感想一覧
▽感想を書く[良い点]
分析的でありながら率直な心情を示す文章が効いています。
>誰もが「きっと新しい恋に出遭ったら忘れることができるよ」とか、「時間がきっと解決してくれる」などという無責任な慰めを言うだけだった。彼がいたことを忘れろと言うだけだった。そしてそれは彼が本当に死んでしまったことを再確認させるだけでもあった。
>私がもし祈りを捧げるならば、それは利己的なもので「あなたが生き返りますように」とただそれだけだ。
ここに物語全体に流れる思いが凝縮されていますね。
宮沢賢治・トシ兄妹や「永訣の朝」「銀河鉄道の夜」等の作品を引用した点も、作品の儚い雰囲気に貢献しています。
「銀河鉄道の夜」の初稿に存在していたのに人目に触れる完成稿では姿を消してしまった「ブルカニロ博士」に対する「私」の思いも、彼の死後に生きる指針を失ってしまう展開に繋がっていて巧いです。
[気になる点]
まず、物語全体の構成というかエピソードの時系列に問題があったように思います。
起(彼を待つ現在)→承(五年前の彼の死)→転(彼との出会い)→結(現在に戻る)という順になっていますが、「承」と「転」を逆にした方が流れとしても自然だと思います。
>二年前に退職したときはささやかながらも送別会を開いてくれた。
職場を辞めてからの二年間、彼女がどうやって生計を立てていたのか、それに対して周囲が彼女にどのような反応を示していたのかが気に懸かりました。
死亡の場面で彼の家族が出てくるものの、その後は全く展開に絡んで来ない点にも違和感を覚えましたし、語り手の彼女の家族に至っては存在すら想起されていませんが、不慮の形で恋人を失った娘に対してどのように応じたのでしょうか。
文中で宮沢賢治・トシ兄妹を取り上げているのならば、どのような形であれ、主人公たち自身の家族についてももっと意識される方が自然だと思います。
結末を考えると、「つい最近職場も辞め、身辺整理を終えて、死に向かう」方が自然に思えます。
最後に、これは個人の好みであり、また月並みな意見ではありますが、彼女が最後に死を選ぼうとする行為が不慮に亡くなった彼にとって本当に望ましいものなのか、その辺りを彼女が考慮することがないまま死に向かっていくラストに不満を覚えました。
彼が死んだ時点の彼女が大学四年生で二十二歳とすると、五年後は二十七歳というわけで、学生ならともかくこの年齢の女性の身の始末としては幼稚な印象も受けます。
[一言]
初めまして。
タイトルに惹かれてこちらの作品を興味深く拝読しました。
「銀河鉄道の夜」の初稿からの変遷については私も学生時代にそうした講義を受けた経験があり、その意味でも興味深かったです。
おこがましい言い方をするようですが、この作品を拝読して、そこらへんの人さんと私で文章の書き方や感覚が似ている印象を受けました。
他の作品もこれから拝読します。
分析的でありながら率直な心情を示す文章が効いています。
>誰もが「きっと新しい恋に出遭ったら忘れることができるよ」とか、「時間がきっと解決してくれる」などという無責任な慰めを言うだけだった。彼がいたことを忘れろと言うだけだった。そしてそれは彼が本当に死んでしまったことを再確認させるだけでもあった。
>私がもし祈りを捧げるならば、それは利己的なもので「あなたが生き返りますように」とただそれだけだ。
ここに物語全体に流れる思いが凝縮されていますね。
宮沢賢治・トシ兄妹や「永訣の朝」「銀河鉄道の夜」等の作品を引用した点も、作品の儚い雰囲気に貢献しています。
「銀河鉄道の夜」の初稿に存在していたのに人目に触れる完成稿では姿を消してしまった「ブルカニロ博士」に対する「私」の思いも、彼の死後に生きる指針を失ってしまう展開に繋がっていて巧いです。
[気になる点]
まず、物語全体の構成というかエピソードの時系列に問題があったように思います。
起(彼を待つ現在)→承(五年前の彼の死)→転(彼との出会い)→結(現在に戻る)という順になっていますが、「承」と「転」を逆にした方が流れとしても自然だと思います。
>二年前に退職したときはささやかながらも送別会を開いてくれた。
職場を辞めてからの二年間、彼女がどうやって生計を立てていたのか、それに対して周囲が彼女にどのような反応を示していたのかが気に懸かりました。
死亡の場面で彼の家族が出てくるものの、その後は全く展開に絡んで来ない点にも違和感を覚えましたし、語り手の彼女の家族に至っては存在すら想起されていませんが、不慮の形で恋人を失った娘に対してどのように応じたのでしょうか。
文中で宮沢賢治・トシ兄妹を取り上げているのならば、どのような形であれ、主人公たち自身の家族についてももっと意識される方が自然だと思います。
結末を考えると、「つい最近職場も辞め、身辺整理を終えて、死に向かう」方が自然に思えます。
最後に、これは個人の好みであり、また月並みな意見ではありますが、彼女が最後に死を選ぼうとする行為が不慮に亡くなった彼にとって本当に望ましいものなのか、その辺りを彼女が考慮することがないまま死に向かっていくラストに不満を覚えました。
彼が死んだ時点の彼女が大学四年生で二十二歳とすると、五年後は二十七歳というわけで、学生ならともかくこの年齢の女性の身の始末としては幼稚な印象も受けます。
[一言]
初めまして。
タイトルに惹かれてこちらの作品を興味深く拝読しました。
「銀河鉄道の夜」の初稿からの変遷については私も学生時代にそうした講義を受けた経験があり、その意味でも興味深かったです。
おこがましい言い方をするようですが、この作品を拝読して、そこらへんの人さんと私で文章の書き方や感覚が似ている印象を受けました。
他の作品もこれから拝読します。
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