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[良い点]
誰もいない調理場で自覚なしで耳が赤くなってる旦那様(勝手な妄想)
[一言]
の・ろ・け・にしか聞こえないYO!
byイシュ詰問神官
最初は脅されて結婚迫られてると思ったんでしょうね
だからドア開けておくのに渋い顔したり、本意を聞き出そうとしたり。
んが、だがしかし!
返ってきた答えが「くまさん」では!(爆笑)
そりゃ、生温くなりますよ。どんなにこわもて面したところで、ねえ…?
誰もいない調理場で自覚なしで耳が赤くなってる旦那様(勝手な妄想)
[一言]
の・ろ・け・にしか聞こえないYO!
byイシュ詰問神官
最初は脅されて結婚迫られてると思ったんでしょうね
だからドア開けておくのに渋い顔したり、本意を聞き出そうとしたり。
んが、だがしかし!
返ってきた答えが「くまさん」では!(爆笑)
そりゃ、生温くなりますよ。どんなにこわもて面したところで、ねえ…?
リィ様
ご無沙汰しております!
返信が二ヶ月近く遅くなってしまって、すみません!!(超土下座)
夫妻、ようやく正式に結婚いたしました。
心底心配していたのに、ノロケをバッチリ聞かされてしまった諮問神官です(笑)
しかも、「くまさん」ですしね!(いい笑顔)
先ほど、この場面の諮問神官視点を小話集の方にアップしたので、よかったらそちらもどうぞ♪
※感想のお礼小話は、犬っころにしてみました!
前後編のわんわん劇場(←おぃ)を、どうぞ!
―――
わんわん劇場(青年団員視点) 前編
※ちょっとシリアス??
俺には。
ずっと、忘れられない光景がある。
5年前。
まだガキだった俺が家族とごく普通の、いつも通りの日を過ごしていたら。
突然、|獣《フィグル》の群れが俺たちの街を襲い、それと同時に炎が街を呑み込んだ。
怒号と悲鳴、建物が崩れる轟音。
何が起きているのかも分からず、獣と炎から逃げ惑う人の波で家族とはぐれた俺は、ひとり逃げていた。
恐怖と混乱で震えながら、少しでも炎の熱が追ってこない場所を探して逃げているうちに、不意にか細い声が聞こえてきた気がして、足を止めた。
聞き間違いかと思ったら、また弱々しい声が聞こえてくる。
周りを見回すと、崩れた壁の奥で、瓦礫の下敷きになった女の子の小さな手を見つけた。
無我夢中で駆け寄って、その腕を掴んで引っ張ったけど、身体が瓦礫に挟まってしまっているのか、足びくともしない。
すぐそこまで、火の手は迫ってくる。
瓦礫は俺の力では持ち上がらず、 女の子を引っ張り出すこともできない。
どうして。
どうして、俺はっ。
こんな小さな女の子ひとり、助けられない!?
焦る気持ちのまま、自分の無力さに絶望しかけた、その時。
太い腕が、女の子を押し潰していた瓦礫を持ち上げた。
出来た隙間から全力で女の子を引きずり出すと、音を立てて瓦礫が崩れていく。
「よくやった。・・・行け」
自分の足で立つことが出来ない女の子を俺の背中に背負わせて、その腕の持ち主は炎に向かって駆けて行く。
大きな背中が、太い腕が大きく動いて炎の中から飛び出してきた|獣《フィグル》を素手で引き倒し、反対の腕に持つ剣で首を落とした。
次々と飛び出してくる|獣《フィグル》を一匹も逃さず仕留め、一歩も引かないその姿に、胸が熱くなっていく。
守られてる。
込み上げてきた涙を抑えられずに、泣きながら駆け出した。
逃げなきゃ、生きなきゃ。
あの人は、きっと最後の一頭まで仕留める。
俺たちさえいなければ、絶対に。
けれど、混乱が収まった時、街にはその人の姿はなくて。
それでも必死に彼を探し回る俺に、新しく自警団の団長になったばかりの人が教えてくれた。
彼は、この街の守護を依頼された、|『獣』《フィグル》と呼ばれる外の集団の一人だと。
いずれ、この街にまた来るだろう、という団長の言葉が俺の希望になった。
強くなりたい。
いつか、またあの人に会った時、助けたことを誇りに思って貰えるような、強い男に。
そして、ありがとう、と伝えたい。
きっと。
いつの日か。
炎に向うあの大きな背中を記憶に焼き付けた俺は、その背中を追って、最年少で自警団入団試験を通り、一員になった。
入団してからも、きつい訓練も、知識を詰め込むことも、ただひたすらがむしゃらにやってきた。
いつか、彼に会うその日を夢見て。
・・・でも、まさか。
明日から入団する新人を案内してやれ、と言われて呼び出された団長室で、いきなり彼と対面できるなんて。
なんの前触れもなく、心の準備も出来ていなかった俺は、極度の混乱と緊張に陥って、身動きひとつ、できなくなってしまった。
視界の隅では、団長がニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべている。
・・・団長。
彼に会えたのは嬉しいっす。すっげえ嬉しいんすけど。
・・・あんた性格悪すぎっすよぉぉっ!?
―――
ずっと、伝えたかった言葉がある。
燃え上がる炎に向かって躊躇なく駆けていく、広い背中。
その背中を追って、追い続けて、今の俺がある。
もしまた会うことが出来たなら、あれも話したい、これも話したい、とずっと思っていたのに。
・・・なのに。
この、ヘタレがぁぁっ!!
内心で絶叫するほど、夢にまで見た二度目の邂逅は、最悪なものだった。
いくら予想外だったからといって、硬直して言葉も出ないなんて!
自己紹介すら出来なくて、爆笑一歩手前の団長が物凄く適当に名前だけを伝えて、そのまま団長室から蹴り出されてしまった。
あまりの情けなさと緊張で、吐きそうだ。
ふらふらと蛇行しながらも、全身全霊で背後の気配に意識を集中する。
今、俺の背後には。
憧れて憧れて、ずっと追い続けてきた人が、いる。
俺だって背が伸びたし、筋肉もかなりついたはずなのに、俺より頭ひとつ分以上背が高くて、俺の体が全部隠れてしまうほど厚い筋肉で全身が覆われていた。
なかなか筋肉がつかない体質だけど、俺だって鍛えてるのにな。
同じ男として、物凄く悔しくなる。
・・・いや、そんなことはどうでもよくて、いや、よくはないけど、とにかくっ!
すぐ後ろに本物の彼がいるというのに、緊張し過ぎて、振り向くことさえ出来ないなんて。
なんでだ。
なんでなんだよ、俺っ!?
普段、もういいからちょっと黙れって先輩達に言われるくらい良く回る口は?
気難しい老人から、人見知りする子どもまで男女区別なく話題を振りまくる盛り上げ担当は?
いったいどこに行っちまったんだ!?
焦りで冷や汗をかきながら、すっかりなりを潜めてしまったいつもの自分を必死に探していると。
挨拶回りの最初の目的地にしようと思った、この辺り一帯の労働者を纏めている頭の家兼店の扉に下げられた板が目に入った。
『本日、休業』
・・・この、肝心な時にかよぉぉぉぉっっ!?
ご無沙汰しております!
返信が二ヶ月近く遅くなってしまって、すみません!!(超土下座)
夫妻、ようやく正式に結婚いたしました。
心底心配していたのに、ノロケをバッチリ聞かされてしまった諮問神官です(笑)
しかも、「くまさん」ですしね!(いい笑顔)
先ほど、この場面の諮問神官視点を小話集の方にアップしたので、よかったらそちらもどうぞ♪
※感想のお礼小話は、犬っころにしてみました!
前後編のわんわん劇場(←おぃ)を、どうぞ!
―――
わんわん劇場(青年団員視点) 前編
※ちょっとシリアス??
俺には。
ずっと、忘れられない光景がある。
5年前。
まだガキだった俺が家族とごく普通の、いつも通りの日を過ごしていたら。
突然、|獣《フィグル》の群れが俺たちの街を襲い、それと同時に炎が街を呑み込んだ。
怒号と悲鳴、建物が崩れる轟音。
何が起きているのかも分からず、獣と炎から逃げ惑う人の波で家族とはぐれた俺は、ひとり逃げていた。
恐怖と混乱で震えながら、少しでも炎の熱が追ってこない場所を探して逃げているうちに、不意にか細い声が聞こえてきた気がして、足を止めた。
聞き間違いかと思ったら、また弱々しい声が聞こえてくる。
周りを見回すと、崩れた壁の奥で、瓦礫の下敷きになった女の子の小さな手を見つけた。
無我夢中で駆け寄って、その腕を掴んで引っ張ったけど、身体が瓦礫に挟まってしまっているのか、足びくともしない。
すぐそこまで、火の手は迫ってくる。
瓦礫は俺の力では持ち上がらず、 女の子を引っ張り出すこともできない。
どうして。
どうして、俺はっ。
こんな小さな女の子ひとり、助けられない!?
焦る気持ちのまま、自分の無力さに絶望しかけた、その時。
太い腕が、女の子を押し潰していた瓦礫を持ち上げた。
出来た隙間から全力で女の子を引きずり出すと、音を立てて瓦礫が崩れていく。
「よくやった。・・・行け」
自分の足で立つことが出来ない女の子を俺の背中に背負わせて、その腕の持ち主は炎に向かって駆けて行く。
大きな背中が、太い腕が大きく動いて炎の中から飛び出してきた|獣《フィグル》を素手で引き倒し、反対の腕に持つ剣で首を落とした。
次々と飛び出してくる|獣《フィグル》を一匹も逃さず仕留め、一歩も引かないその姿に、胸が熱くなっていく。
守られてる。
込み上げてきた涙を抑えられずに、泣きながら駆け出した。
逃げなきゃ、生きなきゃ。
あの人は、きっと最後の一頭まで仕留める。
俺たちさえいなければ、絶対に。
けれど、混乱が収まった時、街にはその人の姿はなくて。
それでも必死に彼を探し回る俺に、新しく自警団の団長になったばかりの人が教えてくれた。
彼は、この街の守護を依頼された、|『獣』《フィグル》と呼ばれる外の集団の一人だと。
いずれ、この街にまた来るだろう、という団長の言葉が俺の希望になった。
強くなりたい。
いつか、またあの人に会った時、助けたことを誇りに思って貰えるような、強い男に。
そして、ありがとう、と伝えたい。
きっと。
いつの日か。
炎に向うあの大きな背中を記憶に焼き付けた俺は、その背中を追って、最年少で自警団入団試験を通り、一員になった。
入団してからも、きつい訓練も、知識を詰め込むことも、ただひたすらがむしゃらにやってきた。
いつか、彼に会うその日を夢見て。
・・・でも、まさか。
明日から入団する新人を案内してやれ、と言われて呼び出された団長室で、いきなり彼と対面できるなんて。
なんの前触れもなく、心の準備も出来ていなかった俺は、極度の混乱と緊張に陥って、身動きひとつ、できなくなってしまった。
視界の隅では、団長がニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべている。
・・・団長。
彼に会えたのは嬉しいっす。すっげえ嬉しいんすけど。
・・・あんた性格悪すぎっすよぉぉっ!?
―――
ずっと、伝えたかった言葉がある。
燃え上がる炎に向かって躊躇なく駆けていく、広い背中。
その背中を追って、追い続けて、今の俺がある。
もしまた会うことが出来たなら、あれも話したい、これも話したい、とずっと思っていたのに。
・・・なのに。
この、ヘタレがぁぁっ!!
内心で絶叫するほど、夢にまで見た二度目の邂逅は、最悪なものだった。
いくら予想外だったからといって、硬直して言葉も出ないなんて!
自己紹介すら出来なくて、爆笑一歩手前の団長が物凄く適当に名前だけを伝えて、そのまま団長室から蹴り出されてしまった。
あまりの情けなさと緊張で、吐きそうだ。
ふらふらと蛇行しながらも、全身全霊で背後の気配に意識を集中する。
今、俺の背後には。
憧れて憧れて、ずっと追い続けてきた人が、いる。
俺だって背が伸びたし、筋肉もかなりついたはずなのに、俺より頭ひとつ分以上背が高くて、俺の体が全部隠れてしまうほど厚い筋肉で全身が覆われていた。
なかなか筋肉がつかない体質だけど、俺だって鍛えてるのにな。
同じ男として、物凄く悔しくなる。
・・・いや、そんなことはどうでもよくて、いや、よくはないけど、とにかくっ!
すぐ後ろに本物の彼がいるというのに、緊張し過ぎて、振り向くことさえ出来ないなんて。
なんでだ。
なんでなんだよ、俺っ!?
普段、もういいからちょっと黙れって先輩達に言われるくらい良く回る口は?
気難しい老人から、人見知りする子どもまで男女区別なく話題を振りまくる盛り上げ担当は?
いったいどこに行っちまったんだ!?
焦りで冷や汗をかきながら、すっかりなりを潜めてしまったいつもの自分を必死に探していると。
挨拶回りの最初の目的地にしようと思った、この辺り一帯の労働者を纏めている頭の家兼店の扉に下げられた板が目に入った。
『本日、休業』
・・・この、肝心な時にかよぉぉぉぉっっ!?
- おこた
- 2012年 12月26日 17時38分
[一言]
おこた様、おこんばんは(*^_^*)
なにをさわった旦那様(オッサン)! いわゆるアンダーウェアか!
ブ○かぱ○つか… 気になる…(--;)
旦那様は犬っころに好かれるタイプですよね(。-∀-)
無意識過保護発動中…
(´∇`)
おこた様、おこんばんは(*^_^*)
なにをさわった旦那様(オッサン)! いわゆるアンダーウェアか!
ブ○かぱ○つか… 気になる…(--;)
旦那様は犬っころに好かれるタイプですよね(。-∀-)
無意識過保護発動中…
(´∇`)
りぃさま
おこんばんはぁ~!
巷は三連休だと先ほど気づいたおこたです。
旦那さま、基本的に集団生活or狩人なので、いろいろ無頓着です(苦笑)
ホント、なにに触っちゃったんでしょーね~(にやり)
そして無表情、無反応だったから、妻としては居た堪れないことこの上なしでしょう。
「これ、私が意識し過ぎなんですか? こういう事って、普通のことなんですか、当たり前なんですか!? は、恥ずかしいと思う私がおかしいんですかーっ!?」
と悶々と悩んでいるに違いないんだろうなぁ、と(憐)
「犬っころ」に思わず吹き出してしまいました!
うん、犬というか、犬っころですね、彼は(笑)
旦那さま、何気に面倒見がいいので、犬っころに好かれまくるタイプです。
無意識過保護、どこまで行くのやら・・・(どきどき)
※お礼小話、短めだったので、エイリーさんとウーマさんの一コマも追加させていただきました!
それでは、どうぞ!↓
―――
お礼小話
お買い物に行こう!③
心の中で願ったのが通じたのか、それからほどなくして夫とウーマさんが帰ってきてくれました!
