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[良い点]
ごめんなさい。

さっきの、身代わりの君が四の姫に本当の事を話すっていうのは、田辺聖子さんのを読んだとき、確かそんな流れだったな〜。と記憶していたものです。
多分yukiさんはピンときたでしょうが。補足でした。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 04月06日 23時18分
ピンとくるも、なにも、「おちくぼひめ」手元に持ってます。
これは「落窪物語」のダイジェスト版であると同時に、田辺聖子さんのオリジナリティあふれる、傑作でもあると思ってます。

大抵、末娘というのは親にとって可愛いものですから、少将は「四の姫」を使って北の方に出来るだけ大きなダメージを与えてやりたいと思ったようです。ですからこの復讐は辛らつです。
少将自身も罪悪感は感じながらも、自分で自分を止められなくなっているようです。
自分のことで苦しむより、末娘のことで苦しむ方がずっと辛い。少将が姫のことで苦しんだように。
「四の姫」がらみで中納言一家が大恥をかくのは、それほど北の方にとって辛い事なんです。
少将はそれを狙ったんですね。酷なシーンです。

でも、田辺さんはその酷なシーンを、とっても読者に読みやすいシーンに見事な手さばきで変えて下さいました。お見事です。
無気力でわがままな兵部少輔を、見た目は悪いが純情な青年に書き換え、
薄情で人の言いなりな(当時の姫なら仕方ないんですが)「四の姫」を夢見がちな少女にすることで、
貴族社会の世知辛さを写実的に表現した「落窪物語」を、少女向けの温かいお話にする事に成功したんです。これは彼女の才能によって作りだされた、もう一つの「落窪物語」なんですね。

田辺さんにはもう一つ「落窪物語」をベースにしたお話があるそうです。
「舞え、舞え、蝸牛」という作品です。
これは「おちくぼひめ」で大きくカットした部分を田辺流に描きながらも、田辺流ならではの爽快で心温まるアレンジはそのまま生かされている作品なんだそうです。

確定的なことが言えないのは私はこれを読んでいないから。
この本は絶版になっていて、古本屋さんや、コレクターが出品したものを手に入れるしかないんです。
もう、きっと定価では買えませんね(涙)。

残念ながら兵部少輔(身代わりの君)は、そういう思いやりのある人じゃありませんでした。
四の姫もこの時代の典型的な末娘の「いいなり」お姫様のようです。
復讐シーンは少なくとも私には後味のいいものではありません。
だから少将がなぜそんなに怒るのかを納得してもらうために、姫のおかれた状況をしつこく説明したんです。出ないと、少将がただの情け知らずになってしまうので(汗)

でも、少将も鬼ではありません。本当にずっと最後の方で、四の姫にも幸せがやってきます。
問題はそこまで私がちゃんと書ききれるかどうかです。
頑張らなくちゃ(笑)

  • 貫雪
  • 2012年 04月07日 14時28分
[良い点]
こんばんは。

「仏様〜」のところは、yukiさんオリジナルなんですね。キラリ光ってました。
今回もオリジナル入ってますね。すごいっ!

身代わりの君と四の姫の結婚で、身代わりの君(今読んだばかりなのに、名前が思いだせません。すみません。)は、契る前に本当の事を姫に話す…というくだりは、原文にはないものなんですか?

訳す方によって色々解釈があって、古典ってホントに面白いですね〜!

地域のイベントに参加するため、明日と明後日は読めないかもしれなくて残念ですけど、また月曜日から読ませていただきま〜す!

そうだ。「帯刀」のお母さんの大活躍(?←これ、大事なんですね(笑))も楽しみにしてます。

では、また。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 04月06日 23時11分
こんにちは。今頃は地域活動の最中ですね。ご苦労様です。

オリジナル。そういう言い方もできますか。単純に勝手に書くしかしょうがない部分なんですが。
今回お断りを入れたのは、あまりにも解釈する範囲が広すぎるからです。
姫の言葉は完全に意味が分かりませんから、前後の流れを止めない台詞にするか、飛ばすか、
近い言葉で見当をつけるしかないんです。私は近い言葉を選んだんですね。

治部卿の言葉なんて「誰が、誰に、何をした」の、「誰が」も「誰に」も分からない・・・
本文は『労ありて人に褒められ給ふ事は』で、前後にも誰の事かを匂わせる文はありません。

