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[良い点]
戦闘描写の分かり易さは流石。
[気になる点]
あるはずがない。
[一言]
どうも、§K&N§です。

まずは、更新お疲れ様です。

それにしても、山の上の人さんの文章力は流石ですね?

翠の心理描写が不足しているとのことですが、私から見て、そんなことはないと思います。

私もたまに思いますが、自分の文章を見返すと、何か物足りなく感じちゃうんですよね(^_^;)

まあ、それは本気で書いてる作者の皆さんは全員感じることなのだと思います。

では、また次回も期待しております。

お互い頑張りましょう!




  • 投稿者: §K&N§
  • 18歳~22歳 男性
  • 2011年 11月22日 17時12分
 感想ありがとうございます。

 過大な評価を頂きまして、嬉しい限りです。§K&N§さんにそう言ってもらえて少し安心しました。

 少しでも面白い物を書ける様に頑張っていきますので、これからも読んでみてください。

 『冷静と情熱の狭間』の続き、楽しみにしています。§K&N§さんも執筆頑張ってください。
[一言]
更新お疲れ様です!
今回は、涙させていただきました!

一刀と翠の一騎打ち、見ているこちらも、グッと締め付けられる気分でした。

一刀にとっては、正史を知っている者にしかわからない苦しみがあった。そのことが結果として、家族同然だったはずの琥珀さんを「見殺し」にした。

そして翠は、怒りの矛先をどこに向けるかがわからず、全部背負い込んだ。

そんな二人がぶつかるシーンは、本当に悲しかったです。

現代に生きる我々から見れば、桃香の言うことも、もっともというべきでしょう。

それでも、なんとか「和解」できて本当によかった。
しかし、愛紗さんが……。

と、思った矢先に、あろうことか、一刀が!?

うわ、なんて腹黒い! 空気読めよ、と思いました。

五斗米道教団は、ここではどうも、「いい組織」ではないみたいですね。

と、いったところで、次回。

今回も、本当にはらはらと読ませていただきました。

我ながら、感服させられるものです。

こちらも更新を急がないと!

それでは、お互いに精進してまいりましょう!
  • 投稿者: 家康像
  • 23歳~29歳 男性
  • 2011年 11月22日 00時46分
 感想、どうもありがとうございます。

 一刀と翠の一騎討ち。この話で書きたかった事の1つでした。もっとも、最初のプロットの段階では演義の通り、鈴々と一騎討ちの予定だったんですが。

 言わなければならない事って、言うべきタイミングを逸してしまうと言えなくなってしまうんですよね。しかも、また今度、なんて考えているうちにズルズルといってしまって。

 言いたくて言えなかった事をぶつけ合い、ようやく翠も素直になって関係を修復出来ました。

 一刀に好意以上の愛情を感じているのは何人かいます。中でも、桃香が一番自分の感情に正直、というか、現代人から見て普通の対応を取るのでは、と思います。ただ、彼女も今回の件でわずかながら心変わりをしていますが。一方の愛紗は、ヤキモチをしてこそ、ですからね~。

 五斗米道、張魯の行動に関しては次回、という事で。ただまあ、米五斗で病人に治療を施しているのは間違いありませんが。



 家康像さんもお仕事大変かと思いますが、頑張ってくださいね。続き、楽しみにしています。
[一言]
個人が抱く苦しみを本当に理解することは出来ないけれど、その苦しみに寄り添うことはできる。

今回の本音のぶつかり合いでお互いのことを支えようと思った感じですかね。触れようとしてもなかなか縮まらなかった距離が埋められてよかったですね。相手への好意は明確にはしていませんが、抱擁がその答えですかね。

愛紗さんもなにやらもやもやが解消できないみたいですが、この外史の一刀君が果たして種馬化してしまうのか?!(ぉぃ

何気に蒲公英の感情描写が入っていたのが個人的によかったですね。

宗教法人五斗米道の不気味な影がチラついた矢先の凶行。やっと縮まった距離とその先の未来もこれで潰えてしまうのか。

最近めっきり寒くなってきましたが、体調のほうには気をつけて下さい。次回更新も楽しみにしています!!
 いつも感想ありがとうございます。

 言葉にしなくても伝わる思いもありますが、大抵は口にしないと伝わらないんですよね。ここまで機会自体がなかった2人のこころのぶつかり合い。きっと、互いの距離は以前より縮まったはずです。

 ハーレム、は難しいですね~。正直、書ける方は尊敬します。種馬になれるほど、この話の一刀は面の皮が厚くありませんし。

 蒲公英の部分を気に入っていただけて何よりです。ただ、翠の妹分という面が強すぎて、いたずらっ子の方の表現が……。ギャグを書く能力のない自分には厳しいです。



 朝の通勤が辛い季節になりましたね。おつまみ横丁の塩冷奴がマジで好きです。さんもお体にお気を付けください。
[良い点]
 一気にボルテージが上がって参りました! これまでの鬱展開に場外特大アーチを打つかのような、そんな爽快感を期待しております!!
[一言]
 更新お疲れ様ッス!! 今回は、実に次回が楽しみになってきた〆で、『熱血少年漫画』的なノリを感じさせてもらいました。

 さてさて、韓遂を馬超に殺された事により、当初の目論見が大きく狂った華琳に、亡き主への復讐の機を狙うべくその彼女に真名を預けた孝儒こと閻行。

 ここら辺のやり取りが、一体どう言う顛末を迎えるのか、或いは鷹那のリターンマッチにもつれ込むのか? 思わずニヤリとなってしまいました。

 一方の脳筋姫――もとい、翠と悪戯姫の蒲公英に、万年気苦労が耐えない鷹那さんは漢中にご到着。然し、先日の孝儒との激闘で負わされた傷や、これまでの無理が祟ったのか、哀れ鷹那さんはノックダウン。

