感想一覧

▽感想を書く
感想絞り込み
全て表示
[1] << Back 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40  Next >> [55]
[良い点]
魔法なし、転生チートなしの異世界戦記物が、逆に真新しい。
戦闘だけでなく内政も重視しているのが、リアリティを感じさせる。
主人公が能力的には平凡で、周囲の状況を利用して徐々に勢力を拡大して行くところが面白い。

[気になる点]
余りレイクフューラー辺境伯に借金していると、後々が怖そう。ムールドの徴税権を借金のカタに取られたりとか。
ブレド男爵のその後をはじめ、サーザンエンド北・中部の情勢が語られない点。


[一言]
ようやく新たな戦闘シーンが見られそうで楽しみです。ハニガル地方の制圧には海軍力が不可欠ですから、ホーンブロワー好きとしては海戦シーンを期待しています。
個人的には旧式の50門艦はラゼーに改装し、ボムケッチと護衛のスループを2~3隻ずつ用意するのが良いかなと考えます。アアッ、またレイクフューラー辺境伯への借金が増えてしまいますが…

テイバリ人、アーウェン人、ムールド人、帝国人の人種的、文化的な差異をまとめて説明いただけると、サーザンエンドの理解が深まりますので、お願いします。

黒髪姫御一行はサーザンエンドには来ないのでしょうか?エレスサンクロスの騒動から同時代の話と思いますが。

 黒木仙六郎さん、感想ありがとうございます。
 個人的には魔法や転生などなくても十分に面白い話が書けると思います。特に戦記においてはチート設定は物語の幅を狭め、工夫の余地を失わせるものだと思われます。実際に自分に面白いものが書けているかは不明ですけれども。
 戦記とは戦闘だけではなく、銃後の体制や政治があってこそ成り立つものですから、それらの描写がなければ戦記としては不十分ではないかと私としては考えています。とはいえ、その手の描写を十分に行っているものが少ないのも事実。中には兵站に関する視点すら欠如している戦記が数多あり、遺憾というものです。
 また、私は英雄的なものが好きではないので、主人公の能力は特段高いものではなく、いくらかの長所や見識がある青年貴族に過ぎません。それでも大きな事を成し遂げていく過程を描いていきたいと考えています。

 借金政策のツケはいつか払うことにはなるでしょう。とはいえ、それは今日明日に差し迫ったものではなく、レイクフューラー辺境伯との付き合いは長いものになるでしょう。
 ブレド男爵やサーザンエンド北・中部の情勢については現状では特段描く必要性に乏しく、必要となったときに記述する予定です。

 海戦シーンについては、大変申し訳ないのですが、期待しないで頂きたいと思います。個人的には帆船時代の海戦は大好きですが(ホーンブロワーシリーズのドラマDVDBOXも所有しています)、今回の戦いにおいてレオポルドの艦隊はあまり活躍できないことになります。

 本作においては多くの地域、人種、文化が登場し、それらについては作中でも必要最低限の範囲で説明しており、改編作業が終了した話数においては後書きにおいて詳しく解説しております。今後、増えていく予定ですが、それらを作中でまとめて羅列することは文章の腰を折ることになるので、避けたいところです。

 黒髪姫一行については仰る通り同時代の設定です。ただ、南部を巡る時間はあまりないでしょう。作中のスケジュールが結構先まで決まっているものですから。

 感想ありがとうございました。謹んで御礼申し上げます。
[一言]
作中でレオポルドは、ある程度委任したいという描写がありますが改めて見てみると何だかんだでムールドに入ってからというものかなり強力にリーダーシップを発揮しているわけですからいきなり不介入というのも難しいでしょう。
はじめの頃から比べてレオポルドも逞しくなったというか、嘗てのへたれたというか弱音をはくような描写もなくなってしまいましたからなんと言いますかキャラが変わったわけではないんですが、成長したというべきなんでしょうが、ちょっと昔の描写が懐かしいですね。
あとキスカとももっと砕けたところがあってもいいんではないかと、最近ツンツンした描写が多いですし妊娠している彼女を連れまわすのはそろそろ時期的にどうなんでしょうか。

