イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く 価値のない物を盗む事を趣味である藤巻は、価値のないと判断した本の中に挟まった、価値のあると思われる家族写真を返そうと盗んできた家に忍び込むのだが、その家の家主である女性の宮内アヤカと鉢合わせしてしまう。
しかし、彼女は「ありがとう、これでまた、失える」と言って写真を燃やしたのだ。
その後、彼女が官能小説家であることを知り、そこから彼女と関わることで変化が現れるのだが、一方で彼女は失っていって……。
不思議な世界観の物語ですが、藤巻が色味を帯びていく一方で、彼女が透明になっていく対比が何とも言えないほど、胸が熱くなって、また胸が締め付けられてしまいます。
そして、文章は何とも言えない透明感を感じる作品でありながらも、内容はとても濃い、これぞ純文学と感じる作品でした。
独特の世界観に入り浸りたい方に強くオススメしたい名作です。
是非今1度ご覧ください。
しかし、彼女は「ありがとう、これでまた、失える」と言って写真を燃やしたのだ。
その後、彼女が官能小説家であることを知り、そこから彼女と関わることで変化が現れるのだが、一方で彼女は失っていって……。
不思議な世界観の物語ですが、藤巻が色味を帯びていく一方で、彼女が透明になっていく対比が何とも言えないほど、胸が熱くなって、また胸が締め付けられてしまいます。
そして、文章は何とも言えない透明感を感じる作品でありながらも、内容はとても濃い、これぞ純文学と感じる作品でした。
独特の世界観に入り浸りたい方に強くオススメしたい名作です。
是非今1度ご覧ください。
∀・)皆様こんばんわぁ。昔聴いていたラジオ番組で「ブランキー・ジェット・シティーの3人ってなんで出会えたのだろう?」って話をラジオパーソナリティさん達が語り合っていて……僕もそれがどうしてかを半日考えて中学時代を過ごしていたイデッチで~す♪♪♪
∀・)本作はそれこそ何で出会ってしまったのか?っていう2人が紡ぐ物語です。一人は夜になるとその人のどうでもいい物を盗む泥棒を働く藤巻という男。その泥棒からある写真を盗まれた小説家の宮内という女。彼らは藤巻の奇異な行動から出会う事となってしまいます。しかしこの出会いから何故か仲が深まることになり――
∀・)不思議なんですよ。この2人って何なんだろう?という感じで。でも彼にも彼女にも確かな物語が双方にあって。それが絡まり1つの物語にまたなって――
∀・)その凄く不思議な空間。一読してこそ感じられるものです。そう想ってご一読を薦めます☆☆☆彡
∀・)本作はそれこそ何で出会ってしまったのか?っていう2人が紡ぐ物語です。一人は夜になるとその人のどうでもいい物を盗む泥棒を働く藤巻という男。その泥棒からある写真を盗まれた小説家の宮内という女。彼らは藤巻の奇異な行動から出会う事となってしまいます。しかしこの出会いから何故か仲が深まることになり――
∀・)不思議なんですよ。この2人って何なんだろう?という感じで。でも彼にも彼女にも確かな物語が双方にあって。それが絡まり1つの物語にまたなって――
∀・)その凄く不思議な空間。一読してこそ感じられるものです。そう想ってご一読を薦めます☆☆☆彡
訪れた家には作家が一人で住んでいた。
- 投稿者: 退会済み [2024年 07月 24日 07時 47分]
管理
日常に張り合いを見出すことができず、ただ流されるように生きていた彼は、とある家に忍び込みその中で何の価値もないものを盗み出そうとしていました。
その家で出会った、家族を失い一人暮らしをしている女性作家。
こころに抱く悲しみが二人を少しずつ近づけていきます。
そして、少しずつ何かが変わってくるのです。
しっとりとした純文学作品をあなたへ。
その家で出会った、家族を失い一人暮らしをしている女性作家。
こころに抱く悲しみが二人を少しずつ近づけていきます。
そして、少しずつ何かが変わってくるのです。
しっとりとした純文学作品をあなたへ。
自分の虚しさを埋めるように盗みをする藤巻。
盗みに入った先で出会う女性、宮内。
その出会いで、無色透明な藤巻は色を手に入れていく……。
宮内の、どんどん透き通って見えなくなってしまうような危うさには、ずっとハラハラしました。
彼女の抱える悲しみ。それを直接的ではなく、彼女の作品である“物語”から感じることで、より計り知れない痛みに感じたり。
心理描写がとても巧みな作品です。
景観の描写も美しく、心から浸ってしまう。
文章を読むことの楽しさを改めて感じさせていただきました。
盗みに入った先で出会う女性、宮内。
その出会いで、無色透明な藤巻は色を手に入れていく……。
宮内の、どんどん透き通って見えなくなってしまうような危うさには、ずっとハラハラしました。
彼女の抱える悲しみ。それを直接的ではなく、彼女の作品である“物語”から感じることで、より計り知れない痛みに感じたり。