 やがて、とある所で意識を回復した鷹那さんでしたが、それにしても彼女は結構『サバサバ』していますよねぇ~? 羞恥心が無いのもそうですが、自分の『平坦』な体を見ても興奮せんだろうと悟っているようで。(苦笑

 だが、鷹那さん。世の中そんなに甘かないです!! 『貧乳はステータスだ! 希少価値だ! 』と声高に叫んでるヲタク少女もいますからね?(笑

 そして、数話振りに登場の『僕らの医者王』華佗さん。ここの華佗さんは『鍼』でポコスカ直すチート医者じゃなく、麻酔薬『麻沸散』を有効的に使ったりと、原作よりも現実味を帯びたキャラにしてあるので、とても好きですねぇ~。(拙作に登場する華佗の方も、山の上の人様の華佗を元のイメージにしています)

 一刀が事前に残していった『置き土産』が、思わぬ形で彼女を救う事が出来た訳ですから、これから先の話が好転するんじゃないのかなぁと思いました。

 そして、場面は蜀に変わり、董家を始めとした西涼の生き残りメンバーが桃香にご厄介になってる訳ですが……やっぱ、詠ちゃんはついてないですね? と、言うか普段はあんだけ機転が効く彼女でも、咄嗟に起こった出来事にうまく対処できなかったようで。(苦笑

 そんな彼女の面前に現れるは『いかにもお約束』なゴロツキの皆さん、親友の危機を救うべく月が助けに入りましたが、焼け石に水だったようですね? さぁ、ヤバイぞどうする? と言う状況下で『奴』が登場。変態仮面による『正義のお仕置きタイム』が開始!

 一刀の方は、ようやっと朱里とも打ち解けられるようになってきたかと思いきや、『華蝶仮面』騒ぎに巻き込まれ、行って見れば案の定。その間の一刀たちの会話のやり取りが笑えました。どうやら、一刀と朱里は気づいていたのに、他の皆さんは知らないとは……普通バレバレだと思うんですけどねぇ?(笑

 そして、お役人代表の愛紗とアウトロー正義の味方華蝶仮面の激しい対立。ここら辺のやり取りは、ルパンを追いかける銭形のとっつぁんに近い物を感じます。(苦笑

 その次の場面で、『華蝶仮面』をネタに愛紗を説得したり、星に自身の本音を語る一刀。ここでの一刀の魅力の一つは、一生懸命『気持ちを伝える』事で、頑なな恋姫たちの溝を埋めて行く所もあると思いますね。そのお陰で、星からも『真名』を預けられるようになり、今後も蜀将達との溝をそうやって埋めてくれる事を期待しております。

 そして……正にこここそが、今回のお話の『正念場』だと思いました。何という運命の皮肉か、翠・蒲公英・鷹那が張魯の尖兵として桃香達に矛を向けてくるとは……そして、鈴々と星、二人とも空気読め、空気!! 愛紗が怒らずとも他の誰かなら怒ってるぞ!!

 周りが喧々囂々となる最中、他の皆を尻目に単騎翠の元に向かい、彼女に挑む一刀……さぁ、お前の本気を翠にぶつけてやれ! そして、いつまでも目を覚まさないこのお姫様に活を入れて来い!! 

 私の方は、まだ5,500文字までしか書いていないんですが、親しくさせて頂いてる方の大好きな作品が更新されるのを見ると、こちらの方もやる気が沸いてきますねぇ~~!!

 次回の更新を楽しみにしつつ、私の方も気合を入れ直して更新作業に取り掛かりたいと思います。今回はお疲れ様でした!!



――お・ま・け――(今回の話のパロディです)


――コォォオオオ……ホォオオオオ……コォオオオオ……ホォオオオオオ――


 その時だった。辺りに不気味な呼吸音らしき物が聞こえてくる。男達は慌てて周囲を見回すが、とある一角から……身の丈八尺数寸(約百九十センチメートル)程の、漆黒の鎧兜に身を包み、鎧兜と同じ黒く染め上げた戦袍(マント)を身に纏った屈強な男が姿を現した。男の顔は仮面で覆われており、簡単に素顔を見る事が出来ない。


「だ、誰だっ、テメェはっ!? 」


 一人のゴロツキが、恐怖を隠そうともせずに大仰に叫んだ。ゴロツキども、そして、月と詠もまた、つられる様に指先の方へと視線を移す。黒鎧の男は、仮面越しからしゃがれたような濁声を響かせ、その声を聞いた者は何かかしら得体の知れぬ恐怖に襲われ始める。


『白昼堂々と幼い娘を攫うとは、随分と不愉快極まりない物を見せてくれたな? わしは西斯(シス)の暗黒卿『達斯維達(ダース・ベイダー)』……これより、貴様らにはわしの『原力(フォース)の暗黒面』を味わわせてくれようぞ! 』

「なっ、何だあの黒い鎧は!? 」

「だっ、達斯維達だとぉっ? きっと、アイツは東嶽大帝の使者に違いねぇ!! 」


 『達斯維達』なる異形の者から発せられる得体の知れぬ威圧感に襲われ、ゴロツキどもは全員腰を抜かして一歩たりとも動く事が出来なくなっていたのだが、その『達斯維達』は一歩、また一歩とゆっくりと歩み寄ってくる。