中納言の事を指せば、「婚家に誠意(労)を見せて、人々に褒められる」(直訳本)
治部卿自信の事なら、「お前を心配している我が労を、人々に褒められる」
兵部少輔の事なら、 「お前が人々に笑われる労を、少将殿が褒めて下さった」

そして私は治部卿が(何も知らずに)労を負ってくれた少将への感謝の言葉として訳しました。
その場の文だけなら中納言や治部卿を指していそうですが、ここは少将の復讐シーン。
治部卿は少将を信頼して息子を頼み、みんな少将に踊らされている事を描かれているシーンです。
その全体的な流れを重要視して、私はこういう解釈をしたんです。

これだけ違ったら、誤解とかも生みそうなので、御断りを入れたんです。
ここまで来たら完全に想像するしかありませんよねー。難しかったです。

で、「帯刀」のお母さん。
以前、このお母さんはお菓子を頼まれて余計な物まで送って、「帯刀」にあきれられていましたよね。
あれはお母さんの性格を表す布石になっているんです。よく考えられています。
お話や登場人物って、こうやって作るものなんだよと教えられているようです。

でもお母さんの登場は、まだ8話くらい先かな? 楽しみに待っててください。
  • 貫雪
  • 2012年 04月07日 13時41分
[良い点]
質問に対するご丁寧な解説、ありがとうございました。
「帯刀」、蔵人の少将の元で頑張っているんですね。
「あこぎ」とも心置きなく添い寝ができて、ホッとしました。
「帯刀」のお母さんの大活躍とは、四の姫がらみですか?
しばし静観していますね。

少将、かなりご立腹の様子ですね。その様子を見るにつけ、ホントに有能な人なんだなぁ、と感心してしまいます。迷いがないですね〜。本気で宥める姫さまと、いいコンビです。

それにつけても、『仏様もお気の毒』には笑ってしまいました。困った顔の仏様が浮かんできました(笑)
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 04月05日 03時59分
少将、有能過ぎてしばらく問題児ぶりを発揮します(汗)
このお話のヒーローですから、こっちも持ちあげたい気持ちはあるのですが、
しばらくはちょっと賛同できかねる行動が続きますね。
姫想いなのはいいんですが、今や復讐の鬼です。

「帯刀」のお母さんが活躍(?)するのはもう少し先。右大臣の姫との縁談騒動です。
大臣の姫がお相手となれば、皇女様以外はこれ以上上の姫君はいませんからね。

仏様~のくだりは、実は正確な訳がありません。現在でも分かっていない言葉の部分です。
しかも、言葉の途中が空白になっているんです。古典にはこういう部分が多々あります。
ですからこれは私が多分こうだろうという書き方。
意味は同じですが、人によって言葉がだいぶ違います。もう、想像するしかないんですね。

古典なんてそんなもんです。読みながらどんどん想像して楽しむものだと思ってますよ。
  • 貫雪
  • 2012年 04月05日 20時29分
[良い点]
幸せそうで、何よりです。
姫さまが卑屈にならずに、幸せを受け入れているようなので、安心しました。


ところで、「あこぎ」と「帯刀」も負けず劣らずの仲良しップリなんですよね?
「帯刀」って、蔵人少将の家来は辞めたのですか?
「あこぎ」のとこには、やはり通い婚なんですよね。どこに住んでるんでしょうか?
もしかして、職をなくしてお母さんと一緒に少将の実家に住んでるのかな。はっ!もしや、少将の家来になって、二条のお邸に一緒に住んでるとか!
なんて、細かいことが気になって気になって。
なんか、感想ではなく妄想になってしまい、申し訳ないです。すみません。
でも、それがまた楽しくて(笑)
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 04月04日 00時34分
なんと、これだけの騒ぎがあっても、蔵人の少将は何にも知りません!
「鈍すぎる!」と突っ込んではいけないようです(笑)
彼は「落窪の君」が中納言家の姫だとさえ知らないのです。

三の姫は見下して『物縫ふ人(お針子)』としか説明していませんし、この夫婦、あんまり仲がよくなくて、せっかく蔵人の少将が面白がって手紙を見せても(それも悪趣味だけど)三の姫が黙りこんだら、もう感心なんてないんです。
彼が持った感想なんて、せいぜい「惟成の妻もお針子に夫を取られて気の毒に。良くある事か」
くらいなものでしょう。
だから「帯刀」はちゃんと蔵人の少将の家来ですよ。

