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[一言]
非常にクールな童話で「めでたしめでたし」にうわああ、ちょっとまったぁ!と奥底で(もやっとしつつも表立って言葉にならないのよ)突っ込みかけること数度。

責任を取らねばならない。それが自分であれば……という言葉が始まり。
肝心の部分で選択を誤りドミノのようになだれて行くさまにああ……と。
無邪気で純粋そして身勝手なアカツキ姫。
すべてを知りながら姫に対して盲目でなすがままなヒイラギ王

ユウナギ王子の沈黙。
そして自らの招いたことを目の当たりにする思い。
同じだけの責任感がアカツキ姫にあったらなあ〜。
同じだけの行動がヒイラギ王にできたらなあ。

自然は大きなスパンで秩序を取り戻していきますがそこに住むものの生活はガラリと変わって。
大きな童話でした。

それにしてもフクロウ❤️フクロウだよねえ……。



にけ 様


ご感想ありがとうございます!
クールというお言葉は初めて頂きました。嬉しいやら恥ずかしいやら……地の文は登場人物にあまり入り込みすぎず、突き放した書き方をしたのがそういう印象に繋がったのかもしれません。童話というより御伽噺を目指しました。

最初にバカをやらかしたのはアカツキ姫ですが、いくらでも軌道修正する機会はあったはずなんですよね。彼女の愚かさを咎めるどころか増長させてしまったヒイラギ王、狭量な思い込みで森を攻めた二人の王様、悲劇が起きると分かっていて止められなかったユウナギ王子、それぞれの責任が積み重なってあのラストに繋がったのです。自然は流れに従って変化し、還っていくだけで、そこに巻き込まれた人間の心の内にこそドラマが生まれるのだと思います。

フクロウ……はい、この頃から大好きでした(笑)。別の長編で変身譚が活かせて、もう悔いはないです!

この度はありがとうございました。今後とも頑張ります。
[一言]
このお話、実はこっそり何回も読んでおります。
読み終わった後にいい意味でのもやもやが大量にあって、言葉にしてまとめるのにだいぶかかってしまいました、ええ年単位ですよ(笑)

最初に「めでたし、めでたし」を読んだときは、全身鳥肌が立ちましたね。ぞくぞくっとして、これ書いた方は絶対にクールビューティーだと思った記憶があります。そしてそのイメージは数年を経て、確信へと変わっております。

この物語では人間の純粋さと愚かさ、自然の美しさと厳しさが交互に描かれていたと思います。対比があるからこそ、より美しさが際立つのでしょうね。甘いだけでなく、厳しい部分に目を向けさせるストーリーは、童話という形にぴたりとはまっておりました。

レビューでも触れましたが、誰が悪かったかと言われれば、もはや「みんな」としか答えられないわけですが、それでもやはりアカツキ姫の無邪気かつ愚かさは、やはり罪深いと思わずにはいられません。最初に掛け違えてしまったボタンは、最後まで戻されることはなく、寄り添うことのないかつての恋人たちの様子に胸がしめつけられました。

と、ちょっとまともなことを言いつつ、心の中では「年齢差カップル萌え! っていうかメリバ最高〜」と頭の悪い感想が一番大きいということを正直に白状しておきたいと思います。
石川 翠 様


ご感想ありがとうございます!
そして素敵なレビューまで……こっそり読んで下さっていたとのこと、嬉しい驚きで胸が高鳴ってしまいました。完結して作者の手を離れても、作品は生き続けているのだなあと感慨深いです。

童話や御伽噺って残酷なものが多くて、「めでたしめでたし」が皮肉に聞こえることもありますよね。本作でもその効果を狙いました。表面上は治まったけれど、根本的には何も解決していないという……問題を先送りにした結果があのラストというわけです。
誰がいちばん悪いかという問いは、読み手によって意見が分かれるところだと思います。目立っているのはアカツキ姫だけど、大人の自制心を保てなかったヒイラギ王も大概だし、狭量な父王や夫も王様としては失格ですよね。悪人はいない、でも全員愚かでした。ひとつの間違いが招いた結果は、しごく当然の自然の摂理だったのかもしれません。

作者的にも年齢差カップルは大事なモチーフのひとつです(笑)。そしてミミズク愛!! この変身ネタが捨てきれずに「羊飼い」に繋がったのは秘密です(嘘です、公言しまくってます)。