「おかえりなさいませ!」
「ただいま」
大急ぎで出迎えると、ウーマさんはいそいそと自分で厩の扉を開けて中に入っていくところでした。
相変わらず、器用です。
ウーマさんの後ろ姿に視線を送っていると、いきなり、色鮮やかな花束を渡されました。
赤、黄色、紫、白。
反射的に受けとった色とりどりの花の中に、青い花がないことに、ちょっとほっとしました。
何となく警戒してしまうのは、猛毒の話を聞いたばかりだからですね。
それにしても、きれいな花束です。
一見適当にまとめられているようですが、よく見ると、大きさや配色に気を使ってまとめられたものだとわかります。
「ありがとうございます! あの、これ、」
「花だ」
・・・う、うん、それはそうなんですけども。
本当は、どこで摘んできたのかとか、急にどうしたのかとか、聞きたいことがいろいろあったんですが、一気にすっ飛んでしまいました。
最近夫との会話が増えているせいで忘れがちになっていましたが、そういえば、あまり多くを語らない方でしたよね、と遠い目になりかけていると、夫がちょっと首を傾げました。
「薬にもなる」
「え? この花が、全部ですか?」
こくり、と小さく頷く夫に、へぇ、と感心していると、後でそれぞれどんな効能があるのか教えてくれることになりました。
萎れてしまわないうちに水につけようと思ったのですが、なぜか夫に右手を取られて、何かを確認するように指で触れられていて、動けません。
「旦那さま?」
「・・・明日、外で教える」
なんとなく、夫がこげ茶色の瞳に安心したような色が浮かんだあと、少し残念そうな、後悔しているような色が浮かんだような気がしたのですが、それは本当に一瞬で、すぐにいつもの通りの優しい瞳に戻ったので、私の気のせいだったのかもしれません。
それよりも、明日、外で教えるというのは、薬草になる花について、外で実際の花を見ながら教えてくれるということですよね。つまり、久しぶりに二人でお散歩ができるってことです!
「はいっ、明日晴れるといいですね!」
元気に返事をすると、夫の大きな手が私の頭を撫でてくれました。
最近、こういう何気ない触れ合いが増えてきて、なんだかちょっと恥ずかしいような気もしますが、すごく、嬉しいです。
その後。
用意していた晩御飯を一緒に食べながら、今日エイリーさんと買い物に行ったことや、お花畑に寄り道したこと、友人の家に遊びに行って来たことなどを話したり。
晩酌には、友人からもらった青い花の花びらを一枚浮かべたクコールと、魚の燻製をつまみにだして、私も一緒に呑ませてもらったのですが。
花を浮かべたクコールに、なぜか夫が少し微妙な表情をしていた気がしたのは。
・・・気のせい、でしょうか?
―――
おまけ
その頃、ウーマさんとエイリーさんはというと。
ウ:ただいまっ、エイリー!
エ:お帰りなさい。
ウ:これ、お土産だよ。(天然はちみつ)
エ:うわぁ、懐かしいっ! ありがとう、ウーマさん!(美味しそうにはちみつを舐めるエイリーさん)
ウ:(その姿を幸せそうに眺めながら)あ、そうだ。ねぇ、エイリー? どうして、あの青い花が、毒の花だって分かったの?
エ:だって、食べたことあるもの。
ウ:えっ!?
エ:お散歩に行った時に食べたんだけど、すごくまずくて、肌が荒れるのよ。
ウ:そ、そうなんだ・・・食べたんだ、アレ。(遠い目)
・・・箱入り娘(こっそり脱走常習犯)のエイリーさんは、意外と野生児寄りだった。
おこんばんはぁ~!
巷は三連休だと先ほど気づいたおこたです。
旦那さま、基本的に集団生活or狩人なので、いろいろ無頓着です(苦笑)
ホント、なにに触っちゃったんでしょーね~(にやり)
そして無表情、無反応だったから、妻としては居た堪れないことこの上なしでしょう。
「これ、私が意識し過ぎなんですか? こういう事って、普通のことなんですか、当たり前なんですか!? は、恥ずかしいと思う私がおかしいんですかーっ!?」
と悶々と悩んでいるに違いないんだろうなぁ、と(憐)
「犬っころ」に思わず吹き出してしまいました!
うん、犬というか、犬っころですね、彼は(笑)
旦那さま、何気に面倒見がいいので、犬っころに好かれまくるタイプです。
無意識過保護、どこまで行くのやら・・・(どきどき)
※お礼小話、短めだったので、エイリーさんとウーマさんの一コマも追加させていただきました!
それでは、どうぞ!↓
―――
お礼小話
お買い物に行こう!③
心の中で願ったのが通じたのか、それからほどなくして夫とウーマさんが帰ってきてくれました!
「おかえりなさいませ!」
「ただいま」
大急ぎで出迎えると、ウーマさんはいそいそと自分で厩の扉を開けて中に入っていくところでした。
相変わらず、器用です。
ウーマさんの後ろ姿に視線を送っていると、いきなり、色鮮やかな花束を渡されました。
赤、黄色、紫、白。
反射的に受けとった色とりどりの花の中に、青い花がないことに、ちょっとほっとしました。
何となく警戒してしまうのは、猛毒の話を聞いたばかりだからですね。
それにしても、きれいな花束です。
一見適当にまとめられているようですが、よく見ると、大きさや配色に気を使ってまとめられたものだとわかります。
「ありがとうございます! あの、これ、」
「花だ」
・・・う、うん、それはそうなんですけども。
本当は、どこで摘んできたのかとか、急にどうしたのかとか、聞きたいことがいろいろあったんですが、一気にすっ飛んでしまいました。
最近夫との会話が増えているせいで忘れがちになっていましたが、そういえば、あまり多くを語らない方でしたよね、と遠い目になりかけていると、夫がちょっと首を傾げました。
「薬にもなる」
「え? この花が、全部ですか?」
こくり、と小さく頷く夫に、へぇ、と感心していると、後でそれぞれどんな効能があるのか教えてくれることになりました。
萎れてしまわないうちに水につけようと思ったのですが、なぜか夫に右手を取られて、何かを確認するように指で触れられていて、動けません。
「旦那さま?」
「・・・明日、外で教える」
なんとなく、夫がこげ茶色の瞳に安心したような色が浮かんだあと、少し残念そうな、後悔しているような色が浮かんだような気がしたのですが、それは本当に一瞬で、すぐにいつもの通りの優しい瞳に戻ったので、私の気のせいだったのかもしれません。
それよりも、明日、外で教えるというのは、薬草になる花について、外で実際の花を見ながら教えてくれるということですよね。つまり、久しぶりに二人でお散歩ができるってことです!
「はいっ、明日晴れるといいですね!」
元気に返事をすると、夫の大きな手が私の頭を撫でてくれました。
最近、こういう何気ない触れ合いが増えてきて、なんだかちょっと恥ずかしいような気もしますが、すごく、嬉しいです。
その後。
用意していた晩御飯を一緒に食べながら、今日エイリーさんと買い物に行ったことや、お花畑に寄り道したこと、友人の家に遊びに行って来たことなどを話したり。
晩酌には、友人からもらった青い花の花びらを一枚浮かべたクコールと、魚の燻製をつまみにだして、私も一緒に呑ませてもらったのですが。
花を浮かべたクコールに、なぜか夫が少し微妙な表情をしていた気がしたのは。
・・・気のせい、でしょうか?
―――
おまけ
その頃、ウーマさんとエイリーさんはというと。
ウ:ただいまっ、エイリー!
エ:お帰りなさい。
ウ:これ、お土産だよ。(天然はちみつ)
エ:うわぁ、懐かしいっ! ありがとう、ウーマさん!(美味しそうにはちみつを舐めるエイリーさん)
ウ:(その姿を幸せそうに眺めながら)あ、そうだ。ねぇ、エイリー? どうして、あの青い花が、毒の花だって分かったの?
エ:だって、食べたことあるもの。
ウ:えっ!?
エ:お散歩に行った時に食べたんだけど、すごくまずくて、肌が荒れるのよ。
ウ:そ、そうなんだ・・・食べたんだ、アレ。(遠い目)
・・・箱入り娘(こっそり脱走常習犯)のエイリーさんは、意外と野生児寄りだった。
- おこた
- 2012年 09月18日 00時22分
[一言]
はじめまして(・∀・)♪
読ませていただきました*
とても面白かったです\(^O^)/
これからも頑張ってください(*^-^*)
はじめまして(・∀・)♪
読ませていただきました*
とても面白かったです\(^O^)/
これからも頑張ってください(*^-^*)
- 投稿者: 退会済み
- 15歳~17歳 女性
- 2012年 09月16日 12時56分
管理
相沢さま
はじめまして!
おこたと申します。
感想有難うございました。
と、とても面白かった、ですとっ!?
なんて嬉しいことをっ(幸)
ものすごくカメさんで不定期もいいところですが、
完結目指して地道にのんびり頑張っていきますので、
よかったらまた、覗きに来ていただけるとうれしいです♪
おこた
※感想のお礼小話、エイリーさんと妻のお出かけの続きになります♪
こちらも楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
お礼小話
お買い物に行こう!②
無事にクコールの材料やはちみつなどの買い物を済ませた後に、友人宅に寄って今日の出来事を話すと、友人は、驚いたように私の手を取って、ざっと視線を走らせた後、大きく息をつきました。
「君ね、君のボウドゥ・・・エイリーさんに感謝しなさい。危うく手が爛れるところだよ」
あの花畑の青い花は、以前友人が見せてくれたお酒に浮かべられる食用の花ではなく、良く似ているけれどまったく別種の花なのだそうです。それも、かなり強力な毒を持っていて、触れるだけですぐに爛れてしまい、間違って口にしてしまうと、数日苦しみ死んでしまうこともあるのだとか。
怖っ!
私、思いっきり普通に素手で摘もうとしてましたよ、危なかった・・・。
知らなかったとはいえ、下手したら命にかかわっていたかもしれません。私のことですから、花が食べられるかどうか、すぐその場で試していたと思います。
自分の無謀さに青ざめながら、改めて引っ張ってくれたエイリーさんに感謝したのですが、そういえば、どうしてエイリーさんは花のことを知っていたんでしょうか? それとも、野生の勘でしょうか?
なんにしても、もしエイリーさんが止めてくれていなかったら、手が爛れていたこと間違いなしです。
本当に、危なかった・・・。
手のひらを擦り合わせながら、何事もなく済んだことにほっとしていると、友人が棚の奥から小さな瓶を持ってきました。
中に入っているのが青い花弁で、思わずびくついてしまったのですが、よくよく見ると、今日私が見た物よりも、ずっと薄くて透明感のある青い花弁です。
「今持ち合わせがコレしかないのだけどね。違い、分かるよね?」
瓶の中に入ったこの花弁を見ると、明らかに今日私が見た花は違う種類だとわかります。花弁の形が違いますし、何より、透明感が段違いです。こうして実物と見比べると、一目瞭然ですね。
「それ、持って帰りなよ」
「え、いいんですか? 珍しいものなのでは・・・」
「一般的には、ね。商人の間じゃ結構流通しているものだから、気にせずに使って覚えて。君がこの花とあの毒草と間違える方が、よっぽど困るんだからね?」
「ありがとうございます! ちゃんと覚えますね!」
花は2つほど入っているので、夫が帰ってきたらさっそく一枚使ってみましょう。一度使ったものや食べた物なら、忘れたりしませんしね!
わくわくしながら小瓶の中の花を眺めていると、窓の外へ一瞬視線を流した友人がどこかひきつった笑みを浮かべました。
「ああ、ついでに、前に君からもらったクコールと魚の燻製も。これから作るんじゃ間に合わない・・・かもしれないからね」
以前作りすぎて友人におすそ分けしていたクコールと魚の燻製も持たせてくれました。
クコールは作るのに5日ほどかかるので、別のお店でクコールを買わなくちゃ、と思っていたところだったんですよね。
何も言わなくても私の買い物袋をちらりと見ただけで察するなんて、さすがです!
他にもいくつかお土産を持たせてもらって、エイリーさんと一緒に家に帰りました。
買ってきたはちみつをパンに塗ってエイリーさんに持っていき、今日のお礼をすると、次は気を付けてね、というような優しい目で見てくれます。エイリーさんも優しい子ですね。
ブラッシングで至福のひとときを味わってから、家の中に戻って、さっそく女性団員さま直伝のクコールを作りを始めました。気分的に、今日は美味しいクコールを作れそうな気がします! ・・・もちろん、気分だけですけども。
それから、いつも通り、旦那さまがいつ帰ってきてもいいように、二人分の夕食も作っておきました。
昔の習慣が抜けてないんですよね、これ。
でも、もし余ってしまっても翌日の朝ご飯や昼ご飯にするので、食材を無駄にしたりしていませんよ!
・・・旦那さま、早く帰ってこないかなぁ。
はじめまして!
おこたと申します。
感想有難うございました。
と、とても面白かった、ですとっ!?
なんて嬉しいことをっ(幸)
ものすごくカメさんで不定期もいいところですが、
完結目指して地道にのんびり頑張っていきますので、
よかったらまた、覗きに来ていただけるとうれしいです♪
おこた
※感想のお礼小話、エイリーさんと妻のお出かけの続きになります♪
こちらも楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
お礼小話
お買い物に行こう!②
無事にクコールの材料やはちみつなどの買い物を済ませた後に、友人宅に寄って今日の出来事を話すと、友人は、驚いたように私の手を取って、ざっと視線を走らせた後、大きく息をつきました。
「君ね、君のボウドゥ・・・エイリーさんに感謝しなさい。危うく手が爛れるところだよ」
あの花畑の青い花は、以前友人が見せてくれたお酒に浮かべられる食用の花ではなく、良く似ているけれどまったく別種の花なのだそうです。それも、かなり強力な毒を持っていて、触れるだけですぐに爛れてしまい、間違って口にしてしまうと、数日苦しみ死んでしまうこともあるのだとか。
怖っ!
私、思いっきり普通に素手で摘もうとしてましたよ、危なかった・・・。
知らなかったとはいえ、下手したら命にかかわっていたかもしれません。私のことですから、花が食べられるかどうか、すぐその場で試していたと思います。
自分の無謀さに青ざめながら、改めて引っ張ってくれたエイリーさんに感謝したのですが、そういえば、どうしてエイリーさんは花のことを知っていたんでしょうか? それとも、野生の勘でしょうか?
