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[一言]
初めまして、虚白と申します。
「なにもかえない」読みました。

オンラインショップの蔓延、個人商店の減少と大型量販店の台頭、若者の車離れ、ヒューマニティの喪失……どれもこれもが現代の問題で、それがここまで見事にSFとして昇華させられるのかと感動しました。
ドキュンとニイトが世界への反抗を企て、けれどどうにもならないという結末には、他人事じゃない深刻さがありました。とても面白かったです!

タイトルのダブルミーニングなど遊びの部分も楽しませていただきました。
  • 投稿者: 犬井作
  • 2016年 06月29日 13時10分
 犬笑虚白さん、お読みいただきありがとうございます。
 内容的に少々ハードな一本になったかと思うのですが、楽しんでいただけて幸いです。
 今、というのは様々な事象の繋がりあった結果として表れるのであろう、ということを思います。そういうものの中から出てくるやもしれない今を想像するのもSFとされているジャンルの楽しみの一つではないかと思いますので、本作ではやってみた次第です。

 お読みいただき、ありがとうございました。
[良い点]
 読みました。
 確かに好き嫌いが分かれるとは思われますが、わたし個人としてはなかなか美味しい作品だと感じられました。供給側による統制社会といいますか。ブラックリスト入りした需要者は需要以前であるというのも、ブッとび方の方向としてとても好みでした(笑)
 
[気になる点]
 馬列木さん、女だったんですね……(最初気づかなかった
[一言]
 えすえふ論争をやるわけではないですが、こうした絶望の可能性を描けるのもSFならではの魅力なんだよなぁ、と。
 エンタメ補強やガジェットに凝る方面が多いこの界隈では、ハード重視な作品や、こういうソーシャルな思弁的作品はレアな気もします。興味深い作品をありがとうございました。
  • 投稿者: 八雲 辰毘古
  • 18歳~22歳 男性
  • 2015年 10月28日 19時42分
 八雲 辰毘古さん、お読みいただきありがとうございます。
 経済を中心に据えた小説がない! とおっしゃっていたのでつい「あるぞ!」と声を上げてしまいましたが、楽しんでいただけたようでよかったです。
 実際扱いが難しい材料の一つではあろうと思います。がSFの定義の一つとして「現実世界から地続きのものを描く」というものがあるのだとすれば、経済・流通というのはやはり一度は向きあってみる必要のある素材であるやもしれません。
 お読みいただきありがとうございました。

>馬列木さん、女だったんですね……(最初気づかなかった
 すべて私の手の内です。

[一言]
何を残して、何を消すか。そういう選択は資本主義経済だと、個人じゃなくて社会がするんだなぁ。それで、その社会が選択したシステムから排除された、あるいは適応できなかった人間を、どれだけ救い上げることができるのか、が社会の余裕を示していると考えると、ドキュンやニイトを切り捨てた本作の社会は、効率化のあまり余裕がなくなったんだろう。
 ……と思わせる、ディストピアでした。もちろん、モノを作る人の視点からは、今の社会とそんなに変わりはないのかもしれないけれど。それも逆に怖い。

 終始、背筋がゾクッと冷たくなるような、あり得る未来の1つの形を想像できる小説でした。ぶわっと広がる均一的な建物群で働く人間の様子は、ミヒャエル・エンデのモモに登場する時間を奪われた効率的な街の情景を思わせ、鬼気迫るものがあります。
 
 ああ、まとまらないですが、とにかく面白かったです!