読んで下さってありがとうございました!
[一言]
 日の出と日の入りと似ているようで違うようにアカツキ姫とユウナギ王子の瞳の薄紫は違うんだろうなぁと思いながらユウナギ王子の黄昏の薄紫の瞳に見つめられているようでドキドキしました。登場人物では私はユウナギ王子派です。ヒイラギ王もいいですね。森の民の静かで幻想的な佇まいに惹かれます。
 アカツキ姫が手紙を流して裏切ったのを察した時、ヒイラギ王が「きれいで純粋で愚かなお姫様。わたしの愛しいアカツキ姫」と額にキスをし、あまりにも怒らず妙に優しいのが、わからなかったのですが、そうゆう関係だったのですね! ユウナギ王子への優しい態度も含めて意表をつかれました。
 相変わらずの情景描写の巧みさに目の前に場面が浮かぶようですが、これだけしっかり世界観が描けるなら童話と言わず、上橋菜穂子の「守り人」シリーズみたいな、大人にも人気のある、児童文学のシリーズが書ける筆力なのではないかと思いました。
 素晴らしい物語をありがとうございました! 完結したらムーンにもお邪魔させていただきます。
  • 投稿者: 梢美果
  • 2015年 05月31日 13時59分
梢美果 様


この度は、ご感想ありがとうございました。
頂いた詩的でロマンチックなお言葉の数々に、こちらの方こそドキドキしてしまいました。

汲み取って下さった通り、キャラクターの外見の描写に使う言葉や固有名詞に、なるべく意味を持たせるようにしました。天真爛漫で残酷な日の出と、国の滅亡を象徴する夕暮れの対比がうまく描けておりましたら幸いです。ヒイラギ王をはじめとする森の民は、海と森との循環を経験則として知っている、賢者のようなイメージです。
しかし、まあ、そんな賢者の王様がローティーンの女の子に溺れてしまうのですから、恋とは恐ろしいものですよね……(笑)。この二人の関係は物語のキモなんですが、最後までバレないように気を遣いました。意表を突かれて下さって嬉しいです。

今回童話にチャレンジしてみて、一般向きの小説とは違う言葉遣いや平易な表現に苦心しました。児童文学を進めて下さって光栄ですが、子供にも読める枠の中で自由自在に表現するのはなかなか難しそうです。今後も精進いたします!

これからも様々なジャンルの作品に挑戦していきたいと思います。
この度は本当にありがとうございました。
[良い点]
丁寧で、透明感のある文章で、とても読みやすかったです。
流れるような美しい文章で綴られる儚く美しい世界観。
とてもすばらしい作品でした!!
物語も起伏があって、ファンタジーな世界観は童話としてとてもよくできています。教訓も織り込まれており、子供に読み聴かせたくなるようなお話でした(^^)

ラストにかけての切ない展開は、胸にこみ上げるものがあり、本当に素敵でした。
すばらしい作品をどうもありがとうございました!!
[気になる点]
誤字の報告です。
ユウナギ王子の話2で、良いことはすべで神様の恵みのすべで→すべての誤りだと思いましたので報告します。
[一言]
タカノケイ様のところでお名前をお見かけしていて、とても素敵なかただとかねがね思っておりましたが、作品を読んで納得いたしました!
他の作品もいろいろお読みしたいと思いましたので、お気に入りに登録させてください。ご迷惑でしたらはずしますのでご一報ください(^^)

  • 投稿者: 美汐
  • 2015年 03月12日 05時55分
美汐 様


はじめまして。

この度は丁寧なご感想をありがとうございました。タカノ様つながりでお立ち寄り下さったとのこと、嬉しい驚きです。次々にご縁が広がっていくのが、このサイトの醍醐味ですよね。

勿体ないほどのお言葉の数々、とても光栄です。そんなたいそうな作品だったかな、とちょっと面映ゆいくらいです(笑)。
童話というと「お姫様と王子様と魔法使い」くらいしか思いつかなくて、ファンタジーを少し易しくしたような作風になってしまいました。しかも昼ドラっぽいモチーフも含まれていたりして、ちょっとお子様向きではなかったかもしれません。でも自分なりに因果応報というか、物事には必ず原因と結果があるんだよということを表現したつもりですので、教訓として読み取って下さったのなら嬉しい限りです。

