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[一言]
とりあえず事件編は全部読ませていただいたので、推理ともいえない推理ですが、書かせていただきます。
犯人は時田琴音。
根拠としては、他の人物達は死体が本人のものであると判明しているが、彼女と小里利勝だけが死体が本人のものであると明確には判明していない点。
そして小里利勝には藤沼明秀を殺すことが不可能である点。
以上の二点から消去法的に時田琴音が犯人であると考える。
以上のように考えてみました。
動機もトリックも全然分かっていないんで、解答編をこれから楽しみに読ませていただきます。
とりあえず事件編は全部読ませていただいたので、推理ともいえない推理ですが、書かせていただきます。
犯人は時田琴音。
根拠としては、他の人物達は死体が本人のものであると判明しているが、彼女と小里利勝だけが死体が本人のものであると明確には判明していない点。
そして小里利勝には藤沼明秀を殺すことが不可能である点。
以上の二点から消去法的に時田琴音が犯人であると考える。
以上のように考えてみました。
動機もトリックも全然分かっていないんで、解答編をこれから楽しみに読ませていただきます。
- 投稿者: マガタ
- 2018年 01月11日 08時13分
[一言]
返信ありがとうございます。
以下、読後にちょっと思いついたことを書かせていただきます。
①『孔明』は携帯電話を隠し持って行動していたのではないでしょうか?
須賀井がバスジャックをしたとき、『孔明』は本物の土方が身につけていた携帯と自分の携帯の二台を所持していたはずですよね。須賀井に、例えば制服のポケットに入っていた土方の携帯を差し出せば自分の分が残ります。
「もし自分が犯人だったら、この異常な大雨がいつ止んで遭難者たちが村から脱出するかが分からなくて、焦って冷静に獲物の隙を窺うのは難しいんじゃないか?」
と思っていたのですが、『孔明』が携帯電話を持っていれば天気予報のサイトにアクセスして予測が立てられます。
もし正体が突き止められて警察に通信履歴を調べられても、台風の間に天気予報を何度もチェックしたくらいでは証拠にはなりません。
②これも後付けのこじつけですが、『孔明』たちはバスジャックの長期化や逃亡・籠城のような事態を考えてある程度の物資をバスに持ち込んでいたのかも?
ちょっと調べてみたところ、路線バスの燃費は一ℓ当たり三~四km、燃料タンクの容量は一五〇ℓくらいだそうなので、燃料満タンでざっくり四五〇km~六〇〇km走れることになります。長いと言えば長いですが、無給油では十時間前後しか走り続けられないとも言えます。
スペインやフランスの車を群衆に突っ込ませるテロでも実行犯は一時現場から姿をくらませましたし、『孔明』たちはバスジャックの結末として車両の中で最期を迎えるつもりはなく、どこかの施設にバスで突入し、混乱を起こして(逃げ切れるかはともかく)逃走や籠城することを視野に入れていたのではないでしょうか。
その場合、登山の知識を応用して高カロリー食などを用意したはずです。
単身で皆殺しを実行した『孔明』の超人ぶりは他の方の感想でも突っ込まれていましたが、缶詰コンビーフやチョコレートを口にしながら災害用保温シートなどにくるまって計画的に休息を取れば、まともに食べるものもない遭難者たちとの消耗の差は明らかで、時間が経つほど『孔明』が有利になります。
事件の展開とも特に矛盾しないと思うのですが、奥田さんはどうお考えになりますか?
返信ありがとうございます。
以下、読後にちょっと思いついたことを書かせていただきます。
①『孔明』は携帯電話を隠し持って行動していたのではないでしょうか?
須賀井がバスジャックをしたとき、『孔明』は本物の土方が身につけていた携帯と自分の携帯の二台を所持していたはずですよね。須賀井に、例えば制服のポケットに入っていた土方の携帯を差し出せば自分の分が残ります。
「もし自分が犯人だったら、この異常な大雨がいつ止んで遭難者たちが村から脱出するかが分からなくて、焦って冷静に獲物の隙を窺うのは難しいんじゃないか?」
と思っていたのですが、『孔明』が携帯電話を持っていれば天気予報のサイトにアクセスして予測が立てられます。
もし正体が突き止められて警察に通信履歴を調べられても、台風の間に天気予報を何度もチェックしたくらいでは証拠にはなりません。
②これも後付けのこじつけですが、『孔明』たちはバスジャックの長期化や逃亡・籠城のような事態を考えてある程度の物資をバスに持ち込んでいたのかも?
ちょっと調べてみたところ、路線バスの燃費は一ℓ当たり三~四km、燃料タンクの容量は一五〇ℓくらいだそうなので、燃料満タンでざっくり四五〇km~六〇〇km走れることになります。長いと言えば長いですが、無給油では十時間前後しか走り続けられないとも言えます。
スペインやフランスの車を群衆に突っ込ませるテロでも実行犯は一時現場から姿をくらませましたし、『孔明』たちはバスジャックの結末として車両の中で最期を迎えるつもりはなく、どこかの施設にバスで突入し、混乱を起こして(逃げ切れるかはともかく)逃走や籠城することを視野に入れていたのではないでしょうか。
その場合、登山の知識を応用して高カロリー食などを用意したはずです。
単身で皆殺しを実行した『孔明』の超人ぶりは他の方の感想でも突っ込まれていましたが、缶詰コンビーフやチョコレートを口にしながら災害用保温シートなどにくるまって計画的に休息を取れば、まともに食べるものもない遭難者たちとの消耗の差は明らかで、時間が経つほど『孔明』が有利になります。
事件の展開とも特に矛盾しないと思うのですが、奥田さんはどうお考えになりますか?
奥田です。返信遅れて申し訳ございません。そして、ご意見ありがとうございます。
細かいところまで見て頂いて本当にありがとうございました。バスのスペックの事まで調べて頂けるとは……。
正直、天気の予想や土方の携帯に関しては完全に私の頭から抜けておりました。ただ、実際に携帯電話を持っていたとしてそれを使えるかどうかはちょっと疑問です。というのも、確かに通信履歴では証拠にならないかもしれませんが、携帯電話は電源を入れて持っているだけでも位置情報を記録してしまうため、調べさえすればどの基地局のエリア(要するに白神村のエリア)に当時いたのかを示す証拠になってしまいかねないからです。白神村にいたこと自体を隠したがっている犯人としては、使いたくても使えない状況だったのではないかと推測します。まぁ、私の携帯電話の知識があっているかはわかりませんが……。とはいえ、天気の急変の予測は確かに重要なファクターになりますので、これについて明記していなかったのは私のミスとなるでしょう。
二番目に関してですが、孔明たちがバスジャックに成功したとして最終的にどうしたかったのかに関しては作中における謎という事にしています。確かに現実的に考えるとそれが一番なのは間違いないでしょう(差し入れの必要がなくなる)。ただ……この場合それだけの物資をバスのどこにどうやって持ち込むのかという問題が浮上しますし(すでにゴルフバッグを持ち込んでいる柴井が持ち込むには限界があるし、当然運転手に化けている孔明は持ち込み不可。路線バスに意味もなく謎の荷物が置いてあったら普通の乗客は怪しむ)、ゴルフバッグに入っている遺体と違って事故の時に中身が飛び出して見つからないかという恐れも出てきます。とはいえ、これは工夫次第でどうにかなりそうな話でもありますので、今後の参考にしていきたいと思っています。一つ考えると別の問題が浮上し、それに対する解決策を考えて……このプロセスがミステリーを書く際の醍醐味だと思っていますので。
今回はご意見をして頂きありがとうございました。今後の執筆にも生かしていきたいと思っていますので、今後ともどしどし意見を頂ければ幸いです。それでは失礼します。
細かいところまで見て頂いて本当にありがとうございました。バスのスペックの事まで調べて頂けるとは……。
正直、天気の予想や土方の携帯に関しては完全に私の頭から抜けておりました。ただ、実際に携帯電話を持っていたとしてそれを使えるかどうかはちょっと疑問です。というのも、確かに通信履歴では証拠にならないかもしれませんが、携帯電話は電源を入れて持っているだけでも位置情報を記録してしまうため、調べさえすればどの基地局のエリア(要するに白神村のエリア)に当時いたのかを示す証拠になってしまいかねないからです。白神村にいたこと自体を隠したがっている犯人としては、使いたくても使えない状況だったのではないかと推測します。まぁ、私の携帯電話の知識があっているかはわかりませんが……。とはいえ、天気の急変の予測は確かに重要なファクターになりますので、これについて明記していなかったのは私のミスとなるでしょう。
二番目に関してですが、孔明たちがバスジャックに成功したとして最終的にどうしたかったのかに関しては作中における謎という事にしています。確かに現実的に考えるとそれが一番なのは間違いないでしょう(差し入れの必要がなくなる)。ただ……この場合それだけの物資をバスのどこにどうやって持ち込むのかという問題が浮上しますし(すでにゴルフバッグを持ち込んでいる柴井が持ち込むには限界があるし、当然運転手に化けている孔明は持ち込み不可。路線バスに意味もなく謎の荷物が置いてあったら普通の乗客は怪しむ)、ゴルフバッグに入っている遺体と違って事故の時に中身が飛び出して見つからないかという恐れも出てきます。とはいえ、これは工夫次第でどうにかなりそうな話でもありますので、今後の参考にしていきたいと思っています。一つ考えると別の問題が浮上し、それに対する解決策を考えて……このプロセスがミステリーを書く際の醍醐味だと思っていますので。
今回はご意見をして頂きありがとうございました。今後の執筆にも生かしていきたいと思っていますので、今後ともどしどし意見を頂ければ幸いです。それでは失礼します。
- 奥田光治
- 2017年 09月22日 15時37分
[良い点]
王道本格ミステリで、楽しめました!
本文の記述には、あとから読み返すと不親切な部分もあったかもしれませんが、「読者への挑戦」で相当な縛りをかけていたのでアンフェアな印象はありませんでした。むしろ単独犯宣言は選択肢を狭め過ぎでは? とさえ思いました。
[気になる点]
バス転落の生存確率が犯人にまったく予測できない点が、物語の最大のネックでしょうか。
トリックの緻密さという面で譲れなかったのでしょうが、もう数人転落時に死なせておいた方がリアルだったかも…。
前半のホラーテイストは、そういう意味ではホラーの舞台設定なんだから不条理でもまあいいか、と思わせる効果はあったかもしれません。
[一言]
僕は死体の解体が手間だという理由から複数犯仮説で読んでいて(須賀井は元々義足で、一見すると足の骨折で行動不能に見えて前半の実行犯、というトリックを予想していました。手足であっても一見しただけで折れてるとわかるレベルの骨折は治療なしだと運が悪ければ命にかかわるはずだし、何より都合がよすぎるアリバイだったので。当然この場合看護師は共犯です)、「読者への挑戦」以降、仮説をきちんと修正できないまま読み進めてしまったせいでがっつり騙されてしまった形です(一応、首がなかった自称運転手は共犯の候補に入れてましたけど)。
その分、解決編を楽しめたといえるかもしれませんね(笑)。
面白い話を読ませていただき有難うございました。
王道本格ミステリで、楽しめました!
