感想一覧

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[一言]
怖かった…です。
でもおもしろかった〜。
神父様、私には旦那に思えました。

他の人それぞれの感想がおもしろかったです。

柴犬権左右衛門さま

ご感想、ありがとうございます。
ただひたすらに相手を愛する感情は純粋であると同時に狂気と紙一重であるのかもしれません。

何を失ってもかまわないと思えるほど一途に想う相手を見つけられることは、幸福なのか、不幸なのか。旦那さまの心に引っかき傷どころかざっくりと深手を負わせて、彼女は艶やかな笑顔で舞台からおりていくのでしょう。
[良い点]
めっちゃ濃密で面白かった。ぞくぞくしました。
[気になる点]
真相(夫視点。愛妾視点。第三者視点)が気になります。
[一言]
信頼できない語り手」、感想欄で示唆された「行先は療養院」、「夫」は悪人ではない普通の人、という情報から、「そもそも妻じゃない」説が脳裏をよぎりました。
たとえば「夫」と「愛妾」は普通に夫婦、独白に出てきた婿を取った妹夫婦で、死別や離婚で出戻って離れに住み着いた姉(自称処女だから独身こじらせた方が矛盾がないかな。持参金がおかしくなりますが)が義弟を夫だと思い込んでるとか・・・。
だって語り手が本妻ならば、3年も離れに押し込んで一度も夫婦生活がなく私物が鞄一つ分しかない(これが事実とも限りませんけど)のが、悪気はないとか考えが足りないだとかではすまされないと思うのですよ。
いやほんと、何が本当なのか、気になって仕方ない。
えぐられましたよ。いいもの読ませていただきました。
  • 投稿者: blanca
  • 2020年 03月24日 21時02分
blanca様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
「信用できない語り手」という本作を存分に楽しんでいただき、とても嬉しいです。

そして感想欄のやり取りも丁寧に読んでいただいたのですね。本当にありがとうございます。
「信用できない語り手」を採用している以上、作者があれこれでしゃばるべきではないのでしょうが、お邪魔にならず面白く感じていただければ幸いです。

正妻、夫、愛妾にはそれぞれ言い分があり、それぞれの視点から話を重ね合わせると、必ず矛盾が生じます。けれどそれは彼ら自身にとってはまごうことなき真実で、決して故意に嘘をついているわけではないのですよね。家裁で取り上げられる家族のいざこざも、だからこそ複雑で解決になかなか至らない部分も多いのかもしれません。

名作「藪の中」のように、どれだけそれぞれの言い分を聞いたとしても、それぞれの感情に寄り添ったとしても、決して真実にはたどり着けない。そんな世の中の悲哀を味わっていただければと思います。

ご感想、ありがとうございました。
[一言]
こんにちは。

珍しい二人称ですね。
口調は駆け込み訴えを思い出させます。
異世界・恋愛につられたのですが、ホラーテイストでした!(だまされたほうが悪い?)

何が幸せかわからなくなりそうですが、主人公はきっと(断言)幸せです。
だって、ラストは絶対笑顔でしょうからね。

一味違う作品でした。
面白かったです。
ありがとうございました!
はるさめ様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
かの名作を連想していただき、嬉しいやらおそれ多いやら。あれは初めて読んだときにもうびっくりしまして。「走れメロス」より、「駆け込み訴え」を教科書に載せても良いのでは?と思ったものです。(人間不信になる生徒が続出するかもしれませんが)

純粋な愛情と狂気はきっと紙一重。
それでもおっしゃる通り、確かにこの瞬間、彼女は誰よりも幸福だったはずです。この場は彼女の独壇場、それはそれは大層美しい笑顔で高らかに語っていたことでしょう。

うすら寒さを感じていただき、本当に嬉しいです。
感想、ありがとうございました!
[一言]
恋愛ものだと思って読んだらホラーでした!
って、これをホラーだと思うのは、私が男だからでしょうか。