誤字報告も感謝です! さっそく訂正しておきました。何度も見直したはずなんですが、ザルですねえ……本当に助かります。

最後になりましたが、お気に入り登録ありがとうございました。迷惑なんてとんでもない! 私の方も登録させて頂きましたので、また美汐様の作品も拝読しますね。




[一言]
 読みました。面白かったです。
 舞台設定がしっかりしていますね。お話の世界にすんなりと入り込めました。
 ユウナギ王子の容姿から、「え、もしかして…」となりましたが、まさか本当にそうとは。お姫様とヒイラギ王そこまでの関係になっていたのですね。驚きました。
 自然破壊を絡めて人間の愚かしさがよく描けているなと思いました。姫の幼稚なプライドから森が焼け、更には国が滅びる。姫のキャラクターがしっかり描かれているからか妙に生々しく、現実味を帯びて伝わりました。こわい話ですが、歴史上でも少なからず、美しい女性がもとで国が滅びるということはあったようなので、そういう意味でもリアルかもしれません。
 橘さんは人間の心とか気持ちとか、よく理解されているな、と感じます。すごいです。
 楽しい時間をありがとうございました。
ノイジョン 様


ご感想ありがとうございました! 
童話としてはかなり変化球だったと自覚していますが、面白かったとおっしゃって頂けてありがたいです。

ユウナギ王子の出生の秘密はこの作品のキモですので、なるべく最後まで分からないように気をつけました。かえって唐突になってしまいましたが、容姿から気づいて頂けましたか! 最初はもっと露骨に「金髪の多いワダツミ国で珍しい黒髪」とか「あまり王様に似ていない」とか描写しようと思ってたんですよ。でもあまりにもネタバレすぎてやめました。このあたりのさじ加減が難しいですね。

人間の愚かさは描きたかったテーマのひとつですので、読み取って下さって嬉しく思います。アカツキ姫は確かに幼稚で無知で残酷ですが、それもまた人間の面白いところですよね。彼女にしてもヒイラギ王にしても、愚かだけどどこか憎めない、気持ちは分かる、と思って頂けるようなキャラ造形を目指しました。心や気持ちを理解しているなんて、勿体ないお褒めのお言葉ですが、彼らのことを少しでもリアルに感じ取って下さったのならば幸いです。

こちらこそ、励みになる丁寧なご感想をありがとうございました!
また様々なジャンルに挑戦しますので、よろしければ覗きに来て下さいね。
[良い点]
他の皆さんのおっしゃっているように、めでたしめでたし、がいいアクセントになっていると思いました。
ここで、めでたし使っちゃっていいんだ!? と、びっくりしてしまいました(笑)
自然の描写もとても美しくて素敵でした。
[一言]
お気に入り相互ユーザー登録ありがとうございました!

私はこのお話を読んで、ジブリのもののけ姫を思い出しました。一度壊れると戻らない自然の儚さ、尊さを伝えてくれる物語なのかな、と。(勘違いだったら申し訳ありません)

アカツキ姫のあと先を考えない愚かさ、対比してヒイラギ王の賢者っぷり。
どんなに賢い人であっても、おバカさんの無邪気な少女に惹かれてしまうものなんですかね。
とばっちりもいいところですが、被害を受けてしまった森の民。大人しくそれを受け入れたヒイラギ王。可哀想でした。
対して、めでたしめでたしのハッピーエンドにおさまったアカツキ姫が憎らしく思えてしまいました。
そして、生まれたユウナギ王子がヒイラギ王との間の子ということを知ってかなりの衝撃を受けてしまいました。
ヒイラギ王とそこまでの仲だったんだ!
と。(笑 そこまでいってないと思い込んでいましたので)
そこまでの相手をあっさり裏切れるアカツキ姫。女性は怖いです。それで、平気に生活している様がしたたかだなあ、と思いました。
登場人物三人三様のラストは、読者にゆだねるような形で、とても素敵なラストだと思いました。
素敵なお話をありがとうございました。
  • 投稿者: 青瓢箪
  • 女性
  • 2015年 01月20日 22時21分
青瓢箪 様


この度はご高覧ならびに丁寧なご感想をありがとうございました!
活報を拝見しましたが、大変な時期にお気を遣わせてしまったようで恐縮しております……。

「めでたしめでたし」の皮肉については、多くの方がお気に召して(?)下さったようで、狙い通りとにんまりしております。おとぎ話っぽいテイストにしたかったので、うまくハマって嬉しいです。