本文の記述には、あとから読み返すと不親切な部分もあったかもしれませんが、「読者への挑戦」で相当な縛りをかけていたのでアンフェアな印象はありませんでした。むしろ単独犯宣言は選択肢を狭め過ぎでは? とさえ思いました。
[気になる点]
バス転落の生存確率が犯人にまったく予測できない点が、物語の最大のネックでしょうか。
トリックの緻密さという面で譲れなかったのでしょうが、もう数人転落時に死なせておいた方がリアルだったかも…。
前半のホラーテイストは、そういう意味ではホラーの舞台設定なんだから不条理でもまあいいか、と思わせる効果はあったかもしれません。
[一言]
僕は死体の解体が手間だという理由から複数犯仮説で読んでいて(須賀井は元々義足で、一見すると足の骨折で行動不能に見えて前半の実行犯、というトリックを予想していました。手足であっても一見しただけで折れてるとわかるレベルの骨折は治療なしだと運が悪ければ命にかかわるはずだし、何より都合がよすぎるアリバイだったので。当然この場合看護師は共犯です)、「読者への挑戦」以降、仮説をきちんと修正できないまま読み進めてしまったせいでがっつり騙されてしまった形です(一応、首がなかった自称運転手は共犯の候補に入れてましたけど)。
その分、解決編を楽しめたといえるかもしれませんね(笑)。
面白い話を読ませていただき有難うございました。
奥田です。この度はご一読ありがとうございます。
共犯主体の色々な推理をして頂いたようで、「そういうやり方もあったのか!」と作者自身勉強にさせて頂きました。実は私の執筆方針の中に「できるだけ共犯は使わないようにする」という変な癖があって、実際、私の作品で共犯による犯行だった事は一作くらいしかなかったはずです。理由は、最後の探偵との対決をするにあたって一対一の方が燃えるからというものなのですが、それだけに色々な共犯の考え方については本当に勉強になりました。特に須賀井に関する推理に関しては筆者としても想定外で、今後に活かせないものかと思ったりしています。
バス転落の際の生存確率については作者としても悩ましいところでした。一応推理パートで犯人に一か八かの賭けだったと語らせてはいますが、はやり難しいところですね。
そんな感じです。それでは今後ともよろしくお願いします。
共犯主体の色々な推理をして頂いたようで、「そういうやり方もあったのか!」と作者自身勉強にさせて頂きました。実は私の執筆方針の中に「できるだけ共犯は使わないようにする」という変な癖があって、実際、私の作品で共犯による犯行だった事は一作くらいしかなかったはずです。理由は、最後の探偵との対決をするにあたって一対一の方が燃えるからというものなのですが、それだけに色々な共犯の考え方については本当に勉強になりました。特に須賀井に関する推理に関しては筆者としても想定外で、今後に活かせないものかと思ったりしています。
バス転落の際の生存確率については作者としても悩ましいところでした。一応推理パートで犯人に一か八かの賭けだったと語らせてはいますが、はやり難しいところですね。
そんな感じです。それでは今後ともよろしくお願いします。
- 奥田光治
- 2017年 09月12日 00時26分
[良い点]
登場人物達が「死体の摩り替え」だけあまり触れないので、それがトリックだと逆に気付き易かったです。
[気になる点]
>「誰かいるのか?」
>「まさか。全員この場にいるんですよ」
つい先程まで消えた時田琴音の話題をしていたのに、ここで全員いると言うのは不自然です。時田琴音が死んでいる事を知っている犯人の失言だと誤解しました。
[一言]
全員揃っている状態で2階から物音が聞こえると第三者の証明になってしまいますから、犯人はそれを何よりも気を付けるべきだったと思います。
また、女子中学一年生に殺人及び死体を分解する重労働は難しいので、わざわざ死体偽装せずとも内部共犯者の疑惑は晴れなかったと思われます。
逆に時田琴音の生死を不明にしておけば、偽土方の気配を誤魔化す役に立ちますし、見破られる前提で偽装する事で、土方の死体から目を逸らすためという理由のが、良かった気がします。
服のサイズが不自然に違うので偽者→土方の服はぴったりなので本物、という狙いです。
あと死体の解体についてですが、土方(本物)をバラバラにして仕舞う計画にすれば、人体解体が計画の範疇の行動となり、犯人は予備知識も解体道具も解体経験も得られ、その後の解体作業に無理が無くなる流れになったと思います。
切り落とさないと、ゴルフバッグに詰めるのは難しそうですし。
登場人物達が「死体の摩り替え」だけあまり触れないので、それがトリックだと逆に気付き易かったです。
[気になる点]
>「誰かいるのか?」
>「まさか。全員この場にいるんですよ」
つい先程まで消えた時田琴音の話題をしていたのに、ここで全員いると言うのは不自然です。時田琴音が死んでいる事を知っている犯人の失言だと誤解しました。
[一言]
全員揃っている状態で2階から物音が聞こえると第三者の証明になってしまいますから、犯人はそれを何よりも気を付けるべきだったと思います。
また、女子中学一年生に殺人及び死体を分解する重労働は難しいので、わざわざ死体偽装せずとも内部共犯者の疑惑は晴れなかったと思われます。
逆に時田琴音の生死を不明にしておけば、偽土方の気配を誤魔化す役に立ちますし、見破られる前提で偽装する事で、土方の死体から目を逸らすためという理由のが、良かった気がします。
服のサイズが不自然に違うので偽者→土方の服はぴったりなので本物、という狙いです。
あと死体の解体についてですが、土方(本物)をバラバラにして仕舞う計画にすれば、人体解体が計画の範疇の行動となり、犯人は予備知識も解体道具も解体経験も得られ、その後の解体作業に無理が無くなる流れになったと思います。
切り落とさないと、ゴルフバッグに詰めるのは難しそうですし。
奥田です。返信遅れて申し訳ございません。
色々と貴重なご意見ありがとうございます。特に時田琴音の扱いに関しては実際執筆時にもかなり苦しんでいたところですので、かなり痛いところを突かれた想いです。あと、土方の件については「確かにその方がスムーズかな」とかなり納得できる意見でした。もっとも、後者はともかく前者は修正するとなるととんでもない重労働になりそうですが……。
そんな感じです。今後ともよろしくお願いします。ではでは。
色々と貴重なご意見ありがとうございます。特に時田琴音の扱いに関しては実際執筆時にもかなり苦しんでいたところですので、かなり痛いところを突かれた想いです。あと、土方の件については「確かにその方がスムーズかな」とかなり納得できる意見でした。もっとも、後者はともかく前者は修正するとなるととんでもない重労働になりそうですが……。
そんな感じです。今後ともよろしくお願いします。ではでは。
- 奥田光治
- 2017年 05月02日 01時14分
[良い点]
まさか二重のバスジャックだったとは考えも付かず、意外すぎました!
『外部犯』で有りながら『内部犯』という鬼神島と同じ原理が使われていたのですね。犯人が既に『死んでいる』ことでどこかに潜んでいたのも、本物の人物と入れ替わって既に本物は殺害されていたことも、死体の持ち込みも、首を斬って死体の人物を偽造したことも、『この中に犯人がいる』と思わせることも…
ですが、人物設定や場所の雰囲気、恐怖心、トリックの謎、その種類と味わいは全く違うものになっていました。この応用は流石です。結局私は鬼神島から何も学習してなくて、2度騙されたわけです。
時に、矢守の朝食、トーストに目玉焼きを挟むって美味しそうですね、クロックムッシュみたいで。重苦しい殺人事件が始まるであろう作中で、ささやかな日常の幸せを見つけたみたいでした。
[気になる点]
部屋に動く→下手に動く
宮下→宮島
他の作品でも感じたことですが『食事を食べる』は食の字が重複して、違和感があります。『食事を摂る』または『ご飯を食べる』で十分伝わります。
犯人は皆殺しの後ニヤリ、と笑ったのですよね。それにしては後の記述に、達成感がなく虚しいと言うのは、犯人の行動と心境に、僅かに矛盾を感じます。
[一言]
「犯人は全裸で三人を殺害…」の台詞に、声を出して笑ってしまいました。原始の人間味を、人肌を感じると言うか想像しただけで前代未聞のリアリティに吹き出しました。
イキノコリは何となく無害の様に感じていました、きっと犯人とは別人だろうと。私に分かったのはそれくらいです。
矢守は、今作の主人公的な位置付けだと思われたので、彼だけは助かると信じていました。
冒頭で、塾講師としてのやり甲斐や未来、自身の人生を見つめ直していたことから、最終的に無事に生還後、どんな道を選ぶのかと、秘かに気になっていたのです。
なのに結局殺されちゃうし、彼の悩みが伏線として後から効いてくると思ってただけに、何だったのだろう……と。
矢守が杏里を見捨てて生き延びようとした場面、鬼神島の野呂にも重なりますが、彼らを非難する人もいるだろうけど、自分が当事者になったらどうなのかと。
自分の身を自分で守る権利(時には義務も、妊娠中など)は誰にでもあると思います。
例え仲間を見殺しにして逃げたとしてもやむを得ず、誰にも責めることはできないと思うのです。
罪悪感が本人に在るだけで十分です、人間の本質はそういうものじゃないでしょうか。
人間の真価というか、綺麗事では補えない哲学の問題を考えさせられました。
ようやく野川先輩の恋患いから立ち直れそうで、人の心にこれほどまで傷を負わせられる(良い意味でですよ!!)奥田さまの作家としての力量は、ただ者じゃないと思っています。
蛇足ですが…当時流行った変身少女アニメ、私は『姫ちゃんのリボン』か『赤ずきんチャチャ』だと思っていましたー…あの頃私も小学生で大・大好きだったので、ヨミがハズレてがっかりです…っ(笑)
まさか二重のバスジャックだったとは考えも付かず、意外すぎました!
