イチオシレビュー一覧

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もう読んで泣くしかないよね。

タイトルから気づくかたが多いかと思いますが、本作は村崎羯諦様の作品「余命3000文字」のオマージュ作品とのことです。

余命30000文字の宣告を受けた女性。残された文字数を大事に生きていこうと決意します。

そんな彼女が文字数を費やしても良いと思えたものは何だったのでしょう。

彼女の過ごした時を一緒に追いかけながら、胸が切なくさせられます。



ただ幸せであってほしいと願うこと。ぜひ最後までお読みください。

残りの命は30000文字。その間に誰を愛し、何を成すのか。

 余命30000文字と告げられたとある女性。
 たった30000文字の人生の中で、彼女は誰を愛し、どのように生きていくのか? その様を描いた味わい深い純文学作品です。

 こちらは『余命3000文字』( https://ncode.syosetu.com/n0112gc/ )という小説のオマージュ作品となりますが、全く別の面白さがあります。
 本当に素晴らしくて心から感動できます。おすすめです、ぜひ読んでみてください。

愛した人たちがいた。

  • 投稿者: 石嶋ユウ   [2021年 07月 14日 17時 38分]
余命30000文字という不思議な余命宣告を受けた女性が、愛した男性との間に生まれてきた子供を立派に育てようとする様子が読み手の心を強く揺さぶる。気づくと、子供のリヒトの成長していく様子に感動しているのは、きっと、この作品に優しい空気が流れているからだろう。

主人公には愛した人たちがいた。その人たちと余命30000文字の人生を共に生きられたのは、主人公にとってどれだけ嬉しことだったのだろうか。主人公の人生と当作の作者のつこさん。さん、それから、オマージュ元の『余命3000文字』の作者である村崎羯諦さんに敬意を表したいと思う。

素敵な一作でした。

自分の30000文字の価値を決めれるのは自分だけ

  • 投稿者: 地辻夜行   [2020年 09月 01日 16時 39分]
余命30000文字。
彼女につきつけられた、冗談のような余命宣告。
彼女は残された文字数を自分の為に使いきるために、穏やかにだけれど、しっかりと文字数を管理した生き方をするべく行動する。
だが、そんな彼女が生き方を変える時が来る。
きっかけは、女としての愛。
貫いたのは、母としての愛。

自ら制限を課した物語でありながら、文章の美しさ、物語の深さ、読者の心への語りかけが過不足なく表現された至極の作品。
是非とも読んで頂きたい一作!

きっとあなたも泣いてしまうから。外出先ではなくご自宅で読んでいただきたい名作です。

あなたのためなら死んでもいい。
そんなセリフが登場するのは恋愛物というイメージはありませんか。確かに恋した相手のために命を捧げる描写は泣けるものがあります。けれど実際のところ、自分自身がそれをリアルに実感するのは、恋をした時ではなく、親になった時なのかもしれません。

物語の主人公は、余命宣告を受けたとある女性。彼女は自身の命が残り30000文字だと知ると、できるだけ静かに毎日を繰り返していこうと考えます。ただ布団の上で大往生を迎えるために。ところがある日、この人のためになら10000文字だって惜しくはないと思う男性に出会ってから、彼女の人生は変わり始め……。

長生きするために感情もまた揺れ動くことのなかった彼女が、我が子の一挙手一投足に涙し、怒り、嘆き、笑う様子を見ていると胸がいっぱいになります。我が子の成長を重ね合わせ、あるいは母の愛を感じながら、この世界を味わってください。

30000字で紡がれる一人の女性の人生

  • 投稿者: 退会済み   [2020年 08月 01日 00時 00分]
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余命30000字という不思議な病にかかり、余命宣告を受ける主人公。
無駄なく生きようとする彼女は一人前向きに、そして残りの人生を丁寧に過ごします。

そんな彼女が自分の10000字を捧げても良いと思える恋に落ちます。
その描き方はリアルそのもので、特別なイベントがあって運命的な出会いをするでもないのに、何気ない日常に色がついて周りがなんだかカラフルに見える、そんな恋の描写が素敵でした。

