イチオシレビュー一覧

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予測不可能な二人が織りなす美しい葬送歌

  • 投稿者: ミオ   [2023年 12月 06日 22時 10分]
煌びやかで影のある後宮で今までにない死を弔う物語。恐怖は感じず、夢見里龍先生が紡がれる言葉には奥行きがあり惹きこまれてゆきました。
死とは触れてはいけない禁忌と思っていましたが、涙で見送るのではなく、美しいものなのだ!と今までの考えが一掃され死化粧妃の虜になりました。

誰にも平等に訪れる死を美しく弔う紫蓮、人に蔑まれても誇りを持ち生きる強さとはかなさ、文章にちりばめられた繊細な麗しさの波がとても心地よく楽しめます。

奇人な絳が恋に落ち
「これまでの彼が崩れた」瞬間、痺れました!
色香漂う2人のからみは軽快でありミステリアス!

予測不可能な2人が織り成す葬送は美しい音色が生まれ物凄く面白いです。
闇に咲く花のような美しさがある物語、紫蓮と絳の色香漂う秘めた雰囲気も最高です。
書籍でゆっくり楽しみたいです!
アニメになればより一層死化粧妃の魅力が開花しそうです。

死に魅入られた姑娘は死者と語らい、そして美しく死者を葬送する。

他人を避けて住処に籠る死化粧という非日常に携わる娘"紫蓮"と、どこか浮世離れした後宮に於ける現代の刑事のような官職に就く若者"絳"により織りなされる事件譚。

死者は語ると言い、卓越した監察医とも言える観察眼で紫蓮は死体と語らい事件を紐解いていき、自らの背負う大きな運命と向き合っていくことに……

"死"と"陰謀"と"美しい悲しみ"で彩られた後宮ミステリーといった趣きの本作
重いテーマの物語をテンポよく読みやすく書かれている夢見里先生はやはり流石というべき筆力です!

一路走好 死は葬らなければならない

  • 投稿者: 読人   [2023年 10月 27日 22時 04分]

夢美里先生の新たな世界が広がります。



死化粧師である廃妃、というだけで興味津々。エンバーミングって??から始めましたがぐいぐい読ませてくれます。

心情、駆け引き、ちょっとした仕草の描写。

一切そうゆう単語は出てこないのですが、行間からにじみ出る官能的な空気感。どこかしら壊れている登場人物。もう最高です。



(さながら、透きとおった水の奈落だな)

バディ?が廃妃を表した言葉ですが、深海動画とか見ると落ち着かなくなってしまう私には、深い深い闇が、とても伝わる一言でした。

第二部の終わり、物語の核に迫ってきて、続きが楽しみです。紙で読みたい。

あなたは、死を愛し、死に愛されている その言葉の真意とは

謎が多い主人公 紫蓮 
相方となる 絳もなにか過去に背負っています。
幼い年齢でエンバーミングを修めた紫蓮は大きい運命を背負っていますが本人は飄々としているのがこの作品のあじです。
エンバーミングの描写がとても精緻で作者さまの圧倒的な力量を感じます。
腹黒(?)な絳も面白いキャラクターでこれからの展開が楽しみです。
このふたりの関係はどのようになっていくのか。
期待大の作品です!

死体を愛す妃と、彼女を愛す変わり者の官僚

妖妃と呼ばれる主人公・綏紫蓮はまだ十四~五歳。
彼女は悲惨な姿になってしまった死体をも美しい姿に復元する死化粧師です。
紫蓮は死体を愛し、訴える声を聴こうとします。現在でいう「検視」もやります。
それが闇に葬られていた事実を暴き出し、死体の名誉と尊厳を回復することにつながっていきます。

彼女に強烈に心惹かれることになる官吏の姜絳。「豺(やまいぬ」のようだと言われる飄々としてつかめない男。
死体の腹を裂く死化粧師の娘を見て、熱烈に一目ぼれして告白してしまうのです。

しかし、そこに彼は「慈愛」を見ていました。紫蓮は深い愛をもって死体に化粧を施します。優しく語りかけ、時には接吻をしながら。
二人の関係性の変化に期待です。

個性的な題材に、魅力的な登場人物、少しづつ明らかになっていく謎の面白さ、ぜひ書籍化してほしい作品です。
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