「帯刀」と、母親の少将の乳母の家はどこにあるかは分かりませんね。(夫の家かもしれないし)
でも、乳母と乳兄弟と言うのは、少将に一番近しい家族同然の存在です。
実の親とは同じ邸とはいえ、暮らす建物は別々です。それは兄弟も同じ。
だけど乳母や乳兄弟は部屋は違えど同じ屋根の下にいます。
いま、「帯刀」や母がどこで暮らしているかまでは分かりませんが、少将が幼い時は皆一緒に暮らしていたでしょうし、今も近いところにいたり、休みの時以外は左大将の邸にいるかもしれません。

乳兄弟は一生のつながりがありますし、乳母は御育てした方を生涯かけて面倒見る責任があるのです。
ですから「帯刀」の母はこれから本格的に登場します。乳母にとって御育てした子の結婚は重大事項。
だから仲人役の一番要になる人なんです。少将はこの乳母にこれからうっとうしい思いをさせられる事になるんですねー。

「あこぎ」は、侍女の「見習い」から、一足飛びに二条の邸の中で「少将」「姫」に次ぐ、召し使われる人間としては最上位の御役目、「女房の長」になりました。現実的に彼女の命に従って、この邸に使われる人間は動く事になります。めちゃくちゃな大出世です。
もちろん惟成はプライベートな時間のすべてを使って二条の邸にせっせと通い、少将がいない時は姫の御世話をし、少将が姫と会っている時は、「あこぎ」と「帯刀」にとっても、甘い時間をすごしているんでしょう。
姫救出の直後には、二人ともさっそく添い寝して事の成功を喜んでいましたもんね。
  • 貫雪
  • 2012年 04月04日 13時45分
[良い点]
やっぱり堪え忍んできた姫さまが、やっと幸せになれると思うと、感無量です。
「あこぎ」が、典薬助の後朝の文を分かるように置いてくるところも痛快!

懲らしめるシーンも容赦ないけど、幸せシーンもバッチリなんですね〜!
メリハリですね。幸せシーンにお腹いっぱいです。
このまま幸せ気分で寝てしまおう。

あ。殿方二人、ホント可愛らしいですね!
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 04月01日 01時21分
ふふ。可愛らしいですよね。
姫と「あこぎ」はようやく安心して、心からくつろいでいるけど、
少将と「帯刀」は、ちょっとはしゃぎ気味な感じで。

特に「帯刀」がここぞと張りきった様子は目に浮かびました。
少将に呼ばれて、大張りきりで戸を壊し(笑)
二条の邸では、手柄を胸に邸の主気取りで采配を振っているんですよね。
少将の喜びは勿論、「帯刀」はどれほどせいせいしたでしょう。

長くジリジリさせられた、こっちもとてもスッキリしました!
  • 貫雪
  • 2012年 04月01日 11時00分
[良い点]
えぇっ!
どれだけ容赦ないんですか〜!?(汗)
腹下しの回の感想に、『原作者さんは容赦ないな〜』って書こうとしてやめたんです。
まだ甘かったんですね?

ううっ。では、なんでも受け入れられるよう、覚悟しておきますね。

びっくりして、返信に返信してしまいました。
ごめんなさい。

また色々ご指南ください。ありがとうございました。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 03月31日 21時05分
この話の中で、一番酷なシーンなんですよ。
いや、酷って言えば、四の姫のすり替え結婚も、ひどいか。

結構きつい部分もあります。色々容赦がないから、この話、
やっぱり男性が書いたんだろうなって、私は思います。

田辺聖子さんは、その辺を上手く切ったり、読者に心地良い話に作り替えたりしていて、
安心して読めるんですよね。
田辺さんの「おちくぼひめ」の方が、そういう意味では私も好きです。

でも、原作の良さもあるしねー。
甲乙つけられませんわ(笑)

それではこれから、姫救出シーンを載せます。
お楽しみいただければ幸いです。
  • 貫雪
  • 2012年 03月31日 21時36分
[良い点]
こんばんは。

前にもyukiさん、「落窪」のお話が、ホントは長いって、書いてましたね。
4分の1…。
長いですね。
体調、気をつけてくださいね。


典薬助、いい仕事をしました(涙)
立派に「あこぎ」や姫さまに嫌われ、彼女たちの成長に一役買いましたよね?
一連の棚ボタにも、『ウン』の尽きがやってきたようで…さらば典薬助!


「帯刀」の存在、すっかり忘れてました。
お帰り「帯刀」!