 そして――達斯維達が先ほど『アニキ』と呼ばれていた男の前で歩を止めてみせた。不気味な呼吸音を背景曲にし、鎧に覆われた太い両腕をガバッと天に掲げてみせる。


「ひっ、ひいいいいいいっ!! み、見逃してくれぇっ!! 」

『それは聞けぬ願いと言う物だ……さぁ、暗黒面の素晴らしさを思う存分に味わうがいい 』


 仮面越しで発せられる『達斯維達』のだみ声は、言葉尻から笑っているのが窺えた。


 一方、その頃。一刀・朱里・雛里の三人がが次の目的地へと歩いていると、前方に黒山の人だかりが現れた。しかも、まだまだ人は増えている。実際、一刀達を追い抜いていく人が多い。


「何だよ、また華蝶仮面が出たのか? 」

「いや、今回は華蝶仮面じゃないぞ? どうも、『達斯維達』とか言う泰山地獄の使者らしい 」

「そう言えば、何だか黒い鎧着ていたもんなぁ? 」


 脇を駆けていった男の声が一刀達の耳に届く。瞬間、三人の表情がそれぞれ形を作り始めていた。


「あれぇ? 華蝶仮面じゃないのかな……? 」

「ホッ…… 」

「え゛っ……? (ダ、ダースベイダーだってぇ!? 何で、この世界にシスの暗黒卿がいるんだよっ!?) 」


 残念そうな表情の雛里。だが、それとは対照的に、朱里は少しホッとしたかのような安堵の表情になる。


「ねぇ、朱里ちゃん。見に行ってみない? 一体誰なんだろ? 」

「うっ、うんっ。行って見よう 」

「ま、待ってくれ。俺も行くよ 」

 
 二人からの返事を聞くと、雛里は一刀と朱里、二人の手を引いて駆け出した。

 十重二十重に重なっている人垣を掻き分けて中に入っていく。ようやく中央に辿り着いた一刀だが、その瞳に飛び込んできた光景に狼狽する。

 何故なら、昔日本に居た時に様々なメディアで見たような鎧を着た長身の男が、ゴロツキ相手に素手でぶちのめしていたからだ。見れば、他に何人もの仲間とおぼしき男が倒れている。


(あれって……伊達政宗の鎧に似てるよな? 三日月の前立てがないけど……でもいい、取り敢えず詠と月を守ってくれたんだ。感謝しないとな? )


 他にも、鎧の男に守られる様に形で月と詠の姿も見える。二人が無事なのを確認し、一刀はホッと胸をなでおろした。然し、次の瞬間周囲から悲鳴が上がる。


『さぁ、首謀者の貴様には、我が『原力絞首(フォース・グリップ)』を見舞わせてやろう 』

「ひいいいいいいっ!! 」


 何故ならば、言うや否や『達斯維達』は右手でアニキと呼ばれた男の首を掴むと、そのまま高々と持ち上げてみせたからだ。


「グアアアアアアアアッ!! ぐっ、ぐるじい……は、はなじでぐだざい…… 」

『駄目だな、お前の罪状は到底許し難い。先程の娘達にしたように、これまで罪も無き娘達を散々甚振った末に売り飛ばしていたのだろう? ならば、わしが東嶽大帝に貴様を『奴隷』として売り飛ばしてやろう!! 』

「ひっ、ひいいいいっ!! やっぱ、東嶽大帝の使者だ~~!! 」

「にっ、逃げろー!! 」

「こっ、殺されるーっ!! 」


 その『達斯維達』の人間離れした怪力と所業に、恐怖したのか野次馬達は一斉に蜘蛛の子散らしでその場から逃走し始めたのである。


「それのどこが『フォース・グリップ』だよっ!! 思っきし、『ネックハンギングツリー』やんけぇ!! 」 

「は、はわわわわ~~っ!! ……きゅう~~ 」

「あ、あわわわわわっ……あう 」


 一人一刀が突っ込んで見せるが、流石に朱里と雛里には刺激が強過ぎたようである。二人の顔からサーッと血の気が引いてくると、あっと言う間に彼女等は気を失ってしまった。


「なっ、ナニアレ……下手をすれば恋以上の化け物だわ…… 」

「へぅ…… 」

「アッ、ゆっ、月ーッ!! ちょっと、しっかりしなさいってば!! 」


 この状況を冷静に分析しようと務める詠であったが、月の方はと言うとそこまで心が強くなかったようだ。彼女の方も、朱里や雛里と同じくあっと言う間に気絶してしまうと、詠は何とか意識を戻させようと必死に月の耳元で大声で叫び始める。


「くうっ……出遅れてしまったか! それにしても『達斯維達』とか言ったよな? あの男、一瞬であったが何処かで会ったかような気がしたのだが……一体何者なのだ? 」


 折角の出番を取られてしまい、華蝶仮面に扮した星が一人屋根の上で渋面を作る。結局、この後『達斯維達』なる怪人物は、首を絞めていた男が『落ちた』のを確認すると、すんなりとその手を離した。

