選べた告発を、セリーヌを黙らせるために利用した点を、自身の加害として認めています。
また、セリーヌは令嬢として社交界へ復帰した設定ではありません。父の爵位剥奪後は、引き取られた母方の伯爵夫人の身の回りを手伝っており、この夜会にも招待客としてではなく、伯爵夫人付きの侍女に近い立場で会場に控えていました。
ただ、本文では「付き添い」とだけ書いたため、社交界へ戻ってきたようにも読める表現になっていたと思います。分かりにくい部分へのご指摘、ありがとうございました。
- 月白ふゆ
- 2026年 07月18日 10時09分
セシリアとマリアンヌとの関係は複雑なのに嫉妬と決めつけて修道院送りにする王子も、10歳の娘に身代わりを強要しといてばれそうになると共犯と叫んで道連れにしようとするパパも男達がろくでもないなぁ。
パパは落ちぶれたけど、王子もまぁ詐欺の被害者だけどこの先ヒソヒソされそう。
パパは落ちぶれたけど、王子もまぁ詐欺の被害者だけどこの先ヒソヒソされそう。
ご感想ありがとうございます。
本当に、男たちがろくでもない話になりました。
王太子自身も替え玉を知らされていなかった被害者ではありますが、事情を確かめないまま嫉妬と決めつけ、公の場で婚約破棄と修道院送りまで宣言した責任は残ります。今後も「あの王太子は、婚約者が別人だったことにも気づかず断罪した」と囁かれ続けるでしょうね。
父親はさらにひどく、十歳の娘へ国や家族を背負わせておきながら、真実が明るみに出た途端に共犯扱いして切り捨てようとしました。最後まで娘ではなく、公爵家を守るための道具としてしか見ていなかったのだと思います。
本当に、男たちがろくでもない話になりました。
王太子自身も替え玉を知らされていなかった被害者ではありますが、事情を確かめないまま嫉妬と決めつけ、公の場で婚約破棄と修道院送りまで宣言した責任は残ります。今後も「あの王太子は、婚約者が別人だったことにも気づかず断罪した」と囁かれ続けるでしょうね。
父親はさらにひどく、十歳の娘へ国や家族を背負わせておきながら、真実が明るみに出た途端に共犯扱いして切り捨てようとしました。最後まで娘ではなく、公爵家を守るための道具としてしか見ていなかったのだと思います。
- 月白ふゆ
- 2026年 07月18日 10時10分
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