繰り返し言葉の表現方法、面白かったです。
典薬助がかわいそうになって、ちょっと切なくなっちゃいましたけど。
どんなに「好き好き」言われても、嫌ってる人からの言葉じゃ響かないですもんね。
原文をちょっと読んでみたくなってしまいました。


次回も楽しみに待ってます。特に、女性陣がどんどん強くなってきて、楽しみです。
素敵な表現も、またあったら紹介して欲しいな〜、と図々しくも待ってます(笑)
寒の戻りがあるそうです。花冷えってやつですね。
お身体気をつけてくださいね。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 03月31日 02時40分
こんにちは。

典薬助、かわいそうですか。
ええ、そうなんです。実は彼、ピエロ役でありながら現代人の感覚ではかわいそうなんです。

楽しい展開に水を差すようで申し訳ないんですが、いずれは書かれていくことなので。
私は話の先を知っているので、書いているうちにどうしてもそれがにじみ出てしまうんです。
彼はかなり残酷な復讐を受けるんです。老人相手に・・・って、気が重くなるくらい。

大事にされる人の命は、トコトン重たくて、軽く扱われる人の命は、考えられないほど軽い。
中盤から先はそれを覚悟で感想を書くつもりです。
ですから軽く扱われている姫の、「死んでしまうかも。死にたい」って言うのは、
きっと私達が考えるより切実なんです。(それを伝えきる技量がなくて申し訳ないんですが)

この話の感想をネットなんかで読むと、「姫って弱虫。何にもしてない」
という意見がとても多いんですが、お話的なその感想は正しいけれど、
そして私も姫は何もしていないと思うけれど、それを「弱虫」と切り捨てる気にはなれません。
当時だったら「軽く扱われる」と言うのは、命にさえ関わったんです。

姫と典薬助は対照的です。正直二人ともどこか「愚か者」として描かれている面があります。
そして、例え愚かでも心美しい姫は幸せになっていき、心の汚い典薬助は、残酷な復讐をされる。
古い勧善懲悪の物語の、一般的なパターンに、この話も習っているんです。

現代とは光と影の濃さが、違うんですよ。私としてはそこも書いてみたいんです。

典薬助は物語の中盤に、悲惨な末路を遂げてお話から消えて行きます。
この時代は今とは命の価値がまるで違うんです。

だから姫のたとえ愚かでも、どうしようもないくらいにお人好しで、慈悲的な性格が物凄く救いになります。

厭らしくて、浅はかで、滑稽で可哀想な典薬助。
彼こそ「落窪物語」の光と影の象徴なのかもしれません。
  • 貫雪
  • 2012年 03月31日 15時07分
[良い点]
こんにちは。

「心化粧」ですか。素敵ですね。
イヤイヤ、そこで使うとは心憎いばかりです…
典薬助の味が増しましたよ。ふふふ。

姫さま、人間らしくなりましたね。


今後について、色々考えていらっしゃるんですね。
yukiさんが楽しく書けるのが一番ですよ〜。そうしたら私も楽しく読ませていただきます。
こちらこそ、よろしくお付き合いさせてください!です(笑)
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 03月29日 17時21分
こんにちは。

この作者のセンスは、抜群のものがありますよ。
千年も生き残ってきた庶民派の物語だけの事はあります。

姫は一番人間扱いされなくなったところで、一番人間らしくなったんですね~
いやはや。実に「落窪姫」らしいというか、何と言うか。

田辺さんの「おちくぼひめ」は、ダイジェスト的で、本来のお話の三巻目くらい。
それも本当に面白いところをうまく引き出しているんです。さすがです。
つまりこのお話、とっても長いんです。今ようやく全四巻の二巻目に入ったところ。
四分の一、過ぎたばかりです。

どこまでいけるか分かりませんが、(特に後半は物語的じゃなくなりますし)いけるところまで書いてみます。

後半はきっと脚色し放題になることでしょう(笑)
  • 貫雪
  • 2012年 03月29日 18時24分
[一言]
申し訳ありません。重箱の隅をつつくような質問になってしまいました。

実のところ、僕の頭の中では、「少将にとっての中納言」=「ぱっとしないジジイ」「くすぶってるジジイ」(とはいえ中納言! なんですが)みたいな感じに脳内変換されていたのです。(こうして文字にしてしまうと、典雅な若人がヤンキーみたいになってしまいました)これではあまりにも理解が単純過ぎました。

