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[良い点]
優れたる者は祟ることにおいてもなお秀でている……!
あまりにも鮮やかな復讐。
 誠に鮮やかにしてのけました。天網恢恢疎にして漏らさずを、自らの腕で為し遂げた感があります。
 けれど両親を筆頭に縁者友人知人からしてみたら、辣腕を発揮せずとも、生きてこそいて欲しい心持ちでありましょう。
[良い点]
こういう、ちゃんと契約して互いの線を守りながら、この世ならぬ者とお付き合いしていくのって良いなぁと思うのです。
線をわきまえず、分不相応なことを望むと罰せられるのが世の定め。
おばあさまはきっと、最後まで約定を守り通されたのでしょうなぁ。
 仰る通り、こうした距離感が好きで書いた話です。
 お互いのルールを尊重してそれぞれが振る舞うのって、なんとない可愛げがありますよね。

 ベースとしてあるのは宮負定雄の『奇談雑史』に載っている天狗の話なのですが、こちらも双方律儀に約束を守って、筆跡を貸した能筆家は御礼に見事な築山を作ってもらっていたりします。
 お互いに距離がある、というと悪い関係のように聞こえますが、礼節を持って適切な間柄を保つのは、誰との付き合いにおいても大切であるよなあと思うのでした。
[良い点]
寄ってくるだけ可愛いもんですことよ。
そっぽ向いて知らん顔なんかされた日には、もう一度どやしつけてやらなきゃなりませんからねぇ。
こうして彼女は、地域の猫たちの大ボスに……!
「シロがやられたか」
「だが奴は我らの中で一番の小物……」
 みたいな猫集会が開かれて、次々と現れる挑戦者を撃破するうちにボスの座に君臨してしまうのですな。

 ちなみに彼奴ら、構って欲しくてわざと知らんぷりしてくる場合があるそうなのです。
 ちょろっと足に体を寄せて、「あーら触っちゃった? 別に他意はなくってよ」みたいな顔したりするらしいのです。
 人類は永遠に、猫の手練手管に敵わないのかもしれません。
[良い点]
こういうのって失敗するとほんと悔しいよね……!(なぜか怪異側の目線)
 これまで手玉に取ってた気分でいたのに、突然裏をかかれて負けた気持ちになりますよね。
 そしてこちら側の目線に立てるということは、狼子さんもいたずらっ子であったに違いあるまい!
[良い点]
人柱の亡魂だとすれば、人柱が童子だったのでしょうね……。
川の意趣返しなのなら、大人げなさが姿になったものかしら。
案外、殿様自身の幼い頃から募った思いが、誰より先に橋を渡ったのかも。偉業をなすにはそれくらい長い間の強い願いが必要だったのやもしれませぬ。
 三代の間には相当な苦労が重なったと思われますから、人柱もない話ではないわけで。今の人に責任はなくとも、こうした悪さくらいは仕掛けたくなるものかもしれません。
 そして川の主だとするのなら、氾濫はやんちゃ坊主の仕業だったという具合。この種の負け惜しみもやらかしそう。

 そんな二種のイメージで書いていましたが、殿様自身の思いが……という解釈も素敵ですね。
 姿が消えたのも逃げたのでなく、きちんと成就したという印象になりそうです。
[良い点]
お祖母ちゃんを悼んでいるのはお祖父ちゃんなのか、はたまた池に棲まう何者か。
案外、お祖母ちゃんが自分で、脱出記念日的な感覚でお祝いしてるのかもしれませんなぁ。
 誰かひとりではなくて、色んな人の心づくしが噛み合っての花であるのやもしれません。
 そしてお婆ちゃんのセルフお祝いっていうのも、なんだか陽気でいい感じです。
 梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を思わせる具合ですね。
[一言]
そろそろシメということで、感想欄に邪魔するゾ。例によって追いきれなくてスマンかった(;´Д`)
しかし凄いよねぇ。どうしてそんなポンポン話が思い付くの…私ならこの長さでも一作につき三日は悩んでると思われる。


『対抗心』
君達は一体何を競っているのか。そして頼むから驚いてやってくれw まぁ猫又は気付かないフリしてないと出てっちゃうって言うけどさぁ。
いやーでも気持ちはわかるのよ。猫又になってもうちの子が一番よねw 競っているのは飼い主だけで、あいつらは気ままにやってるだけなんだろうけど。
「飼い主が過保護にゃん…」
「それな(゜ω゜)」
みたいな会話をしてるのかも。

