イチオシレビュー一覧

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架空転生戦記 〜縛りプレイ 難易度マシマシ〜

この武将の運命知ってる?現代知識も歴史上の出来事も知ってる?じゃあこの武将に転生して、領地0家臣0幼馴染も地獄身内の殆ど粛清済スタートでもいいよねーー!

これがあらすじです。あらすじだけです。しかもこれ以降も縛り内容は順次追加です。失敗したら即死亡フラグ。理不尽の極み。綱渡りどころか常に首に綱かかってます。

ではそんな状況からどうやって主人公はどうやって生き延びるのか?

内容としては、戦国時代への架空転生戦記。丁寧な地理・時代描写は他のなろうモノと比べても抜き出てます。しかしこの小説を傑作足らしめているモノを上げるなら「人間の欲深さ」と「恐怖」。終始これは徹底して描かれており、それがこの小説になんとも言えない奥深さ・重厚感を生み出しています。

是非読んでみてください。歴史モノ、特に知略・戦争系にハマる人には終生のバイブルとなり得る作品です。

信長チートに満足できなくなった読者に

  • 投稿者: 牡牛   [2019年 11月 15日 18時 09分]
本作を初めて読んだ人の多くは、「これ、どんなフレームで読んだらいいの?」と戸惑うのではなかろうか。

転生主人公・八郎は動機がわかりやすいのだが、掴みにくいのはその周囲の敵味方のキャラ。現代と常識の異なる「室町時代の武士たち」の考え方が、ミステリーでありギミック。
表向きのシナリオ要旨は「ラスボス毛利元就ほかの謀略のなかを、八郎がサバイバルする話」となるが。
テーマは異世界探訪タイプ、「八郎といく室町武士たちの社会」あたりか。

例えば、おどろおどろしい『国人衆達の地縁・血縁・怨念と離合集散の繰り返し』。
これを「武士は戦争ビジネス、出兵はトレード可能な債権・債務」として読む。それが出来る下地が充分にある。


難点を1つだけ言うなら、第1章。「死に戻りループ」を参考にしたのか。ワトソンとホームズ、2役の立ち回りを八郎ひとりに担わせてカオス。入口を整理したら化けそう。

難易度ルナティックな戦国転生

  • 投稿者: ぶらんか   [2018年 08月 22日 22時 13分]
 読者視点でさえ「身分を捨てて逃げた方がマシなのでは?」と思ってしまう、そんな難易度ルナティックな戦国転生もの。大友氏の生まれという時点で毛利や豊臣との争いが待っているのに、父は粛清されて家臣も領土もなし。なまじ当主の従兄弟なものだから下手に功績をあげすぎると野心を疑われるという有様。これ、逃げたら逃げたで「他家に利用されて戦の口実にされたら困る」ということで暗殺されかねないのでは。

 前世知識によるチートがあってさえ悪戦苦闘する強敵や複雑に絡まった因縁に主人公と一緒に頭を抱えたくなる作品。ライトノベルやネット小説の読者でも、こういう「ヘビー」な作品が好きな層は結構いるはず。

お婆ちゃんちで出てくる郷土料理 濃口醤油味

面白いです。普通なら主人公の俺つえええが描写されるだろう転生などの設定がとにかく粛清回避のために使われていて、主人公が必死に考えてる感じが伝わってきます。また、作者の地元なのだろう九州地方における血縁、地縁、しがらみといった情報が特段に濃いです。その分主人公が近畿などに出向いたときは比較的資料不足になるのか、なろう小説っぽいご都合主義や浪花節的な展開が多くなり、九州周辺にいるときのどうにもならない感じとのギャップがあります。それらを踏まえても独特の苦味、エグみのある表現が多いです。他ではあまり描かれない戦国期の闇の部分についてある程度手加減してでも描写してあります。作者はこの作品の書籍化を目指しているようですが結果的に万人受けは難しい作品です。料理に例えたらグルメ本に載るようなみんなが食べたい!となる料理ではなく、田舎のお婆ちゃんちで出てくる謎の郷土料理(特濃醤油味)に仕上がっています。

これまで見た戦国時代物の中では異彩を放つ逸品

  • 投稿者: 重心移動   [2017年 08月 05日 18時 24分 ()]
ジャンルは転生物の中には入っている本小説ではあるが、個人的にこれまでみた中でもここまで丁寧に敵の強さと味方の強いけれど決して一枚岩ではない人と人の繋がりと歴史に裏打ちされた怨念のエグさに注意を払った作品は見たことがない、これは作者の執念深い調査によるものだろう

ジャンルが転生物で有れば主人公による無双の活躍という情景が描かれがちに思うがこの小説では主人公単品での無双は閨と経済に現状把握、歴史改変で予測不可になる前の未来知識にまつわる部分をのぞき余り発揮されない(十分?)、これは歴史物(レビュアーは個人的にそう思って見ている)としてその書き方はその時代を生きた人達に対する敬意とみており個人的に好ましいがそうでない方には向かないかもしれない

初期位置が九州の為、私の様な緩い読者は登場人物は史実で存在していたか?どんな人物か?の調査が必要かもしれないが新しい刺激の端緒としても良いだろう

なろうで唯一何度でも読み返す作品。

  • 投稿者: 不覚庵   [2016年 11月 14日 22時 20分]
コレ、キッチリ書き上げるお積りなら人生ブチ込む覚悟がいる位、重く、濃く、剛いテーマ。
web版だから前置きナシで書けてしまう部分も物理書籍だとそうはいかない。
で、その辺の裏打ちを重ねる為にはネットで拾える情報では全く不足で最低でも国会図書館通い、ヘタしなくてもアシでゲンバを踏みにいかないといけなくなる。

あくまでも私的な感想ですが、オヤジのラノベと言われてる時代小説の分野で金字塔ブッ立てかねない可能性すらある作品。

戦国時代転生もので屈指の面白さ

史実でいいところのないまま一生を終えた武人は枚挙にいとまがない。
織田信雄のように能力が立場に見合わなかったもの、羽柴秀次のように主人の猜疑に沈んだもの。
鎌倉以来の名門大友家に生まれながら、歴史では龍造寺・鍋島の飛躍の踏み台にされた大友親貞、或いは菊池鎮成という将もその1人に過ぎない。
だが転生というガジェットを用いることで、彼らは史実を超えて活躍することが出来る。

まだ織田信長が飛躍する以前、戦国後期の西国を舞台にした、この話は壮大な広がりを持つ話である。
遊女となった幼馴染の姫を救うだけでなく三好家、博多の街から小は宗像の狂い姫まで、史実で苦悶のうちに滅びた人々を救い、知恵を駆使して主人公は戦国を駆けていく。
彼の行き着く先はどこであるのか、まだ話の途中であるから分かりようもないが、仁でありつつも仁だけでなく、知略を武器に戦う彼の物語は、いつでも読者を惹きつけずにはおかない。
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