前回の部分でシャムダリエやカラビニエを思わせる竜騎兵隊も登場していて、このあたりにちょっとしたロマンを感じています。

攻城砲と聞くと、臼砲や64ポンド砲なんかを思い出してしまいますが大砲の発達史を追いかけるとはじめの頃はいちいち現場で組み立てたわけで、ちょうどこの時代は攻城砲も進化していった時代でロマンがあります。
 グラーバクさん、毎度感想ありがとうございます。
 仰る通りレオポルドは今まで何でもかんでも自分で決めて、配下の貴族やムールド人たちに命令していたので、統治機構や各々の権限が決まったから、さぁ、自分の職権の中で勝手にやれ。と言い出しても、部下たちは戸惑ってしまうでしょう。特にムールド人は帝国式の統治に不慣れでしょうから。
 当初のレオポルドは非常に自暴自棄でしたし、自分の立ち位置や役割に疑問を感じていた為、あまり自ら行動しようという気質ではなかったと思われます。彼の性質が変化したのはキスカによる粛清事件からで、彼女が自らの立場を一族の血をもって明確化させたことによって、彼も自分の立ち位置と役割をはっきりと認識したのでしょう。
 最近、キスカがツンツンしているのは、今まで軍事行動の間は常に彼女が身近にあって、公私にわたって仕えていたのが、ファディに定住するようになってから、公務では幾人もの高官や役人が仕え、私的にはアイラやフィオリアが働いていて、彼女は自分の職分に多くの人々が入ってきたことを密かに不満を持っているのでしょう。
 また、今は事務仕事ばかりの日々ですから、さほど問題はないのですが、そろそろ、屋内に引き籠らされる時期で軍事行動に付いていくことは無理でしょう。

 竜騎兵隊は仰る通り現代では国家憲兵と言われるような組織の前身がモデルです。

 野戦砲でも攻城戦で使用できないわけではないのですが、もっと重い砲弾を撃つ攻城用の大砲や臼砲があった方が攻城戦には非常に有利でしょう。ただ、ムールドでは大砲などの火器に関する技術が不足している為、欲しいと思ったら、輸入しか方策がないのですね。

 感想ありがとうございました。謹んで御礼申し上げます。
[一言]
戦記ものはいいね。ただ欲を言うならば銃や大砲が出てこない、騎士達が剣や槍で戦う世界観の方がよかった。俺だけかも知れんが…。
  • 投稿者: 桐生要
  • 2014年 01月30日 00時59分
 桐生要さん、感想ありがとうございます。
 世間的には仰る通りの騎士が剣や槍で戦う中世的な世界観の方が人気はあると思われます。欧米はともかくとして、日本ではあまり戦列歩兵時代の人気、知名度が低いですから。
 しかしながら、私個人としては戦列歩兵、マスケット銃、前装式の大砲、戦列艦などの帆船が大好きなのであります。私が最も興味を抱いているのは近世西洋史なのです。
 そもそも、私が本作を書こうと思ったのは、銃や大砲、戦列歩兵の時代を描いた戦記、作品が非常に少ないことが要因の一つなのであります。世に多く出回る中世的雰囲気のものとは違ったものが書きたかったのです。
 感想ありがとうございました。謹んで御礼申し上げます。
[良い点]
読みやすい文章でした。解説も丁寧で分かりやすいです。

戦記もので読みやすい、分かりやすいと思えることは本当に素晴らしいと思います。
作者さんの並々ならぬ努力が伺えます。
[気になる点]
最初から敗北者の主人公がその後もただただ敗北を続けるだけの話で読むのがしんどいです。

キスカの一人称のほうがよほど盛り上がりのある物語になったと思います。
  • 投稿者: ping
  • 2014年 01月27日 23時23分
 pingさん、感想ありがとうございます。
 本作は非常に説明が長く細々としていて、回りくどい個所も多々あるかと思われますが、読み易いと思って頂けたならば幸いです。
 戦記というものは書かねばならない情報が非常に多く(少なくとも、私はそう思っています)、どうしても説明が長くなってしまい、理解が難しい文章になってしまうことが多くなりがちなのですが、出来得る限り読み易い文章になるよう努めているところであります。