『外部犯』で有りながら『内部犯』という鬼神島と同じ原理が使われていたのですね。犯人が既に『死んでいる』ことでどこかに潜んでいたのも、本物の人物と入れ替わって既に本物は殺害されていたことも、死体の持ち込みも、首を斬って死体の人物を偽造したことも、『この中に犯人がいる』と思わせることも…
ですが、人物設定や場所の雰囲気、恐怖心、トリックの謎、その種類と味わいは全く違うものになっていました。この応用は流石です。結局私は鬼神島から何も学習してなくて、2度騙されたわけです。
時に、矢守の朝食、トーストに目玉焼きを挟むって美味しそうですね、クロックムッシュみたいで。重苦しい殺人事件が始まるであろう作中で、ささやかな日常の幸せを見つけたみたいでした。
[気になる点]
部屋に動く→下手に動く
宮下→宮島
他の作品でも感じたことですが『食事を食べる』は食の字が重複して、違和感があります。『食事を摂る』または『ご飯を食べる』で十分伝わります。
犯人は皆殺しの後ニヤリ、と笑ったのですよね。それにしては後の記述に、達成感がなく虚しいと言うのは、犯人の行動と心境に、僅かに矛盾を感じます。
[一言]
「犯人は全裸で三人を殺害…」の台詞に、声を出して笑ってしまいました。原始の人間味を、人肌を感じると言うか想像しただけで前代未聞のリアリティに吹き出しました。
イキノコリは何となく無害の様に感じていました、きっと犯人とは別人だろうと。私に分かったのはそれくらいです。
矢守は、今作の主人公的な位置付けだと思われたので、彼だけは助かると信じていました。
冒頭で、塾講師としてのやり甲斐や未来、自身の人生を見つめ直していたことから、最終的に無事に生還後、どんな道を選ぶのかと、秘かに気になっていたのです。
なのに結局殺されちゃうし、彼の悩みが伏線として後から効いてくると思ってただけに、何だったのだろう……と。
矢守が杏里を見捨てて生き延びようとした場面、鬼神島の野呂にも重なりますが、彼らを非難する人もいるだろうけど、自分が当事者になったらどうなのかと。
自分の身を自分で守る権利(時には義務も、妊娠中など)は誰にでもあると思います。
例え仲間を見殺しにして逃げたとしてもやむを得ず、誰にも責めることはできないと思うのです。
罪悪感が本人に在るだけで十分です、人間の本質はそういうものじゃないでしょうか。
人間の真価というか、綺麗事では補えない哲学の問題を考えさせられました。
ようやく野川先輩の恋患いから立ち直れそうで、人の心にこれほどまで傷を負わせられる(良い意味でですよ!!)奥田さまの作家としての力量は、ただ者じゃないと思っています。
蛇足ですが…当時流行った変身少女アニメ、私は『姫ちゃんのリボン』か『赤ずきんチャチャ』だと思っていましたー…あの頃私も小学生で大・大好きだったので、ヨミがハズレてがっかりです…っ(笑)
- 投稿者: 乾レナ
- 2017年 03月31日 12時54分
奥田です。この度もご一読ありがとうございます。
この作品は、おそらく私の作品の中でも一番ネタや複線をこれでもかと詰め込んでいる作品となっているはずです。執筆が「ディテクティブ・ロジック」のすぐ後なので、初期作品である「鬼神島」の反省を踏まえて書いている事は確かに否定できません。ただ、前の方の感想にも書いたかもしれませんが、執筆の直接の動機は綾辻行人さんの「アナザー」に触発されてという事になっています(その面影は全くありませんが……)。
ちなみに、前半で矢守の生活を異常に詳しく書いたのは、読者に彼に感情移入させておいて、最後に殺す事で読者自身にも絶望感や虚しさを味わってもらおうという思惑があったからです。真相を見ればわかりますが、この事件のトリックは関係者全員の皆殺しが前提になっていて、残念ながら最初から彼を生かして帰す気はありませんでした(我ながら酷い話です)。
むしろここだけの裏話をしておくと、執筆段階では犯人とイキノコリの他に小里利勝に生きて帰ってもらおうという案がありました(なぜ彼なのかというのは小説を読んでもらえればピンとくるかもしれません。事件編の最後で彼の生死が不明になっているのはその名残)。さすがに皆殺しは残虐過ぎるので多少情けをかけるべきかとも思った上での処置だったのですが、それをやってしまうと本物の「イキノコリ」のインパクトが弱まってしまい、さらに執筆していく上でトリックの構成に支障が出てしまったので、最後まで迷った末にやむなく心を鬼にして彼も死んでもらう事にしました。とはいえ、さすがに罪悪感があったので、彼の死に様は他の被害者たちに比べて若干まともなものになっているのですが……。
そんな感じですが、楽しんでもらえたのであれば幸いです。それでは失礼します。
この作品は、おそらく私の作品の中でも一番ネタや複線をこれでもかと詰め込んでいる作品となっているはずです。執筆が「ディテクティブ・ロジック」のすぐ後なので、初期作品である「鬼神島」の反省を踏まえて書いている事は確かに否定できません。ただ、前の方の感想にも書いたかもしれませんが、執筆の直接の動機は綾辻行人さんの「アナザー」に触発されてという事になっています(その面影は全くありませんが……)。
ちなみに、前半で矢守の生活を異常に詳しく書いたのは、読者に彼に感情移入させておいて、最後に殺す事で読者自身にも絶望感や虚しさを味わってもらおうという思惑があったからです。真相を見ればわかりますが、この事件のトリックは関係者全員の皆殺しが前提になっていて、残念ながら最初から彼を生かして帰す気はありませんでした(我ながら酷い話です)。
むしろここだけの裏話をしておくと、執筆段階では犯人とイキノコリの他に小里利勝に生きて帰ってもらおうという案がありました(なぜ彼なのかというのは小説を読んでもらえればピンとくるかもしれません。事件編の最後で彼の生死が不明になっているのはその名残)。さすがに皆殺しは残虐過ぎるので多少情けをかけるべきかとも思った上での処置だったのですが、それをやってしまうと本物の「イキノコリ」のインパクトが弱まってしまい、さらに執筆していく上でトリックの構成に支障が出てしまったので、最後まで迷った末にやむなく心を鬼にして彼も死んでもらう事にしました。とはいえ、さすがに罪悪感があったので、彼の死に様は他の被害者たちに比べて若干まともなものになっているのですが……。
そんな感じですが、楽しんでもらえたのであれば幸いです。それでは失礼します。
- 奥田光治
- 2017年 04月04日 03時53分
[良い点]
他の方もおっしゃるようにさすがに犯人と「イキノコリ」の正体は薄々わかりましたが、トリックとバスジャックの真相は読めず、とても楽しませていただきました。
特に「イキノコリ」の正体を突き止めるロジックは隙がなく説得力があり、「ねーちゃん」や少女アニメの人形(セーラームーン?)、歴史の教科書(旧指導要領まで確認しましたが本当でした)といった自然にちりばめられた材料の組み立てはまったく想像だにしておらず、納得と同時にすごく綿密に作られていることに驚きました。(でも「歴史の教科書」ってありましたっけ? あくまで「社会の教科書」の「6上」とかそんな感じだったと思いますが)
年代設定も注意深く時代錯誤を避けており、旧指導要領もそうですが、ネオむぎ茶事件から四年ということでSOS表示を知らないことに無理がなく、それでいて「看護師」の名称変更も二〇〇二年からですから、こういった点だけをとっても本当に抜け目なく考えられていると感じさせ物語の現実味に信頼感がありました。
また、「イキノコリ」視点の幕間の使い方がとても効果的で、解決編で明かされる答え合わせを見て読み返し感心しきりでした。
本作では謎のままに終わった須賀井の目的や笹沼の事件についてもちゃんと設定があり別作品が構想されているということで、発表を楽しみに待っております。
[一言]
全体の誤字脱字・疑問点の報告です(当然ながらネタバレを多々含むので他の方には注意)。単なる誤変換はともかく、人名や数字などはぜひとも早めに修正されたほうがよいかと存じます。
2(プロローグ)
>山の南方に大きな川が流れていて、そこに{添}うような形で数{件}の家が建っている。
沿う、数軒
3(事件編第一章)
>年齢は二十歳前後だろうか。パッと見た限りでは大学生という感じが強く、何が入っているのかリ{}ックサックを背負っている。
言わないことはないでしょうが、この何行か下には「リュックサック」とあるので。
>運転手が絶叫した。その瞬間、矢守{は}フロントガラスの向こうにガードレールが迫っているの{を見えた}。
矢守は〜を{見た}/矢守{に}は〜{が}見えた
5(事件編第二章)
>「いやぁ、ずいぶん遠くに放り出されたみたいでね。結構歩いた{}なんのって」
>男が{勤}めて明るく言う。
歩いた{の}なんの、努めて
>とはいえ、当初の目標である川にさえ到達しておらず、見えてくるのは天を{多}い尽くさんばかりの木々だけ。
>小里は自分が支えている須賀井を見ながら毒{つ}いた。
>集落に近づくと、おおよその概観{か}つかめてきた。
>徐々に暗さに目が慣れてくる。だが、それ{}同時に信じられないものが飛び込んできた。
それ{と}同時に
>「村民の構成は、下ノ倉家が当主夫妻と息子夫婦と孫一人の五人、寺坂家が当主夫妻と息子夫婦と娘が三人で七人、
下ノ倉家では「息子夫婦と孫」と言ったあと寺坂家で「息子夫婦と娘が三人」と言うと混乱しますが、名簿を見るとこの「娘が三人」のほうも孫娘なんですよね? ちょっとわかりにくいかと。
>小里の話では、この場所で殺されていたのは下ノ倉{家}芳香とその息子で当時小学一年生だった下ノ倉元太だったという。
>{}ちなみに、小里の話によると芳香の夫である下ノ倉守文は門にもたれかかるように首を切断されて死んでおり、
段落頭のスペース抜け
7(事件編第三章)
>何だかんだ言って、この豪雨の中{音}に出るのは嫌なのだろう。
外?