 然し、間髪入れず愛紗が警邏兵を率いて駆けつけてくると、彼女を中心に警邏兵が『達斯維達』を取り囲む。

 鬼の形相でジリジリ迫る愛紗の姿に、アレだけ強かったはずなのに、『達斯維達』は及び腰になり始めた。


「貴様……一体何者なのだっ!? 幾ら悪人とは言えども、貴様のした事は立派な殺人未遂だ!! さぁ、大人しく縛についてもらおうか!? 」

『むうっ……流石のわしでも、『関雲長』は苦手だ……色々な意味でな? 』

「貴様ッ、何故我が名を知っている! それと、色々な意味で苦手とは一体どう言う意味だっ!? 」


 愛紗と『達斯維達』、両者の間に微妙な緊張感が漂う。だが、突如地面を揺るがす馬蹄の音と共に、それは打ち破られた。


「『琥珀仮面』只今参上ッ!! 『達斯維達』、黒風を連れて来たぞっ!! 早く乗れッ!! 」


 そう叫ぶは、栗毛の馬に跨る女であった。彼女は布を顔に巻いており、素顔を隠していた。然し、一刀はふと気付く。 何故なら、彼女の着ている服と跨っている馬には見覚えがあったし、何よりも何処かで聞いた事のあるような声であったからだ。


(ん? 『琥珀』だって……? そう言えば、あの女性の着てる服、どこか琥珀さんが着ていた物に似ているよな? それに、乗ってる馬も何だか黄鵬に似ているし、声の方だって…… )


 だが、一刀が考えを巡らせてる内に、彼がそれをじっくりと確認する事は出来なかった。『琥珀仮面』と名乗る女が連れて来た黒毛の巨馬に、達斯維達がひらりと跨ったからである。


『おお、すまぬ我が妻よ! 諸君、それではさらばだ! 『原力(フォース)と共に在らん事を』…… 』 


 どこかで聞いたかのような捨て台詞を残し、馬上の人となった『達斯維達』は『琥珀仮面』と共にこの馬から立ち去る。彼らが立ち去った後には、何やら『嵐の後のような静けさ』が漂っていた。


(『達斯維達』か……ひょっとして、アイツも俺と同じ『迷い人』なのかも知れないな? )


 怒り心頭で顔を真っ赤にして、場に当り散らす愛紗を他所に、一刀は一人思う。果たして、一刀と『達斯維達』なる怪人物の再会はあるのか? それは皇天后土のみぞ知る……。



――半刻(約一時間)後、成都の近郊にて――


「ふぅ、悪ふざけが過ぎちまったかな? 」


 悪戯小僧のような笑みと共に、兜と仮面を脱いだ一刀が手慣れた仕草で、先程脱いだ兜に三日月の前立てを取り付ける。すると、彼の隣で野営用の天幕を張り終えた翠が、両手を腰に当てて苦笑いを浮かべていた。


「全く……あんまりヤバイ真似すんなって言ったの一刀じゃないか? その一刀が『ヤバイ真似』していたんじゃ、意味がないじゃんか 」

「悪い悪い……詠と月があんな目に遭ってるのを見ていたら、何だか他人事を決められなくなっちまった 」

「まっ、それが一刀の良いとこなんだけどな……? でなきゃ、アタシが旦那にしてる訳無いか? 」


 フッと翠が不敵に笑みを浮かべて見せると、行き成り一刀は翠を抱き寄せる。この、愛しい旦那様の不意打ちに、途端に彼女は顔を赤らめて目を白黒させてしまった。


「かっ、一刀……☆◎?#※~~!! 」

「何だかんだ言っても、俺に付き合ってくれるんだ。俺にとって、翠は愛しい『妻』の一人なんだからな? 」


 初めて契りを交わしてから彼是十年近くなるが、未だに一刀と翠の雰囲気は若かったあの頃と同じの眩さのままであった。

 ふと、一刀の面前の翠が両目を閉じて、そっと唇を近づけてくる。すかさず、一刀は自分の唇を彼女のそれに重ねて見せた。


「ンンッ……なっ、なぁ一刀……その、三人目作ろうか? 」


 もじもじさせながら、たどたどしく翠が口を開く物の、それに対し一刀はハッと現実に戻されたかのように表情を引き締めて見せた。


「一刀? 」

「ゴメン……もう一人の俺が、この世界の翠の事で辛い目に遭ってると言うのに、もう一人の俺達がこんな真似してたんじゃ、何だかあいつ等に申し訳ないような気がしてしまったんだ……翠、ほんとにゴメンな? 」

「そっかぁ……まっ、いいさ。確かに、この世界のアタシは、何だかアタシより意固地が過ぎるような気がする……ホンとはさ、アタシが母様に代わってアタシ自身を引っ叩いてやりたいとこだけど、それはここの世界の一刀の役割だしな? 」

「ああ、基本俺達は余り深く首を突っ込んじゃいけない。でも、俺達が手出しする様な事態にならなければいいんだけどな…… 」


 ギュッと服のすそを掴みながら、重々しく翠が言うと、一刀は再び彼女を強く抱き寄せた。そして、二人は真っ直ぐと成都の城を見詰める。この世界に迷い込んだ『一刀』と『翠』……果たして、彼等の胸中は如何許り物であろうや? それを知る者は当人以外では誰もいなかったのである。


――あとがき――

 スンマセン、悪乗りして書いちまいました!! かのダース・ベイダーのコスチュームが、伊達政宗の『黒漆塗五枚胴』を参考にデザインされたと言うので、それを元にやっちまった小ネタでございます!!

 ホントは、さっさと続き書かなければならないのに……私ったら、本当にお馬鹿さん!!

 それでは、次回をマジで楽しみにしております! 

