感想一覧

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[良い点]
 語り口が素晴らしいです。
 あえて恨み事を言わずに、心根の清い女性として印象を残そうとしているのか、そうではないのか、ちょっと悶々としてきます。
 この神父が神父なのか、それとも語り手がそう見ているだけなのかは、わたしにとって大した問題ではないです。最後の最後まで、顔立ちは大したことないけれども一心に愛情を捧げてくれた健気な女性として、婚家に名を残して、男性の追憶の中に生きられればと、諦めとかなしい計算があるように感じられました。 
  • 投稿者: 惠美子
  • 40歳~49歳 女性
  • 2019年 11月25日 11時33分
惠美子様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
あえて恨み言を言わないのか、恨み言を言っていないことが恨み言の裏返しなのか。
彼女の言葉をそのまま受け取れば心根の清い女性ですし、これを演じているのであれば何とも恐ろしい女性となります。

けれど、たったひとつ間違いないことは、彼女は夫となる男性に一心に愛情を捧げた健気な女性であるということです。「せめてあなたに痛みを残したい」そんな思いから、胸の内を切々と語る女性には、おっしゃる通り諦めとかなしい計算があると思います。

彼女が求めた愛はすでに彼女を包んでいるにもかかわらず、彼女は孤独で凍えてしまいそうになっている。彼女の世界にも光はさしているのに……。このどうしようもなさが、アンハピエンの魅力かと考えております。

感想、ありがとうございました。
[良い点]
夢野久作かよおおおおおおおおお
もおおおおおおおおお好きいいいいいいいい
[一言]
以下、私の感じたことです。

語り手は石女ではなかった、が。
子を失い、正気を失ったのではないか。
その過程で離縁されたか、別居扱いとなったか。
跡継ぎの必要性から、「旦那さま」は他の女性を迎え入れる必要があり、子も生した。
語り手は狂気と正気の狭間で、彼女の語る世界こそが真実だと思い込んでいる。
「神父」は「旦那さま」であり、旦那さまは語り手を愛している。しかし語り手はそれに気づかない、またはその資格がないため無意識のうちに自らを騙している。
恋人と幸せな家庭を築いているべき旦那さまが、自分の元に来ることは許されないとの思いから、旦那さまを神父様だと思い込むことで彼を招き入れることができるし、旦那さまもそのストーリー乗る。
語り手は旦那さまを愛するが故、子を失って愛される資格のない自分を、それでもなお忘れないでほしいと願う。
いっそ憎まれたいのは、語り手だけでなく旦那さまの気持ちでもある。


ここまでたぶん真っ赤な顔して早口でまくし立てました。
私こういう空気感大好きなんです。ありがとうございます。ありがとうございます。
伊賀海栗様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
夢野久作先生という大御所の名前を出していただき、ひょえええええとあたふたしております。恐れ多いですが、ラストの部分から全体をぐるりと解釈していただき、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。

もともと、「信頼できない語り手」を採用した時点で、物語の解釈は読者の皆さまにすべて委ねることとなります。「藪の中」と同じように、答えが出ないからこそそれぞれ想像する余地があり、それもまた読書の楽しみのひとつだと思うからです。

とはいえ作者の脳内にはイメージする形がありますので、こうやって汲み取って頂けますと、本当にありがたいです。自分から設定や内容をベラベラ話していくのもやぶさかではないのですが、やはり一緒にお話できるととても嬉しい! ちなみに彼女が住んでいるのは彼女の言葉通り離れなのですが、治療のためにこれから療養院へ向かわなければならない(もう帰って来られないかもしれない)という設定を組んでおります。

お互いが相手のことを愛しているはずなのに、噛み合わない二人の心。
最後の一瞬だけ交差するものの、彼女はまた自分だけの世界に帰ってしまいます。「憎んでも良いから、私のことを忘れないでほしい」という彼女の悲痛な叫びに耳を傾けていただき、本当にありがとうございます。

感想、ありがとうございました!


[一言]
(連投すみません)
再読いたしました。
なんとなく「ーー……ひょっとして?」まで辿り着いたのですが、あえて悶々としておきますね。

※心の声
 ↓
(えぇぇえっ?! スッキリしたのにモヤっとする!!)

何という贅沢さ。はい、モヤっと感も嫌いじゃありません……
レスは結構です。スルーなさってください。
おじゃましました!

  • 投稿者: 汐の音
  • 2019年 11月25日 08時55分
汐の音様

再読していただき、本当にありがとうございます。
(スルーしないで打ち返す!←やはり嫌な作者です)
あえて悶々! 高等テクニック!