>「でも、だとすればこの中に該当者はいません。確かに少しぐらいは湿っていますけど、あの犯行をやったとなればそれこそ全身水浸しになっているはず。そこまで服が濡れている人間なんて……」
>矢守は周囲を見渡しながら確認する。全員前日着ていた服とまったく変化ない。当然と言えば当然である。
土方の首なし死体を発見した時点で「矢守は思わず絶叫し、傘を放り出してそのまま地面に尻餅をついた。たちまち全身がずぶ濡れになる」という記述がありますから、ここの矢守の発言は変ではないでしょうか? 百歩譲って矢守から見た「全員」はともかく、その矢守がずぶ濡れになっていることはこの発言の後なら誰かが指摘するはずです。
>その瞬間、小里はそう呻き、そのまま顔を引っ込めるとよろめくように壁にもたれかかり、その場で吐く素振りを見せた。が、何も食べていないため口からは何も出てこない。
一応タケノコなどを焼いて食べたはずだったので、「何も食べていない」は言いすぎかと。
>「問題は、この母屋から離れ{}通じるドアがつっかえ棒で封鎖されていた事だと思います」
に
>「……ビンゴだな」
>調べていた小里が報告する。
>「最初に調べたときにあったはずの服が一着なくなっている。念のため聞くが、この中でここの服に手をつけたやつはいるか?」
これは物語の都合上仕方ないとは思いますが、自分のものでもない服が一着なくなっているかどうかなんて普通わかるものでしょうか? もともと「服もあるにはあったが、さすがにそれを着る気にはなれない」としてこだわらずさらっと流したものですし、事件で死んだ一家四人の衣類すべてがまるごと残っているのですから何十着という単位のはずです。
それと本当なら、なくなったはずの服の色合いなどの特徴を確認しあったり、男物か女物かくらいは話して推理の材料にしたりという会話があったほうが、確認の情景としては自然かと思います。(追記:解決編を読むとそれを書くわけにいかなかったのかと気づきましたが。)
ちなみに小里は十年前に調べた事件の被害者名簿を全部確信して覚えているという点も超人的ですから、この点も含めて彼の完全記憶能力に何か根拠や伏線(本人が一言言うだけでもいいので)があったほうが親切かもしれません。そうでないと記憶違いによる生き残りまで疑わねばならず物語の切れ味が落ちるので……。
>「いくらごまかす必要がなくても、{来}ている服が血まみれになるのは避けたいと思うのが人間だと思う」
9(事件編第四章)
>「犯人ではなく、琴音ちゃんが二階に逃げ込んだという事はないでしょうか?」
この時の討論でも解決編でも最後まで言及されなかったのでここで述べさせていただきますが、離れで犯人に襲われて逃げる人の心理としては、人のいる一階ではなく二階に上がるのはかなり不自然です。しかも離れの内側につっかえ棒があり渡り廊下側からは来ていないわけなので、わざわざ母屋の玄関から入って一階の部屋を素通りして離れの近くの階段まで行ったことになります。なぜ誰も疑問に思わなかったのでしょう? 私はここで杏里がミスリードしているのかとも怪しみましたが違ったので、結局なぜ犯人がわざわざ二階の最奥の部屋に隠したのかもわかりませんでした。
>小里{に}言葉に、麻美は不満そうな顔で頷いた。
>「状況から考えて、犯人の襲撃目標は離れだ。土方は便所に行ったところで犯行を目撃して巻き{沿い}で殺されたと考えられる。逆に言えば、どうして犯人は離れを狙ったんだろうか」
巻き添え
>「そこが問題だな。少なくとも我々はバスジャックが起こるまでは全員が初対面だったわけだ。何かミッシング・リングでもあれば別だが……」
>「ミッシング・リング?」
>さすがにこの場にいる全員にミッシング・リングがあるわけでもなかろうし」
すでに指摘されているようですが、ミッシング・リング(ring=指輪)ではなくリンク(link=つながり)です。
>「持ち去られた部位に何か意味があるってい{る}のはどうだ?」
いう?
>「正直、今でも信じられないな。たった{三}日前まで普通の生活をしていたはずなのに、いきなりこんな修羅場に投げ込まれるなんて。出来の悪い推理小説じゃあるまいし」
この日はバスジャックの翌日、サバイバル生活二日目のはずなので、普通の生活をしていたのは二日前まででは? ちなみにこの翌朝に手帳をあらためるときには正しく「そして三日前、つまりバスジャック前日の欄には」とあります。
>「状況から考えると、意図的な犯行として見た場合、さっきも検証したように狙われる可能性があるのは宮島さんだ。だが、そうだとするとなぜ宮島さんが狙われたのか動機がわからない。だが、その手帳を見て思いついたんだ。宮島さんだけが、事故に関して我々と違った行動をとっていた」
>「違った行動って……あっ!」
>矢守はそれに気がついた。
>「手帳ですね。死んだ柴井という客が持っていた。あれを拾ったのは宮島さんのはずです」
柴井の手帳にスポットライトが当たるようになるこれ以降の流れは私には唐突に感じました。宮島が狙われる理由なら、応急処置ができて全員の生存率を上げたり遺体の死因を特定できたりしそうな看護師という重要な役回りゆえ、殺戮の邪魔になりそうだからとか最初に殺すことで効果的に士気を下げられそうだからとか、あるいは登場人物も挙げているように離れで女だけ少人数でいたからとか、他にもありそうなもので、すでに死んだ何者とも知れない中年男性の手帳がいまさら重要視されるにはきっかけが足りず突然のような気がします。
それにそもそも手帳を持っていて狙われるというなら、宮島が柴井の手帳を拾ったことを知っているの自体この男三人(と土方)だけだったと思いますが、そうすると手帳の存在自体を須賀井と女性陣は知らなかったことになり、小里が藤沼・矢守に
>「犯人は宮島さんが手帳を持っていたと思い込んでいた人物……」
>「だからこそ、あんたにこうして話しているわけだがな」
>その仮説が正しいなら、条件に当てはまるのは須賀井と女性三人に絞られる。
と話す理由がなくなってしまいます。須賀井は柴井の死を村に着いてから聞いてうろたえていますし、小里(と雨宮)はその須賀井を捕まえて同じタイミングでバスの所へ現れていますが、宮島が手帳を拾ったのを見た者が他に誰かいると小里は知っていたのでしょうか?
>そう言うと、小里は畳に寝転んで布団に包まる。矢守もそれに{習}って布団に包まった。
倣って
>そう、見張りが三交代制である以上、見張り終了後から二時間後に、再び矢守たちのペアが見張りをしていなければならないはずなのだ。にもかかわらず朝になっているという事は、
ここもちょっと混乱しました。単に「三交代制」と言うと普通、夜全体を三つに区切る(または二四時間を八時間ずつに区切る)ことを意味すると思いますから、そうすると最初の見張りを担当した矢守たちは朝まで起こされないことになります。「三交代」であることより「一時間ごと」のほうを説明の理由に挙げるのが自然かと思います。
>不況とはいえ世知辛い世の中だが、こ{こ}ままでは俺は飢え死にだ』
>この状況では村の事情を知る数少ない資料である事は{代}わりがない。
変わりがない
また、これも推理小説として読者に考えさせる都合上と言えば仕方ないことではありますが、この柴井の手帳を四人で検討するシーンでは考えの見落としや決めつけが多く流れが不可解で、いきなり登場人物たちの頭の働きが鈍っているように感じました。それも前日まで推理を主導していた矢守・藤沼・小里・杏里という、被害者中最も賢い四人なのに……。
(1)どこにも死んだと書いていない雨宮憲子をなぜかライトバン事故で死んだものと勘違いする点もその一つですが、
(2)『雨宮』がライトバン事故の関係者だとして、なぜ乗客たちを殺す動機があると思い込むのか。ライトバンはそもそもオカルト的好奇心から白神村に近づいた側なのだから、「イキノコリ」とはむしろ真逆の立場ですし今回の乗客ともつながりが見いだせないはずです。
(3)同様に柴井を恐れるのも突飛です。生き返るのを突飛と言っているのではなく、柴井の復讐だとしても狙いは「イキノコリ」になるはずで(この時点の四人はライトバン事故は全滅と勘違いしているので、彼らが柴井について想定しうるのは雨宮ではなく娘を超常現象で事故死させた「イキノコリ」への逆恨みでしょう)、なぜ乗客の自分たちが狙われる側になると発想するのかわかりません。彼らには他に恨まれる心あたりでもあったのでしょうか?
(4)「孔明」がこの殺戮に関与したとする仮定の矛盾点に気がつかないこと。もし雨宮が「孔明」だとしたら八王子駅行きのバスは白神村には来ていません。バスが白神村に来るには須賀井の要求が絶対に不可欠ですから、白神村も含めて孔明の計画だと思うなら普通に考えて孔明=須賀井がこの時点の第一候補でしょう。
(5)自分は「孔明」ではないと主張する杏里の弁明が却下されること。もし杏里だとしたら、四十六歳の柴井が生前の娘より若い子を「気さくなやつ」とまるで対等な男のような表現をするのは無理がありますし、「孔明」が女子高生ならかなり意外ですから当然柴井は手帳に書いたでしょう。そして「最近俺の商売がうまくいっていない事を相談したら、向こうも色々苦労をしている事を明かした。世の中、誰もが苦しんでいるという事か」というように「飢え死に」まで考える深刻な悩みをたかが女子高生の苦労と同列に感じるのも不自然で、これらくらいのことは現に手帳を読んでいる杏里や藤沼ならすぐに気づくと思います。
>駆けつけた小里たちに対しても緩慢{そう}な動作で振り返っただけだった。
「気だるそうな」など内心に関わる形容ならともかく、緩慢(ゆっくり)かどうかは見ればわかるので「そうな」というのは妙です。
>小里の厳しい追{求}に対し、『雨宮憲子』はしばらく無表情のまま突っ立っていたが、
追及
>そう言われて、小里は慌てて懐から柴井の手帳を取り出し、問題の記事を確認する。確かに、記事には「行方不明」と書かれてはいるが、明確に「死亡した」とはどこにも書かれていない。
森に入る前に「藤沼は傘を放り出すや否や先頭を切って走り出し」「小里も舌打ちながら傘を捨てて後に続き」などとして全員が傘を放り捨てており、豪雨の下で全身がずぶ濡れの状態で新聞の切り抜きなどを広げたら一瞬で読めなくなってしまいそうですが……。
些末な問題ではありましょうが、豪雨が重要な舞台装置である物語でありながら、この箇所以外でも紙類の水濡れが忘れられているような場面が多々ありました。冒頭のバス事故直後の柴井の手帳と、土砂降りの下で琴音の診断書を読むところから始まり、最後に丸一日外を歩き続けた琴音のポケットの診断書がダムの管理所まで守り通されることや、川を流される小里が矢守の書いた手帳を防水もせず守りきったところまで全編を通して。
>その言葉に、小里と矢守はハッとなって周囲を見渡す。妙に静かだと思ったら、一緒に森に入ったはずの藤{森}と杏里の姿がない。
11(事件編第五章)
>「外からは殺人鬼、内からは精神的ストレス。無事に助かっても、全員そろって頭が{アサって}の方向に向いていたら話にならないわね」
?