あのジブリの名作に喩えて下さるとは何と勿体ないお言葉! 最初から環境問題をテーマにしたかったわけではないのですが、無知が招く『原因と結果』の冷徹さを描こうと思ったら、こういう形に落ち着いた次第なんです。対照的な二つの国と住人を描くのはとても楽しく、童話でなければもっと文字数を割きたかったところです。
賢人であるはずのヒイラギ王が、ピュアで浅はかで残酷なアカツキ姫に惹かれる展開は、ちと強引ではなかろうかと心配しておりましたが、そこに関するツッコミはなくて胸を撫で下ろしています。ほんとにね、結局男は若い女がいいんですよね(笑)。プラトニックで終わっていれば彼は完全に被害者ですが、手を出してしまったことで、彼もまた罪人の一人になったのだと思います。
童話だけに二人の関係はほぼ伏せて書きましたので、おっしゃる通り、そこまでの仲だったのかと驚かれるのは無理からぬことだと思います。作品のキモでもあり、そのあたり、もう少し前半で匂わせてもよかったかなあと反省しています。

素敵なお話とお褒め頂いて、忙しい年末に頑張って書いた努力が報われたような気がいたします
本当にありがとうございました。
[良い点]
ヒイラギ王とユウナギ王子が切なくて、胸をうつ物語でした。
[一言]
童話でありながらも、ワダツミ国と森の風景描写が生き生きと描かれており、物語の屋台骨のようにしっかりと物語を支えているような感じがします。

出てくる登場人物は、童話らしくわかりやすい人物でしたが、アカツキ姫の幼く、浅はかさは、リアルの少女のような生々しさを感じさせました。

少女の愚かな嘘が国を滅ぼす。

それは人間世界へのメッセージかもしれません。
些細な事、大した事ない、そう私達が見てみぬふりをして、犯している小さな罪が、自然を破壊し、人間を追いつめてるのでしょう。

個人的にはヒイラギ王とユウナギ王子が好きです。
特にヒイラギ王が、賢く素晴らしい王様が、たった一度の恋に、国さえもかけてしまった。
そして自分の国を滅ぼした時、アカツキ姫を責めるのではなく、自分のせいなのだと自覚していた。

それでも恋は止められない。恋は盲目。老いて死ぬ間際ですら、ヒイラギ王はアカツキ姫を愛していたのだと。
それがせつなく狂おしいです。

そしてアカツキ姫とヒイラギ王の、犯した罪を、生まれながらに背負わされたユウナギ王子が、森を焼く事を止められずに、自分のせいだと罪を背負い込んだ事に、泣けてきます。

儚く、切なく、美しい物語でした。
  • 投稿者: 斉凛
  • 女性
  • 2015年 01月14日 11時38分
斉凛 様


いつもご感想ありがとうございます! このように嬉しいリアクションを頂けて、書いてよかったなあとじみじみ思います。

描写についてのお褒めのお言葉、たいへん嬉しく思います。ふだんの作品に比べるとだいぶ控え目にしたのですが、十分伝わっておりましたでしょうか。「西洋風の街並み」「深い森」などの、イメージしやすい定番設定に救われたような気もします。

読作品をラブストーリーとしてとらえて下さったのですね! あくまで童話なので、あまり色恋沙汰を表には出しませんでしたが、そうなんです、実は恋愛モノだったんです。薄いけれど大事なエッセンスを読み取って下さって本当にありがたく思います。
アカツキ姫は愚かだけれど年相応の少女というイメージで描きました。あの年頃の女の子って、悪気なく残酷なんですよね……大人びているかと思いきや、ものすごく幼稚なところもあって。そういう年下の少女に振り回される年嵩の男性という構図は好みで、つい書いてしまいました。
ヒイラギ王はもう少し大人の分別を持つべきだったと客観的には思うのですが、そこに切なさや狂おしさを感じ取って頂けたようでホッとしました。
両親の業を背負って生まれてきたユウナギ王子こそ、いちばんの被害者だったのかもしれませんね。

>少女の愚かな嘘が国を滅ぼす。

これいいなあ。これかっこいい(笑)。キャッチコピーに使わせて頂きたいです。

この度は励みになるご感想を本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
[一言]
大人向けの童話というより、童話のテイストで書かれた大人向けの作品だと感じました。