とにかく言葉の中につまった心の重みがスゴいです。
読んでいて苦しくなりました。

このお話に出てくるような男が、多くの物語の中で正当化され美化されているというのも考えものですよね。

ところで「私」は「神父さま」の手配でどこかの修道院に行った、ということで合ってますでしょうか。
ここからがんばって悪役令嬢になって、見事に復讐を果たしてほしいです。
  • 投稿者: 柴田 洋
  • 2020年 01月05日 20時22分
柴田 洋様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
一途な恋愛ものと見るか、狂愛の復讐劇か。語り手の言葉や心持ちは、一人称ゆえに読み手の解釈に委ねられます。どちらにもとれるように書いたつもりなので、ホラーという感想をいただき嬉しく思います。

一気に畳みかけると言いますか、自分の感情を滔々と溢れさせて欲しかったので、すごい勢いで言葉を詰めてみました。その奔流で重苦しさであるとか、今まで溜め込んでいた苦しさを表せたらよいなあという思いでした。

女には女の言い分があり、男には男の言い分がある。
語り手を愛人や夫に変えたとしたら、物語はまた異なる様相を見せるのでしょう。

「私」は文字通り修道院に行ったのか。
あるいは本当に気が狂っていて、療養院に預けられたのか。
そのあたりも想像して、もやもやしていただけたら嬉しいです。

感想、ありがとうございました。
[良い点]
女性という生き物の哀しさや恐ろしさが、淡々とした口調から伝わってくる。
[一言]
控えめで清楚な語り手…と思って読んでいたら、痛い目に遭った。なんだこの牡丹燈籠みたいな薄ら寒さは…一途にして歪、諦念にして執念、冷たい氷の中身はドロドロに溶けた愛憎の塊。毅然としたアンバランスさに、最後まで翻弄されました。モヤっとするねぇ(それがいいのよ)。
何が怖いって、語り手が正気でも狂気でもどっちでも救いがないってこと。或いはすべて計算づくで、静かな爆弾を置き土産していったのかもしれない。或いは本心から、胸に秘めた気持ちを告白していったのかもしれない。だけど、そのどれが正解だったとしても、神父様のダメージが計り知れない…。
女とはつくづく因業な生き物だと思いました。
いやこれホラーでしょ( ;゜Д゜)
  • 投稿者: 雪麻呂
  • 2019年 12月27日 02時18分
雪麻呂様

ご高覧頂き、まことにありがとうございます。語り手に最後まで翻弄されたという感想、とても嬉しいです。信頼できない語り手がここぞとばかりに、しゃべり倒してくれました。

控えめで清楚な語り手と思わせておいて、とんだ演技派女優でございましたね。怪演でも恐ろしいですし、これが心からのものならそれこそ恐ろしいように思います。
牡丹燈籠を思い出してくださったのは、本当にありがたいことです。

一途な愛というのは、狂愛にも似ているようです。もっと嘆き悲しんでもいいし、あるいは怒りだしてもおかしくない状況下で、穏やかに話を進めることができる彼女。おっしゃる通り、諦念にも似た執念は、長いときをかけてどろどろに煮詰められたのだろうと思います。

神父様にとってはそりゃあもうダメージ半端ないことだと思います。それこそ無防備な状態で彼女との別れに臨んでいたのだとしたら、ちょっと立ち直れないレベルで心をえぐられたかもしれませんね。動揺する神父様を見て、語り手は溜飲を下げているのかも。

側にいられないのなら、忘れられないくらい相手の心に深い傷を負わせたい。そんな彼女のほの暗さがにじみ出ていたら良いなあと思います。

感想、ありがとうございました!
[良い点]
狂気を感じさせる語り口でありながら、皮肉ではなく真心を淡々と連ねるかのような語り手に薄ら寒さを覚えました。

神父様の声がかすれていると語り手は言いましたが、恐らくは神父様からすれば実に三年振りに緊張の面持ちで離れに向かい声をかけたのだと思いました。
今日は酷く声がかすれていると言ったのは、離れの窓から母屋の庭で妾と子供たちと楽しげに笑う普段の声と比べてのものだったと思うとゾッとします。

自らを醜女と言ったり石女だと言うのは嘘であり、それは自らの矜持を守る為の妄信(自分でも気付いている?)であると思いました。でなければ、そもそも石女かどうかわかるのでしょうか?