心理描写がとても巧みな作品です。
景観の描写も美しく、心から浸ってしまう。
文章を読むことの楽しさを改めて感じさせていただきました。
主人公の藤巻は自分のことを『透明な存在』だと信じています。
そんな彼は、価値のない物を盗みに入るという奇妙な趣味を持っていました。
或る夜、藤巻は忍び込んだ家でその家の主人である小説家の宮内アヤカに目撃されてしまうのですが――。
果たして自分は『透明な存在』ではないと言えるのだろうか――この作品を読んだ時に感じたのは、そんな思いでした。
人はその一生で多くのものを得て、多くのものを失っていきます。
その度にその生の色も変わっていくのでしょう。
「ありがとう、これでまた、失える」
第一話でそう言った宮内アヤカは、この物語の中でまた色を失ってしまうのか、それとも。
この繊細で美しい物語を、是非見届けてください。
そんな彼は、価値のない物を盗みに入るという奇妙な趣味を持っていました。
或る夜、藤巻は忍び込んだ家でその家の主人である小説家の宮内アヤカに目撃されてしまうのですが――。
果たして自分は『透明な存在』ではないと言えるのだろうか――この作品を読んだ時に感じたのは、そんな思いでした。
人はその一生で多くのものを得て、多くのものを失っていきます。
その度にその生の色も変わっていくのでしょう。
「ありがとう、これでまた、失える」
第一話でそう言った宮内アヤカは、この物語の中でまた色を失ってしまうのか、それとも。
この繊細で美しい物語を、是非見届けてください。
真っ白なキャンバスに、一色、一色と筆が紡がれる
- 投稿者: 退会済み [2024年 05月 26日 11時 15分]
管理
主人公・藤巻健吾は色が付いていない人生を送っていた。
『無色・透明』というやつである。
その藤巻の趣味?は泥棒に入ること。盗まれた相手に『無価値』であるものを盗むこと。
藤巻はその『透明』であるが故の存在感のなさで、今までその犯罪行為がバレたことはなかった。
しかしその盗んだものが『思い出の写真』であり、『価値がある』ことを後悔し、返しに行こうと思い立って、犯罪がバレてしまう。
その盗まれた相手、宮内アヤカもまた『無色・透明』であった。
『真っ白なキャンバスに、ペンキをぶちまけたような』
という表現が使われますが、この作品は一色一色と、丁寧に塗り込まれ、筆を紡がせていくような物語だと感じました。
この世のだれもが生まれたときは透明で、出会った人に色を書き込まれて、それで自我と他人からの認識で自分という人間が出来上がっていくのでしょう。
そういう自己認識の物語だと思いました。
『無色・透明』というやつである。
その藤巻の趣味?は泥棒に入ること。盗まれた相手に『無価値』であるものを盗むこと。
藤巻はその『透明』であるが故の存在感のなさで、今までその犯罪行為がバレたことはなかった。
しかしその盗んだものが『思い出の写真』であり、『価値がある』ことを後悔し、返しに行こうと思い立って、犯罪がバレてしまう。
その盗まれた相手、宮内アヤカもまた『無色・透明』であった。
『真っ白なキャンバスに、ペンキをぶちまけたような』
という表現が使われますが、この作品は一色一色と、丁寧に塗り込まれ、筆を紡がせていくような物語だと感じました。
この世のだれもが生まれたときは透明で、出会った人に色を書き込まれて、それで自我と他人からの認識で自分という人間が出来上がっていくのでしょう。
そういう自己認識の物語だと思いました。
自分を誰からも見られていない透明な存在だと感じている藤巻は、時おりその「透明」を自虐的に(?)確認するように泥棒を繰り返していた。
藤巻には自分に課した1つのルールがある。価値のないものを盗む。持ち主さえ気づかないような・・・。
ある夜、藤巻は忍び込んだ家から盗んできた文庫本の中に1枚の家族写真を発見する。
ひょっとしたらこれは価値のあるものかもしれない・・・。
悩んだ末にそれを返しに再び侵入した家で、藤巻は住人に見つかってしまうが・・・
驚くべきことに、その住人の女は「ありがとう。これでまた失える」と言って、目の前でその写真を燃やしてしまうのだった。
幕田卓馬という作家の代表作に入れてもいいような、深みのある傑作だとAjuは思います。
藤巻には自分に課した1つのルールがある。価値のないものを盗む。持ち主さえ気づかないような・・・。
ある夜、藤巻は忍び込んだ家から盗んできた文庫本の中に1枚の家族写真を発見する。
ひょっとしたらこれは価値のあるものかもしれない・・・。
悩んだ末にそれを返しに再び侵入した家で、藤巻は住人に見つかってしまうが・・・
驚くべきことに、その住人の女は「ありがとう。これでまた失える」と言って、目の前でその写真を燃やしてしまうのだった。
幕田卓馬という作家の代表作に入れてもいいような、深みのある傑作だとAjuは思います。
イチオシレビューを書く場合はログインしてください。