森の国と、海辺の国。童話やファンタジーではありがちでわかりやすい世界を使われていたので、後半の悲劇につながる下地が(それと気付かないうちに)すんなりとイメージすることができ、上手い構成だなと思いました。
文章の安定感はさすがの一言で、冒頭から物語世界にぐいぐいと引き込まれ、気がついたら読破していました。

この物語は、だれも悪くないのに、結果として、ふたつの国が滅んでしまうという、やるせないストーリーですね。人間が悪くて国が滅びたというお話だったら、こうならないように気をつけましょうとなるところでしょうけど、そう簡単に割り切れないお話になっているところが、この作品のいちばんの魅力ですね。
「めでたしめでたし」には、ほんとうにやられました。童話のフォーマットですが、ここでそれを書くかぁって、思わず唸りました。

ラストシーンは解釈が難しいです。ヒイラギ王がアカツキ姫のところに舞い降りれば、さしずめ「恩讐のかなたに」というところですが、彼は飛び去ってますからね。歌う姫の胸中になにがあるのかも、いろいろ想像できるし。いずれにせよ、読み手にも解釈の余地が残された、とても余韻のある終わり方だと思います。
でも……もやもやするんですよね(いい意味で)。これ、しばらく後を引きそうです。

童話のなりをした問題作、楽しませていただきました。あー、もやもやする。
TOM-F 様


ご感想ありがとうございます!

羊の皮を被った問題作、ご堪能頂けましたでしょうか? 
ド直球の童話が書けてこそ、たまにはこういった大人テイストの作品が光ってくるものだと思いますが、思った通り私には前者は無理でしたね……とりあえず大人読者さんをもやもやさせることができて光栄です。

「美しいお姫様」や「お姫様をさらう魔法使い」や「お姫様を救い出して王位を継ぐ若者」などなど、今回おとぎ話のテッパン設定を使ってみて、初めてその使い勝手の良さに驚きました。残るべくして残っている要素なんですね~。また「めでたしめでたし」についてもいろんな意味合いに取れて面白いと思いました。

読み取って下さった通り、国を滅ぼした不幸の連鎖は誰が悪いというものではないんですよね。人間が生きている限りもう避けようがない過ちかと。言えることがあるとすれば、今やっていることがどういう結果を招くかちゃんと自分の頭で考えようね、くらいでしょうか。

結末については悩んだところです。ヒイラギ王が彼女のもとへ舞い降りることも考えたのですが、お互いに過去の恩讐を受け入れることはできても水に流すことはできないだろうと思えてやめました。彼らはあくまでも別の世界の人間だという描写にしたつもりです。でも確かにもやっとしますね……余韻とフォローして下さって感謝いたします……。

また機会があれば童話にもチャレンジしてみたいと思います。
この度は本当にありがとうございました。
[一言]
最初は胃がきりきりし、最後は胸が苦しくなりました。

「森は海の恋人」運動を思い出します。

童話は昔起こったことのようでいて、まぎれもなく今起きていることをあらわしているのだな……と思ってしまいました。

幼いころ、だれもが犯す間違い、幼稚なプライド、無知と偏見……それに捕らわれてしまうと、世界が壊れてしまう。そんな残酷さが胸に迫ります。ヒイラギ王の過ちは、恋によって森に災いをもたらしたことですが、それは読者にとっては過ちとは思えないような描写になっていました。そういった種類の過ちも、やはり因果応報をもたらしてしまうのですね。

読みやすく美しい文章で、橘さんのお話のなかでは珍しく、登場人物の外見描写にも力が入っていました。
物語という箱庭のなかを、じっくりと細部まで眺められたように思います。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2015年 01月10日 15時13分
管理
鹿紙 路 様


いつもご感想ありがとうございます!
冬童話書くぞ書くぞと宣伝ばかりしていたものですから、でき上がった作品のショボさにそっぽを向かれたらどうしようと心配しておりました。とりあえずは、鹿紙様の心を揺さぶることができたようで(マイナス方向へかもしれませんけど)嬉しいです。

「森は海の恋人」、私もこの事実を知った時は目からウロコが落ちる思いで、地球の循環システムの合理性に感心したものです。人間の活動によってその循環が狂ってしまったとしても、別にそれは天罰でも何でもなく、当然の結末にすぎないのだと思います。結果として人間が困るだけで。そういうシンプルな因果応報譚に古風なおとぎ話を絡ませたら、えらく皮肉な作品になってしまいました。
無知も偏見も幼さも、時によっては恋愛感情も、ひとつひとつは決して悪ではないと思うのです。でもそれらが不幸に連鎖すると、取り返しのつかない過ちになってしまうのかもしれません。

童話なのに、こんな悲愴な話にしちゃってすいません(笑)。

「箱庭」というお言葉が私のイメージと一致していて嬉しいです。広い森がそんな簡単に燃えるか? とか、現実感には乏しい描写が多々あったと思いますが、童話ならではの小さく完成された世界観を汲み取って頂けたようでありがたいです!