 
 
  • 投稿者: 退会済み
  • 2015年 02月01日 18時24分
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 リットリオさん、お読みいただきありがとうございます。

 社会学フィクションということである一つの思考実験を描き出してみた本作でありましたが、楽しんでいただけて何よりです。何より本作をとっかかりとしてリットリオさんが様々なことに考えを巡らせてくださったことを作者として何よりうれしく思います。

 エンデは「はてしない物語」よりも断然「モモ」派でした。幼いころに何度読み返したかしれない。そういったイメージが私の根底にはいくらかあったのやもしれません。
 感想ありがとうございました。
[一言]
「なにもかえない」、楽しませていただきました。
自由競争の果てに誕生した不自由なディストピアという近未来図が、奇妙なリアリティを醸し出していますね。
ほんのちょっと普通から外れていたが故に社会から弾かれたドキュンやニイトのような人々が、やがて身を寄せ合うようになり、一つの勢力として成長していく……
そんな後日譚を思わせるような、希望を僅かに匂わせる終幕も、読者に想像の余地を残していてよかったと思います。
願わくは、彼らの前途に光のあらんことを。

……でもニイト(新人?)はともかくドキュンってどんな漢字を当てるんだろう。
  • 投稿者: 10-0
  • 2014年 09月24日 03時12分
 10-0さん、こちらにも感想ありがとうございます。「えびせん」、楽しんでいただけておりますでしょうか。

 おそらく色々なことがはじまる前の前日譚、的な位置づけにもなる話であろうとは思います。ここからどのような分岐ルートをたどるのかは定かではありませんが、その余地こそが本作の価値でもあるのかなあ、とは思っております。
 お読みいただき、どうもありがとうございました。

>……でもニイト(新人?)はともかくドキュンってどんな漢字を当てるんだろう。
 たぶん「銃声」とかじゃないですかね。
[良い点]
「なにもかえない」拝読しました。
前半は淡々とした文章でお話が進んでいくにもかかわらず全く飽きさせもせず最後まで読ませてしまうのはさすがだと思いました。この世界、有り得そうで怖いです。
ドキュンとニイトが出会ってからどんどんお話が転がっていき目が離せなくなりました。バスから降りてくる大量の人たちとか、かまぼこ型の倉庫で働いている様子が非常に不気味。
忍び込んだドキュンたちの様子が手に取る様にわかってとてもハラハラしました。それまでが淡々としていたので余計なんでしょうね~。
人間関係の希薄さやネット社会、クレーマーなどの社会問題がさり気なく入っていて面白かったです。
外に出たことで二人がいろいろなことに気付いたのが印象的でした。どう生きていくのか、不安ではあるけれど大丈夫そうだなと思えるラストでした。
 葉嶋ナノハさん、お読みいただきありがとうございます。
 久々にSF企画参加ということで、今回は飛び道具なしのガチで書いてみました。お楽しみいただけましたでしょうか。
 外部に触れることで視野が広がり、今まで見えなかったものが見えるということがあると思います。それは視界ということだけでなく、思考や、人との接し方というものも含めて。それが手遅れであったり、後の祭りであったり、手詰まりであったりということもたくさんあるけれども、もしもそうなる前に気付けたのだとすれば、それはとても幸運なことであるのやもしれません。

 お読みいただきありがとうございました。
[良い点]
文章、構成、ともにとても良かったと思います。無駄な情景を書き込まないことで、視線をそらさないまま最後まで突っ走ってますね。
ラストには恐々としたものとともに、冒頭にはない暖かなものが空気のように取り巻いているように感じました。勝手な解釈ですが、なにか、これがすべての絶望ではないような感じ。
[一言]
ゾックっとしました。
理路整然とした冷静な文章に時折混じるユーモアが、全体が固くなりすぎるのを防いでいると思います。
私自身がこのようなものの書き方をする方なので大変参考になります。(私のはとにかくクドイと言われます)
今後共作品を読ませていただきます。

 お読みいただきありがとうございます。
 おそらくですが読者様の想像力の多寡で印象が大きく変わる小説になったのではなかろうかと思っております。内容の性質上、私の側から語ると野暮になってしまう気がするので多くは語らないつもりでありますが、楽しんでいただけたのなら幸いです。
 また説明の部分を興味深く読めるようにという点にはかなり心を砕きましたので、その点を評価いただけたことは大変な喜びです。他の作品も読んでいただけるということで、大変ありがたく思います。
 今後ともご愛顧をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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