>と、押し殺したような小里の声で、{ヤモリ}はハッと正気に返った。
>このままでは以前{小里が言っていたように、犯人側の完全勝利で終わってしまう}。自分が今残しているこの記録は事件解決に最も重要な証拠になるはずだ。
「完全勝利」に一番近い発言をしたのは、小里ではなく矢守自身だったはずです(「……ねぇ、小里さん。もし、仮に……あくまで仮にですよ、このまま全員殺されるような事があったら、事件が解明される可能性はなくなってしまうんですよね。つまり、犯人の完全犯罪が成立してしまう」)
>作業をしながら、矢守は小里に{訪}ねる。
>次の写真には三人の若い少女の写真が写っている。
「写真には〜写真が写っている」? このあと何回か同じ表現があります。
>さらに次の写真には、この家の主である村上家の集合写真が{移}っていた。
>矢守は固唾を呑んでそんな小里の様子を{伺}っている。
窺って
>小里の様子を確認しにいこうなどという考えは{当}に頭の中から消し飛んでいた。
とうに(疾うに)
>日が昇るまであと何時間なのだろうか。時間の感覚など{当}に狂っている。
>理性など{当}に崩壊している。
>狂ったように……というより、狂人そのもの{}高笑いを上げながら矢守は森の中をよろめきながら進んでいた。
13(解決編第一章)
>連日河川の見回りや住民の避難誘導などに{借}り出されていた。
駆り出されて
>見ると、川の流れに{奔流}されながらも、板のようなものにしがみついてぐったりしながら流されている人影がはっきり見えた。
翻弄?
>この手帳には『イキノコリ』という興味深い噂話が書かれて{いて}いますが、
>榊{端}は結論付ける。
>つまり、関係者たちが自分で直接身元を確認できた人間……事件進行当{事}に遺体の顔がはっきりしていた人物は除外される。
>榊原{}いったん息をつくと、再び話し始めた。
14(解決編第二章)
>思わぬ話に口をつぐんだ『生還者』に対し、榊原は追{求}を続ける。
>一方、榊原はその挑戦を真正面から受けるつもりのようで、そのまま追{求}を継続しにかかった。
>「もっとも、村から遺体の見つかっていない小里利勝の殺害の様子{}ついては推測するしかありません。
15(解決編第三章)
>彼女は中{}一年生、すなわち十三歳。
>そう言って、榊原は小さく微笑{む、}
?
>当然、看護師の宮{下}さんがそれに気づかないはずがない。だったら、宮{下}さんが真っ先にするであろう事があります」
>宮島たちの殺害は運転手の制服で行い{。}返り血を雨で洗い流した後、
>あれ{た}宮島殺害後に脱いであったセーラー服を犯人が着せたものです」
>胴体だけなら、成人がセーラー服を着ていることに対する違和感も少なく{}りますからね」
>その言葉に、榊原は無表情に『生還者』の方を見るが、{生還者}は容赦なく言葉を続けた。
『』忘れ?
>その瞬間だった。隣の給湯室から急に一つの{影}がゆっくりと姿を見せた。そして、その{陰}の正体を見た瞬間、
陰→影
16(解決編第四章)
>あの時母が着ていた服を今{時}分が着ているという事に、なんとなく不思議なものを感じていた。
>そろそろ帰らないとさすがに心配されるだろう。そう考え、琴音は再び村上家に戻る事にした{}
文末句点抜け
>琴音は反射的に手斧を避けると、そのまま土方の脇をすり抜けて{。}逃げようとした。
>一方、村の遺体の大半は昨日のうちに殺されたと見て間違い{ないなさそう}です。
>「あの時はまだ雨も降っていて、しかも夜間でしたから捜索は危険と判断されたんです。実際に警察が村に踏み込んだのは本日{早朝八時}前後でした」
他の方の指摘にもありますが、ここは第13話の記述「警察が奥多摩の道路脇の崖下に転落しているバスを発見したのは、正午になってからの事だった。そこからさらに一時間程経って、ついに警官隊と救助隊がヘリと陸路から十年ぶりにあの白神村に突入した」と食い違っています。事件編の最後を見ると犯人は日の出からしばらくは村で作業をしているので、逃げる時間も考えれば警察が来るのはたぶん正午過ぎのほうが正しいのでしょう。
>「そうですか。となる{}、やはり……」
>「さっき、『村の遺体の大半は昨日のうちに殺されたと見て間違い{ないなさそう}です』と言っていましたよね。
>大迫は首を振ると{。}懐からビニールに入った手帳のようなものを取り出した。
>「駄目だ、と言ってもあなたの場合は無駄でしょうね。見たいなら、後で署にいらしてください。それが最大限の譲歩です{。}」
>大迫はしばらく答えなかった。榊{端}は黙って返答を待つ。
>それから{と、と}榊原は続けた。
?
17(解決編第五章)
>「どんな反論をしようと、私はそれをすべて打ち砕{け}くだけですがね。
>『孔明』も最初こそ呆気にとられていたが、やがて事態が飲み込め{た}きた。
>が、バスジャックこそ収束できたものの、発見されたら自分の身が破滅という{自体}は{代}わりがない。
事態、変わりがない
>さすがに『孔明』{の}一瞬動きが止まるが、その間に小里は『孔明』の腕に思いっきり爪をつきたてた。
も?
18(エピローグ)
>村と新山道を繋ぐ工事車両用の仮{説}道路がそのまま正式に広場へと接続する道となり、
他の方もおっしゃるようにさすがに犯人と「イキノコリ」の正体は薄々わかりましたが、トリックとバスジャックの真相は読めず、とても楽しませていただきました。
特に「イキノコリ」の正体を突き止めるロジックは隙がなく説得力があり、「ねーちゃん」や少女アニメの人形(セーラームーン?)、歴史の教科書(旧指導要領まで確認しましたが本当でした)といった自然にちりばめられた材料の組み立てはまったく想像だにしておらず、納得と同時にすごく綿密に作られていることに驚きました。(でも「歴史の教科書」ってありましたっけ? あくまで「社会の教科書」の「6上」とかそんな感じだったと思いますが)
年代設定も注意深く時代錯誤を避けており、旧指導要領もそうですが、ネオむぎ茶事件から四年ということでSOS表示を知らないことに無理がなく、それでいて「看護師」の名称変更も二〇〇二年からですから、こういった点だけをとっても本当に抜け目なく考えられていると感じさせ物語の現実味に信頼感がありました。
また、「イキノコリ」視点の幕間の使い方がとても効果的で、解決編で明かされる答え合わせを見て読み返し感心しきりでした。
本作では謎のままに終わった須賀井の目的や笹沼の事件についてもちゃんと設定があり別作品が構想されているということで、発表を楽しみに待っております。
[一言]
全体の誤字脱字・疑問点の報告です(当然ながらネタバレを多々含むので他の方には注意)。単なる誤変換はともかく、人名や数字などはぜひとも早めに修正されたほうがよいかと存じます。
2(プロローグ)
>山の南方に大きな川が流れていて、そこに{添}うような形で数{件}の家が建っている。
沿う、数軒
3(事件編第一章)
>年齢は二十歳前後だろうか。パッと見た限りでは大学生という感じが強く、何が入っているのかリ{}ックサックを背負っている。
言わないことはないでしょうが、この何行か下には「リュックサック」とあるので。
>運転手が絶叫した。その瞬間、矢守{は}フロントガラスの向こうにガードレールが迫っているの{を見えた}。
矢守は〜を{見た}/矢守{に}は〜{が}見えた
5(事件編第二章)
>「いやぁ、ずいぶん遠くに放り出されたみたいでね。結構歩いた{}なんのって」
>男が{勤}めて明るく言う。
歩いた{の}なんの、努めて
>とはいえ、当初の目標である川にさえ到達しておらず、見えてくるのは天を{多}い尽くさんばかりの木々だけ。
>小里は自分が支えている須賀井を見ながら毒{つ}いた。
>集落に近づくと、おおよその概観{か}つかめてきた。
>徐々に暗さに目が慣れてくる。だが、それ{}同時に信じられないものが飛び込んできた。
それ{と}同時に
>「村民の構成は、下ノ倉家が当主夫妻と息子夫婦と孫一人の五人、寺坂家が当主夫妻と息子夫婦と娘が三人で七人、
下ノ倉家では「息子夫婦と孫」と言ったあと寺坂家で「息子夫婦と娘が三人」と言うと混乱しますが、名簿を見るとこの「娘が三人」のほうも孫娘なんですよね? ちょっとわかりにくいかと。
>小里の話では、この場所で殺されていたのは下ノ倉{家}芳香とその息子で当時小学一年生だった下ノ倉元太だったという。
>{}ちなみに、小里の話によると芳香の夫である下ノ倉守文は門にもたれかかるように首を切断されて死んでおり、
段落頭のスペース抜け
7(事件編第三章)
>何だかんだ言って、この豪雨の中{音}に出るのは嫌なのだろう。
外?
>「でも、だとすればこの中に該当者はいません。確かに少しぐらいは湿っていますけど、あの犯行をやったとなればそれこそ全身水浸しになっているはず。そこまで服が濡れている人間なんて……」
>矢守は周囲を見渡しながら確認する。全員前日着ていた服とまったく変化ない。当然と言えば当然である。
土方の首なし死体を発見した時点で「矢守は思わず絶叫し、傘を放り出してそのまま地面に尻餅をついた。たちまち全身がずぶ濡れになる」という記述がありますから、ここの矢守の発言は変ではないでしょうか? 百歩譲って矢守から見た「全員」はともかく、その矢守がずぶ濡れになっていることはこの発言の後なら誰かが指摘するはずです。
>その瞬間、小里はそう呻き、そのまま顔を引っ込めるとよろめくように壁にもたれかかり、その場で吐く素振りを見せた。が、何も食べていないため口からは何も出てこない。
一応タケノコなどを焼いて食べたはずだったので、「何も食べていない」は言いすぎかと。
>「問題は、この母屋から離れ{}通じるドアがつっかえ棒で封鎖されていた事だと思います」
に
>「……ビンゴだな」
>調べていた小里が報告する。
>「最初に調べたときにあったはずの服が一着なくなっている。念のため聞くが、この中でここの服に手をつけたやつはいるか?」
これは物語の都合上仕方ないとは思いますが、自分のものでもない服が一着なくなっているかどうかなんて普通わかるものでしょうか? もともと「服もあるにはあったが、さすがにそれを着る気にはなれない」としてこだわらずさらっと流したものですし、事件で死んだ一家四人の衣類すべてがまるごと残っているのですから何十着という単位のはずです。
それと本当なら、なくなったはずの服の色合いなどの特徴を確認しあったり、男物か女物かくらいは話して推理の材料にしたりという会話があったほうが、確認の情景としては自然かと思います。(追記:解決編を読むとそれを書くわけにいかなかったのかと気づきましたが。)
ちなみに小里は十年前に調べた事件の被害者名簿を全部確信して覚えているという点も超人的ですから、この点も含めて彼の完全記憶能力に何か根拠や伏線(本人が一言言うだけでもいいので)があったほうが親切かもしれません。そうでないと記憶違いによる生き残りまで疑わねばならず物語の切れ味が落ちるので……。
>「いくらごまかす必要がなくても、{来}ている服が血まみれになるのは避けたいと思うのが人間だと思う」
9(事件編第四章)
>「犯人ではなく、琴音ちゃんが二階に逃げ込んだという事はないでしょうか?」
この時の討論でも解決編でも最後まで言及されなかったのでここで述べさせていただきますが、離れで犯人に襲われて逃げる人の心理としては、人のいる一階ではなく二階に上がるのはかなり不自然です。しかも離れの内側につっかえ棒があり渡り廊下側からは来ていないわけなので、わざわざ母屋の玄関から入って一階の部屋を素通りして離れの近くの階段まで行ったことになります。なぜ誰も疑問に思わなかったのでしょう? 私はここで杏里がミスリードしているのかとも怪しみましたが違ったので、結局なぜ犯人がわざわざ二階の最奥の部屋に隠したのかもわかりませんでした。
>小里{に}言葉に、麻美は不満そうな顔で頷いた。
>「状況から考えて、犯人の襲撃目標は離れだ。土方は便所に行ったところで犯行を目撃して巻き{沿い}で殺されたと考えられる。逆に言えば、どうして犯人は離れを狙ったんだろうか」
巻き添え
>「そこが問題だな。少なくとも我々はバスジャックが起こるまでは全員が初対面だったわけだ。何かミッシング・リングでもあれば別だが……」
>「ミッシング・リング?」
>さすがにこの場にいる全員にミッシング・リングがあるわけでもなかろうし」
すでに指摘されているようですが、ミッシング・リング(ring=指輪)ではなくリンク(link=つながり)です。
>「持ち去られた部位に何か意味があるってい{る}のはどうだ?」
いう?