なんにしても、もしエイリーさんが止めてくれていなかったら、手が爛れていたこと間違いなしです。
本当に、危なかった・・・。
手のひらを擦り合わせながら、何事もなく済んだことにほっとしていると、友人が棚の奥から小さな瓶を持ってきました。
中に入っているのが青い花弁で、思わずびくついてしまったのですが、よくよく見ると、今日私が見た物よりも、ずっと薄くて透明感のある青い花弁です。
「今持ち合わせがコレしかないのだけどね。違い、分かるよね?」
瓶の中に入ったこの花弁を見ると、明らかに今日私が見た花は違う種類だとわかります。花弁の形が違いますし、何より、透明感が段違いです。こうして実物と見比べると、一目瞭然ですね。
「それ、持って帰りなよ」
「え、いいんですか? 珍しいものなのでは・・・」
「一般的には、ね。商人の間じゃ結構流通しているものだから、気にせずに使って覚えて。君がこの花とあの毒草と間違える方が、よっぽど困るんだからね?」
「ありがとうございます! ちゃんと覚えますね!」
花は2つほど入っているので、夫が帰ってきたらさっそく一枚使ってみましょう。一度使ったものや食べた物なら、忘れたりしませんしね!
わくわくしながら小瓶の中の花を眺めていると、窓の外へ一瞬視線を流した友人がどこかひきつった笑みを浮かべました。
「ああ、ついでに、前に君からもらったクコールと魚の燻製も。これから作るんじゃ間に合わない・・・かもしれないからね」
以前作りすぎて友人におすそ分けしていたクコールと魚の燻製も持たせてくれました。
クコールは作るのに5日ほどかかるので、別のお店でクコールを買わなくちゃ、と思っていたところだったんですよね。
何も言わなくても私の買い物袋をちらりと見ただけで察するなんて、さすがです!
他にもいくつかお土産を持たせてもらって、エイリーさんと一緒に家に帰りました。
買ってきたはちみつをパンに塗ってエイリーさんに持っていき、今日のお礼をすると、次は気を付けてね、というような優しい目で見てくれます。エイリーさんも優しい子ですね。
ブラッシングで至福のひとときを味わってから、家の中に戻って、さっそく女性団員さま直伝のクコールを作りを始めました。気分的に、今日は美味しいクコールを作れそうな気がします! ・・・もちろん、気分だけですけども。
それから、いつも通り、旦那さまがいつ帰ってきてもいいように、二人分の夕食も作っておきました。
昔の習慣が抜けてないんですよね、これ。
でも、もし余ってしまっても翌日の朝ご飯や昼ご飯にするので、食材を無駄にしたりしていませんよ!
・・・旦那さま、早く帰ってこないかなぁ。
- おこた
- 2012年 09月16日 13時27分
[良い点]
夫視点での話は妻視点よりも少し過去から始まっているので、妻視点ではわからなかった(少なくとも妻はわかってませんよね)夫の気持ちが育つ様子が描写されていて楽しいです。
妻視点での夫はイケイケドンドンな姿しか見せてくれませんでしたが、夫視点ではなんと! 無自覚に妻に落ちていますよ!
無自覚デレ、大好物です。もぐもぐ。
[一言]
返信おまけの小話も大好きです。
エイリーさんは世間知らずの箱入りお嬢さんで、妻は世間違いによる箱入り娘さん。どっちも頑張り屋さんでいい子なんです。
買い物だって自分達だけで大丈夫! と勇んで出かけようとするも、仕事の行き帰りに同行する以外では外出させない過保護なクマさんが見えるような、見てはいけないような?
夫視点での話は妻視点よりも少し過去から始まっているので、妻視点ではわからなかった(少なくとも妻はわかってませんよね)夫の気持ちが育つ様子が描写されていて楽しいです。
妻視点での夫はイケイケドンドンな姿しか見せてくれませんでしたが、夫視点ではなんと! 無自覚に妻に落ちていますよ!
無自覚デレ、大好物です。もぐもぐ。
[一言]
返信おまけの小話も大好きです。
エイリーさんは世間知らずの箱入りお嬢さんで、妻は世間違いによる箱入り娘さん。どっちも頑張り屋さんでいい子なんです。
買い物だって自分達だけで大丈夫! と勇んで出かけようとするも、仕事の行き帰りに同行する以外では外出させない過保護なクマさんが見えるような、見てはいけないような?
治那 さま
こんにちは!
小話と夫視点の両方への感想ありがとうございました!
夫視点、どこから手を付けようか悩みに悩んでこの形(少し過去からのスタート)にしたので、楽しんでいただけてうれしいです!(嬉)
夫、まだまだ無自覚です(悪い笑み)
おまけ小話、大好きですとっ!?(歓喜)
だ、ダメですよ、おこたが調子に乗って木に登りますよっ!?(←危険危険)
エイリーさんと妻、双方ともに世間知らずですが、頑張り屋さんです。
エイリーさんと妻は相棒同士なので、だんだん似てくるのかもしれませんね~。
うふふ、治那さまのネタで、おこたの妄想が刺激されました!(いい笑顔)
※というわけで、小話をお送りします♪
時系列は、エイリーさんがやってきて、夫たちが長期の狩りから帰ってきたあたりです。多分、全三話になりそうな予感・・・。楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
お礼小話
お買い物に行こう!①
「エイリーさん、お買い物に行きましょう!」
旦那さまとウーマさんは、今日もお出かけしています。
この前、やっと長期の外出から戻ってきたばかりなのですが、まだまだやらなくてはならないお仕事があるのだとか。
留守にする前に、食料や生活必需品を十分すぎるほど買い込んできてくれるので、普段は留守中に買い物に行く必要がないのですが。
さっき棚を見たら、作り置きしておいたはずのクコールと、はちみつがなくなっていました。
夫が持って行ったのでしょうか?
疲れて帰って来る夫に、せめていつもの晩酌くらいは出してあげたいところ。
買いに行こうとも思ったのですが、夫からは一人で出かけるな、と言われていますし、友人が遊びに来てくれるのは、まだまだ先のことです。
夫がいつ帰ってきてもいいように、準備だけは整えておきたいのですが・・・。
あ、そうだ。
エイリーさんと一緒に行けばいいんですよ!
長期間家を空ける前に夫が教えてくれたので、乗り方と降り方だけはしっかり出来るようになっていますし。
エイリーさんのお散歩にもなって、これぞまさしく一石二鳥!
エイリーさんも嬉しそうに賛成してくれたので、いざ、お買い物に出発です!
って、張り切って出かけたのですが。
・・・道、間違えました。
いや、だって、エイリーさんに乗るのに集中していたから、つい、いつものお散歩コースに進んじゃったんですよ!
無意識に慣れた道を行っちゃうことってよくありますよね!?
本当は早く元の道に戻って、お買い物に行った方がいいのは分かっているのですが。
小さな川沿いにお花が咲いていて、とても綺麗です。
それに、エイリーさんにお水を飲ませて上げたいし。
ここから先は、街につくまで、エイリーさんがお水を飲める場所がありませんしね。
うん、ちょっと休憩して行きましょう!
幸い、お店は夕暮れまでやっていますし、そんなに急ぐこともないですよね。
エイリーさんから降りて水を飲ませてから、おやつ用に持ってきた最後の蜂蜜パンをエイリーさんに食べさせてあげました。
私も乾燥させた木の実をいくつか食べながら、ゆっくりとお花を眺めます。
赤、青、黄色、紫、白。
色とりどりのお花が風に揺れていて、なんだか気持ち良さそうです。
そういえば、以前友人が食用になる花について教えてくれましたっけ。
クコールとも相性がいいそのお花は、花びらをお酒に浮かべると、香り高く、ほんのりと甘味を足してくれるのだそうです。
滅多に市場に出回らないもので、とても貴重なものなんだとか。
その時に実物を見せて貰ったのですが、透き通るような、薄い青い花弁がとてもきれいで。
そう、ちょうど、こんな感じの・・・。
目の前で咲いている青い花を見て、ちょっと首を傾げました。
・・・あれ?
これ、同じ花じゃないですか!?
驚いてよくよく見てみたのですが、以前見せてもらったお花とは、少し花弁の形が違うような?
色ももっと薄かったはずだと思います。
ああ、でも、やっぱり似ているような・・・。
しばらく花を眺めて悩んでいたのですが、少し摘んで行くことにしました。
間違っているかもしれませんけど、友人に見せて判別してもらえばいいですよね。もし合っていれば、旦那さまへのいいお土産になりますし、外れていても、飾っておけますしね。
手を伸ばして花を摘もうとすると、風で揺れて手が空振りして。
あれ? と思っている間に、勢いよく後ろに引っ張られました。
「うわっ!? え、エイリーさん?」
驚いて首だけ後ろを振り向くと、私の背中の服を噛んだエイリーさんから「ダメダメダメ、ダメったらダメ!」とどこか必死な様子が伝わってきました。
ぐいぐい引っ張られるままに花畑から離れると、エイリーさんはようやく噛んでいた服をそっと離してくれました。
薄茶色の目を覗き込むと、ものすごく心配そうな色が浮かんでいます。
もしかして、あのお花は摘んではいけないものだったのでしょうか?
「えーっと、エイリーさん? あの青いお花を摘んで帰りたいなぁ、って思・・・はい、ごめんなさい、もう近づきません」
試しに聞いてみようと思ったら、薄茶色の大きな瞳をこれでもかっと言わんばかりに見開いて、激しく首を振られてしまいました。
なぜかは分からりませんが、やっぱりあの青い花は摘んじゃいけないようです。
残念だなぁ、と未練がましく見ていると、その視線を遮るようにエイリーさんが顔を寄せて来て、早く行きましょう、今すぐ出発しましょう! と促してきます。
「そうですね、今日の目的はお買い物ですし、もう行きましょうか」
心配をかけてしまったことを申し訳なく思いながらエイリーさんの顔を撫でると、ほっとしたような、嬉しそうな目でさらに顔を寄せて来てくれました。
あの青い花がなんだったのか、あとで、友人に聞いてみればいいですよね。
エイリーさんに乗せてもらって、お店を目指して進みながら、時々エイリーさんが後ろを気にするように振り返るので、私もつられて振り返ってみたのですが、特に変わったところはありません。
・・・花畑の青い花は、もう見えませんでした。
こんにちは!
小話と夫視点の両方への感想ありがとうございました!
夫視点、どこから手を付けようか悩みに悩んでこの形(少し過去からのスタート)にしたので、楽しんでいただけてうれしいです!(嬉)
夫、まだまだ無自覚です(悪い笑み)
おまけ小話、大好きですとっ!?(歓喜)
だ、ダメですよ、おこたが調子に乗って木に登りますよっ!?(←危険危険)
エイリーさんと妻、双方ともに世間知らずですが、頑張り屋さんです。
エイリーさんと妻は相棒同士なので、だんだん似てくるのかもしれませんね~。
うふふ、治那さまのネタで、おこたの妄想が刺激されました!(いい笑顔)
※というわけで、小話をお送りします♪
時系列は、エイリーさんがやってきて、夫たちが長期の狩りから帰ってきたあたりです。多分、全三話になりそうな予感・・・。楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
お礼小話
お買い物に行こう!①
「エイリーさん、お買い物に行きましょう!」
旦那さまとウーマさんは、今日もお出かけしています。
この前、やっと長期の外出から戻ってきたばかりなのですが、まだまだやらなくてはならないお仕事があるのだとか。
留守にする前に、食料や生活必需品を十分すぎるほど買い込んできてくれるので、普段は留守中に買い物に行く必要がないのですが。
さっき棚を見たら、作り置きしておいたはずのクコールと、はちみつがなくなっていました。
夫が持って行ったのでしょうか?
疲れて帰って来る夫に、せめていつもの晩酌くらいは出してあげたいところ。
買いに行こうとも思ったのですが、夫からは一人で出かけるな、と言われていますし、友人が遊びに来てくれるのは、まだまだ先のことです。
夫がいつ帰ってきてもいいように、準備だけは整えておきたいのですが・・・。
あ、そうだ。
エイリーさんと一緒に行けばいいんですよ!
長期間家を空ける前に夫が教えてくれたので、乗り方と降り方だけはしっかり出来るようになっていますし。
エイリーさんのお散歩にもなって、これぞまさしく一石二鳥!
エイリーさんも嬉しそうに賛成してくれたので、いざ、お買い物に出発です!
って、張り切って出かけたのですが。
・・・道、間違えました。
いや、だって、エイリーさんに乗るのに集中していたから、つい、いつものお散歩コースに進んじゃったんですよ!
無意識に慣れた道を行っちゃうことってよくありますよね!?
本当は早く元の道に戻って、お買い物に行った方がいいのは分かっているのですが。
小さな川沿いにお花が咲いていて、とても綺麗です。
それに、エイリーさんにお水を飲ませて上げたいし。
ここから先は、街につくまで、エイリーさんがお水を飲める場所がありませんしね。
うん、ちょっと休憩して行きましょう!
幸い、お店は夕暮れまでやっていますし、そんなに急ぐこともないですよね。
エイリーさんから降りて水を飲ませてから、おやつ用に持ってきた最後の蜂蜜パンをエイリーさんに食べさせてあげました。
私も乾燥させた木の実をいくつか食べながら、ゆっくりとお花を眺めます。
赤、青、黄色、紫、白。
色とりどりのお花が風に揺れていて、なんだか気持ち良さそうです。
そういえば、以前友人が食用になる花について教えてくれましたっけ。
クコールとも相性がいいそのお花は、花びらをお酒に浮かべると、香り高く、ほんのりと甘味を足してくれるのだそうです。
滅多に市場に出回らないもので、とても貴重なものなんだとか。
その時に実物を見せて貰ったのですが、透き通るような、薄い青い花弁がとてもきれいで。
そう、ちょうど、こんな感じの・・・。
目の前で咲いている青い花を見て、ちょっと首を傾げました。
・・・あれ?
これ、同じ花じゃないですか!?
驚いてよくよく見てみたのですが、以前見せてもらったお花とは、少し花弁の形が違うような?
色ももっと薄かったはずだと思います。
ああ、でも、やっぱり似ているような・・・。
しばらく花を眺めて悩んでいたのですが、少し摘んで行くことにしました。
間違っているかもしれませんけど、友人に見せて判別してもらえばいいですよね。もし合っていれば、旦那さまへのいいお土産になりますし、外れていても、飾っておけますしね。
手を伸ばして花を摘もうとすると、風で揺れて手が空振りして。
あれ? と思っている間に、勢いよく後ろに引っ張られました。
「うわっ!? え、エイリーさん?」
驚いて首だけ後ろを振り向くと、私の背中の服を噛んだエイリーさんから「ダメダメダメ、ダメったらダメ!」とどこか必死な様子が伝わってきました。
ぐいぐい引っ張られるままに花畑から離れると、エイリーさんはようやく噛んでいた服をそっと離してくれました。
薄茶色の目を覗き込むと、ものすごく心配そうな色が浮かんでいます。
もしかして、あのお花は摘んではいけないものだったのでしょうか?