それでは私もこっそりと。
とりあえず神父さま=旦那さまでOKです。

ただし、彼女が語るものすべてが真実というわけではありません。
あくまで彼女の世界ではそのように認識されているということです。
信頼できない語り手は、彼女自身が「気狂い女」と自称するように受け入れられない事実は拒むことしかできません。

感想、ありがとうございました!
[良い点]
謎が、謎を……?
タイトルからいきなり本文へと飛んでしまい、あらすじもすっとばして読んでしまったのですが、??、?……と、ぐいぐい惹き込まれます。

女、は醜女ではないと思います。(独断と偏見)
神父、の顔が。表情が語り手の息継ぎの合間に窺えるようでした。
まるで、一人芝居のような演劇の空気。にもかかわらず、一つの国の貴族の女性の、なんとも狂気に満ちた物語が感じられるのです。

不幸? 確かにアンハピ。そしてバッドエンド的な雰囲気。しかし……
もし、この物語の主人公が神父だったら?
など色々想像がふくらみ、再読を余儀なくされる。すごいです! (語彙)

[一言]
タイトルにびっくりしてつい、一気読みして感想らんにまでお邪魔してしまいました。

情緒的アンハピ、嫌いじゃない……(たまにすごく読みたくなる癖があります、)
不穏なミステリー感。ごちそうさまです。
ありがとうございました!

  • 投稿者: 汐の音
  • 2019年 11月25日 08時39分
汐の音様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
ちょっと意地悪なスタイルの作品で申し訳ありません。
せっかくの一人称ということで、信頼できない語り手によって話を進める形になっています。

おっしゃる通り、女は決して醜女ではありません。
醜女ではないとわかっていて醜女と自らを卑下しているのか、あるいは自らを醜女だと思わなければ理不尽に耐えられなかった。そのどちらがより残酷なのでしょうね。

一人芝居というのはまさにその通りでして、彼女は基本的に彼女自身の語りたいことしか話していません。それは立て板に水のごとく、あふれ出る流れに聞き手は身をまかせるしかないのです。

「いっそあなたに憎まれたい」
珍しく作品を書き出す際にタイトルが決まっていたパターンです。(普段は作品を書き上げてから、四苦八苦しながらタイトルを考えています。この瞬間がかなり難儀でして、いつも仮タイトルが珍妙なことになっています)

あなたに憎まれたかったのは、語り手なのか。それとも……。
じわじわと残る後味の悪さを味わっていただければ嬉しいです。
(なんて嫌な作者なんだ)

感想、ありがとうございました。
[一言]
主人公はもちろん、旦那様にしてもあの方にしても、それぞれの辛さがありますね……。
じんわりと悲しく、苦い。
本当に、難儀な恋です……(ノД`)

で、すみません、私アホなので、最後が読み取れませんでした(-∀-`; )
神父様……ん?!
いや、なんかすげーややこしい事になってないか?! って言うのは分かりました(;´∀`)
他の方の感想を待ちます(笑)

ドアマットだけが悲劇じゃありませんよね。
女性のどこか悟った語り口がこの重い話を少し優しくしてくれています。

企画参加、ありがとうございました!
長岡更紗様

ネタバレありの感想返信です。
本文を未読のみなさま、どうぞご注意ください。
感想返信を何度かやり直しているため、複数通知が行っているかと思います。申し訳ありません。

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
企画運営、本当にお疲れ様です。素敵な企画に参加させていただき、本当に嬉しく思います。

今回の作品は個人的にはビターエンドという雰囲気でしょうか。
まったく報われなかったわけではないけれど、もっと互いに一歩を踏み出していたならばよりよい結末があったのではないかと感じる部分があります。(けれどその一歩が踏み出せないところが、それぞれの弱さであり、狡さであると思うのです)

愛し愛されたい。
根底はごくごくシンプルな気持ちのはずですのでに、本音や建前に振り回されて互いががんじがらめになってしまっています。いっそ、「奪い取ってでも幸せになってやるわ!」という成り上がり思考の強気な女性であったなら、あるいは「貴族たるもの政略結婚であればこそ、愛情はなくとも子をなすのは当然の義務」と割り切れたなら、このような苦しみを背負うこともなかったのでしょうね。

神父さまの正体は、旦那さまです。
語り手の女性も、旦那さまもお互いの建前を崩すことができず、そのままの状態では会話をすることができませんでした。そのため、本来なら自宅を訪れるはずのない神父さまを装って(身分の高い男性の妻なので、それが可能だったというていで)、互いに踏み込んだ話をしているのです。

「風邪を引いている」(声を変えている)、「暖炉に火を入れない」(部屋を明るくしない)、「白檀の香り」(旦那さまのつけている香水)というのは伏線です。つまり、女性は相手が旦那さまだとすでに知っているのです。なにぶん一人称というのは嘘つきなものなのです。語り手の言葉は、あくまで語り手にとっての真実。どうぞご容赦ください。

なんだかわかりにくい結末になってしまい、申し訳ありません。
少しでも楽しんで頂けたならば、幸いです。

感想、ありがとうございました。
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