>「正直、今でも信じられないな。たった{三}日前まで普通の生活をしていたはずなのに、いきなりこんな修羅場に投げ込まれるなんて。出来の悪い推理小説じゃあるまいし」
この日はバスジャックの翌日、サバイバル生活二日目のはずなので、普通の生活をしていたのは二日前まででは? ちなみにこの翌朝に手帳をあらためるときには正しく「そして三日前、つまりバスジャック前日の欄には」とあります。
>「状況から考えると、意図的な犯行として見た場合、さっきも検証したように狙われる可能性があるのは宮島さんだ。だが、そうだとするとなぜ宮島さんが狙われたのか動機がわからない。だが、その手帳を見て思いついたんだ。宮島さんだけが、事故に関して我々と違った行動をとっていた」
>「違った行動って……あっ!」
>矢守はそれに気がついた。
>「手帳ですね。死んだ柴井という客が持っていた。あれを拾ったのは宮島さんのはずです」
柴井の手帳にスポットライトが当たるようになるこれ以降の流れは私には唐突に感じました。宮島が狙われる理由なら、応急処置ができて全員の生存率を上げたり遺体の死因を特定できたりしそうな看護師という重要な役回りゆえ、殺戮の邪魔になりそうだからとか最初に殺すことで効果的に士気を下げられそうだからとか、あるいは登場人物も挙げているように離れで女だけ少人数でいたからとか、他にもありそうなもので、すでに死んだ何者とも知れない中年男性の手帳がいまさら重要視されるにはきっかけが足りず突然のような気がします。
それにそもそも手帳を持っていて狙われるというなら、宮島が柴井の手帳を拾ったことを知っているの自体この男三人(と土方)だけだったと思いますが、そうすると手帳の存在自体を須賀井と女性陣は知らなかったことになり、小里が藤沼・矢守に
>「犯人は宮島さんが手帳を持っていたと思い込んでいた人物……」
>「だからこそ、あんたにこうして話しているわけだがな」
>その仮説が正しいなら、条件に当てはまるのは須賀井と女性三人に絞られる。
と話す理由がなくなってしまいます。須賀井は柴井の死を村に着いてから聞いてうろたえていますし、小里(と雨宮)はその須賀井を捕まえて同じタイミングでバスの所へ現れていますが、宮島が手帳を拾ったのを見た者が他に誰かいると小里は知っていたのでしょうか?
>そう言うと、小里は畳に寝転んで布団に包まる。矢守もそれに{習}って布団に包まった。
倣って
>そう、見張りが三交代制である以上、見張り終了後から二時間後に、再び矢守たちのペアが見張りをしていなければならないはずなのだ。にもかかわらず朝になっているという事は、
ここもちょっと混乱しました。単に「三交代制」と言うと普通、夜全体を三つに区切る(または二四時間を八時間ずつに区切る)ことを意味すると思いますから、そうすると最初の見張りを担当した矢守たちは朝まで起こされないことになります。「三交代」であることより「一時間ごと」のほうを説明の理由に挙げるのが自然かと思います。
>不況とはいえ世知辛い世の中だが、こ{こ}ままでは俺は飢え死にだ』
>この状況では村の事情を知る数少ない資料である事は{代}わりがない。
変わりがない
また、これも推理小説として読者に考えさせる都合上と言えば仕方ないことではありますが、この柴井の手帳を四人で検討するシーンでは考えの見落としや決めつけが多く流れが不可解で、いきなり登場人物たちの頭の働きが鈍っているように感じました。それも前日まで推理を主導していた矢守・藤沼・小里・杏里という、被害者中最も賢い四人なのに……。
(1)どこにも死んだと書いていない雨宮憲子をなぜかライトバン事故で死んだものと勘違いする点もその一つですが、
(2)『雨宮』がライトバン事故の関係者だとして、なぜ乗客たちを殺す動機があると思い込むのか。ライトバンはそもそもオカルト的好奇心から白神村に近づいた側なのだから、「イキノコリ」とはむしろ真逆の立場ですし今回の乗客ともつながりが見いだせないはずです。
(3)同様に柴井を恐れるのも突飛です。生き返るのを突飛と言っているのではなく、柴井の復讐だとしても狙いは「イキノコリ」になるはずで(この時点の四人はライトバン事故は全滅と勘違いしているので、彼らが柴井について想定しうるのは雨宮ではなく娘を超常現象で事故死させた「イキノコリ」への逆恨みでしょう)、なぜ乗客の自分たちが狙われる側になると発想するのかわかりません。彼らには他に恨まれる心あたりでもあったのでしょうか?
(4)「孔明」がこの殺戮に関与したとする仮定の矛盾点に気がつかないこと。もし雨宮が「孔明」だとしたら八王子駅行きのバスは白神村には来ていません。バスが白神村に来るには須賀井の要求が絶対に不可欠ですから、白神村も含めて孔明の計画だと思うなら普通に考えて孔明=須賀井がこの時点の第一候補でしょう。
(5)自分は「孔明」ではないと主張する杏里の弁明が却下されること。もし杏里だとしたら、四十六歳の柴井が生前の娘より若い子を「気さくなやつ」とまるで対等な男のような表現をするのは無理がありますし、「孔明」が女子高生ならかなり意外ですから当然柴井は手帳に書いたでしょう。そして「最近俺の商売がうまくいっていない事を相談したら、向こうも色々苦労をしている事を明かした。世の中、誰もが苦しんでいるという事か」というように「飢え死に」まで考える深刻な悩みをたかが女子高生の苦労と同列に感じるのも不自然で、これらくらいのことは現に手帳を読んでいる杏里や藤沼ならすぐに気づくと思います。
>駆けつけた小里たちに対しても緩慢{そう}な動作で振り返っただけだった。
「気だるそうな」など内心に関わる形容ならともかく、緩慢(ゆっくり)かどうかは見ればわかるので「そうな」というのは妙です。
>小里の厳しい追{求}に対し、『雨宮憲子』はしばらく無表情のまま突っ立っていたが、
追及
>そう言われて、小里は慌てて懐から柴井の手帳を取り出し、問題の記事を確認する。確かに、記事には「行方不明」と書かれてはいるが、明確に「死亡した」とはどこにも書かれていない。
森に入る前に「藤沼は傘を放り出すや否や先頭を切って走り出し」「小里も舌打ちながら傘を捨てて後に続き」などとして全員が傘を放り捨てており、豪雨の下で全身がずぶ濡れの状態で新聞の切り抜きなどを広げたら一瞬で読めなくなってしまいそうですが……。
些末な問題ではありましょうが、豪雨が重要な舞台装置である物語でありながら、この箇所以外でも紙類の水濡れが忘れられているような場面が多々ありました。冒頭のバス事故直後の柴井の手帳と、土砂降りの下で琴音の診断書を読むところから始まり、最後に丸一日外を歩き続けた琴音のポケットの診断書がダムの管理所まで守り通されることや、川を流される小里が矢守の書いた手帳を防水もせず守りきったところまで全編を通して。
>その言葉に、小里と矢守はハッとなって周囲を見渡す。妙に静かだと思ったら、一緒に森に入ったはずの藤{森}と杏里の姿がない。
11(事件編第五章)
>「外からは殺人鬼、内からは精神的ストレス。無事に助かっても、全員そろって頭が{アサって}の方向に向いていたら話にならないわね」
?
>と、押し殺したような小里の声で、{ヤモリ}はハッと正気に返った。
>このままでは以前{小里が言っていたように、犯人側の完全勝利で終わってしまう}。自分が今残しているこの記録は事件解決に最も重要な証拠になるはずだ。
「完全勝利」に一番近い発言をしたのは、小里ではなく矢守自身だったはずです(「……ねぇ、小里さん。もし、仮に……あくまで仮にですよ、このまま全員殺されるような事があったら、事件が解明される可能性はなくなってしまうんですよね。つまり、犯人の完全犯罪が成立してしまう」)
>作業をしながら、矢守は小里に{訪}ねる。
>次の写真には三人の若い少女の写真が写っている。
「写真には〜写真が写っている」? このあと何回か同じ表現があります。
>さらに次の写真には、この家の主である村上家の集合写真が{移}っていた。
>矢守は固唾を呑んでそんな小里の様子を{伺}っている。
窺って
>小里の様子を確認しにいこうなどという考えは{当}に頭の中から消し飛んでいた。
とうに(疾うに)
>日が昇るまであと何時間なのだろうか。時間の感覚など{当}に狂っている。
>理性など{当}に崩壊している。
>狂ったように……というより、狂人そのもの{}高笑いを上げながら矢守は森の中をよろめきながら進んでいた。
13(解決編第一章)
>連日河川の見回りや住民の避難誘導などに{借}り出されていた。
駆り出されて
>見ると、川の流れに{奔流}されながらも、板のようなものにしがみついてぐったりしながら流されている人影がはっきり見えた。
翻弄?
>この手帳には『イキノコリ』という興味深い噂話が書かれて{いて}いますが、
>榊{端}は結論付ける。
>つまり、関係者たちが自分で直接身元を確認できた人間……事件進行当{事}に遺体の顔がはっきりしていた人物は除外される。
>榊原{}いったん息をつくと、再び話し始めた。
14(解決編第二章)
>思わぬ話に口をつぐんだ『生還者』に対し、榊原は追{求}を続ける。
>一方、榊原はその挑戦を真正面から受けるつもりのようで、そのまま追{求}を継続しにかかった。
>「もっとも、村から遺体の見つかっていない小里利勝の殺害の様子{}ついては推測するしかありません。
15(解決編第三章)
>彼女は中{}一年生、すなわち十三歳。
>そう言って、榊原は小さく微笑{む、}
?