  • 投稿者: 不識庵・裏
  • 30歳~39歳 男性
  • 2011年 11月08日 22時39分
 感想、いつもありがとうございます。

 「熱血少年漫画」、確かにノリはそんな感じです。すれ違いぶつかり合う主人公とヒロイン、という展開もベタすぎるくらいベタですし。

 閻行の真名のくだりに関しては、前々回からの繋がりで、彼女の覚悟の強さを表してみました。最後に華琳も真名を許していますが、彼女はこういった「アメとムチ」的な人心掌握術が上手いイメージがありますね。華琳、というよりは、曹操なのかもしれませんが。

 漢中で馬超と鳳徳は生き別れ、その後、再会を果たす事はなかった訳ですが、何とかこの展開は回避しようと。で、僕らの医者王に再出撃してもらいました。鍼1本で全ては治せませんが、それでも彼の医術は十分チートです。

 この部分は、本当に不識庵・裏さんに感謝です。閻行のアイデアを頂く前は、韓遂の護りには季衣と流琉についてもらう予定でいました。その2人を、鷹那が速さと技で翻弄する。そんな展開を考えていたので、漢中でどう倒れてもらうか、悩んでいましたので。元々の流れよりは自然に繋がったかな、と思います。

 ちなみに鷹那は、世が世なら貧乳党の党首になれるほどの実力者? です。

 詠と月のピンチに颯爽と現れた華蝶仮面。医者王に続く便利なキャラの登場です。彼女の場合、街中ならいつどこに現れても不思議ではないので。

 星に気に入られるなら、やはりメンマか華蝶仮面しかないかな、と。ただ、ここまで星の出番が少ないため、メンマ好きのくだりは書いてこなかったので、こちらを選択です。

 朱里と雛里に関しては、話が思い浮かばなかったのもあり、流れの中で真名を預けた事にしてしまいました。

 そして、ついに再会した両者。一刀の漢を見せる時、です。このシーンを書きたくてここまで話を振ってきたので、何とか少しでも面白いと思える内容に出来る様、頑張っていこうと思います。





 今回もお話をありがとうございました。

 一刀がダークサイドに!?

 しかし、以前は翠の暴走をたしなめていたはずの一刀が逆に戒められているのは、何だか新鮮な感じでした。

 ダースベイダーの甲冑が伊達政宗の鎧をモチーフにしていたとは、初めて知りました。もっとも、黒澤映画に感じ入って作ったそうですから、そういった日本の物を取り入れたのかもしれませんね。
[一言]
更新お疲れ様です。
前回は、一刀が不憫でした。すぐには信用されないのは仕方ないのでしょうが、厳顔には言う資格はないでしょう。
自分こそ劉璋を裏切っておきながら、何をえらそうにとしか思えません。
次回では一刀が男を見せるのでしょうか?
更新を楽しみにしています。
  • 投稿者:
  • 2011年 11月08日 19時29分
 感想ありがとうございます。

 確かに、厳顔も元の主を裏切らなければならなかった訳ですが、一刀とは少し違うかな、と思います。民のために苦渋の決断をせざるを得なかった彼女からすると、翠の下を離れた理由もはっきりしない一刀は信用ならない存在ではないか、と。彼女の後ろめたさは、桃香に諫言した際の「わしが言えた義理ではありませぬが……」という部分で、少しだけですが出したつもりです。

 次回では、これまで主人公でありながら影の薄い一刀に頑張ってもらうつもりですので、もしよろしければ読んでみてください。
[良い点]
シリアスから始まり、ギャグも入れて、そして、次回への伏線を残して終わる、という流れが、非常によかったです!
[一言]
こんばんは!
更新、お疲れ様です!

さて、今回のお話を拝見させていただきましたが、冒頭で、鷹那さんが、いきなり倒れるという非常事態!

と、思ったら、あの「医者王」が登場しましたね!

実を言いますと、僕は、この「医者王」が大好きです(爆)
恋姫原作の、「希少な熱血漢」ですからね。

それはともかく、一刀の気配りと、医者王のおかげで、ひとまずは安心だと思いましたが、それでも、不安を隠しきれませんね。

(三国志の原作では、馬超と龐徳は、この漢中で……)

いずれにせよ、先が気になる展開です。

一方の成都ですが、詠があの「いつも出てくる三人組」に襲われかけ、助けに入った月まで……、と思った矢先に、来ました! 華蝶仮面!(爆)

これは、噴きました!(大爆笑)

その後、愛紗と一悶着ありましたが、まあ、一刀のおかげで、少し丸く収まったようでよかったです。

しかし、本当に、どうして「華蝶仮面」の正体に、ほとんど誰も気付けないんだ?(笑)

しかし、そんな日常はあっという間。

あろうことか、翠と一刀が……。

ここでお開き。

次回が、本当に気になります!

今回も、本当に深いお話でした。

一方、こちらは仕事が忙しくて、なかなか書けません(涙)

しかし、こっちも頑張りますよ!