『面影港』
これは情景が美しい! 季節頃も絶妙だ。この世とあの世、さしづめ涙と笑顔の間にある横断歩道…ってところだろうか。人間心理だよね。そんなはずないって思ってても、期待しちゃうから。それは同時に「そうであってくれ」という願いでもあるのだ。
海から生まれた命は、海へ帰ってゆくのかなぁ。
中島みゆきの「海よ」という曲を思い出した。

『ラストショー』
お題拾って頂いてありがとうございます!
こんな素敵な経験、夢でいいからしてみたい! 溜息が出そうよ。自分が小さくなって水槽の中に…みたいな空想はたまにするけど、やっぱり魚が大きい方がいいw こんなふうに部屋いっぱいの魚と戯れてみたいなぁ。綺麗だろうなぁ。でも貝だとヌメヌメにされるなぁ。エビだとツマツマされてしまうなぁ。
今までになく主人公を自分に重ねて読んだ作品w とても幸せな気分になれました(´∀`*) タイトルもいいよね。ちょっと淋しげで。
そして明日使えるムダ知識を一つ。実は水中用ヒーターは無音なのだ! 音がするのは濾過器かエアポンプである。あの「ブ~ン」はだいたいエアポンプかな。結構デカくて振動するから、勝手に移動してることもある。コワイ!

『帝王切開』
いやそりゃそうよw 寺もっと頑張れw
同じ身重の幽霊でも、飴買い幽霊とはえらい違いだな。一歩間違えば…ってことなのかなぁ。赤子の霊は厄介だぞ。特にこの子は二度死んだも同然。その恨み如何程か。
悲しい話なんだけど、どことなく落語っぽいというか、喜劇の要素がある気がする。
そういや鬼太郎も母親の死体から生まれたんだっけ…。

今回も粒揃いだったね! お気に入りは
『声東撃西』
『survival one』
『塗り替えられる』
『面影港』
『ラストショー』
かな。
ちゃっかり自分のお題を入れるのである!

  • 投稿者: 雪麻呂
  • 2020年 04月08日 07時49分
 ご参加にご感想、そしてお気に入りのご教示まで、誠にありがとうございます。


「対抗心」
 何をって、そりゃうちの子の優秀さをですよ! うちの子自慢は基本みたいなものですよ!
 仰る通りで猫どもの方は、我関せずののんべんだらりで駄弁ってるに違いありません。
 飼い主同士のマウントが鬱陶しいので、帰宅日を調整してるまでありうる。


「面影港」
 海に横断歩道というお題のロケーションが非常に素敵だったので、頑張って綺麗に仕立てました。
 そんなはずないと思いながら確かめようがない事柄へつい願いを含ませてしまうのは、まあ人の性でありましょう。
 常世の国なども海の向こうにあるとされていますので、陸と繋がりつつ果ての見えない異界でもある海原には、古くからそそんなイメージがあるのかもしれません。


「ラストショー」
 お祭りの煌びやかさと寂しさは切り離せないものと思うので、こうしたタイトルと相成りました。内容共々、お気に召していただけて何よりです。
 魚の見せ方は自分にとって嬉しい形を描きましたが、魚好きの所感から大きく外れなかったようで、これまたよかった、よかった。
 そしてあのモーター音は、ヒーターのじゃなかったのか!
 早速エアポンプに修正しておきました。
 

「帝王切開」
 いやお寺さんだから、育児は専門じゃあないし……。(亡魂無念であることからは目を逸らす)
 斬首の前に、「お前らを必ず呪い殺してやる」と気炎を吐いた死罪人に、「本当にそんなことができるなら、まず首を刎ねられたその後に目の前の石に齧りついてみせろ」と言い放ってその一念を逸らす話なんかもありますし、死者の念というものは、なかなかマルチタスクができない様子にございます。
 落語めいた雰囲気は、『西鶴諸国ばなし』辺りの雰囲気をイメージして書いたからであるやもしれません。
[一言]
 『奇』祭り開催おつかれさまでした。毎夜楽しく読みました。
 以下、いくつか特に印象的だったものについて。

