イチオシレビュー一覧

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混沌と秩序入り乱れる、舞踏のような物語!

  • 投稿者: 星影さき   [2018年 07月 14日 20時 10分]
“混沌とした、ハチャメチャストーリー”
この言葉に思わずしりごみしてしまう方、いませんか?

『そしてふたりでワルツを』は、そんな方にこそ、ぜひ読んでいただきたい作品です。


登場人物は
仮面舞踏会に、ガスマスクをつけてくる風変わりな男に
絵本の中で生きているような、夢見がちなお嬢さん

心が歪んだ、自己愛が強すぎる美麗な王に
殺戮ショーを楽しむ、獣のような忍者

などなど、皆、主役級の癖の強さを誇っています。


それなのに読み手に違和感を抱かせることなく、パズルのピースのごとく物語にはまっていき、そこで生きているかのように、動いているのです。


恋愛に殺戮、コメディにシリアス、夢物語と現実性。

相反するような要素が絶妙に混ざり合い、息つく間もなく迎えた本編ラストは、微笑ましくて温かい。

読み始めたらきっと、あなたも物語に引きずり込まれ、共に踊らされていること間違いなしですよ!

まるで薔薇色の狂想曲

  • 投稿者: 九藤 朋   [2018年 07月 10日 11時 30分]
脈打つ文章、踊る言葉、言葉。

綴られるのはある王国を舞台にした改変と、そしてロマンス。

ガスマスクを被った男と少女の恋は、始まりからして奇異である。

男・ジュンイチは少女・カミィに恋をする。カミィもまた、同じく。
けれどそこに障害が立ちはだかり騒動が起きる。

ジュンイチの変質的な性格、カミィの純真さ、王子であるトーマスの冷酷、その他登場人物たちは皆、個性が際立っている。

めくるめく色彩、感情の乱舞。

これはまるで、薔薇色の狂想曲のような物語だ。

ダークメルヘンの傑作! 圧倒的な力量を感じました!

  • 投稿者: ゆきのふ   [2018年 06月 25日 21時 28分]
 とにかくすごいの一言! 無駄なキャラ、無駄な描写が一切なく、怒涛の結末まで一気に突き進んでいきます!
 シナリオにはミステリー調のところもあり、それってそういうことだったの!? と意表を突かれることもしばしばありました。
 そして何より出てくるキャラがみんな魅力的。分類すれば群像劇になると思うのですが、悪役のはずの王にすら親しみを感じました。これはきちんと彼の背景が書かれているからでしょうね。
 すごいなあ、こういうあらゆる人間の動きが一つに集約していく物語というのは、どういう教養を身につけていればが書けるんでしょうか……?
 シナリオ、キャラクターの両項目で満点以上だと感じた作品です! 別のサイトにある漫画版も読みましたが、そちらも雰囲気があってすばらしい。とにかく、このレビューで「そしてふたりでワルツを」という傑作のファンが、少しでも増えてくれることを望みます。本当に面白い作品!

楽しく明るく笑って読める残酷童話!

  • 投稿者: 退会済み   [2018年 06月 11日 10時 44分 ()]
管理
 美少女と侯爵様と王子様の織り成す、まるで童話のような恋物語!
 ……しかし童話の中では謀略犯罪殺人は朝飯前と相場が決まっているもので、本作もその例に漏れずダークメルヘンでございます。

 本作、その「ダーク」描写が結構えげつないのが大きな魅力だと思います。
 例えば作中、主人公ジュンイチの「情緒的欠陥ぶり」を端的に示すとある一エピソードがあるのですが、ここなどよく読むとかなり辛い話で、「残酷とは何か」という事に対する作者さまの洞察と確かな筆力を感じました。

 ――けれども本作は甘い恋物語でございます。
 それらを描く筆致はコミカル、メルヘン! 不完全な登場人物達を、ふわふわ砂糖菓子のような世界観がすっぽりと包み込んでいる。恋物語として実に美しく完結しており、実は結構残酷な話なのに、不思議と読後感は晴れやか!
 癖になる世界観の作品です。実際、私は癖になりました。トーマス……。