皮肉を込めず淡々と語る印象の中でも、「私を追い出したところで」〜「誰を敵に回しても、誰を蹴落としても、誰を不幸にしても守りたいひとがいるだなんて、それは何よりも幸せなことなのではないでしょうか」までは強烈な皮肉と、過ちを犯せばどうなるかを想像させられる戦慄するような場面でした。


そして神父様は最初この離れに訪れた時はせいぜい軽く別れの挨拶を交わす程度のつもりだったんじゃないかと思いました。しかし蓋を開けてみれば、いつも庭を眺め見つめられ声を聞かれているわ、狂愛とも言えるほどの純愛の言葉を連ねてくるわ、最後の震えは戦々恐々からだったと私は解釈した次第です。

しかし決して悪人ではなく、どちらかといえば愚鈍な善人。もしくは凡庸な人である神父様はその純愛(狂愛)に情を絆されたが、語り手はそれを妖しく笑い手を払った。

神父様には語り手の思惑通り、小さなささくれどころか、一生癒えない抉られた傷が残ったものと推察します。
[一言]
非常に読み応えのある作品で、こうかな?ああかな?と何回も何回も読み直してしまいました。

物語に引き込む力が凄まじく、少しでも石河様に近付けるように頑張りたいと思いました。


  • 投稿者: 風花 香
  • 2019年 12月02日 22時29分
風花 香様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
純愛と狂愛とはまさに紙一重なもの。一途な愛というのは、はたからみると狂気のようにも見えるのだと思います。あくまでどのような読まれ方もできるようにと、ジャンルは異世界恋愛にしておりました。(ホラーやヒューマンドラマ、純文学というカテゴリにすると読み方が固定されてしまいそうなので)ですので、薄ら寒さを覚えるという感想を嬉しく思います。

きっと旦那さまの声、香りにとどまらず、足音なども彼女は覚えてしまっているのではないでしょうか。近くにいないはずなのに、旦那さまの趣味や好みまで把握していることもあるかもしれません。たぶん我々がぞわりとするのは、語り手は旦那さまのことをよく知っているにもかかわらず、旦那さまを含めた我々は彼女のことがわからないから。そのアンバランスな部分に居心地の悪さを感じてしまうのだと思います。

醜女、石女は、私も自らの矜持を守る為の妄信であると思います。何らかの理由がなければ、語り手は不幸な現実を受け入れることができなかったんですよね。おそらくはたおやかで美しかった女性がやつれた様子で儚げに微笑む姿は、恨み言を言われたり、罵られたりするよりも、よほど胸に来る気がいたします。

神父さまのことも言及していただき、ありがとうございます。おっしゃる通り、悪人ではなかったのでしょう。どちらかといえば善人で、少しばかり考えが足りなかっただけなのだと思います。現実世界でもよくある「言ってくれたら良かったのに」みたいなタイプかもしれませんね。(大体そういうことをいうひとは、実際やんわり言われていても、言われたことに気がつかなそうですが。はっきり言われないとわからないので、気がついた時には時すでに遅しとなっていそうです)

最後の最後にざっくりと旦那さまの心を抉っていた語り手は、晴れやかな顔で屋敷を後にすると思われます。旦那さまは一生引きずるのか。あるいは自分の都合の良いようにまた解釈して、この後の人生を過ごすのかもしれませんね。

感想、ありがとうございました!
[良い点]
見事なアンハピ、企画の真髄を突いてる。
愚かな女、だとは感じませんでした。わざとな言葉チョイスですね。
自分が主人公ならどうするかといつも考えてしまうのですが、想いを口にしてから去るその心意気に感服です。
私は好きでしたと書き置きするのが精一杯。
難儀な愛です、ほんと。愛さなきゃ楽な人生かも。

語り調で全てわからせる力量にはいつもながら魅せられました。
[気になる点]
私には景色が和風でした。
先入観だと思うのですが、大正時代の神戸あたりの神父さんがいいな〜と勝手に思いました。
陸 なるみ様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
自分ならどうするかというのは、本当に考えるところですね。
面と向かって言えるのはきっと芯の強いひと。もう二度と後悔したくないと思ったのかもしれませんね。伝えられないままに去ってしまったなら、自分の愛を伝える機会は二度と訪れないでしょうから。