「えーっと、エイリーさん? あの青いお花を摘んで帰りたいなぁ、って思・・・はい、ごめんなさい、もう近づきません」
試しに聞いてみようと思ったら、薄茶色の大きな瞳をこれでもかっと言わんばかりに見開いて、激しく首を振られてしまいました。
なぜかは分からりませんが、やっぱりあの青い花は摘んじゃいけないようです。
残念だなぁ、と未練がましく見ていると、その視線を遮るようにエイリーさんが顔を寄せて来て、早く行きましょう、今すぐ出発しましょう! と促してきます。
「そうですね、今日の目的はお買い物ですし、もう行きましょうか」
心配をかけてしまったことを申し訳なく思いながらエイリーさんの顔を撫でると、ほっとしたような、嬉しそうな目でさらに顔を寄せて来てくれました。
あの青い花がなんだったのか、あとで、友人に聞いてみればいいですよね。
エイリーさんに乗せてもらって、お店を目指して進みながら、時々エイリーさんが後ろを気にするように振り返るので、私もつられて振り返ってみたのですが、特に変わったところはありません。
・・・花畑の青い花は、もう見えませんでした。
- おこた
- 2012年 09月16日 12時41分
[一言]
ぅわ~い♪御久しぶりで~す。
洗濯物っ洗濯物(笑)
もちろん、妻の…アレですよね!?
夫は何を手にしていたのか分かったら、挙動不審になる事間違いないですね!!(おこたさんGJ)
それにしても、妻母と神父の共同合作は実はレア物だったんですね!
神父…、これから若人達を生温かくかつちょいと嫉妬し、ちょっかい出しながら見守るんですね。
あ、小話集!!
念願の動物園!!
次回は小動物ゾーンを廻る大の男四人組を期待してますっ!!
ぅわ~い♪御久しぶりで~す。
洗濯物っ洗濯物(笑)
もちろん、妻の…アレですよね!?
夫は何を手にしていたのか分かったら、挙動不審になる事間違いないですね!!(おこたさんGJ)
それにしても、妻母と神父の共同合作は実はレア物だったんですね!
神父…、これから若人達を生温かくかつちょいと嫉妬し、ちょっかい出しながら見守るんですね。
あ、小話集!!
念願の動物園!!
次回は小動物ゾーンを廻る大の男四人組を期待してますっ!!
浅黄さま
おはようございます!
お久しぶりです~♪
洗濯物、夫は気づいていないようですが、洗濯物って言ったら、やっぱりあれですよね!(爽やかな笑顔)
妻、心の中で悲鳴をあげまくっているに違いない(憐)
妻母と神父(フローイン)の共同合作、実はいくつか超レアものとして市場に出回ってます。神父がなんの対価もなく大事な共同作品達を他人に使わせるわけがないですからねぇ(しみじみ)。
しっかりプレミアつけて販売しているあたりが神父らしいですが・・・。
ちなみに、特に思い出深いものや危険なものは門外不出にしてあります(←何)
小話集の方は・・・やっちまいましたっ!
もう恥ずかしくて仕方がないのですが、とりあえず分岐物語を書き上げるように頑張ります!
感想有難うございました♪
おこた
※おまけの小話に、以前小話集でアップした「男たちの酒盛り」の「その後①」をお送りします。リクエストいただいた大の男四人組じゃなくてすみません! そちらも、これから打ち込んで行きますね。少しでも楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
①グレインの場合(レイン視点)
深夜を少し過ぎた時間。
こん、こんこんこん、と素早く1回と3回に分けて扉が叩かれる音が響く。
壁に仕込んだ覗き穴から来訪客を確認して、小さなため息をついてから、レインは玄関にまわって扉を開けた。
そこには、無表情にたつクマ・・・じゃなくて友人の夫殿と、ぐったりとしている我が元夫殿。
「やぁ、こんばんは。一応聞いておくけど、もし私が寝ていて扉を開けなかったら、それをどうするつもりだったんだい?」
「置いていく」
だと思った。この男なら、本当にやりそうだ。
なんの感情の起伏も感じられない声で淡々と答えられて、起きていてよかった、としみじみ思う。
玄関前に酔っ払いが打ち捨てられていたら、ご近所に通報されかねない。
「ありがとう、迷惑を掛けたね。馬車を出そうか? え、いらない? それじゃ、ちょっと待って。ほら、これを持っていくといい。酔うと虫に刺されやすくなるからね」
一言も喋らずに首を振るだけの友人の夫殿に無理やり虫除けの明かりを持たせた。
夜目がきく獣だから明かりは必要無くても、まさかその物騒な気配で小さな羽虫まで追い払うことは出来ないだろう・・・たぶん。
「それから、これも。手土産のひとつぐらいはないとね?」
もともと、次の勉強会の時に持って行こうと思っていたのだけど。
きっと寝ずに夫殿の帰りを待っているであろう友人への手土産として焼き菓子を渡すと、初めて夫殿に悔しげな表情が浮かぶ。
本当に、友人が絡んだ時だけ表情豊かになるんだから、面白い。
ついつい、にやり、と笑ってしまったら、少し乱暴に荷物(グレイン)を落として、さっさと扉を閉めて行ってしまった。
おやおや。これは後でフォローをしておいたほうがいいかな?
クスクスと笑いながら、床に座り込んでいるグレインを立たせようとすると、一応自分でも立ち上がろうとしている。意識はあるらしい。
「ほら、しっかり立って」
足元の覚束ないグレインに肩を貸して歩かせる。それにしても、酒臭い。
しかも、しっかりと片腕に抱えている酒瓶が邪魔で歩きにくいったらない。
普段は全く酔わない男がこんなに酔っ払うなんて、一体どれだけの酒を浴びるように飲んだんだろう。まったくもってもったいない。
早々に二階の寝室までは運ぶのは諦めてソファの上に座らせて、以前エーファから譲ってもらったエグい味の酔い覚ましの薬と水を渡す。
片腕を頭に当ててぐったりとソファに沈みこんでいたグレインが、ゆっくり体を起こして薬を呷った。
「ああ、全く。こんなに酔っ払うなんて情けない。どうせなら美味い酒をじっくり味わうべきだろう」
別に飲むな、酔うな、とは言わない。私も好きな方だし。
けれど、味わって飲むのは、酒を作ったものに対する最低限の礼儀だとも思う。浴びるように飲むなんてもってのほかだ。
まぁ、今言ったところで、意味がないのは分かっている。
酔っぱらいには、正論も異論も通じるわけがない。
夜も遅いし、私ももう寝よう、と二階を見上げると、ずい、と目の前に酒瓶が差し出された。
「レイン。旨い酒、見つけたぞ」
エーファから分けてもらった酔い覚ましが効いたのか、いくらかしっかりした動きになっている。
水で薬のエグさを流したグレインが差し出したのは、ずっと大切そうに抱えていた酒瓶。
「フェリーのガサスに良さそうだ。明日、一緒に飲もう」
「・・・なんだ、ちゃんと味わって飲んでたのか。偉い偉い」
確かに数日前に、新しく開拓した商路に向けた良い品を探していると話したけど。
覚えてたのか。
こうして商品としてよさそうな物を探してきてくれたことにも驚きながら、差し出された酒瓶を受け取って、反対の手をなんとなく伸ばして、頭を撫でてみる。
素面のときは頭に触れられることを極端に嫌がるのに、今は酒気がいい具合に回っているらしく、全くの無抵抗だ。それどころか、硬質な見た目と違ってかなり柔らかくて触り心地のいい銀髪を撫でていると、少し顔を上げて、懐くように手に頭と顔を擦りつけて来た。
まるで、もっとなでて欲しいと甘えるような。
全幅の信頼を寄せて安心しきったようなその仕草に、心臓を打ち抜かれた。
なにこの生き物、かわいいんですけどっ!?
過ぎた酒気のせいだとはわかってる。
普段は甘えとは程遠い冷たい目で睨んでくるから。
でも普段警戒心が強くて全然触らせてくれない生き物が、急に甘えてきてくれたようなこの状況に、つい口元が緩んでしまう。
「・・・明日も酔っ払わせちゃうぞ?」
そうだ、明日一緒にこの酒を試してみよう。せっかく持ってきてくれたんだし、二人で味わったほうが本当にガサスに合うかどうか、議論できるし。
そんなことを考えながら、素直に甘えるグレインがどうしても可愛く感じて離れがたく、結局そのままソファで一緒に眠ってしまった。
後日。
グレインがもって帰ってきた酒は、ガサスとの主要交易品になり、二人で晩酌しながら話をすることがいつの間にか習慣になっていたのだけど。
ひとつ、わかった。
・・・どうやら元夫殿は、あまり酒気に強くないらしい。
おはようございます!
お久しぶりです~♪
洗濯物、夫は気づいていないようですが、洗濯物って言ったら、やっぱりあれですよね!(爽やかな笑顔)
妻、心の中で悲鳴をあげまくっているに違いない(憐)
妻母と神父(フローイン)の共同合作、実はいくつか超レアものとして市場に出回ってます。神父がなんの対価もなく大事な共同作品達を他人に使わせるわけがないですからねぇ(しみじみ)。
しっかりプレミアつけて販売しているあたりが神父らしいですが・・・。
ちなみに、特に思い出深いものや危険なものは門外不出にしてあります(←何)
小話集の方は・・・やっちまいましたっ!
もう恥ずかしくて仕方がないのですが、とりあえず分岐物語を書き上げるように頑張ります!
感想有難うございました♪
おこた
※おまけの小話に、以前小話集でアップした「男たちの酒盛り」の「その後①」をお送りします。リクエストいただいた大の男四人組じゃなくてすみません! そちらも、これから打ち込んで行きますね。少しでも楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
①グレインの場合(レイン視点)
深夜を少し過ぎた時間。
こん、こんこんこん、と素早く1回と3回に分けて扉が叩かれる音が響く。
壁に仕込んだ覗き穴から来訪客を確認して、小さなため息をついてから、レインは玄関にまわって扉を開けた。
そこには、無表情にたつクマ・・・じゃなくて友人の夫殿と、ぐったりとしている我が元夫殿。
「やぁ、こんばんは。一応聞いておくけど、もし私が寝ていて扉を開けなかったら、それをどうするつもりだったんだい?」
「置いていく」
だと思った。この男なら、本当にやりそうだ。
なんの感情の起伏も感じられない声で淡々と答えられて、起きていてよかった、としみじみ思う。
玄関前に酔っ払いが打ち捨てられていたら、ご近所に通報されかねない。
「ありがとう、迷惑を掛けたね。馬車を出そうか? え、いらない? それじゃ、ちょっと待って。ほら、これを持っていくといい。酔うと虫に刺されやすくなるからね」
一言も喋らずに首を振るだけの友人の夫殿に無理やり虫除けの明かりを持たせた。
夜目がきく獣だから明かりは必要無くても、まさかその物騒な気配で小さな羽虫まで追い払うことは出来ないだろう・・・たぶん。
「それから、これも。手土産のひとつぐらいはないとね?」
もともと、次の勉強会の時に持って行こうと思っていたのだけど。
きっと寝ずに夫殿の帰りを待っているであろう友人への手土産として焼き菓子を渡すと、初めて夫殿に悔しげな表情が浮かぶ。
本当に、友人が絡んだ時だけ表情豊かになるんだから、面白い。
ついつい、にやり、と笑ってしまったら、少し乱暴に荷物(グレイン)を落として、さっさと扉を閉めて行ってしまった。
おやおや。これは後でフォローをしておいたほうがいいかな?
クスクスと笑いながら、床に座り込んでいるグレインを立たせようとすると、一応自分でも立ち上がろうとしている。意識はあるらしい。
「ほら、しっかり立って」
足元の覚束ないグレインに肩を貸して歩かせる。それにしても、酒臭い。
しかも、しっかりと片腕に抱えている酒瓶が邪魔で歩きにくいったらない。
普段は全く酔わない男がこんなに酔っ払うなんて、一体どれだけの酒を浴びるように飲んだんだろう。まったくもってもったいない。
早々に二階の寝室までは運ぶのは諦めてソファの上に座らせて、以前エーファから譲ってもらったエグい味の酔い覚ましの薬と水を渡す。
片腕を頭に当ててぐったりとソファに沈みこんでいたグレインが、ゆっくり体を起こして薬を呷った。
「ああ、全く。こんなに酔っ払うなんて情けない。どうせなら美味い酒をじっくり味わうべきだろう」
別に飲むな、酔うな、とは言わない。私も好きな方だし。
けれど、味わって飲むのは、酒を作ったものに対する最低限の礼儀だとも思う。浴びるように飲むなんてもってのほかだ。
まぁ、今言ったところで、意味がないのは分かっている。
酔っぱらいには、正論も異論も通じるわけがない。
夜も遅いし、私ももう寝よう、と二階を見上げると、ずい、と目の前に酒瓶が差し出された。
「レイン。旨い酒、見つけたぞ」
エーファから分けてもらった酔い覚ましが効いたのか、いくらかしっかりした動きになっている。
水で薬のエグさを流したグレインが差し出したのは、ずっと大切そうに抱えていた酒瓶。
「フェリーのガサスに良さそうだ。明日、一緒に飲もう」
「・・・なんだ、ちゃんと味わって飲んでたのか。偉い偉い」
確かに数日前に、新しく開拓した商路に向けた良い品を探していると話したけど。
覚えてたのか。
こうして商品としてよさそうな物を探してきてくれたことにも驚きながら、差し出された酒瓶を受け取って、反対の手をなんとなく伸ばして、頭を撫でてみる。
素面のときは頭に触れられることを極端に嫌がるのに、今は酒気がいい具合に回っているらしく、全くの無抵抗だ。それどころか、硬質な見た目と違ってかなり柔らかくて触り心地のいい銀髪を撫でていると、少し顔を上げて、懐くように手に頭と顔を擦りつけて来た。
まるで、もっとなでて欲しいと甘えるような。
全幅の信頼を寄せて安心しきったようなその仕草に、心臓を打ち抜かれた。
なにこの生き物、かわいいんですけどっ!?
過ぎた酒気のせいだとはわかってる。
普段は甘えとは程遠い冷たい目で睨んでくるから。
でも普段警戒心が強くて全然触らせてくれない生き物が、急に甘えてきてくれたようなこの状況に、つい口元が緩んでしまう。
「・・・明日も酔っ払わせちゃうぞ?」
そうだ、明日一緒にこの酒を試してみよう。せっかく持ってきてくれたんだし、二人で味わったほうが本当にガサスに合うかどうか、議論できるし。
そんなことを考えながら、素直に甘えるグレインがどうしても可愛く感じて離れがたく、結局そのままソファで一緒に眠ってしまった。
後日。
グレインがもって帰ってきた酒は、ガサスとの主要交易品になり、二人で晩酌しながら話をすることがいつの間にか習慣になっていたのだけど。
ひとつ、わかった。
・・・どうやら元夫殿は、あまり酒気に強くないらしい。
- おこた
- 2012年 08月11日 09時54分
[一言]
おこた様、夫視点&感想小話に続き、小話集も更新ありがとう!2日続けてHAPPYで小躍り中ですっ♪
これからも楽しみにしてます。
おこた様、夫視点&感想小話に続き、小話集も更新ありがとう!2日続けてHAPPYで小躍り中ですっ♪
これからも楽しみにしてます。
ron4n さま
こんばんは!