眩いまでのカオス

  • 投稿者: 柴田 洋   [2018年 03月 25日 17時 18分]
軍所属のマッドサイエンティストと、頭がお花畑の少女による、超絶エキセントリックな恋。

と思っていたら、2人の恋を邪魔するイケメン王子と、そのしもべ(?)の忍者、さらに少女を陰から助けるスラムの金貸しまで登場して、事態は予想外の展開に。

絶対にバランスが取れるはずのない無茶苦茶な要素が絶妙に混ざり合って、その限りない美しさに目が眩む事、間違いなし。

R15なのでちょっとアダルトですが、現実社会では許されないであろう禁断の刺激を味わいたいなら、ぜひ。

欠けたものを持つ私たちが何者になれるのか

  • 投稿者: 退会済み   [2018年 03月 10日 10時 42分]
管理
暴虐の王と恋と愛の群像劇には、たくさんの、何かが欠落したキャラクターたちが登場し、少しずつ折り重なってはものがたりを紡いでいきます。

けれどそのキャラクターたちはきっと、不完全であるからこそ愛すべき魅力に満ちています。

そんな不完全なキャラクターたちが、何者になり得るのか、どうなりたいのか、正しさよりも純粋な答えやテーゼが詰まった素敵な作品だと感じました。ぜひ皆さんもワルツの世界へ。

あまーい恋、確かな人間ドラマ、スリル、サスペンス、全てがこの中に!

  • 投稿者: 遥彼方   [2018年 02月 17日 19時 28分]
このお話はちょっと変わった恋物語が主軸です。
でもね、その他もろもろ、ぎゅうぅーっと詰まった群像劇なのです。

夢見る少女のふわふわ、キラキラな心の行方は?
孤独なマッドサイエンティストの「恋」の実験は、果たして成功するのか!?
王子様の影で進行する不気味な殺人、のっけから異彩を放つ「何か」とは?

わくわく、ふわふわ、ドキドキ、ハラハラ、ぴりり、ふわり。

登場人物たちの踏むステップは、時にかわいく、時に合理的で、時に真摯に、時に優雅、時に不穏です。

さあ、あなたも物語を読んで、舞踏会へ。
読者という特等席で、二人のワルツを眺めましょ?

今宵は、トーマス殿下主催の舞踏会にようこそおいでくださいました。

おそれながら、招待状を拝見……おお、お待ちしておりました。
ささ、会場にご案内いたしましょう。

いやはや大変失礼を。
仮面舞踏会と申しますのは、われわれ使用人泣かせでございまして。
どなたさまも、マスクをしておられましょう?
お名前をお伺いしまして、飛び上がることなどしょっちゅうでございまして……

おやおや、あちらの可愛らしいマスクのレディでございますか?
セシル伯爵のご息女でございます。
たしかお名前はカミィ様でらっしゃいますな。
本日が社交界デビューとお聞きしております。

はて?
カミィ様とおはなしをされている御仁でございますか?

ああ、あの……ガスマスクをかぶった方でございましょう?
吾妻侯爵でございますよ。
さよう、変人とうわさに名高い、あの……いやはや、いささか場違いなお客様で……

おっと、これは失礼をいたしました。

お飲み物はなにをお持ちいたしましょう、読者様。

そしてふたり(読者とあっきコタロウ)でワルツを

  • 投稿者: 退会済み   [2018年 02月 12日 15時 21分]
管理
作者の魂全てがここに詰まっている。これに尽きる。

あなたは自作のキャラクターが好きですか?
もちろん好き……そう答える人はさほど珍しくない。寧ろ、それは当然かもしれない。

では、

あなたは自作のキャラクターに永遠の愛を誓えますか?

『そしてふたりでワルツを』の作者――あっきコタロウは迷わずこう答えるだろう。

「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを……

誓うに決まってんじゃあああああああん!!!!!!!!」


オフィーリアの世界に一歩足を踏み入れた時点で、我々は既にこの作者とクローズドポジションで奇想天外なワルツを躍っている。

私はそこで舞いながら彼女に教えられた。

もっと自作のキャラクターを愛しなさい、と。

極上すとろべりーぽっぷす

御伽の国よろしくピュアな純白に、真っ赤な血を垂らしたピンクのストロベリーシェイク。
ノイズ奏でる一人の王の不協和音は、いつしか国民の心までも蝕み大きな歪みとなる。

これは様々な思いを抱え、様々な経緯で運命に抗う者たちの物語です。
自分と向き合う者、望みを託す者、国を救おうとする者、忠義を尽くす者、最愛の何かを守ろうとする者。ここオフィーリアの生きとし生ける全てに注がれた妬けちゃうぐらいの愛が、一人一人に息を吹き込み、全ての主要人物が主人公となりえています。
中心にいるのは、囚われの姫君純真無垢なカミィ。その立ち位置、ある方面から見れば、さながらマリーアントワネットのよう。手を取り合うヒーローが必要不可欠です。

各々の思惑が歪に絡み合うオフィーリア。ディストーション奏でる奏者たちのその中心で、ふたりはワルツを踊る。

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