さて、今回の舞台は蜀の成都でしたが、この土地は、「三国志」の約二百年前の、「光武帝・劉秀」の後漢建国時代の時、とある諺が発祥した土地として有名です。

その諺は、「井の中の蛙(井底蛙)」で、その言葉を、世界で初めて使ったとされるのが、馬超のご先祖様こと、「馬援」です。

当時、蜀には公孫述という軍閥が割拠して、「皇帝」を自称していましたが、馬援はこの公孫述と幼馴染だったため、はるばると会いに出かけました。かつての友人だったので、幼い時みたいに、軽く会いたかったのです。

ところが、公孫述は馬援を迎えるにあたって、宮殿に儀仗兵を並べ、文武百官を集め、自らは皇帝の服を着て出迎え、馬援を自分の「大将軍」に任命しようとしました。

公孫述は、昔の友達である馬援を、自分の最高の家臣にしようと思ったのかもしれませんが、これはうまくいきませんでした。

馬援は、

「天下はまだ誰の手に落ちるかわからぬ。公孫は食事の最中でも飛び出して国士を迎えて、天下の計略を立てねばならぬのに、かえって格好ばかりつくってまるで人形のようではないか。この人がどうして天下の士が留まるにあたいしようか」

と、言って、そのまま涼州へと帰ってしまいました。(当時、馬援は涼州の軍閥・隗囂の客将だったため)

そして、涼州に帰った馬援が発した言葉が、

「子陽(公孫述の字)は井底の蛙なるのみ」

でした。

その後、馬援は自分より八歳年下の劉秀と出会い、後に大いに活躍することになったのです。(その時の話がおもしろいのですが、割愛します)

長話、失礼しました。

それでは、お互いに頑張りましょう!
  • 投稿者: 家康像
  • 18歳~22歳 男性
  • 2011年 11月08日 00時53分
 感想どうもありがとうございます。

 鷹那は閻行との闘いで負った傷を隠したまま、漢中まで辿り着いたのですが、さすがに無理が祟りました。そこを歴史を知る一刀と、医者王の力で、別離フラグを強引にへし折ってみました。

 医者王、自分も好きですね~。特に、中の人が。まあこの話だとゴッドヴェイドーの力がないので、原作の熱さはなくなってしまいますが。

 華蝶仮面、彼女のおかげで街の平和は守られています。しかし、関羽とその真剣さを飄々と受け流す華蝶仮面の相性は最悪ですね。星のままでも厄介なのに……。





 面白いお話、ありがとうございました。「井の中の蛙」という諺が、そんな時代に生まれたとは。確かに外の様子も見ず、益州の様な田舎で皇帝気取りでいては、そう思われても仕方ないですね。



 仕事を始めたばかりで、慣れるまでは大変だと思います。無理のない範囲で頑張ってください。光武帝紀の続きはのんびり待たせてもらいます。
[一言]
翠が劉家軍を攻めると決定した時の彼女の心境が気になります。
  • 投稿者: CANCER
  • 18歳~22歳 男性
  • 2011年 11月08日 00時48分
 感想ありがとうございます。

 翠の心境、入れられる様であれば次回に書かせていただこうと思います。
[一言]
 毎度のことながら面白いですが、翠が脳筋過ぎてイライラする。私だったらとっくに見限ってるレベル。そのせいか一刀がいまだに彼女を救おうとしているのを見ていると胸に来ますね。
  • 投稿者: バオー
  • 2011年 11月08日 00時30分
 感想どうもありがとうございます。

 面白い、と言っていただけて光栄です。

 翠は脳筋、というのもありますが、よく言えば一途。悪く言えば視野が狭いせいもあり、母の死と自身が口にした言葉に縛られている状況です。

 一方の一刀は、亡くなった琥珀との約束と、何より翠への想いが強いですから。

 よろしければ、これからも読んでいただけると嬉しく思います。
[一言]
言葉は不要ですね。

翠との決戦。そこに思いをすべてぶつける。技量は言うまでもありませんが、激しい気持ちの応酬が起こりそうですね。

再来週が冗談抜きで待ち遠しい(笑)
 いつも感想ありがとうございます。

 頑なになった翠の心を開くため、一刀、一世一代の大勝負へと、という次回。なんとか再来週に間に合う様に頑張りたいと思います。

 ただ、活動報告にも書いているんですが、今回はかなりギリギリでした。珍しく日曜日に仕事が休みだったので、土曜の夜からで五千文字程書く突貫作業になりました。たぶん、次回は少し短くなると思うので、もう少し余裕を持って書き終われるんじゃないか、と。ご期待にそえるだけの物を書ける様にしたいと思います。
[良い点]
 今回はグッと来る話の連続でした……。もうね、泣けてきますよ。色んな意味で。
[一言]
更新お疲れ様です。さて、今回は落ち延びてきた馬家の面々を保護してもらうべく、蜀を統治する劉備こと桃香との面会を果たした訳ですが……。

 然し、恋とねねとの再会シーン……恋は相変わらず野性的本能で動いてるし、ねねの方も態度がでかいですなぁ~~! まぁ、そこら辺が彼女らしいんですけどね?
(そう言えば、俺自分の作品で彼女らまともに出してねぇや!!(汗 )

 やっぱ、早々上手くいくモンじゃあ無いですよねぇ~~! 厳顔だけでなく、愛紗、そして朱里からも『胡散臭い奴』とか『主家を見限った薄情者』と睨まれ、責められてなじられて、散々辛い目に遭わされる一刀。

 彼が余りにも不憫すぎて泣けてきました。然し、それでも『一刀さんはいい人だよ、だから私は一刀さんを信じる』と言わんばかりに声を張り上げる桃香。

 朱里や桔梗が思った様に、桃香には少し『為政者としての自覚』が欠如していますよね? もう、既にただの村娘やちっぽけな義勇軍の盟主ではなく、『蜀』と言う国の主になってる訳ですから、自分の決断一つで国が大きく揺れてしまいますからね?