感想有難うございました!
本当に更新に波がありすぎるおこたですが、完結までのんびりゆっくりカメさんらしく行きますので、これからもたまーに覗きに来ていただけると嬉しいです♪
おこた
※というわけで(←?)先ほど更新した小話、「動物園に行こう!」のクマさん視点をお送りします!
先に小話集の方を読んでいただいた方がいいかも?
クマさんは、クマさんなりにいろいろ考えているようです(いい笑顔)↓
―――
クマ視点(笑)
それは、初めて見るものだった。
いつもと同じ朝を迎えて、いつもと何ら変わらない日々が始まる。
世話係の男が昨日からやけに張り切って檻の中を掃除して、いつも以上に食料を置いていったから、今日から見世物が始まるのか、と思っただけで、それもいつもと同じ。
他にもやることがあるのだろう、普段より急いでいた奴が扉を閉める時に鍵をかけ忘れているのに気づいたが、それさえも別にどうでもいいことだった。
今、この時までは。
目の前には、大きな黒い目の、小さな人間。
檻のすぐ外で不思議そうに見ていたかと思うと、キョロキョロと視線を彷徨わせ、夜よりも深い黒の瞳がまっすぐにこちらを見てきて。
たいていの生き物は視線があってもすぐに外すのに、この小さな生き物は視線を外さず、なぜかこちらも視線をそらすことができなかった。
黒い瞳がとても、楽しげで、嬉しげだったから。
なんだか、こちらまで楽しくなってくる。
もう少し、近くでその黒がみたい。
怖がらせてしまわないように、ことさらゆっくりと近づいて行きながら、小さな生き物の様子を伺う。
どうして近づいてくるんだろう、と言わんばかりに不思議そうな色を浮かべてはいるが、怖がったり、逃げようとはしていない。
そのことを嬉しく思いながら、檻のすぐ前で一度止まる。
森の小さな生き物のように、こちらを見上げてくる小さな顔。
ちょうど扉の前にいるのは、わざとなのか、偶然なのか。
それでも急に動けば、きっと驚かしてしまうだろう、と思うと、すぐには動けない。
どうしたものか。
思案しているうちに、檻越しにある小さな顔が少し色を帯びた。柔らかそうな頬が赤く染まって。
黒い瞳が濡れたように潤んで、幸せそうな、けれど何かに耐えるような、そんな複雑な微笑みを浮かべていて。
触れてみたい。
その暖かそうな頬に、今すぐ。
衝動のままに、けれど怖がらせないように、ゆっくりと前足で檻を押す。
鍵どころか、しっかり閉まっていなかったらしい扉は、あっけないほどにあっさりと開く。
不思議そうに開け放たれた檻を見たあと、またまっすぐにこちらを見てくれる。遮るものが何もない状態で見る彼女は、やはりとても小さい。
黒い目に、混乱が浮かんだ。
焦ったように手を動かす彼女を寂しく思いながら、もっと彼女に近づきたいという気持ちのまま、ゆっくりと檻の外に出ようとすると。
「ま、待ったぁっ!!」
彼女の可愛い声が聞けた。
それだけでも、体が震えるほどに嬉しかったのに。
彼女が自分からその小さな、けれど暖かい手を差し出して、肩に触れてくれた。
「戻って、戻って、出てきちゃダメです、中に戻ってくださいっ!!」
ひどく焦った声で肩に置いた手で、優しく押し戻そうとする。
混乱を浮かべた瞳には、なぜか使命感のような、みなぎるやる気のようなものも浮かんでいるのが面白いけれど、少しだけ寂しい。
せっかく、触れ合うことができたのに。
せっかく、その暖かい手を感じることができたのに。
だが、彼女が戻れというのならば、戻ろう。
嫌だ、もっと彼女から触れてもらいたい、と叫ぶ心を押しつぶし、なんとか一歩下がったら。
彼女が一歩足を踏み出したきた。
・・・?
もしかして、とわずかな期待を込めて、もう一歩後ずさってみると、両肩に置いた小さな手はそのままで、小さな足が更に一歩前へ進む。
さらに一歩、もう一歩。
後ろに下がるだけ、小さな足は前に進む。
もうその体は完全に檻の中に入っていしまっているというのに、気づいていないらしい。
そのまま気づかないで欲しい、と願いながら、一歩一歩下がっていく。
檻の中の半分ほどの位置まで下がったところで、大きく息をついて、いきなり座り込んでしまった。
具合が悪いのかと慌ててその顔を覗き込むと。
「もう、ダメですよ。檻から出たら、危ないんですからね?」
頭を、撫でられた。
生まれて初めての感触がとても心地良いと思うのに、なぜか撫でられるよりも撫でたいという気持ちが湧いてくる。
けれど、この長い爪で傷つけてしまうかもしれない。
肉球の部分だったら大丈夫だろうか? いや、それでも固い。
悩んでいる間に、頭を撫でていた小さな手が耳に触れてくる。
感触が気に入ったのか、嬉しそうに、目を輝かせながら何度も何度も。
温かくて、柔らかい。
自分から触れることを諦めて、大きなため息をつく。
どうやっても、彼女を傷つけてしまいそうだから。
触れたくても、触れることができないなら。
触れてもらえばいい。
座り込んだ彼女の足元に、頭を乗せて寝転がると、無防備な姿に驚いたのか、彼女の手が止まった。けれど、触れたそうに顔や腹の辺りの上をふわふわ漂っているのが面白い。
さぁ、お好きなだけどうぞ?
誘うように見上げれば、嬉しさを爆発させたような明るい声を響かせて。
全身全霊で触れて来る。
いつもと同じで、全く違う特別な今日と。
・・・鍵を忘れた世話係に、心の底から、感謝した。
こんばんは!
感想有難うございました!
本当に更新に波がありすぎるおこたですが、完結までのんびりゆっくりカメさんらしく行きますので、これからもたまーに覗きに来ていただけると嬉しいです♪
おこた
※というわけで(←?)先ほど更新した小話、「動物園に行こう!」のクマさん視点をお送りします!
先に小話集の方を読んでいただいた方がいいかも?
クマさんは、クマさんなりにいろいろ考えているようです(いい笑顔)↓
―――
クマ視点(笑)
それは、初めて見るものだった。
いつもと同じ朝を迎えて、いつもと何ら変わらない日々が始まる。
世話係の男が昨日からやけに張り切って檻の中を掃除して、いつも以上に食料を置いていったから、今日から見世物が始まるのか、と思っただけで、それもいつもと同じ。
他にもやることがあるのだろう、普段より急いでいた奴が扉を閉める時に鍵をかけ忘れているのに気づいたが、それさえも別にどうでもいいことだった。
今、この時までは。
目の前には、大きな黒い目の、小さな人間。
檻のすぐ外で不思議そうに見ていたかと思うと、キョロキョロと視線を彷徨わせ、夜よりも深い黒の瞳がまっすぐにこちらを見てきて。
たいていの生き物は視線があってもすぐに外すのに、この小さな生き物は視線を外さず、なぜかこちらも視線をそらすことができなかった。
黒い瞳がとても、楽しげで、嬉しげだったから。
なんだか、こちらまで楽しくなってくる。
もう少し、近くでその黒がみたい。
怖がらせてしまわないように、ことさらゆっくりと近づいて行きながら、小さな生き物の様子を伺う。
どうして近づいてくるんだろう、と言わんばかりに不思議そうな色を浮かべてはいるが、怖がったり、逃げようとはしていない。
そのことを嬉しく思いながら、檻のすぐ前で一度止まる。
森の小さな生き物のように、こちらを見上げてくる小さな顔。
ちょうど扉の前にいるのは、わざとなのか、偶然なのか。
それでも急に動けば、きっと驚かしてしまうだろう、と思うと、すぐには動けない。
どうしたものか。
思案しているうちに、檻越しにある小さな顔が少し色を帯びた。柔らかそうな頬が赤く染まって。
黒い瞳が濡れたように潤んで、幸せそうな、けれど何かに耐えるような、そんな複雑な微笑みを浮かべていて。
触れてみたい。
その暖かそうな頬に、今すぐ。
衝動のままに、けれど怖がらせないように、ゆっくりと前足で檻を押す。
鍵どころか、しっかり閉まっていなかったらしい扉は、あっけないほどにあっさりと開く。
不思議そうに開け放たれた檻を見たあと、またまっすぐにこちらを見てくれる。遮るものが何もない状態で見る彼女は、やはりとても小さい。
黒い目に、混乱が浮かんだ。
焦ったように手を動かす彼女を寂しく思いながら、もっと彼女に近づきたいという気持ちのまま、ゆっくりと檻の外に出ようとすると。
「ま、待ったぁっ!!」
彼女の可愛い声が聞けた。
それだけでも、体が震えるほどに嬉しかったのに。
彼女が自分からその小さな、けれど暖かい手を差し出して、肩に触れてくれた。
「戻って、戻って、出てきちゃダメです、中に戻ってくださいっ!!」
ひどく焦った声で肩に置いた手で、優しく押し戻そうとする。
混乱を浮かべた瞳には、なぜか使命感のような、みなぎるやる気のようなものも浮かんでいるのが面白いけれど、少しだけ寂しい。
せっかく、触れ合うことができたのに。
せっかく、その暖かい手を感じることができたのに。
だが、彼女が戻れというのならば、戻ろう。
嫌だ、もっと彼女から触れてもらいたい、と叫ぶ心を押しつぶし、なんとか一歩下がったら。
彼女が一歩足を踏み出したきた。
・・・?
もしかして、とわずかな期待を込めて、もう一歩後ずさってみると、両肩に置いた小さな手はそのままで、小さな足が更に一歩前へ進む。
さらに一歩、もう一歩。
後ろに下がるだけ、小さな足は前に進む。
もうその体は完全に檻の中に入っていしまっているというのに、気づいていないらしい。
そのまま気づかないで欲しい、と願いながら、一歩一歩下がっていく。
檻の中の半分ほどの位置まで下がったところで、大きく息をついて、いきなり座り込んでしまった。
具合が悪いのかと慌ててその顔を覗き込むと。
「もう、ダメですよ。檻から出たら、危ないんですからね?」
頭を、撫でられた。
生まれて初めての感触がとても心地良いと思うのに、なぜか撫でられるよりも撫でたいという気持ちが湧いてくる。
けれど、この長い爪で傷つけてしまうかもしれない。
肉球の部分だったら大丈夫だろうか? いや、それでも固い。
悩んでいる間に、頭を撫でていた小さな手が耳に触れてくる。
感触が気に入ったのか、嬉しそうに、目を輝かせながら何度も何度も。
温かくて、柔らかい。
自分から触れることを諦めて、大きなため息をつく。
どうやっても、彼女を傷つけてしまいそうだから。
触れたくても、触れることができないなら。
触れてもらえばいい。
座り込んだ彼女の足元に、頭を乗せて寝転がると、無防備な姿に驚いたのか、彼女の手が止まった。けれど、触れたそうに顔や腹の辺りの上をふわふわ漂っているのが面白い。
さぁ、お好きなだけどうぞ?
誘うように見上げれば、嬉しさを爆発させたような明るい声を響かせて。
全身全霊で触れて来る。
いつもと同じで、全く違う特別な今日と。
・・・鍵を忘れた世話係に、心の底から、感謝した。
- おこた
- 2012年 07月07日 21時13分
[一言]
更新お疲れ様です、おこた様。
たまらんです。
通勤中だというのに微妙に挙動不審です。
更新お疲れ様です、おこた様。
たまらんです。
通勤中だというのに微妙に挙動不審です。
霜水無さま
おはようございます!
おおっ、土曜日も出勤なんですね。お疲れ様です!
スランプにすっかりはまり込んでいて、更新が激遅になってしまっていてすみません(汗)
スランプ脱出法(?)がかけるモノから書いていく、というスタイルなので、夫視点以外も交えながらの更新になっていくと思いますが、気長にお付き合いいただけると嬉しいですっ(切実)
お仕事、頑張ってくださいね!
おこたは、今週はなんとか日曜出勤を回避したので、これから打ち込める部分から打ち込んでいこうと思います♪
おこた
※「妻、頑張る」のエイリーさん視点の続きをお送りします!楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
エイリーも頑張る(エイリーさん視点)後編
痛いっ!?
一瞬ふらつきそうになってしまって速度が落ちたけど、すぐに元の速度まで戻す。
痛い、けどっ! 負けるもんか!
「エイリーさんっ!? 足がっ」
相棒の悲鳴みたいな声にちょっとだけ振り向くと、私の大好きな黒い瞳が、すごく心配そうで泣きだしてしまいそうに潤んでいた。
大丈夫! 絶対に負けないっ!
痛くたって、私は走れる。走って、走って、走りきってみせる!
安心させるつもりでそう言うと、相棒は目を大きく開いて、それから、強い光を浮かべた。
私が好きな、とても強い瞳。
ぐっ、と目元をこすった相棒は、背中に背負っていた荷物から何かを取り出したかと思うと、私の動きに合わせて体を浮かせる。
何をするんだろう、と思ったら、そのまま振り向いて、な、投げたっ!?
ゴンッ、とものすごく重そうな、痛そうな音がしてエウレカに乗っていた人が、落ちた!
重心を崩したエウレカがそのままもう一頭にぶつかって、もう一人も悲鳴をあげながらエウレカごと転ぶ。
す、すごいっ、さすが相棒っ!!
追いかけてくるのは、あと一頭だけ。
でも、その一頭が振り切れない。
相棒がどんどんものを投げても、少しの動きで避けてしまう。さっきよりも速度を上げて走っているのに、全然離せないどころか、少しずつ距離を詰められている。
それに、また何かが飛んできて。
うまく避けたつもりだったのに。
血の、匂い。
私のじゃない。
甘くて、だけど嗅ぎたくなくて、全身が震えだしてしまうこの香りは・・・相棒の・・・。
頭が真っ白になって、血の気が引く。脚が縺れてふらつくと、狙ったように空を切る鋭い音が響いてくる。
慌てて脚に力を込めて大きく左右に動きながら速度をあげるけど、空を切る音は止まず、甘い香りはどんどん濃くなってきて。
どうしよう、どうしようどうしようっ、どうすればいいっ!?
相棒は私よりももっと身体が小さいのに。人の女の子はとても脆いのに。怖くて身体の震えが止まらない。
だれか、だれか・・・ウーマさ、っ・・・!?
生まれて初めて感じる恐怖に、泣き出してしまいそうになった、その時。
月の光を反射する、白。
すれ違う一瞬に、ちらり、と私を見た瞳にあっ、と声を上げた。
今の、ビビ君だ。
全く速度を落とさずに突っ込んで行ったから、すぐに見えなくなったけど、間違いない。
『もうだめだ、っていう絶対絶命の時に、英雄は現れるものなんですよ!』
前に相棒がそう言っていたけど、その時は英雄ってなにかわからなかったけど。
英雄って、ビビ君のことだったんだ!