821話「肩透かし」
 狼子由さんの出した題「レンズの向こうでは、幾万の観客が見ていた」を見て、私は大相撲の無観客試合を連想しました。しかし出来上がったものを見ると、その第一印象からだいぶ外れていてうなりました。

828話「survival one」
 拙題。いかにも「奇」らしい話です。危うく難を逃れる話と、ついに捕まる話は「奇」の王道。難を逃れるほうは、今回の『奇』祭りでは822話「声東撃西」と829話「塗り替えられる」がありました。
 「三十冊以上」というのは特に何かをイメージして題に入れたわけではないのですが、まるで一冊あたり一年という解釈をしてもらうためにあつらえたかのようにぴったりですな。

825話「測りかねる」
 一方こちらは「奇」であまり見たおぼえのない可愛らしいお話。
 ただ、「取り返しておきました」という一言が微妙に不穏で、可愛らしいだけでは終わらないところもあります。なくしたのではなくて、誰かが盗っていたのか。犯人は誰だ。もしや遠野くんとやらか。動機は。……と要らん妄想がふくらみます。

832話「ラストショー」
 なんだかしんみりとする一品。きらびやかでありながら物寂しい。祭りの掉尾を飾るにふさわしい一品と思います。

 ご感想と企画へのご参加ありがとうございました。
 連日の更新、お楽しみいただけましたなら何よりにございます。


「肩透かし」
 色々と想像できるお題でしたが、いじくり回した結果こんな形に落ち着きました。
 レンズの向こうと言えば中継のイメージがありますが、それだとちょいとオチや後味の弱いものしか俺には浮かばなかったので……。


「survival one」
 考えるに当たってキーになったのは、まずその「三十冊以上」でした。
 どうしてそんなに買い集めたのか、所持し続ける必要があったのか。ここらを推し進めることで仕上がった話であります。
 誂えたようと感じていただけるほどに座りよく描けていたなら、当方としては満足至極にございます。


「測りかねる」
 距離感の喪失からの着地点として色々と嵌るかな、とこの微笑ましいような流れにしてみました。
 仰る通り、微妙に解決しない気配が漂っていたりいたします。
 或いは語り手と近藤さんとの距離を妬んだ誰かの仕業であったのやもしれません。
 余談ですが、語り手と距離が近いから「近」藤で、逆に遠いから「遠」野なんてネーミングでした。


「ラストショー」
 見られることに特化した命の終わり、ということで、絢爛と寂寞が同居する話に仕立ててみました。
 お祭りのあとのような、少し物悲しい風情が醸せていたなら幸いです。
[良い点]
オチが秀逸!
こちらはなかなか言葉も通じなさそうで……!
 オチから思いついた話だったので、そう仰っていただけてひゃっほうであります。
 泣く子には勝てないわけで、はてさてどうしたものやら……。
[一言]
わーい、ありがとうございます!
そうか我が家の裏山で、夜に猫ちゃんのふみゃふみゃ言う声が聞こえているのは、修行中なのですね。がんばれ、にゃんこ。負けるなにゃんこ。仕方がないので、ばちばち眩しいもの我慢しますね。もふもふの可愛さには敵わないのだ。

今回も、可愛いと切ないが盛り盛りのお話が多くて毎日が楽しいです。雪麻呂さんのお題もすごく良かったなあ。橘さんのお題は切ない+ぞわっとしてやはりホラーに関してこのお二人のタッグは素敵だなあと思ったり。TOM-F様のお題は、ちょっとしんみりして、でもなんとなくわかる部分があったり。(そして私は海辺の街にずっと住んでいますが、怖がりなので夜の海は見ません!!!)
 こちらこそ、企画へのご参加ありがとうございました。
 石川さんのお題を見て、即座にネコバス的なでっかいヤツが目を光らせている絵が浮かんで、こんな具合の話となりました。
 なのでもし裏山でばちばち何か光っていても、寛大な心で見逃してやってください。

 また他の策へのご感想も感謝であります。
 振り返って見れば、別れの寂寞を描いたものが多い感があります。ちょうど年度末の頃なのもあって、俺の中でそんな感傷が醸造されていたのかもしれません。
 いずれにも共感していただけましたなら、書く側としては嬉しい限りにございます。
 そして夜の海が見れないという心持ち、何かわかる気がします。
 あのうねり具合、果てしなく巨大な生き物の片鱗めいて、俺もなんだかぞくりとします。
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