 一個人としてはとても素晴らしいと思うんですけど、国を治める者としては、まだまだ勉強が足らんなぁ~と思いました。

 ここでの桃香は、結構原作に近いんで、桃香を扱ってる自分としても、この作品を読んで『桃香ってこういう奴だったよねぇ~』と再認識するばかりです。

 健気な事に、月が『自分の首を差し上げます』と一刀を助けるべく出てきましたが、結局彼女の勇気も空回りに終わる不本意な結果に……。嗚呼、なんと切ないんだろう。

 然し、落鳳坡の一件を持ち出され、自分の話を聞いて貰い、何とか置いてもらう事になり一安心の一刀達でしたが、いまだ疑心暗鬼の面々に囲まれた蜀将達の信頼を得るのはまだまだ先でしょうねぇ~~。
 
 一刀と桃香のデート(? でしたが、やはりここでも愛紗は『鬼の見張り役』だったんですね?(笑 生真面目で堅物な彼女の気性を考えれば想像がつくと言うモンです。

 その後、夕暮れが迫る中、桃香が一刀に問いかけてきた『豊作』をたとえ話にしたやり取りでしたが、いかにも彼女らしいと思いました。華琳や雪蓮に蓮華の様な才覚には欠如していても、一生懸命やる事をやるひたむきさが、彼女らには無い桃香ならではの魅力の一つだと思いましたね。

 思わぬ彼女からの『励まし』を送られ、気を取り直した一刀でしたが……その一方でまさかのアクシデント発生! 

 詠がウッカリ失言しちゃったせいで、『一刀が根回しして蜀に落ち延びる』事が発覚し、翠が大激怒……と言うより、どちらかと言えば『つむじを曲げる』『意固地になってる』と言った方が正しいのかもしれませんね?

 霞から『ガキじゃないんだからいい加減にしろい!』って言われても、断固拒否する翠。結局西涼落ち武者ご一行は分裂してしまい、馬家は漢中へ、旧董家家臣は蜀へとバラバラに……。

 一刀が落ち込む詠を慰めていましたが、彼は更なる心の傷を負ったに違いありません……めげるな一刀! 応援してるぞ!!

 そして……一刀と翠、この二人は一体どうなっちまうんだろう? 次回をまた楽しみにしております!


 ――オマケ―― 『魏文長不在の理由』


 一刀の件で、桃香達が諸将を集めて協議している最中、桔梗こと厳顔はその面子の中に散々手を焼かせている馬鹿弟子の姿がいないことに気づく。


「ムッ? そう言えば焔耶の姿がおらぬ。あのたわけ者が……今こんな事態だというのに、どこをほっつき歩いておる…… 」


 只でさえ機嫌が悪いと言うのに、新しい主となった桃香と己の蛮勇にしか目もくれぬ、あの男嫌いの馬鹿弟子が席を外している。

 その事実も手伝ってか、今の桔梗の顔はまるで泰山地獄の支配者『東嶽大帝』を思わせるほどの形相になっていた。

 室内には重い空気が漂い始めていたが、それを打ち破るべく、一人の伝令が室内に駆け込んできた。彼は息を切らしながら、拱手一礼して報告を始める。


「ご報告いたしますっ! 」

「何事かっ!? 」


 上座の桃香に代わり、隣に控える愛紗がすかさず応じる。


「ハッ、魏将軍が城下町で武芸者らしき二人組の男女に喧嘩を売り、散々打ちのめされて、大怪我を負わされました。医師の見立てによりますと、命に別状はございませんが、回復するのに一月ほどかかるとの事です! 」


 この兵士の報告に、一同は一斉にざわめき立てる。魏延こと焔耶と言えば、愛紗達が来るまでの間蜀将の中では一際武に優れた者であった。

 幾ら二人組みとは言え、並大抵の武芸者では彼女を打ち負かす事は不可能の筈。だのに、その彼女が何故そこまでこっぴどくやられていたのか? こみ上げる疑念に耐えかねたのか、焔耶の師母である桔梗が兵士に尋ねた。


「一体どのような武芸者なのだ? その男女は? 幾ら二人掛りとは言え、儂は焔耶をそのような|柔《やわ》には鍛えておらぬわ 」

「……うぅ 」


 桔梗の問いかけに、その兵士は最初は躊躇していた物の、意を決したのか真相を語り始めた。


「ハッ! 魏将軍は、当初町中を見回っていたのですが、その途中漆黒の鎧兜に身を包んだ隻眼の武芸者と、その妻らしき槍を携えた女武芸者と出くわしたのです。

 最初、その二人は何気なく通り過ぎようとしたのですが、その際魏将軍に体がぶつかってしまい、二人組みの方は当初頭を下げて謝ったのですが、魏将軍は因縁をつけてきたのです 」

 
 ここまで報告を受けると、特に桔梗を中心としたみなの顔が『またか』と呆れ顔になる。そんな彼女等の表情を一旦見やると、兵士は更に言葉を続けた。


「その後、魏将軍は男の方を『変な黒い鎧を着てるが、どうせ見掛け倒し』、『隻眼のようだが、どうせ強く見せかけてるだけだろう』と罵詈雑言の嵐。

 我らはお止めしたのですが、将軍は聞いてくださらず……遂に、二人組の内、女武芸者の方を怒らせてしまい、私闘に及ぶかと思いきや、魏将軍は一方的にやられました。

 最初は、男の方に襲いかかったのですが、簡単に足元を引っ掛けられ転ばされると、次は女の方が将軍に飛び掛り、然も馬乗りになった状態から拳で……後は、先ほど申し上げた通りの結果でございます…… 」