10000字捧げてもよいと思えるほど愛した男性との息子。彼に似た息子を育てる主人公の気持ちに自然と心が寄り添ってしまい、最後は涙が止まりませんでした。

本文もぴったり30000字なのです。
読み終わったあとにそれに気付いて、鳥肌が立ちました。
その繊細なこだわりに脱帽です。

人生で大切なものは、それほど多くないのかもしれない

あなたの余命は30000字ですという、不思議な余命宣告を医師から受けてしまう女性。
無駄な時間・描写・心の動きを排し、淡々と生き続けるよう努める彼女。

でもそんな彼女に『10000字費やしてもいい』と思う運命の男性・マサヒトが現れる。
なのに彼は急死し、彼女の世界から色は消える。

しかし彼の忘れ形見が、彼女の胎内に宿っていた。
以来、彼女は自分の為に余命を数えることを忘れる。
息子であるリヒトの為に余命を数え、リヒトを幸せにする為に生きるようになる。

傍から見れば、彼女の人生は幸せと言い切れないかもしれない。
でも最後の一文字まで生き切った彼女は、この上なく幸せそうだ。
むしろ、羨ましい気すらするだろう。

本当に大切なものや人は、人生でそう多くはない。
本当に大切なものや人と丁寧に過ごすことが出来れば、人生はもう、それでいいのではないかと思える佳作。
ぜひご一読を。

母が生きている。何と幸せなことか。

  • 投稿者: 暮伊豆   [2020年 06月 11日 01時 53分]
世の中には、自分の母親に向かって「うるせぇババア! さっさとくたばれ!」などと口にする若者もいるらしい。
そうかと思えば、長患いの末に眠るように息をひきとる母親もいる。

ならば、孝行息子を持ち、長患いをすることもなく定められたタイミングで旅立つ母親は幸せなのか?

自分の寿命を知ってしまうのも辛いものがあるが、親の寿命を知ってしまうのも同様に辛いものだ。

親の死とは避けられぬものだ。
このような人類共通の難題に直面した時、人はどうするのか。
来るべき日に備えて、この作品を読んでおくのも手かも知れない。

何度でも、心が洗われる。

  • 投稿者: 退会済み   [2020年 06月 06日 19時 38分]
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本家と同様、主治医から余命の文字数を宣告される場面から始まりますが、そこからの展開はオリジナル。

おそらくこれまで無難に生きてきたと思われる「わたし」は、余命を突きつけられても規範から逸脱することはせず、「無駄な描写」のない生活を始めます。

余命と向き合い、限られた時間でも楽しく生きる。でも、手に負える範囲で。

恐らくそれが一般的で、誰もが共感する考え方だと思います。

そんな「わたし」ですが、ある大切な人と出会ってからは、一気に文字数消費が加速し始めます。

「10000文字も惜しくはない」と感じた「わたし」の情熱や、この作品を語るうえで欠かせない「わたし」の子、リヒトに命を懸けていく姿。

その辺りからは、もう涙なしには読めません。

それくらい、登場人物それぞれの心情描写は圧倒的です。

何度読み返しても、その度に心が洗われる、本当に素晴らしい作品です。

全お母さん、そして全学生さんへ。ぜひぜひ読んでみてください。

短編扱いなのに3万文字。長すぎ!って思いますよね?
でも、大丈夫。
読みやすくわかりやすい文章のおかげで、あっというまに読了します。
そして感動の涙があふれること、間違いなしなのです。

主人公の女性は、ある日突然、自分の余命が3万文字であることを告げられます。
文字数を浪費しないよう、静かに暮らしていた彼女。でもやがて恋を知り、子どもを産んで……。

休校に自粛生活に。
母と子が、家で今ほど密着している時期は、かつてないのではないでしょうか。
そんなときだからこそ。この物語をおすすめします。
ちなみにこのレビュー、256文字!

(追記。この作品には『余命3000文字』という本家がございます。傑作ですので、そちらもぜひ)
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