また今後ともよろしくお願いいたします。
[一言]
 拝読しました。
 光景、情景が目に浮かぶような世界の描写。これが実に美しくて流石です。
 そして三話目の「めでたしめでたし」が実に効いていると思います。
 これが象徴するように、見えない部分、知らない部分に目を伏せて耳を塞いで一部だけを切り取れば、ハッピーエンドにならなくもない。けれどそれは決して本当の結びではない。
 子供めいた虚栄や無知が引き起こした取り返しのつかない事を描きつつ、また同時にそうした事柄を諦めではなく包容する大きな優しさの視点があるお話だとも感じました。
 ラストシーン、亡国のバルコニーで北へと歌うお妃様の姿は、焼かれた森で南を見ていたミミズクの対比と相まって胸に沁みます。

 活動報告で書かれていた、「いちばん悪い人は誰だったのか」。
 王でありながら私心に流されてしまい続けたヒイラギ王。稚気ゆえの引き金となってしまったアカツキ姫。目を逸らしたい本当に竦んでしまったユウナギ王子。
 皆が皆、ちょっとずつ自分の痛い事から逃げてしまった。思考停止して、他に責任を押し付けてしまった。
 そんな物語であるだけに、これは意見が分かれそうです。
 被害を被っただけに見える国民たちだって、王様たちに全部任せて深く考えずにいたわけですしね。
 などと考えつつも、「やっぱり俺の中ではアカツキ姫かなあ」と思ってしまうのは、きっとヒイラギ王が一番の気に入りだからでありましょう。
 まさしく鳥瞰図めいた広い視点と知識を持ちながら、それに比して取るに足らないとすら言えそうなものに捕われてしまう。そういう性質と有様が、どうしてかとても好みです。

 また読了した後、映画「ラビリンス/魔王の迷宮」をふと思い出したりしました。
 デヴィッド・ボウイ演じる魔王がフクロウに変身するシーンがあったり、「ヒロインちゃんさー、君、魔王になびいてやってもいいんじゃない?」と感じたりしていた事からの連想と思われます。
 つまるところやっぱり俺は、大分ヒイラギ王に感情移入している模様です。
鵜狩 様


ご感想ありがとうございます!
普段書かないジャンルへの挑戦でしたが、ご高覧頂けて嬉しく思います。

童話なのですから、本来は子供に語って聞かせられるような柔らかくて教訓に満ちたお話にすべきなんだろうなあと迷いました。結局、皮肉な現実を童話の真綿でくるんだような残酷な作品になってしまいました。たぶん子供が読んでもつまんないと思いますが、大人読者さんには喜んで頂けてよかったです。

おとぎ話の定番フレーズへの皮肉や、対照的なシーンへの言及など、作者が意図した以上の意味を読み解いて下さってありがたいです。平易な言葉遣いとシンプルな文章を心がけたため、描写の取捨選択には心を砕きました。作者的には「もっと書きたい!」ところで止めている状態ですので、深読みしてくれるのは非常に助かります(笑)。

誰がいちばん悪かったか、という点。てっきりヒイラギ王への集中砲火かと予想してましたが、意外とアカツキ姫というご感想が多くて驚きました。彼女は愚かではありましたが、まあ思春期初期の女の子はあんなもんかと。そこをいさめて導いてやるのが大人の役割だと思うのですが、一緒に道を踏み外した彼の業は深いです。おまえあんな小娘に何しとんねん、です。
でもおっしゃる通り、誰もが少しずつ悪くて無責任だったというふうに描いたつもりです。それが伝わったのであればたいへん光栄です!

「ラビリンス」私も観ました(年がバレますね)。歌って踊れるロックな魔王様がめちゃかっこよかったのを覚えています。あの作品は白いフクロウでしたよね~懐かしい。
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