 この報告に、彼女らは信じられないと言った顔になるが、その直後……盛大な呆れの溜息が出始めた。

 桔梗は、この馬鹿過ぎる弟子の愚考に、怒りと呆れを交えた表情になると、吐き捨てるように言い放つ。


「あの阿呆が……前々から言っていたのに、また言葉が過ぎたか? 焔耶の方は放って置けいっ! 此度ばかりは、あやつの自業自得だっ! 桃香様、如何いたしましょうか? 」


 桔梗から射るような視線を投げかけられ、桃香は顎を摘んで真剣に考え込む。況してや、先ほど一刀絡みであれだけの事を言われたのだ。こうなった以上、半端なお沙汰では、桔梗は納得してくれないだろう。


「焔耶ちゃんにはちゃんと体を治す様に伝えといて、けど私や桔梗さんとの約束を破った罰として、桔梗さんがいいというまで自宅にて謹慎するように! 」

「ハッ! 」

「それと、さっき話にあがった、『夫婦らしき武芸者の男女』だけど……探して貰えるかな? お詫びも言いたいし。名前とかわかるかな? 」


 主公たる彼女から尋ねられると、彼はすぐ言葉を返した。


「はっ、どうも黒い鎧を着た男ですが、『かずと』と呼ばれており、女の方は『すい』と呼ばれていたようです 」


「「「「「え……? 」」」」」


 この兵士の言葉に、一同は目が点になる。『かずと』とは一体何者なのか? そして『すい』と呼ばれた女性は……? 彼女等の疑問であるが、これが解決される事は無かったのである。


 ――一方、その頃……――


「ゴメンッ! 一刀ッ! アタシが悪かった! 」


 成都の城から少し離れた街道で、馬上の翠が先行する形で愛馬黒風にまたがる一刀にしきりに頭を下げていた。


「全く……焔耶はああいう奴だから、まともに相手するなと釘を刺しといたじゃないか? 」


 後ろを振り向き、呆れ顔でぼやく隻眼の一刀。然し、口調や語尾からして、さほど翠を責めてるようには思えなかった。


「いやー……そのー……だってさ、自分の旦那をあそこまでけなされちまったら、アタシの『女』がすたらぁ! そりゃ、娘時代から歳喰っちまったけどさ、益々磨きを掛けた『錦馬超』の武を、あの生意気野郎にぶつけたかったんだよ! 」

「おいおい……そりゃあ、単なる『イジメ』じゃないのかぁ? 全く、承と秋が今のお前の姿を見たら、呆れ顔になっちまうよ…… 」


 北郷一刀こと『劉仲郷』二十七歳、彼の妻の一人である翠こと『馬孟起』は二十六歳になっており、彼女は既に二児の母で家では優しい母親の顔をしていたのだが……どうやら、生まれ持った気性や血を抑え切れなかったようである。

 果たして、この『怪しい男女の珍道中』の行き着く先は? それは皇天后土のみぞ知る……(続かないかも)

 焔耶こと魏延が、今回のお話に出なかったんで、小ネタとしてジョーク代わりに書きました。こっちの『一刀』と『翠』ですが、照烈異聞録の本編の約10年後のイメージです。(苦笑

 あ、これ真に受けないで下さいね? 『冗談』ですんでね!?

 それでは、また~~~!! こっちですが、新しい職場で何とか頑張ってマース!!
  • 投稿者: 不識庵・裏
  • 30歳~39歳 男性
  • 2011年 10月25日 23時46分
 感想、そして面白いお話ありがとうございました。

 恋はやっぱり食べ物と絡んでこそ、ねねは恋と絡んでこそ、ですね。ここの部分、もっとあっさりいくつもりだったのですが、最初の予定よりかなり長くなってしまいました。

 厳顔は初対面ですし、諸葛亮は一刀を油断ならない人物と見ていますから。特にこの話では、厳顔は翠と顔見知り(あくまで会った事があるレベル)になっていますので、余計に、かもしれません。

 ここで理や利で動くのは、桃香らしくないんですよね。確かに一国の主としては、情に流されて物事を判断するのはよくないですが。彼女に全てを任せたら、あっという間に情治国家になってしまうのは間違いなし、です。

 落鳳破の話から何とか受け入れてもらえましたが、彼個人が信用を得た訳ではありませんね。鳳統にとっては、命の恩人、みたいな感じなので、多少は距離が縮まったかな、と考えていますが。ただ、厳顔達はちょっと時間がかかりそうです。

 桃香とのデート、戻れば関羽のお説教は確定です。たぶんあの話の後、夜半まで2人揃って正座させられている事でしょう。ここではなるべく、『桃香らしい答え』を意識して書いたので、この様に書いていただけたのは非常に嬉しいです。

 詠のウッカリですが、どうしたらいいか悩んだ部分でした。最初の予定では、お喋りな霞にウッカリしてもらうつもりでしたが、最後の動きを考えて詠に変えたので苦戦しました。自然な感じでまとまっていればいいんですが……。



 北の字と翠のお話、続きを期待しております! なんて。

 しかし、魏延はこの場で出しておくべきだったでしょうか。彼女は政治向きではないし、桃香の忠犬っぷりが見事すぎて動かしにくいんですよね。一刀に噛み付くのは見えるんですが、感情論に終始しそうだし、最終的には暴力に訴えそうだし。真っ正面からぶつかると、一刀君、負けちゃいますから。ただ、出番を作る絶好の機会だったのは確かですね。意識しないと、蒲公英と一緒に空気になりそう……。



 では、次回も2週間後には投稿出来る様、頑張りたいと思います。

 お仕事、大変かと思いますが、頑張ってください。
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