ありがとうっ! ビビ君っ!
聞こえないのは分かっているけど、それでも言わずにいられなかった。
相棒が凄く後ろを気にしているのがわかるけど、さらに速度を上げて走る。
今はとにかく、ウーマさんと合流するのが最優先!
相棒を傷つけられてしまう恐怖がなくなって、脚の動きを妨げるものはもう何もない。
もうちょっと。あと少し。
なんとなく感じていたおぼろげな距離が、突然、一気に詰められる。
反射的に無理矢理急停止して大きく避けると、大きな身体が空から降って来た。
真っ黒な瞳が、真っ直ぐに私を射抜く。
その力強さに、なぜか全身の緊張が解けて、ほっと息をついた。
まだ変な人達のことも、ビビ君のことも、相棒や私の怪我のこともあるけど。
・・・これで、もう、大丈夫!
―――
ウーマさん目指して一直線なエイリーさん。
英雄はビビくんでも、信頼しきっているのは、ウーマさんだったり。
うん、エイリーさんも頑張った!
おはようございます!
おおっ、土曜日も出勤なんですね。お疲れ様です!
スランプにすっかりはまり込んでいて、更新が激遅になってしまっていてすみません(汗)
スランプ脱出法(?)がかけるモノから書いていく、というスタイルなので、夫視点以外も交えながらの更新になっていくと思いますが、気長にお付き合いいただけると嬉しいですっ(切実)
お仕事、頑張ってくださいね!
おこたは、今週はなんとか日曜出勤を回避したので、これから打ち込める部分から打ち込んでいこうと思います♪
おこた
※「妻、頑張る」のエイリーさん視点の続きをお送りします!楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ。↓
―――
エイリーも頑張る(エイリーさん視点)後編
痛いっ!?
一瞬ふらつきそうになってしまって速度が落ちたけど、すぐに元の速度まで戻す。
痛い、けどっ! 負けるもんか!
「エイリーさんっ!? 足がっ」
相棒の悲鳴みたいな声にちょっとだけ振り向くと、私の大好きな黒い瞳が、すごく心配そうで泣きだしてしまいそうに潤んでいた。
大丈夫! 絶対に負けないっ!
痛くたって、私は走れる。走って、走って、走りきってみせる!
安心させるつもりでそう言うと、相棒は目を大きく開いて、それから、強い光を浮かべた。
私が好きな、とても強い瞳。
ぐっ、と目元をこすった相棒は、背中に背負っていた荷物から何かを取り出したかと思うと、私の動きに合わせて体を浮かせる。
何をするんだろう、と思ったら、そのまま振り向いて、な、投げたっ!?
ゴンッ、とものすごく重そうな、痛そうな音がしてエウレカに乗っていた人が、落ちた!
重心を崩したエウレカがそのままもう一頭にぶつかって、もう一人も悲鳴をあげながらエウレカごと転ぶ。
す、すごいっ、さすが相棒っ!!
追いかけてくるのは、あと一頭だけ。
でも、その一頭が振り切れない。
相棒がどんどんものを投げても、少しの動きで避けてしまう。さっきよりも速度を上げて走っているのに、全然離せないどころか、少しずつ距離を詰められている。
それに、また何かが飛んできて。
うまく避けたつもりだったのに。
血の、匂い。
私のじゃない。
甘くて、だけど嗅ぎたくなくて、全身が震えだしてしまうこの香りは・・・相棒の・・・。
頭が真っ白になって、血の気が引く。脚が縺れてふらつくと、狙ったように空を切る鋭い音が響いてくる。
慌てて脚に力を込めて大きく左右に動きながら速度をあげるけど、空を切る音は止まず、甘い香りはどんどん濃くなってきて。
どうしよう、どうしようどうしようっ、どうすればいいっ!?
相棒は私よりももっと身体が小さいのに。人の女の子はとても脆いのに。怖くて身体の震えが止まらない。
だれか、だれか・・・ウーマさ、っ・・・!?
生まれて初めて感じる恐怖に、泣き出してしまいそうになった、その時。
月の光を反射する、白。
すれ違う一瞬に、ちらり、と私を見た瞳にあっ、と声を上げた。
今の、ビビ君だ。
全く速度を落とさずに突っ込んで行ったから、すぐに見えなくなったけど、間違いない。
『もうだめだ、っていう絶対絶命の時に、英雄は現れるものなんですよ!』
前に相棒がそう言っていたけど、その時は英雄ってなにかわからなかったけど。
英雄って、ビビ君のことだったんだ!
ありがとうっ! ビビ君っ!
聞こえないのは分かっているけど、それでも言わずにいられなかった。
相棒が凄く後ろを気にしているのがわかるけど、さらに速度を上げて走る。
今はとにかく、ウーマさんと合流するのが最優先!
相棒を傷つけられてしまう恐怖がなくなって、脚の動きを妨げるものはもう何もない。
もうちょっと。あと少し。
なんとなく感じていたおぼろげな距離が、突然、一気に詰められる。
反射的に無理矢理急停止して大きく避けると、大きな身体が空から降って来た。
真っ黒な瞳が、真っ直ぐに私を射抜く。
その力強さに、なぜか全身の緊張が解けて、ほっと息をついた。
まだ変な人達のことも、ビビ君のことも、相棒や私の怪我のこともあるけど。
・・・これで、もう、大丈夫!
―――
ウーマさん目指して一直線なエイリーさん。
英雄はビビくんでも、信頼しきっているのは、ウーマさんだったり。
うん、エイリーさんも頑張った!
- おこた
- 2012年 06月16日 11時24分
[良い点]
おかえり、おこた様(*^-^*)
おかえり、おこた様(*^-^*)
リィさま
ただいまですっ!!
というか。
リアルタイムで泣かせる気ですかーっ!?(号泣)
ううっ、ありがとうございます、ただいまですっ(嬉泣)
うん。
すごく、がんばります!(決意)
おこた
※打ち込みはこれから頑張るので、とりあえず、ボツにしようと思っていたエイリーさん視点を修正して見ました!エイリーさんも頑張ってます!↓
―――
エイリーも頑張る(エイリーさん視点)前編
最近、相棒と二人っきりで過ごせることが多くなった。
相棒の旦那さんに邪魔されずに、相棒を独り占め出来るのがすごく嬉しいっ!
だけど、やっぱり一日中ずっと一緒に居られるわけじゃないし、いつも体が大きいウーマさんが一緒だったから、いつもの厩が凄く広くて、静かでなんとなく落ち着かない。もともと大勢の仲間たちと暮らしていたから、正直ちょっと寂しいな、って思っちゃう。
相棒は私が寂しがっているのに気づいてくれて、夜は必ず一緒に休んでくれる。
寝る前にちょっとおやつを食べて、お水を飲んで、おしゃべりをして。そうして二人で温め合いながら眠るのが二人っきりのときの何よりの楽しみ。
そろそろ相棒が来る頃かなって、わくわくしながら待っていたんだけど。
耳が無意識のうちにピンッ、と立って外に意識が向かう。
・・・外の空気が変わった?
私は、ウーマさんほど気配に敏感じゃないけど、なんとなく嫌な空気が流れている気がする。
ウーマさんが前にあけた覗き穴からこっそり外を見てみると、月明かりに動く影。
やっぱり、何かいる。
いち、に、さん・・・全部で、はち。
人と|騎乗用の動物《エウレカ》が半々。
一人が相棒の家の方へ歩いていって扉をたたき始め、残りは家を囲むような位置についている。
これまでもお客さんが来たことはあるけど。
こんなに怪しかった?
それにこの人たちは、なんだか、すごく嫌な、変な感じが・・・。
不意に、ウーマさんに毎日のように言われていたことが頭に浮かんできた。
「僕の留守中に変な人が来たら、絶対に直接対峙しちゃ駄目だよ? エイリーが変だと思ったら、それが『変な人』だからね」
・・・た、大変っ!
この人たち、『変な人』なんだ!
覗き穴から離れて、急いで相棒の鞍を取りに行く。
牧場から出るまで知らなかったけれど、私はかなり体格が小さいらしい。ウーマさんは特別に体が大きいらしいけど、この前見かけた同族も私よりもずっと体高が高かった。
これでも、牧場の女の子たちの中では、大きい方だったんだけど・・・。
とにかく、体が小さくて狩りに出たこともない私は、当然、危険な生き物や変な人に会っても対処できない。
だから、とウーマさんは何度も私に言い聞かせた。
「だからもし『変な人』が来たら、エイリーは大好きな人を乗せて、自慢の脚で僕のところまで駆けておいで!」
離れていても、僕の場所はわかるでしょ? といわれて、なんとなく? と疑問系で答えたらなぜかものすごく落ち込まれてしまったけど。
とにかく、今がウーマさんにも認めてもらえた逃げ足の速さが役に立つ時なのは間違いない。
しつこく相棒の家の扉を叩いている音に、出て来ちゃ駄目だよ、と相棒に祈りながら外に出ようとしたら、ドンッ、という衝撃音が響いた。
今の、なに!?
また、衝撃音。
ギシリッと、扉が悲鳴を上げるのが聞こえて、かっ、と頭に血が上った。
相棒の家を、無理矢理こじ開けようとするなんてっ!
怒りに任せて思いっきり厩の扉に体当たりすると、ちょうど相棒の部屋の近くにいた影がエウレカごとこっちに向かってくるのを感じた。
っと、いけない。
怒るよりも今の内に相棒と合流しなくちゃ。
こっそり反対側の扉から外へ出て、出来るだけ足音を立てないように相棒の部屋の方へ行くと、窓から相棒が出てきた。
けど、なぜか私の方じゃなくて、厩舎の方に向かってるような?
あ、そうか。相棒は夜はあまり目が見えないんだった。
私はここだよ! と慌てて駆け寄ると、ようやく私が見えた相棒が嬉しそうな顔になった。
声に出さないけど、相棒の黒い瞳が褒めてくれていて、嬉しい。
相棒が乗馬道具をつけている間にも、厩舎を確認したあの人達が、何か言い合いながらこちらにこようとしているのが聞こえてくる。
馬具を付け終えた相棒を乗せて駆け出すのと、後ろから怒声が聞こえてくるのが、ほぼ同時。
脚の速さなら負けたりしないんだから!
なんとなく感じるウーマさんがいる方角へ全力で走ろうとしたら、背中に相棒の緊張を感じて、慌てて速度を落とす。
そうだ、私はまだ相棒を乗せたまま全力で走れないんだった!
相棒を乗せて走るときは、なるべく振動を起こさないように走り方を変えないといけない。だけど、私はまだその走り方に慣れてない。いつもの走り方で本気で走ったら、相棒を落としてしまうかもしれないし。
今の私が相棒を乗せて走れるのは、追いつかれはしないけど引き離すのは難しい、ぎりぎりの速さ。
もっと練習して置けば良かった! と後悔したけど、遅い。
でも、この辺りの道は私の方が詳しんだからっ。
飛び跳ねるように走るエウレカには走りにくい道をあえて選んで走っていると、少しずつだけど、距離を離していく。
これなら引き離せるかも、と思った、その時。
・・・後ろ脚に衝撃と激痛が、走った。
ただいまですっ!!
というか。
リアルタイムで泣かせる気ですかーっ!?(号泣)
ううっ、ありがとうございます、ただいまですっ(嬉泣)
うん。
すごく、がんばります!(決意)
おこた
※打ち込みはこれから頑張るので、とりあえず、ボツにしようと思っていたエイリーさん視点を修正して見ました!エイリーさんも頑張ってます!↓
―――
エイリーも頑張る(エイリーさん視点)前編
最近、相棒と二人っきりで過ごせることが多くなった。
相棒の旦那さんに邪魔されずに、相棒を独り占め出来るのがすごく嬉しいっ!
だけど、やっぱり一日中ずっと一緒に居られるわけじゃないし、いつも体が大きいウーマさんが一緒だったから、いつもの厩が凄く広くて、静かでなんとなく落ち着かない。もともと大勢の仲間たちと暮らしていたから、正直ちょっと寂しいな、って思っちゃう。
相棒は私が寂しがっているのに気づいてくれて、夜は必ず一緒に休んでくれる。
寝る前にちょっとおやつを食べて、お水を飲んで、おしゃべりをして。そうして二人で温め合いながら眠るのが二人っきりのときの何よりの楽しみ。
そろそろ相棒が来る頃かなって、わくわくしながら待っていたんだけど。
耳が無意識のうちにピンッ、と立って外に意識が向かう。
・・・外の空気が変わった?
私は、ウーマさんほど気配に敏感じゃないけど、なんとなく嫌な空気が流れている気がする。
ウーマさんが前にあけた覗き穴からこっそり外を見てみると、月明かりに動く影。
やっぱり、何かいる。
いち、に、さん・・・全部で、はち。
人と|騎乗用の動物《エウレカ》が半々。
一人が相棒の家の方へ歩いていって扉をたたき始め、残りは家を囲むような位置についている。
これまでもお客さんが来たことはあるけど。
こんなに怪しかった?
それにこの人たちは、なんだか、すごく嫌な、変な感じが・・・。
不意に、ウーマさんに毎日のように言われていたことが頭に浮かんできた。
「僕の留守中に変な人が来たら、絶対に直接対峙しちゃ駄目だよ? エイリーが変だと思ったら、それが『変な人』だからね」
・・・た、大変っ!
この人たち、『変な人』なんだ!
覗き穴から離れて、急いで相棒の鞍を取りに行く。
牧場から出るまで知らなかったけれど、私はかなり体格が小さいらしい。ウーマさんは特別に体が大きいらしいけど、この前見かけた同族も私よりもずっと体高が高かった。
これでも、牧場の女の子たちの中では、大きい方だったんだけど・・・。
とにかく、体が小さくて狩りに出たこともない私は、当然、危険な生き物や変な人に会っても対処できない。
だから、とウーマさんは何度も私に言い聞かせた。
「だからもし『変な人』が来たら、エイリーは大好きな人を乗せて、自慢の脚で僕のところまで駆けておいで!」
離れていても、僕の場所はわかるでしょ? といわれて、なんとなく? と疑問系で答えたらなぜかものすごく落ち込まれてしまったけど。
とにかく、今がウーマさんにも認めてもらえた逃げ足の速さが役に立つ時なのは間違いない。
しつこく相棒の家の扉を叩いている音に、出て来ちゃ駄目だよ、と相棒に祈りながら外に出ようとしたら、ドンッ、という衝撃音が響いた。
今の、なに!?
また、衝撃音。
ギシリッと、扉が悲鳴を上げるのが聞こえて、かっ、と頭に血が上った。
相棒の家を、無理矢理こじ開けようとするなんてっ!
怒りに任せて思いっきり厩の扉に体当たりすると、ちょうど相棒の部屋の近くにいた影がエウレカごとこっちに向かってくるのを感じた。
っと、いけない。
怒るよりも今の内に相棒と合流しなくちゃ。
こっそり反対側の扉から外へ出て、出来るだけ足音を立てないように相棒の部屋の方へ行くと、窓から相棒が出てきた。
けど、なぜか私の方じゃなくて、厩舎の方に向かってるような?