実は今別作品で、「好きでしたと書き置きするのが精一杯な主人公」を描いています。
なるみさんの感想にどきり。これを書いていて、じゃあもしも相手に自分の想いを伝えることができる主人公ならどうなるのかと思って書き始めたんですよ。まあ結果は、こんな感じでものすごくひねくれてしまいましたが。

和風なイメージもすごくグッときました。
そうですね、タグには「西洋風」入れていますが、具体的な外見描写は入っていないので、和風に感じていただけたならそれも趣があってとても良いなあと思います。あの時代の「お妾さん」と正妻とのやりとりも、なかなか苦しいものがありますよね。海の見える神戸の街が舞台とか、素敵! 神父さんが異人さん(赤い靴を思い出しましたので、あえてのこの言葉で書かせてください)で、もうそのまま二人で遠い国へというのもありかも。(うっとり←信仰はどうなった)

感想、ありがとうございました!
[良い点]
 アンハピから尋ねさせていただきました。
 共感できる部分が多い作品でした。私には心に残りました。特に「愛の反対は憎しみでしょうか。いいえ、無関心です」という言葉、これは私が常々考えている事です。政略結婚の虚しさを表現している素晴らしい作品だと感じました。
[気になる点]
 神父様が震えているシーンが気になりました。最後の語りから、神父に心があるように感じました。愛が欲しかったのか、神父を愛しているのか、少しもやっとなっています。
[一言]
 心に響く作品を読ませて頂き、ありがとうございました
茂木 多弥様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
政略結婚でもうまくお互いに折り合いがつけば、それなりに幸せな人生を歩めたのでしょうね。互いに歩み寄るパターンでも、あるいは互いにそれぞれが無関心なパターンでも。片方だけが相手に関心を持っているというように、一方通行なのはやはり辛いですね。

神父様のことを愛していたのか。それともただ単に愛情が欲しかったのか。
愛することに意味を見出してしまった彼女ですから、素直に愛を受け取ることができなくなってしまったのかもしれませんね。こじれる必要がない部分でおかしくなってしまうと、シャツのボタンを掛け違えてしまった時のようにすべてがズレていってしまうようです。

感想、ありがとうございました!
[良い点]
 ええ、ええ、まんまと引っ掛けられましたですよ!

〉ジャンル 異世界〔恋愛〕

 もう、タイトル始め、何もかも信じられなくなりました!(笑)きっと主人公は美女に違いない!

 芥川の『藪の中』が好きな私には堪らない、もやもや感の残る作品でした♪

  • 投稿者: 漉緒
  • 2019年 11月30日 20時28分
漉緒様

ご高覧いただき、まことにありがとうございます。
ジャンルさえも信じられなくなってしまったとは、もうすべて信頼できない語り手のせいですね。確かにジャンルがホラーとか、ヒューマンドラマとか、純文学とかでも面白かったように思います。とはいえ、一応表面だけみたら純愛ですから!
まったくこれだから、信頼できない語り手というやつは。(お前が言うな、ですね。すみません)

はい、主人公はきっと美人に違いないと私も思っております。
おそらく愛妾と外見が正反対なのではないでしょうか。同じ美人でも、儚げ系とか派手系とか、色々ありますしね。

『藪の中』のようなもやもや感を楽しんでいただき、ありがとうございます。
アンハピエンの恋企画ならではの、すっきりしない作品となりました。

感想、ありがとうございました!
[一言]
とってもおもしろかった
最後までよんで、また1からまさ読み返したくなるような。
そもそも二人称の小説ってすきなんです。
しかしまぁ、妙に饒舌な人のはなしには、含みがあるものですねぇ。
夕凪 もぐら様

お久しぶりです!
こうやって遊びにきてもらえて、とても嬉しいです。

二人称や、一人称の独白形式って素敵ですよね。
なかなか使う機会がないのですが、こういう雰囲気になると味わい深いなあなんて思います。

饒舌な語り手は嘘をつくもの……なーんて考えております。
相手を煙に巻きながら、じっとこちらを見据えているに違いないのです。

感想、ありがとうございました!
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