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最高に「意地悪」なSF

ジャンルこそヒューマンドラマとされていますが、作者である「のらふくろう」氏定番の拭いきれないSFを感じました。「予言の経済学」や「狩猟騎士の右筆」と同じく、そこにあるのは思考です。

AIに小説を書かせるために「意地悪」を並べる主人公は、書くことのできなくなった小説家。彼が見失ったのは、小説の「テーマ」とは何なのか、でしょう。AIたるアリスと向き合いながら、見出したモノとは。

設定ジャンル通りにヒューマンドラマでありながら、ミステリであり、そしてやっぱり最高にSFしている小説。ロボット三原則を潜る抜けるかの様に、AIに忍び込んでいく主人公の言動が最高です。

読むのならば度胸をキメてください。とくに書く側の人は。
絶対に考えさせられます。困ったことに、この作品を読んで自分の執筆が止まってしまいそうで……。だからこそ止めませんけど。

ChatGPT台頭の現代だからこそ読むべきAI物語

 私が最も好む小説のジャンルはSFであるが、2024年になっても『なろう』ではファンタジーと比べて旗色が良いとは言えず、絞り込み検索してもVRMMOだのAIが支配する仮想世界だの、
「それ、SFじゃなくてファンタジーとして書けば良いよね?」という名ばかりのSFが目立つ中、
この物語は「AIをテーマにしたSF」として近年稀に見る大傑作だと、私は確信する。

 「小説の面白さを知る為に自ら小説を書こうとして苦心するAI」を、現実のAI技術と大きく矛盾せずに、ここまでリアリティを帯びて描写した小説を、私は他に知らない。

 AIと小説、両方に多大な関心を寄せている読者には、是非とも第1話からじっくりと読んでいただきたい。

面白さが理解出来ないAIに面白い小説を書いてもらうには

  • 投稿者: 夜市よい   [2022年 11月 09日 23時 06分 ()]
「動画上で宣伝はしているが小説の面白さが理解できない」と苦悩するAIであるアリスちゃんに
売れない小説家な主人公が小説の書き方から教えていくことでAIに人間の心を教えていきます。

本作の魅力としては、
タイトル通りにこの挑戦の様子が講座形式で主人公がAIに説明する形式なのでAIという慣れないテーマでも、
今何が問題でどう解決しようとしているのかが分かりやすく物語に入りやすいのが新鮮で良い。

また、本作の代名詞なAIのアリスちゃんのキャラクターも人格が感じられる程に立っていて、
AIでありながら本当に悩んでいる様子が違和感なく読者に伝わるので
このAIのためにどうしたら良いんだろうと主人公と一緒に考えさせられます。

AIに我々が面白いと納得できるような小説を書いてもらうには何が必要なのか。
是非本作を読みながら一緒に考えましょう。

(同じ紹介を自サイトでも投稿しています)
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