あ、そうか。相棒は夜はあまり目が見えないんだった。
私はここだよ! と慌てて駆け寄ると、ようやく私が見えた相棒が嬉しそうな顔になった。
声に出さないけど、相棒の黒い瞳が褒めてくれていて、嬉しい。
相棒が乗馬道具をつけている間にも、厩舎を確認したあの人達が、何か言い合いながらこちらにこようとしているのが聞こえてくる。
馬具を付け終えた相棒を乗せて駆け出すのと、後ろから怒声が聞こえてくるのが、ほぼ同時。
脚の速さなら負けたりしないんだから!
なんとなく感じるウーマさんがいる方角へ全力で走ろうとしたら、背中に相棒の緊張を感じて、慌てて速度を落とす。
そうだ、私はまだ相棒を乗せたまま全力で走れないんだった!
相棒を乗せて走るときは、なるべく振動を起こさないように走り方を変えないといけない。だけど、私はまだその走り方に慣れてない。いつもの走り方で本気で走ったら、相棒を落としてしまうかもしれないし。
今の私が相棒を乗せて走れるのは、追いつかれはしないけど引き離すのは難しい、ぎりぎりの速さ。
もっと練習して置けば良かった! と後悔したけど、遅い。
でも、この辺りの道は私の方が詳しんだからっ。
飛び跳ねるように走るエウレカには走りにくい道をあえて選んで走っていると、少しずつだけど、距離を離していく。
これなら引き離せるかも、と思った、その時。
・・・後ろ脚に衝撃と激痛が、走った。
- おこた
- 2012年 06月16日 11時09分
[良い点]
奥さんかわいい…
[気になる点]
無し!!
[一言]
旦那様と愉快な仲間達による奥様囲い込み作戦…別名)旦那様による奥様追い込み漁(シャケ編が頭に残っています…)頭の中で熊がシャケを巧みに浅瀬へ追い込んでいる様が浮かびました…ふふふこんな妄想をさせるなんて、罪な人…♪
ちなみに、エイリーさんは牧場で、箱入り娘さんだったのか、天然キャラだったのか、気になりますね…しかしビビ君ひよってるね…がんばれビビ君!!負けるなビビ君!!奥様とエイリーさんは君を応援しているゾ!!あ、後ろから、魔王様と、ケルベロスと化した、旦那様とウーマさんが来た!!逃げるのよ〜!
お後かよろしいようで〜では、お体には気をつけて下さいませ〜なにげに、クーラーの室外機の上に黄砂かたまっていてびびった、りょくでした(^O^)
奥さんかわいい…
[気になる点]
無し!!
[一言]
旦那様と愉快な仲間達による奥様囲い込み作戦…別名)旦那様による奥様追い込み漁(シャケ編が頭に残っています…)頭の中で熊がシャケを巧みに浅瀬へ追い込んでいる様が浮かびました…ふふふこんな妄想をさせるなんて、罪な人…♪
ちなみに、エイリーさんは牧場で、箱入り娘さんだったのか、天然キャラだったのか、気になりますね…しかしビビ君ひよってるね…がんばれビビ君!!負けるなビビ君!!奥様とエイリーさんは君を応援しているゾ!!あ、後ろから、魔王様と、ケルベロスと化した、旦那様とウーマさんが来た!!逃げるのよ〜!
お後かよろしいようで〜では、お体には気をつけて下さいませ〜なにげに、クーラーの室外機の上に黄砂かたまっていてびびった、りょくでした(^O^)
りょくさま
こ、こんばんは!(は、柱の影からこっそり)
返信がすっかり遅くなってしまって、申し訳ないですっ!!
どうも、完全にスランプに入ってしまったようで・・・(泣)
しばらくは夫視点だけにこだわらずに、打ち込めるものから打ち込んで行くことにしました!
旦那様と愉快な仲間たち、彼らに追い込まれたら、シャケ(妻)に逃げ場はありませんな。←断言!?(滝汗)
ええ、チームワークが売りの面々ですから(いい笑顔)
エイリーさんは牧場生まれ、牧場育ちの生粋の箱入り娘さんなんですが、何しろ、凶暴がデフォルトなボウドゥの箱庭(牧場)なので。
箱の中で何をしていたかは・・・最強伝説の序章的な?(←おぃ)
ウーマさんは生粋の野生児です(笑)
ビビ君、自称お兄ちゃんにシメられてもなんだかんだ言いながら会いにくる辺り、無自覚で懐いているのかなぁ、と(ムフフ)
ふかふかもこもこで触り心地抜群なビビ君なので、妻とエイリーさんはメロメロで。
そして、奥様とエイリーさんを味方に付ければつけるほど、魔王とケルベロスに狙われまくるという(不憫)
うん。
頑張れ、ビビ君!
ところで。
黄砂が室外機の上に!?(驚)
おこたが生息する地域は黄砂はそれほど多くないんですが、時々霧のようなモヤのような、砂っぽいものが発生したり・・・。
最近は、夜になると会社の近くで羽アリ(みたいな生き物)の集団飛行していまして。
残業せずに帰宅するか、遅い時間まで残業するかの二択を日々迫られている、おこたでした(泣)
おこた
※というわけで、大変お待たせしてしまいましたが、ビビ君視点でお送りします!・・・ちょっとブラック風味?です。ビビ君は、肉食獣ヴァルファスだったなぁ、ということを思い出しつつ読んで頂ければと(汗) 遅くなってしまってすみませんでしたっ!!(土下座)↓
―――
妻頑張る。(ビビ君視点)
今日も、いない。
ここ最近、自称お兄ちゃんのところに遊びに来ても、居ないことが増えた。
それでも、いつもなら、薄茶色のエイリーお姉ちゃんが迎えてくれるのに。せっかく遊びに来たのに、エイリーお姉ちゃんや大好きな人までいないなんて。
どこに行ってるんだろう?
自称お兄ちゃんとその相棒が揃って居ないときは、大抵狩りに出ているはずだから、エイリーお姉ちゃんと大好きな人は連れて行かないと思うんだけど。
じゃ、どこに?
いつもなら居なくても気にしないんだけど、今夜はなぜか妙にふたりの居場所が気になって、どうしてもどこにいるのか知りたいと思った。
例えば、どうして厩の扉が開いたままになっているんだろう、とか、どうして大好きな人の家の扉が壊されているんだろう、とか、どうしてエウレカの足跡が4匹分もあるんだろう、とか。
なんだか、いつもと違くて。
すごく、落ち着かない。
ふわり、と風をたぐり寄せると、それほど離れて居ない場所に、ふたりの匂いを見つけた。でも、これもいつもの陽だまりのような温かくて優しい香りじゃなくて、まるで、必死に捕食者から逃げる獲物のような、恐怖と緊張を含んだ香り。
どうして、そんなに怖がっているの?
ボクのことだって怖がらないのに、いったい誰が怖がらせているの?
風が案内してくれるままに羽に力を込めて飛んでいくと、木々に紛れて走るエイリーお姉ちゃんと大好きな人の姿が見えた。
その後ろから、エウレカが三匹に、人が三人。
なんだか、エイリーお姉ちゃんの走り方がぎこちないけど、それでもエウレカよりも少し速い。
これなら、追いつかれることはなさそう。
ボクも近付きたいけど、木々が邪魔で降りられないから、もう少し先の木が少ない所に先回りしておこう、と思ったんだけど。
風が運んできた嗅ぎ慣れた香りに、一瞬頭の中が真っ白になりそうになった。
血の、香り。
目を凝らすと、エイリーお姉ちゃんの足から血が流れているのが見えた。傷自体はそれほど大きくないみたいなのに、ずいぶん血が流れているし、すごく痛そう。
エイリーお姉ちゃんは、少し落ちた速度をすぐに戻して何も無かったみたいに走っているけど、このままじゃ、すぐに追いつかれちゃう。
足の速い生き物を狩る時に、まず狙うのは足。
それは捕食者なら当然のことだけど。
・・・本当に、木が邪魔!
襲いかかりたいのに、襲いかかれない苛立ちに叫びそうになった時、大好きな人が悲鳴みたいな声でエイリーお姉ちゃんを呼んだ。
けど、それでも止まらずに速度をさらに上げて走る。
薄茶色の瞳は、怯えじゃなく、絶対に負けないっていう強い意志だけが浮かんでいて。
大好きな人からも恐怖と混乱が消えて、夜と同化してしまいそうな黒い瞳に、怒りと決意が浮かぶ。
煌めくような意思を浮かべる薄茶色と黒の二対の瞳は、どちらもとても強くて、とても綺麗で。
つい見惚れてしまっているうちに、大好きな人が、エイリーお姉ちゃんの動きに合わせて少し体を浮かせたかと思うと、振り向き様に何かを投げた。
あ、当たった。
硬そうで重そうな何かは、後ろのエウレカに乗った人にあたって、よろけたついでに後ろにいた別のエウレカを巻き込んで倒れる。
すごいっ!
あっ、でももう一匹のエウレカに乗った人はうまくよけちゃった。
大好きな人が次々に何かを投げつけるけど、残った一人はエウレカを最小限の動きで避けて、掠りもしない。ちょっと、厄介だ。
投げられるものがなくなった途端、今度は残った一人が何かの道具を使って石の粒みたいなものを飛ばしてくる。
大好きな人が飛んでくるものに憤慨しているのが伝わってくるんだけど、大好きな人もさっき投げていたでしょ、と思ったところで、甘い香りがして、エイリーお姉ちゃんが大きく揺れた。
ひどく動揺して、焦っているみたい。
どうしたんだろう、どうして急に・・・。
・・・甘い、香り?
エイリーお姉ちゃんのと同じくらい、濃い。
これは、大好きな人の。
血の香り。
混じり合う血の香りは、芳しいものなはずなのに、頭から血の気が引いていく。
ああ、そうか。
この人間は、本気でエイリーお姉ちゃんと大好きな人を狩るつもりなんだ。
・・・このぼくの、おねえちゃんとだいすきなひとを。
頭の中が、今度こそ、真っ白になった。
その後すぐ。
ボウドゥとしての本性を全面に出した自称お兄ちゃん分が、いつも以上に凶暴化して駆けつけてきて、八つ当たりされるって知ってたら。
・・・ちょっとくらい、残しておいてあげたのにな。
こ、こんばんは!(は、柱の影からこっそり)
返信がすっかり遅くなってしまって、申し訳ないですっ!!
どうも、完全にスランプに入ってしまったようで・・・(泣)
しばらくは夫視点だけにこだわらずに、打ち込めるものから打ち込んで行くことにしました!
旦那様と愉快な仲間たち、彼らに追い込まれたら、シャケ(妻)に逃げ場はありませんな。←断言!?(滝汗)
ええ、チームワークが売りの面々ですから(いい笑顔)
エイリーさんは牧場生まれ、牧場育ちの生粋の箱入り娘さんなんですが、何しろ、凶暴がデフォルトなボウドゥの箱庭(牧場)なので。
箱の中で何をしていたかは・・・最強伝説の序章的な?(←おぃ)
ウーマさんは生粋の野生児です(笑)
ビビ君、自称お兄ちゃんにシメられてもなんだかんだ言いながら会いにくる辺り、無自覚で懐いているのかなぁ、と(ムフフ)
ふかふかもこもこで触り心地抜群なビビ君なので、妻とエイリーさんはメロメロで。
そして、奥様とエイリーさんを味方に付ければつけるほど、魔王とケルベロスに狙われまくるという(不憫)
うん。
頑張れ、ビビ君!
ところで。
黄砂が室外機の上に!?(驚)
おこたが生息する地域は黄砂はそれほど多くないんですが、時々霧のようなモヤのような、砂っぽいものが発生したり・・・。
最近は、夜になると会社の近くで羽アリ(みたいな生き物)の集団飛行していまして。
残業せずに帰宅するか、遅い時間まで残業するかの二択を日々迫られている、おこたでした(泣)
おこた
※というわけで、大変お待たせしてしまいましたが、ビビ君視点でお送りします!・・・ちょっとブラック風味?です。ビビ君は、肉食獣ヴァルファスだったなぁ、ということを思い出しつつ読んで頂ければと(汗) 遅くなってしまってすみませんでしたっ!!(土下座)↓
―――
妻頑張る。(ビビ君視点)
今日も、いない。
ここ最近、自称お兄ちゃんのところに遊びに来ても、居ないことが増えた。
それでも、いつもなら、薄茶色のエイリーお姉ちゃんが迎えてくれるのに。せっかく遊びに来たのに、エイリーお姉ちゃんや大好きな人までいないなんて。
どこに行ってるんだろう?
自称お兄ちゃんとその相棒が揃って居ないときは、大抵狩りに出ているはずだから、エイリーお姉ちゃんと大好きな人は連れて行かないと思うんだけど。
じゃ、どこに?
いつもなら居なくても気にしないんだけど、今夜はなぜか妙にふたりの居場所が気になって、どうしてもどこにいるのか知りたいと思った。
例えば、どうして厩の扉が開いたままになっているんだろう、とか、どうして大好きな人の家の扉が壊されているんだろう、とか、どうしてエウレカの足跡が4匹分もあるんだろう、とか。
なんだか、いつもと違くて。
すごく、落ち着かない。
ふわり、と風をたぐり寄せると、それほど離れて居ない場所に、ふたりの匂いを見つけた。でも、これもいつもの陽だまりのような温かくて優しい香りじゃなくて、まるで、必死に捕食者から逃げる獲物のような、恐怖と緊張を含んだ香り。
どうして、そんなに怖がっているの?
ボクのことだって怖がらないのに、いったい誰が怖がらせているの?
風が案内してくれるままに羽に力を込めて飛んでいくと、木々に紛れて走るエイリーお姉ちゃんと大好きな人の姿が見えた。
その後ろから、エウレカが三匹に、人が三人。
なんだか、エイリーお姉ちゃんの走り方がぎこちないけど、それでもエウレカよりも少し速い。
これなら、追いつかれることはなさそう。
ボクも近付きたいけど、木々が邪魔で降りられないから、もう少し先の木が少ない所に先回りしておこう、と思ったんだけど。
風が運んできた嗅ぎ慣れた香りに、一瞬頭の中が真っ白になりそうになった。
血の、香り。
目を凝らすと、エイリーお姉ちゃんの足から血が流れているのが見えた。傷自体はそれほど大きくないみたいなのに、ずいぶん血が流れているし、すごく痛そう。
エイリーお姉ちゃんは、少し落ちた速度をすぐに戻して何も無かったみたいに走っているけど、このままじゃ、すぐに追いつかれちゃう。
足の速い生き物を狩る時に、まず狙うのは足。
それは捕食者なら当然のことだけど。
・・・本当に、木が邪魔!
