エピソード52の感想一覧

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[一言]
感想は初めてですが、いつも興味深く拝見しております。
ただ今回の戦術中心の日本についてはちょっと極論のような気がします。
戦略家より戦術家の方がヒーローとして人気があるのは日本だけではないような気がします。
中国でいえば岳飛とか関羽とかやはり戦術家のヒーローの方が一般の人気は高いと思いますし、ヨーロッパだって例えば第二次大戦のドイツ軍人では一般の知名度や人気でいえば戦術家のロンメルが一番では。

第二次大戦の戦略でいうなら本土決戦まで抵抗をつづけたドイツは日本以上の失敗といえますし、商社の連合軍だって国力を消耗し、植民地を失って没落したイギリスなどの欧州の国々だって日本のことを言えるほど戦略的にうまくいったとは言えませんし、極論を言えばソ連を強大化させすぎた上に増長してベトナム戦争で失敗したアメリカや自国民を死なせすぎたソ連だって失敗といえなくもないですし。
ベルトラン様

 大変、正鵠を得た明快なご指摘だと思います。大筋、ベルトランさんのおっしゃるとおりです。

 特に、第一次、二次の大戦に於けるドイツの戦略的な失敗は大きかったと思いますし、中国に於ける関羽や岳飛の人気もご指摘の通りだと思います。

 戦略も特に長期的戦略の成功例は世界的にも少なく、古代ローマ帝国の帝政を除くと比較的短い時間での成功でイギリスにしてもソ連、アメリカにしても10年程度の時間での成功例であり、長期的には各国の戦略は失敗したといって良いと思います。

 その点、失敗した後の日本人の修正癖は明瞭で、全国民を挙げて大修正に拘るところがあるように感じますが、如何でしょうか?

 ご叱正のご指摘を有り難く拝見致しました。

 御礼まで。

                       河井正博
[良い点]
河井さま 
いつも興味深い話題を有難うございます。
日本が国家戦略について考えてこなかったのは、そうしないでも良かったという僥倖によるものなのでしょうね。 それが二度の大戦で考える必要があり、昭和に失敗して、その後は米国について行くという戦略というか、独自のものを考えないで済んでいるというべきか(笑) その合理性を考えるには、歴史を振り返るというのは大事ですね。

国家戦略を考えずに済んでいるのは、独立性の高い島国で、大陸側からはアクセスの必要が無い(してもメリットが無い)、もう一方は太平洋で中世までは世界の果てで、その先からくることは考えずに済んでいたという地政学的な特徴としか言いようがありません。
それでも、大陸からのアクセスがあれば、国家という枠組みで考えなければならず、それは相手次第だから、対応する個人の力量による。 おかきになった中大兄皇子もしかり。
次の元寇は世界を震撼させた、最大版図を持つモンゴル帝国。
[気になる点]
朝廷好きの私としては、その間に「刀伊の入寇」での適切な外交判断と対応をした大宰権帥藤原隆家と、危険を冒して偵察をした対馬判官長嶺諸近を挙げたいです。
もちろん、規模でいえば、非常に小さいですけれど、ここでの対応が、元寇での対応につながった気もします。

[一言]
そして3つ目の大陸進出から太平洋戦争への突入と、世界史上稀にみる大惨敗。
近代国家の枠組みという入れ物が出来たが、国家戦略が組織としてできなかったのが大きな敗因でしょうね。 特に昭和12年からの陸軍の大陸戦略と、政府の不拡大方針との不一致。更に海軍の南進という不統一。 右手と左手が協力せず別の事を勝手にやって、頭である政府の方針にも従わない状態。 それでは国家戦略もあったものではありません。
というよりも、政府と陸、海と、それぞれが勝手な事を考えて、国家戦略が皆無。
善悪は脇におき、戦回避というシナリオを考えれば、政府の不拡大方針は正しく、その上で米英を入れて門戸開放ならば、満州国承認への道も開けたかもしれません。
国民党政府との妥協が出来れば、国共合作も無く、政府を目指した国民党政府との和平も可能だったかもしれません。米英との関係が悪化しなければ、そもそも南進の必要もない。
となれば、米英を引き入れ、国民党政府も仲間にして、北からの脅威に備える事というシナリオもできたはず。 戦争回避には色々なシナリオがありますが、いづれにせよ頭(政府)と右手(陸軍)と左手(海軍)が統合して動けなかったのが戦前日本の大きな組織的欠陥でしたね。 他国を見れば、ルーズベルト、チャーチル、ヒトラー、スターリン、ムッソリーニと、善悪は脇においても、全員 強力なリーダシップの元に国家を指導しました。
お書きのように、日本人のメンタルは強力な指導者を嫌うのですね、それは戦前でも共通だったと思います。だからこそ、組織上は最強の天皇を作りながら、実態は何ら権力が無いというのが安心できる政体なのだと思います。これは平和な時なら良いかもしれませんが、非常時には向かないかもしれません。 そのあたりが、日本として、これからも考えてゆくような事だと思いました。 長文になりすみません。