少将の出世への意欲や、公家の政治に対する意識への考察が不足していた事を痛感しています。

「粋」なんて大仰な表現を用いたことが、今更ながら恥ずかしくなってきている次第です。

どうぞお気になさらず、作者様なりの解釈をお進め下さい。
  • 投稿者: 黄印一郎
  • 18歳~22歳 男性
  • 2012年 03月27日 16時01分
飛んでもありません。私も少将は中納言をそういう雰囲気で見ていると思っています。
何処をどう見ても人間的に尊敬できる人物ではありませんからね。

それに「政治」=「利権」として見ていたんじゃないかと言うのは、私の私見ですし。
少将も出世の意欲と言うより、この時代の権門の家の子息の宿命みたいなものですしね。
でも私は、少将はかなり積極的に出世を狙ったんじゃないかと思います。
この後、「そんなに一気でいいの?」と驚く出世の仕方をしますから。(ネタばれですね・・・)

出世レースが、利権争いに直結してるから、平気であからさまな出世も通用したんでしょうね。

中納言への感想はもう一度じっくり考え直します。
またお気づきのことがあったら御指摘いただけると助かります。
  • 貫雪
  • 2012年 03月27日 21時14分
[一言]
以前田辺聖子さんの源氏物語を読んでいた際、源氏や頭中将といった殿上人達は実務能力を発揮する機会があったのか、と国語の教諭に質問したことがあります。国の重鎮であるはずの彼らが、高い位を得ることを除いて政治に興味が無いように思われたからです。
出世のための行動にしても、丙物を献上したり、歌比べを行ったりという、実務能力にはあまり関係の無いものが多かったように思います。

その時は、荘園領主である殿上人は実務的な管理能力を問われてはいなかったのではないか、とお答えを頂きました。
近衞文麿が内閣総理大臣に就任した経緯を併せて鑑みるに、周囲から「あのように優れた方ならば~~の位に就くのも当然だ」と思われる事が重要であって、実務能力とはまた別の方面が問われていたのではないでしょうか。

当人達は役職に伴う(年官、年爵や許認可権などを含めた)あがり(・・・)で生活する身分ですから、その行動は合理的であると言えます。

さて、『落窪物語』で少将が中納言を軽蔑するような発言を行うのも、中納言が耄碌して管理能力が不足しているから、ではなくて、その生き様の見苦しさ、あるいは粋ではない様子をみて、軽蔑しているのではないでしょうか。位に比して、その人柄が伴っていない事が問われているのではないか、と考えます。

きちんと文献をあたってみる事もせず、申し訳ありません。長々と失礼致しました。
  • 投稿者: 黄印一郎
  • 18歳~22歳 男性
  • 2012年 03月27日 01時23分
すいません。完全に言葉足らずでした。

おっしゃる通り、当時は封建制度を母系社会が凌駕するような時代です。政治も大きく歪んでいた事でしょう。貴族にとっての政治は、今日の私達が考えるような政治ではなく、「政治」=「利権」と言ったものだったでしょう。その政治さえも陰陽道などの占いに頼っている程度でしたが。
皇族と権門の上流貴族との権力闘争もありましたし、朝廷政治は所詮、利権をめぐる政争の場と化していた事と思います。実務は役人の手にゆだねられていたのでしょうね。
その役人の仕事も遣唐使が廃止され、外交的な見栄を張る必要もなくなっていましたから、現状維持が第一で、納税を速やかに行わせることが一番の仕事だったのでしょう。

荘園制度が確立されて「殿上人の政治への関心は失われた」と言うのが一般的なようですが、「利権」こそが「政治」だった人たちにとっては、殿上人はやはり政治家だったのではないかと思います。
殿上人たちに必要だったのは「政治への実務能力」ではなく「権威を誇示する能力」だったんでしょう。そのために才能や、きらびやかな文化を競ったのでしょう。

でも中納言の「管理能力不足」と言うのはニュアンスが違いますね。表現方法が適切ではありませんでした。彼の人間性からアプローチすればよかったんですね。反省。

ただ、まったくの無法国家ではないので、最低限の能力は問われたんじゃないかと想像はしています。この話で少将はこれから中納言の地位を追って行く立場ですし、老いた中納言が鬱陶しく感じていたのではないかと私は思ったんです。(完全にいい訳ですが)

ご丁寧なご指摘、本当にありがとうございます。とりあえず何らかの修正を考えてみます。
(うまくいかなかったら、中納言への感想部分は削っておきます)




  • 貫雪
  • 2012年 03月27日 14時03分
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