>当然、看護師の宮{下}さんがそれに気づかないはずがない。だったら、宮{下}さんが真っ先にするであろう事があります」
>宮島たちの殺害は運転手の制服で行い{。}返り血を雨で洗い流した後、
>あれ{た}宮島殺害後に脱いであったセーラー服を犯人が着せたものです」
>胴体だけなら、成人がセーラー服を着ていることに対する違和感も少なく{}りますからね」
>その言葉に、榊原は無表情に『生還者』の方を見るが、{生還者}は容赦なく言葉を続けた。
『』忘れ?
>その瞬間だった。隣の給湯室から急に一つの{影}がゆっくりと姿を見せた。そして、その{陰}の正体を見た瞬間、
陰→影
16(解決編第四章)
>あの時母が着ていた服を今{時}分が着ているという事に、なんとなく不思議なものを感じていた。
>そろそろ帰らないとさすがに心配されるだろう。そう考え、琴音は再び村上家に戻る事にした{}
文末句点抜け
>琴音は反射的に手斧を避けると、そのまま土方の脇をすり抜けて{。}逃げようとした。
>一方、村の遺体の大半は昨日のうちに殺されたと見て間違い{ないなさそう}です。
>「あの時はまだ雨も降っていて、しかも夜間でしたから捜索は危険と判断されたんです。実際に警察が村に踏み込んだのは本日{早朝八時}前後でした」
他の方の指摘にもありますが、ここは第13話の記述「警察が奥多摩の道路脇の崖下に転落しているバスを発見したのは、正午になってからの事だった。そこからさらに一時間程経って、ついに警官隊と救助隊がヘリと陸路から十年ぶりにあの白神村に突入した」と食い違っています。事件編の最後を見ると犯人は日の出からしばらくは村で作業をしているので、逃げる時間も考えれば警察が来るのはたぶん正午過ぎのほうが正しいのでしょう。
>「そうですか。となる{}、やはり……」
>「さっき、『村の遺体の大半は昨日のうちに殺されたと見て間違い{ないなさそう}です』と言っていましたよね。
>大迫は首を振ると{。}懐からビニールに入った手帳のようなものを取り出した。
>「駄目だ、と言ってもあなたの場合は無駄でしょうね。見たいなら、後で署にいらしてください。それが最大限の譲歩です{。}」
>大迫はしばらく答えなかった。榊{端}は黙って返答を待つ。
>それから{と、と}榊原は続けた。
?
17(解決編第五章)
>「どんな反論をしようと、私はそれをすべて打ち砕{け}くだけですがね。
>『孔明』も最初こそ呆気にとられていたが、やがて事態が飲み込め{た}きた。
>が、バスジャックこそ収束できたものの、発見されたら自分の身が破滅という{自体}は{代}わりがない。
事態、変わりがない
>さすがに『孔明』{の}一瞬動きが止まるが、その間に小里は『孔明』の腕に思いっきり爪をつきたてた。
も?
18(エピローグ)
>村と新山道を繋ぐ工事車両用の仮{説}道路がそのまま正式に広場へと接続する道となり、
奥田です。色々忙しくて返信遅れて申し訳ございません。そしてこの度は細かいところまで読んで頂いてありがとうございます。というか、まさか旧指導要綱まで確認して頂けるとは……。一応、この場で正直に懺悔しておくと、作者自身、自分の経験則で書いただけで指導要綱に関してはそこまで綿密に調べていませんでした(さすがにネオむぎ茶はしっかり調べましたが……)。あと、例のアニメの人形に関しては、某月の国の戦士の姿が浮かばなかったかと言われれば嘘になりますが、まぁ架空のアニメという事でどうぞよろしくお願いします。
誤植に関してはすべておっしゃる通りです。というか、自分では気づいていなかったがこんなにあったのか……一応推敲はしたんですがね……。
ただ、量が多いので時間があるときに少しずつ直していく事になると思います。そのためすぐには修正ができませんが、その点はあらかじめご了承ください。内容の矛盾に関しては……修正できるものに関しては可能な限り修正できればと思いますが、何分すべての事象が複雑に絡んでいる小説なのでどうしても直せない物も出てくると思います。その点、ご理解して頂ければ幸いです。何にせよ、改めてご指摘ありがとうございます。
こうして読者の方に色々考えて頂けることは、推理小説を書く人間として作者冥利に尽きます。今後とも、ご一読いただければ幸いです。それではこの辺で失礼いたします。
誤植に関してはすべておっしゃる通りです。というか、自分では気づいていなかったがこんなにあったのか……一応推敲はしたんですがね……。
ただ、量が多いので時間があるときに少しずつ直していく事になると思います。そのためすぐには修正ができませんが、その点はあらかじめご了承ください。内容の矛盾に関しては……修正できるものに関しては可能な限り修正できればと思いますが、何分すべての事象が複雑に絡んでいる小説なのでどうしても直せない物も出てくると思います。その点、ご理解して頂ければ幸いです。何にせよ、改めてご指摘ありがとうございます。
こうして読者の方に色々考えて頂けることは、推理小説を書く人間として作者冥利に尽きます。今後とも、ご一読いただければ幸いです。それではこの辺で失礼いたします。
- 奥田光治
- 2016年 11月06日 23時38分
[良い点]
物語が非常に良く練られていて、とても完成度が高い。
探偵の推理が非常に論理的で分かりやすい。
意外な結末で、読んでいて最後まで楽しめた。
[気になる点]
いくらなんでも犯人がパワフル過ぎ。劣悪な条件下で、かつ人の体をバラバラにするなどと言う重労働ができ、しかもいかだを作って逃げるのは……(しかもほとんどの人が瞬殺)。それに、バスで事故を起こすのも、正直現実味がないかと。
後、読者への挑戦上における前口上があってはじめて読者が事件を解決できるようになってますよね? あれがないと、今回の真相以外の回答も作れそうですし、実際今回の事件は偶然要素が多すぎるかと(まあこれは、事件が解決できなかった事への当て付けですが)。
[一言]
悪い点をたくさん書いてしまいましたが、良い点で書いたようにかなり話が練り込まれていて凄いと思いました❗
どうやらシリーズもののようですし、これから他の作品も読ませていただきたいと思います。
物語が非常に良く練られていて、とても完成度が高い。
探偵の推理が非常に論理的で分かりやすい。
意外な結末で、読んでいて最後まで楽しめた。
[気になる点]
いくらなんでも犯人がパワフル過ぎ。劣悪な条件下で、かつ人の体をバラバラにするなどと言う重労働ができ、しかもいかだを作って逃げるのは……(しかもほとんどの人が瞬殺)。それに、バスで事故を起こすのも、正直現実味がないかと。
後、読者への挑戦上における前口上があってはじめて読者が事件を解決できるようになってますよね? あれがないと、今回の真相以外の回答も作れそうですし、実際今回の事件は偶然要素が多すぎるかと(まあこれは、事件が解決できなかった事への当て付けですが)。
[一言]
悪い点をたくさん書いてしまいましたが、良い点で書いたようにかなり話が練り込まれていて凄いと思いました❗
どうやらシリーズもののようですし、これから他の作品も読ませていただきたいと思います。
奥田です。このたびはご一読いただきありがとうございます。楽しんで頂けたのであればこれ作者として以上嬉しい事はございません。以下、感想の内容に関して答えさせて頂きます。
犯人がちょっと超人過ぎるというのは自分でも思っています(というか、以前他の方からも指摘をされました)。が、今回は解決編に行くまではホラー要素を重視する方針にしており、この方針からあえてやや荒唐無稽・インパクト重視な書き方をしています(実際に十人もの人間の殺戮シーンを入れてしまうと間違いなくストーリーのテンポが悪くなる。前半のホラーチックな流れでこれは致命的)。とはいえ、さすがにちょっとやり過ぎたか……。特にいかだの話はもう少しやり方がなかったものかとかなりに反省しています。執筆時にこれ以外の方法が思いつかなかったもので……。
次に偶然が多いという話ですが、この「必然と偶然のさじ加減」は毎回の執筆で悩むところです。「すべては必然」というのが推理小説に登場する犯罪者の常套句ですが、現実の犯罪を考えてみればすべてが「必然」で構成された犯罪なんか絶対に存在しません。どれだけ完璧な計画を立てていたとしても、そこには必ず多少なり「偶然」の要素が入り込むというのが私の持論です(この辺は拙作「業火の殺人者」でも言及している問題点です)。私の小説ではこの部分を明確に書く事でできるだけ作中の犯罪がリアルに見えるように仕組んでいますが、それだけに毎回「偶然」「必然」のさじ加減にはかなり気を使います。「偶然」が多すぎると話が荒唐無稽になりすぎてしまうし、逆に「必然」ばかりだと話にリアリティがなくなってしまうし……この辺、今後も執筆していく中での課題になると思います。
あと、複数の解答が作れるという点は、私自身はむしろそうあってほしいと思っています。何だかんだ言って、推理小説というのは読者が作者からの挑戦に対して色々考える小説だと思っているので、読者がそれぞれ様々な考えを持っている以上、多種多様な推理がなされるのはむしろ歓迎すべき事だと思っているからです。むしろ複数の解答が出るという事はそれだけ読者に頭を絞ってもらえる作品が書けたという事の証明でもあり、逆に皆が同じ結末しか推理できない推理小説があったらそれ誰にでも簡単にトリックがわかってしまうという事でもあるので、作者的には修行不足という事になると思っています。私個人としては、天草さんがどのような推理をされたのかが非常に興味のあるところだったりします。
そんな感じです。今後とも、他の作品でも楽しんで頂ければ幸いです。それでは失礼します。
犯人がちょっと超人過ぎるというのは自分でも思っています(というか、以前他の方からも指摘をされました)。が、今回は解決編に行くまではホラー要素を重視する方針にしており、この方針からあえてやや荒唐無稽・インパクト重視な書き方をしています(実際に十人もの人間の殺戮シーンを入れてしまうと間違いなくストーリーのテンポが悪くなる。前半のホラーチックな流れでこれは致命的)。とはいえ、さすがにちょっとやり過ぎたか……。特にいかだの話はもう少しやり方がなかったものかとかなりに反省しています。執筆時にこれ以外の方法が思いつかなかったもので……。
次に偶然が多いという話ですが、この「必然と偶然のさじ加減」は毎回の執筆で悩むところです。「すべては必然」というのが推理小説に登場する犯罪者の常套句ですが、現実の犯罪を考えてみればすべてが「必然」で構成された犯罪なんか絶対に存在しません。どれだけ完璧な計画を立てていたとしても、そこには必ず多少なり「偶然」の要素が入り込むというのが私の持論です(この辺は拙作「業火の殺人者」でも言及している問題点です)。私の小説ではこの部分を明確に書く事でできるだけ作中の犯罪がリアルに見えるように仕組んでいますが、それだけに毎回「偶然」「必然」のさじ加減にはかなり気を使います。「偶然」が多すぎると話が荒唐無稽になりすぎてしまうし、逆に「必然」ばかりだと話にリアリティがなくなってしまうし……この辺、今後も執筆していく中での課題になると思います。