  • 投稿者: 五反田猫
  • 60歳~69歳 男性
  • 2021年 01月13日 14時04分
五反田猫様

 何時もながらの長文のご指摘、誠に有り難く拝読致しました。

 まず、「近代史」に関する分野ですが、これは小生よりも五反田猫さんのお得意の領域なので、若干でも触れることを躊躇したのですが、まとめとして書かざるを得なくなってしまい、蛇尾になりそうでしたが附記した次第です。

 逆に、今回頂いたO様の『一言』の全文を掲載した方が好ましい気がしております。
 特に、

 『日本人のメンタルは強力な指導者を嫌うのですね、それは戦前でも
  共通だったと思います』

 の部分は、これからの課題の一つとして熟考したいと思っております。


 復、ご指摘の『刀伊の入寇と大宰権帥藤原隆家の対応』の部分ですが、『応永の外寇』における世宗と父太宗の対応を含めて、一度まとめたいとは常々思っているのですが、力不足で、未だに実現しておりません。

 逆に、この随筆を書きながら、『歴代中国王朝の海洋戦略』は存在しなかったのではないかとさえ想っている次第です。

 ご教示の御礼まで!


                     河井正博

[良い点]
 まず意思統一からして旧軍はアレですからねえ。ステンレス刀とか新日本刀はいい仕事している……って相手は核兵器に機関銃。
[気になる点]
 我が国最古の戦術書にして大陸の各家における兵法の補記として成立した闘戦経なんか猪武者か!? な内容で、中国の兵法書を『分かった上で』そんな卑劣な真似ばかりしていたらクソ狭い日本では敵を大量に作ってしまうから正面からあえて叩き潰す。もしくは寡兵で大軍と戦う場合は大陸の軍略をもフル活用して大量出血を強いてやれ!(実際寡兵で戦い抜いた楠木正成公もかなりえげつなく敵の戦意から奪う戦いをされていらっしゃいますし、そもそも日本は山林に河川と大量の竹とゲリラ戦に向いた地形です。アテルイさんとか日本刀の原型とされる山刀も使って大勝利していますし)なよくもわるくも弱い奴には正々堂々ヒャッハーで捕虜って何状態。強い奴にも全力抵抗というたしかに戦術で強いが戦略としてどうなのかとかそもそも負け戦において個人レベルではヒャッハーしている輩が多すぎる気がしてきました。国内に限れば寡兵でなんとか迎え撃てる、軍団として負けても個人としては活躍できる地形とか要因が多い気がします。

 ただ、個人にせよ組織にせよしっぺ返し戦略は有効なので必要以上に恨まれず強い相手には苛烈に抵抗を示す思想をあの時点で記し、軍略を学ぶ者はパターン化しやすいため正面から叩き潰すことを示唆したそこだけは闘戦経の先見性を私は認めています。また、オウム事件の時に『出鱈目な奴らは予想不可能』と政府の人らは述べていました。当時のオウムが闘戦経を参考にしたとは思えないので偶然でしょうけど。
鴉野兄貴様

 どうやら、鴉野兄貴さんの知識範囲と時代感覚の広さは小生の何倍もお持ちのようで、拝見する度に驚かされる次第です。

 特に、「闘戦経」の先見性を認めていらっしゃる部分に関しての記述は、良いご指摘だったと嬉しく拝見しました。

 確かに、時代が異なり、記述されている設定も異なる場合でも、鴉野兄貴さんのような多面的な視点が重要になると何時も思っております。
 これからも色々とご教示頂ければ幸いです。

 ご厚情に対する御礼まで!


              河井正博
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