襲いかかりたいのに、襲いかかれない苛立ちに叫びそうになった時、大好きな人が悲鳴みたいな声でエイリーお姉ちゃんを呼んだ。
けど、それでも止まらずに速度をさらに上げて走る。
薄茶色の瞳は、怯えじゃなく、絶対に負けないっていう強い意志だけが浮かんでいて。
大好きな人からも恐怖と混乱が消えて、夜と同化してしまいそうな黒い瞳に、怒りと決意が浮かぶ。
煌めくような意思を浮かべる薄茶色と黒の二対の瞳は、どちらもとても強くて、とても綺麗で。
つい見惚れてしまっているうちに、大好きな人が、エイリーお姉ちゃんの動きに合わせて少し体を浮かせたかと思うと、振り向き様に何かを投げた。
あ、当たった。
硬そうで重そうな何かは、後ろのエウレカに乗った人にあたって、よろけたついでに後ろにいた別のエウレカを巻き込んで倒れる。
すごいっ!
あっ、でももう一匹のエウレカに乗った人はうまくよけちゃった。
大好きな人が次々に何かを投げつけるけど、残った一人はエウレカを最小限の動きで避けて、掠りもしない。ちょっと、厄介だ。
投げられるものがなくなった途端、今度は残った一人が何かの道具を使って石の粒みたいなものを飛ばしてくる。
大好きな人が飛んでくるものに憤慨しているのが伝わってくるんだけど、大好きな人もさっき投げていたでしょ、と思ったところで、甘い香りがして、エイリーお姉ちゃんが大きく揺れた。
ひどく動揺して、焦っているみたい。
どうしたんだろう、どうして急に・・・。
・・・甘い、香り?
エイリーお姉ちゃんのと同じくらい、濃い。
これは、大好きな人の。
血の香り。
混じり合う血の香りは、芳しいものなはずなのに、頭から血の気が引いていく。
ああ、そうか。
この人間は、本気でエイリーお姉ちゃんと大好きな人を狩るつもりなんだ。
・・・このぼくの、おねえちゃんとだいすきなひとを。
頭の中が、今度こそ、真っ白になった。
その後すぐ。
ボウドゥとしての本性を全面に出した自称お兄ちゃん分が、いつも以上に凶暴化して駆けつけてきて、八つ当たりされるって知ってたら。
・・・ちょっとくらい、残しておいてあげたのにな。
- おこた
- 2012年 06月16日 02時01分
[良い点]
グレインにシディア様、流石です♪
旦那様と奥様の素直さに乾杯★
[一言]
グレインのあの忠告は実感からきているのか、それともレインにかわされて反省からきているのか…(?_?)
いつか旦那様が奥様を名指しで呼べる日を蔭ながら見守っています(b^ー°)
******
感想小話ありがとうございました。もう、もう大興奮です~!o(≧∇≦)o
ビビ君視点も楽しみですo(`▽´)o
グレインにシディア様、流石です♪
旦那様と奥様の素直さに乾杯★
[一言]
グレインのあの忠告は実感からきているのか、それともレインにかわされて反省からきているのか…(?_?)
いつか旦那様が奥様を名指しで呼べる日を蔭ながら見守っています(b^ー°)
******
感想小話ありがとうございました。もう、もう大興奮です~!o(≧∇≦)o
ビビ君視点も楽しみですo(`▽´)o
ron4nさま
感想ありがとうございます!
グレインとシディア、なにげに良いコンビです(笑)
妻がめちゃめちゃ素直な感じになっているのは、実はグレインのせいだったり・・・(ごにょごにょ)
グレインの忠告の詳細は、栖納さまの感想返信に小話で書かせていただいたので、そちらを読んでみていただけると嬉しいです♪
リアルが忙しいわ、夫視点が急に打ち込めなくなるスランプに突入したわ、でかなり更新速度が遅くなってしまっていますが、夫妻編の最終話まで、のろのろながら一歩ずつ、進んでいきたいと思います!
感想小話、ビビ君視点に行く前に、エイリーさんとの初コンタクトを打ち込んでみました!
楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ↓
おこた
―――
ビビ君とエイリーさんのファーストコンタクト(ビビ君視点)
ちょっと気がむいたから、いつもボクを義弟扱いするあのボルドゥに会いに来たんだけど。
留守だった。
・・・なんだか、最近留守にしていることが多い気がして、少しだけ、つまらない。
でも、いい香りのする人はいた。
気配を探ってみたけど、あのとっても物騒な気配を持つ人間の捕食者は居ないみたい。ほっとしながら、いい香りのする人・・・大好きな人、におとなしく抱き上げられる。
自称お兄ちゃんが「大好きな人」って呼んでるから、なんとなくぼくも真似してみているんだけど。
なんだか、もぞもぞするような、妙にくすぐったいような、不思議な感じ。
ここに来るようになってから、これまで感じたことがない感覚を感じることが増えた気がする。
でも、嫌な感じじゃない。
ちらり、と見上げると・・・大好きな人、が嬉しそうに笑ってくれていて。
相変わらず、いい香りがする温かい手。
その手で撫でてもらうのは、すごく気持ちいい。
誰かに触れられることがこんなに気持ちいいなんて、他のヴァルファスはきっと一生知らないままなんだろうな。
この感覚は、ボクだけが知っている、ボクだけのもの。
だから、新しく覚える感覚に時々戸惑うこともあっても、嫌じゃない。
優しく撫でてもらえる心地よさに、目を細めていると、視界に薄茶色のものが映った。
なんだろう、と目をしっかりと開けてみると、薄茶色のボウドゥが膝の上に抱えられたぼくを不思議そうに覗き込んでいた。
反射的に威嚇しようとしたけど、体と同じ薄茶色の大きな瞳が好奇心いっぱいに輝いているのを見て、勢いが削がれて口を開けただけになった。
・・・あれ? なに、この反応。
「あ、エイリーさん! この子はビビ君ですよ。ビビ君、エイリーさんです」
薄茶色の瞳をもう一度よく見てみるけど、そこにはやっぱり恐怖とか敵意とか、そういったものが全く浮かんでなくて。
それどころか、大好きな人、の言葉に合わせて「よろしくね」というように鼻先で撫でられて、びっくりしすぎて固まった。
・・・ぼく、まだ幼体だけど、これでもれっきとした肉食のヴァルファス、なんだけど。
自称お兄ちゃんには負けたし、もう一人の捕食者にも勝てる気が全くしないけど、多分この薄茶色のボウドゥには勝てるし、獲物にすることも出来ちゃうと思うんだけど。
口を開けているから、牙もしっかり見えているはずなのに全く怖がっていないし、大好きな人に貰った甘い香りのする食べ物も半分ボクに分けてくれるし。
ボクには甘すぎるくらいに甘くて、ちょっと苦手かも、と思ったけど、薄茶色の瞳と真っ黒な瞳が、凄く嬉しそうに見ているから、頑張って全部飲み込んだ。
残さずに食べたことを褒めるみたいに、また鼻先で撫でられる。
噛み付こうと思えば、今すぐにでも噛み付ける距離に、ボクのほうが戸惑ってしまうのは、どうしてだろう。
・・・本当に、こんなに無防備で大丈夫なのかな?
ちょっと心配になったけど、その時、ふわり、と風に運ばれた香りに、体中の毛が逆立った。
『手出し、無用』
本気の威嚇と牽制を込めた、匂い。
殺気さえ混じるその物騒な匂いと気配は、よく知った自称お兄ちゃんのもので。
ボウドゥとしては小さな薄茶色の身体の後ろに、こげ茶と黒の混じった大きな身体が見えるような気さえする。
・・・うん。これなら、大抵の生き物は本能的に逃げると思う。間違いない。
そっか。このボウドゥは、自称お兄ちゃんの伴侶、なんだ。
ボウドゥが伴侶という一生を一緒に過ごす、唯一のつがいを持つことは知っていたけど。
こんなに無防備で無邪気な相手じゃ、自称お兄ちゃんもいろいろ大変そうだな、と思ったところで、なんだか嫌な予感がした。
薄茶色のボウドゥは、何度も鼻先でボクを撫でてる。今も撫でてる。
多分、大好きな人の真似をしているんだと思うけど。
・・・もしかして、ボクの匂い、移っちゃってるんじゃ・・・?
薄茶色の後ろのこげ茶と黒の影が一気に膨れ上がった幻覚を見て、気が遠くなりかけた。
ボクから触ったんじゃないよっ!?
と、生まれて初めて、幻覚に向かって言い訳をするという、新体験をしたんだけど。
・・・こんな感覚は、知りたくなかった。
数日後。
ほとぼりが冷めたかな、という頃合いを見計らってまた遊びに来てみたボクは、案の定、自称お兄ちゃんにこてんぱんにやっつけられちゃったけど。
薄茶色のボウ・・・エイリーお姉ちゃんに、「こんなに小さな子になんてことするの!?」と怒られて、精神的にボロボロになった自称お兄ちゃんは。
・・・ある意味、ボクより重傷だった。
―――
ウーマさんより先に、エイリーさんをお姉ちゃん認定しちゃった模様。
エイリーさんの最強伝説、更新!?(笑)
感想ありがとうございます!
グレインとシディア、なにげに良いコンビです(笑)
妻がめちゃめちゃ素直な感じになっているのは、実はグレインのせいだったり・・・(ごにょごにょ)
グレインの忠告の詳細は、栖納さまの感想返信に小話で書かせていただいたので、そちらを読んでみていただけると嬉しいです♪
リアルが忙しいわ、夫視点が急に打ち込めなくなるスランプに突入したわ、でかなり更新速度が遅くなってしまっていますが、夫妻編の最終話まで、のろのろながら一歩ずつ、進んでいきたいと思います!
感想小話、ビビ君視点に行く前に、エイリーさんとの初コンタクトを打ち込んでみました!
楽しんでいただけるといいなぁ、と願いつつ↓
おこた
―――
ビビ君とエイリーさんのファーストコンタクト(ビビ君視点)
ちょっと気がむいたから、いつもボクを義弟扱いするあのボルドゥに会いに来たんだけど。
留守だった。
・・・なんだか、最近留守にしていることが多い気がして、少しだけ、つまらない。
でも、いい香りのする人はいた。
気配を探ってみたけど、あのとっても物騒な気配を持つ人間の捕食者は居ないみたい。ほっとしながら、いい香りのする人・・・大好きな人、におとなしく抱き上げられる。
自称お兄ちゃんが「大好きな人」って呼んでるから、なんとなくぼくも真似してみているんだけど。
なんだか、もぞもぞするような、妙にくすぐったいような、不思議な感じ。
ここに来るようになってから、これまで感じたことがない感覚を感じることが増えた気がする。
でも、嫌な感じじゃない。
ちらり、と見上げると・・・大好きな人、が嬉しそうに笑ってくれていて。
相変わらず、いい香りがする温かい手。
その手で撫でてもらうのは、すごく気持ちいい。
誰かに触れられることがこんなに気持ちいいなんて、他のヴァルファスはきっと一生知らないままなんだろうな。
この感覚は、ボクだけが知っている、ボクだけのもの。
だから、新しく覚える感覚に時々戸惑うこともあっても、嫌じゃない。
優しく撫でてもらえる心地よさに、目を細めていると、視界に薄茶色のものが映った。
なんだろう、と目をしっかりと開けてみると、薄茶色のボウドゥが膝の上に抱えられたぼくを不思議そうに覗き込んでいた。
反射的に威嚇しようとしたけど、体と同じ薄茶色の大きな瞳が好奇心いっぱいに輝いているのを見て、勢いが削がれて口を開けただけになった。
・・・あれ? なに、この反応。
「あ、エイリーさん! この子はビビ君ですよ。ビビ君、エイリーさんです」
薄茶色の瞳をもう一度よく見てみるけど、そこにはやっぱり恐怖とか敵意とか、そういったものが全く浮かんでなくて。
それどころか、大好きな人、の言葉に合わせて「よろしくね」というように鼻先で撫でられて、びっくりしすぎて固まった。
・・・ぼく、まだ幼体だけど、これでもれっきとした肉食のヴァルファス、なんだけど。
自称お兄ちゃんには負けたし、もう一人の捕食者にも勝てる気が全くしないけど、多分この薄茶色のボウドゥには勝てるし、獲物にすることも出来ちゃうと思うんだけど。
口を開けているから、牙もしっかり見えているはずなのに全く怖がっていないし、大好きな人に貰った甘い香りのする食べ物も半分ボクに分けてくれるし。
ボクには甘すぎるくらいに甘くて、ちょっと苦手かも、と思ったけど、薄茶色の瞳と真っ黒な瞳が、凄く嬉しそうに見ているから、頑張って全部飲み込んだ。
残さずに食べたことを褒めるみたいに、また鼻先で撫でられる。
噛み付こうと思えば、今すぐにでも噛み付ける距離に、ボクのほうが戸惑ってしまうのは、どうしてだろう。
・・・本当に、こんなに無防備で大丈夫なのかな?
ちょっと心配になったけど、その時、ふわり、と風に運ばれた香りに、体中の毛が逆立った。
『手出し、無用』
本気の威嚇と牽制を込めた、匂い。
殺気さえ混じるその物騒な匂いと気配は、よく知った自称お兄ちゃんのもので。
ボウドゥとしては小さな薄茶色の身体の後ろに、こげ茶と黒の混じった大きな身体が見えるような気さえする。
・・・うん。これなら、大抵の生き物は本能的に逃げると思う。間違いない。
そっか。このボウドゥは、自称お兄ちゃんの伴侶、なんだ。
ボウドゥが伴侶という一生を一緒に過ごす、唯一のつがいを持つことは知っていたけど。
こんなに無防備で無邪気な相手じゃ、自称お兄ちゃんもいろいろ大変そうだな、と思ったところで、なんだか嫌な予感がした。
薄茶色のボウドゥは、何度も鼻先でボクを撫でてる。今も撫でてる。
多分、大好きな人の真似をしているんだと思うけど。
・・・もしかして、ボクの匂い、移っちゃってるんじゃ・・・?
薄茶色の後ろのこげ茶と黒の影が一気に膨れ上がった幻覚を見て、気が遠くなりかけた。
ボクから触ったんじゃないよっ!?
と、生まれて初めて、幻覚に向かって言い訳をするという、新体験をしたんだけど。
・・・こんな感覚は、知りたくなかった。
数日後。
ほとぼりが冷めたかな、という頃合いを見計らってまた遊びに来てみたボクは、案の定、自称お兄ちゃんにこてんぱんにやっつけられちゃったけど。
薄茶色のボウ・・・エイリーお姉ちゃんに、「こんなに小さな子になんてことするの!?」と怒られて、精神的にボロボロになった自称お兄ちゃんは。
・・・ある意味、ボクより重傷だった。
―――
ウーマさんより先に、エイリーさんをお姉ちゃん認定しちゃった模様。
エイリーさんの最強伝説、更新!?(笑)
- おこた
- 2012年 05月01日 23時24分
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