あと、複数の解答が作れるという点は、私自身はむしろそうあってほしいと思っています。何だかんだ言って、推理小説というのは読者が作者からの挑戦に対して色々考える小説だと思っているので、読者がそれぞれ様々な考えを持っている以上、多種多様な推理がなされるのはむしろ歓迎すべき事だと思っているからです。むしろ複数の解答が出るという事はそれだけ読者に頭を絞ってもらえる作品が書けたという事の証明でもあり、逆に皆が同じ結末しか推理できない推理小説があったらそれ誰にでも簡単にトリックがわかってしまうという事でもあるので、作者的には修行不足という事になると思っています。私個人としては、天草さんがどのような推理をされたのかが非常に興味のあるところだったりします。
そんな感じです。今後とも、他の作品でも楽しんで頂ければ幸いです。それでは失礼します。
- 奥田光治
- 2016年 08月09日 12時40分
[一言]
面白いです。
名探偵・榊原恵一事件ファイルの最新話を一番最初に見つけてそこから読んでしまったのですが、話に置いていかれることもなく楽しむことができました。
まだ順を追って読んでいる最中で全て読みきっていないのですが、とても面白いので感想だけ先に書かせていただきました。
面白いです。
名探偵・榊原恵一事件ファイルの最新話を一番最初に見つけてそこから読んでしまったのですが、話に置いていかれることもなく楽しむことができました。
まだ順を追って読んでいる最中で全て読みきっていないのですが、とても面白いので感想だけ先に書かせていただきました。
- 投稿者: 退会済み
- 18歳~22歳 女性
- 2016年 04月26日 20時10分
管理
ご一読ありがとうございます。
このシリーズは基本的にどの話から読んでも入れるように構成しています。一応シリーズ内における作品順番は、最初の話である「ディテクティブ・ロジック」以外は「事件の発生年代順」に並べてあります。
そんな感じですので、今後ともよろしくお願いします。ではでは。
このシリーズは基本的にどの話から読んでも入れるように構成しています。一応シリーズ内における作品順番は、最初の話である「ディテクティブ・ロジック」以外は「事件の発生年代順」に並べてあります。
そんな感じですので、今後ともよろしくお願いします。ではでは。
- 奥田光治
- 2016年 05月01日 03時50分
[良い点]
・面白くて一気読み。
・無駄な部分が極力排除されており、読みやすく&勢いがありました。推理物としては希少。
[気になる点]
・あらすじの「平成の八墓村」という語句から、村の特殊な風習や、猟奇的な犯人を期待していたので、その点が物足りなかったです。
[一言]
・「殻ノ少女」シリーズをプレイし、「猟奇サスペンスは小説ないかな~チラチラ」と探してたどりつきました。
・退屈になりがちなミステリの冒頭部分から面白く、最後まで一気読み。推理はおまけで猟奇的な作品かと思っていましたが、推理部分が強い作品で、読んだ後に真面目に推理しながら読めばよかったと若干後悔しました。
・面白くて一気読み。
・無駄な部分が極力排除されており、読みやすく&勢いがありました。推理物としては希少。
[気になる点]
・あらすじの「平成の八墓村」という語句から、村の特殊な風習や、猟奇的な犯人を期待していたので、その点が物足りなかったです。
[一言]
・「殻ノ少女」シリーズをプレイし、「猟奇サスペンスは小説ないかな~チラチラ」と探してたどりつきました。
・退屈になりがちなミステリの冒頭部分から面白く、最後まで一気読み。推理はおまけで猟奇的な作品かと思っていましたが、推理部分が強い作品で、読んだ後に真面目に推理しながら読めばよかったと若干後悔しました。
奥田です。返信遅れて申し訳ありません。この度はご感想、ありがとうございます。
自己紹介でも書いていますが、私はとにかく「本格的な推理小説」を目標に小説を書いています。なので、基本的に私の書く推理小説は例外なく推理部分に力を入れている事が多いです。イキノコリはこれでもホラーめいた部分を多少入れていますが、あくまで本格推理のつもりで書いています。
そんなわけで、今回はトリック重視のストーリー構成にしているので、最初からホラー的側面はあくまで二次的なものとして考えていました。何しろ最初から舞台が廃村ですから……(逆にこういう小説はあまり見た事がないと思っての抜擢でしたが)。ただ、横溝ファンとしては村の特殊な風習なんかが出てくる作品はある意味あこがれでもあるので、ネタがあれば将来書いてみたいですねぇ。
そんなところでしょうか。それでは今後ともよろしくお願いします。
自己紹介でも書いていますが、私はとにかく「本格的な推理小説」を目標に小説を書いています。なので、基本的に私の書く推理小説は例外なく推理部分に力を入れている事が多いです。イキノコリはこれでもホラーめいた部分を多少入れていますが、あくまで本格推理のつもりで書いています。
そんなわけで、今回はトリック重視のストーリー構成にしているので、最初からホラー的側面はあくまで二次的なものとして考えていました。何しろ最初から舞台が廃村ですから……(逆にこういう小説はあまり見た事がないと思っての抜擢でしたが)。ただ、横溝ファンとしては村の特殊な風習なんかが出てくる作品はある意味あこがれでもあるので、ネタがあれば将来書いてみたいですねぇ。
そんなところでしょうか。それでは今後ともよろしくお願いします。
- 奥田光治
- 2015年 02月27日 01時21分
[良い点]
奥田さんの頭脳はどうなっているのでしょうか。組み立てが緻密で、感服しました。書いていて頭がウニ状態になりませんでしたか。力作です。
[気になる点]
悪い点というわけではありませんが、藤沼の名前が一部、藤森となっている箇所がありました。
須賀井がバスジャックした動機が書かれてあれば、さらによかっただろうと思います。
[一言]
これで二作目を読ませていただきましたが、質問させてもらっていいですか。この作品、構想と執筆にどれくらいの時間をかけられたのでしょうか。それともうひとつ、横溝正史がお好きとのことですが(私もずいぶん読みましたね。最高峰は獄門島でしょうか)ほかの作家はどうでしょう。私は高野和明さんが大好きです。
奥田さんの頭脳はどうなっているのでしょうか。組み立てが緻密で、感服しました。書いていて頭がウニ状態になりませんでしたか。力作です。
[気になる点]
悪い点というわけではありませんが、藤沼の名前が一部、藤森となっている箇所がありました。
須賀井がバスジャックした動機が書かれてあれば、さらによかっただろうと思います。
[一言]
これで二作目を読ませていただきましたが、質問させてもらっていいですか。この作品、構想と執筆にどれくらいの時間をかけられたのでしょうか。それともうひとつ、横溝正史がお好きとのことですが(私もずいぶん読みましたね。最高峰は獄門島でしょうか)ほかの作家はどうでしょう。私は高野和明さんが大好きです。
- 投稿者: はね
- 2015年 02月05日 00時45分
奥田です。ご一読ありがとうございます。
意外な話ですが、この小説は綾辻行人の「Another」から着想を得て書いています。私の場合、小説を書くにあたっては登場人物と大まかな骨格だけ最初に練っておいて、あとは話を書いていく中で作っていくというケースが多く、場合によっては書き始める段階で犯人を決めていない事さえあります。こうした方が登場人物が自由に動き、設定変更なども容易にできるため生き生きとした小説になるという狙いがあるのです。
この小説の場合はさすがに大まかな結末は構想していましたが、殺す順番や細かい部分は執筆の中で適宜考え出していきました。そんなわけで最初の構想は一週間程度、実際に書くのに半年程度と言ったところでしょうか。もちろん、書いていく中で絶えず構想を練り直し続けていますが。
須賀井のバスジャックの動機に関しては意図的に省いています。ただし、それに関する設定はある程度は設定済みです。省いた理由は、それを書き始めると話がさらに複雑化してしまうという事と、内容が本筋からやや外れているという事からです。これに関しては時期を見てちゃんと一本の小説として書ければいいなぁと思っています。まぁ、いつになるかはわかりませんが……。
あと、私は日本の推理作家に関しては基本的に面白そうなものは何でも読むようにしています。一番好きなのは横溝正史ですが、他には二階堂黎人が好きですかね。あとは綾辻とか有栖川とか法月とか……要するに本格物が好きなんです。高野和明は「13階段」を読んだ事があります。ラストで無罪判決が下された日付がちょうど小説を読み終えた日付と一緒だったというのがいい思い出です。
そんな感じでしょうか。それでは今後ともよろしくお願いします。ではでは。
意外な話ですが、この小説は綾辻行人の「Another」から着想を得て書いています。私の場合、小説を書くにあたっては登場人物と大まかな骨格だけ最初に練っておいて、あとは話を書いていく中で作っていくというケースが多く、場合によっては書き始める段階で犯人を決めていない事さえあります。こうした方が登場人物が自由に動き、設定変更なども容易にできるため生き生きとした小説になるという狙いがあるのです。
この小説の場合はさすがに大まかな結末は構想していましたが、殺す順番や細かい部分は執筆の中で適宜考え出していきました。そんなわけで最初の構想は一週間程度、実際に書くのに半年程度と言ったところでしょうか。もちろん、書いていく中で絶えず構想を練り直し続けていますが。
須賀井のバスジャックの動機に関しては意図的に省いています。ただし、それに関する設定はある程度は設定済みです。省いた理由は、それを書き始めると話がさらに複雑化してしまうという事と、内容が本筋からやや外れているという事からです。これに関しては時期を見てちゃんと一本の小説として書ければいいなぁと思っています。まぁ、いつになるかはわかりませんが……。
あと、私は日本の推理作家に関しては基本的に面白そうなものは何でも読むようにしています。一番好きなのは横溝正史ですが、他には二階堂黎人が好きですかね。あとは綾辻とか有栖川とか法月とか……要するに本格物が好きなんです。高野和明は「13階段」を読んだ事があります。ラストで無罪判決が下された日付がちょうど小説を読み終えた日付と一緒だったというのがいい思い出です。
そんな感じでしょうか。それでは今後ともよろしくお願いします。ではでは。
- 奥田光治
- 2015年 02月05日 22時26分
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