 成り上がり系のお話では失敗や敗北から立身出世するというものが多くあり、本作もそのうちの一つでしょう。その場合、当初の落ち込みが大きければ大きいほど、後の成功や栄光がより輝くというものであります。
 個人的には本作の主人公にはまだまだ失敗や挫折、敗北を経験して欲しいと思っており、作者が甘いからかそれほど大きな喪失も経験していない気もしています。
 また、確かに冒頭は負け続きですが、中盤以降、戦力を整えた結果、多くの勝利を重ねるようにもなりますので、そこまで読んで頂ければしんどいと感じることも減じるのではないかと思われます。

 戦記という話の性質上、一人称での記述は非常に難しいものです。
 というのも、戦争というものは一個人の視点からは全体を把握することは難しく、全軍の総司令官であっても戦場の端から端まで理解することは困難極まりありません。ゲームならいざ知らず実際の戦闘は暗闇の中を手探りで動くようなもので、それを一人の視点から描いていては戦闘全体の情勢を記述することが難しくなってしまいます。
 また、政治的な改革などが行われていく過程において、キスカはそれを主導する立場ではない為、他人がやっていることを別の視点から描くことも中々難しいものと思われます。政治改革の内容全てを誰かに話させなければならない為、非常に長く煩わしくなると思われます。
 故に戦記という話の性質やキスカの役割からして一人称での記述は不適であり、三人称以外では私の文章力では描き難いと思っております。

 感想ありがとうございました。謹んで御礼申し上げます。
[一言]
 最新話まで読みました。
 伯領総監府の上に各勢力の有力者たちによる枢密院を置くとは、これレッケンバルム卿を封じ込めるだけでなく、伯領総監府が強い指導力を持つことも同時に封じていますね。
最高権力者としてのムールド伯の地位と立場がより一層高くなりそうですが、レオポルドの後継者たちはレオポルド並みの調整力と指導力が必要になるわけで大変ですね。
そういえば伯領政府の人事でキスカが各行政機関を監察する特別監察官に任じられてましたが、軍の兵士たちに恐れ畏敬されているキスカが官僚たちをも取り締まれる立場に就いたとは、彼女が官界や軍に隠然たる影響力を持つことに繋がりそうです。
これもムールド伯レオポルドや後継者となる彼とキスカの子供の立場を強くするための策でしょうか。人事においては概ねレオポルドの思惑通りに進んだようですね。

 またレオポルドは絨毯、陶器、硝子等を製作して産業を振興させようとしてますが、そうなると今度はムールド人たちによるギルドなどの同業者組合組織もそのうち必要になりそうですね。
それら組合作りも運営のノウハウもレオポルドら帝国人が指導することになりそうですが。

ではこれからのサーザンエンド辺境伯戦記の展開を引き続き楽しみに待っています。
  • 投稿者: 埋木舎
  • 男性
  • 2014年 01月23日 01時42分
 埋木舎さん、感想ありがとうございます。
 レオポルドが統治機構を構築するにあたって、第一に考えたことは誰か一人(或いは官職)に権力が集中しないようにすることであることは言うまでもありません。枢密院‐伯領総監府‐伯領議会体制は各機関が相互に作用し合い、権力が一点に集中しないよう配慮してのものなのです。
 レオポルドの後継者はこの構造をよくよく理解した上で、統治機構が都合よく動くように上手いこと指導しなければならないでしょう。
 とはいえ、各機関の重要な役職に忠実な側近を配しておけば、上手く後継者を支えてくれることでしょう。
 キスカを特別監察官に起用したのは、彼女がレオポルドにとって最も忠実な部下であり、彼の目と耳になり得るからです。特別監察官の職権によって各機関、官僚たちの動向を知り得る彼女からレオポルドは臣下の働きぶり、或いは不穏な動きを知ることができるでしょう。
 人事権を持つ者は大きな力を持つもので、レオポルドはその権能を十分に発揮できたというべきでしょう。

 商工業者の統制を図る上では同業者組合などがあった方が便利でしょうから、然るべき時期に組織され、伯領総監及びその配下の商業顧問官、工業顧問官の統制下に置かれることでしょう。
 ただ、一部産業については半官半民的な会社が作られ、工場などの経営にあたるかもしれません。

 いつも感想ありがとうございます。謹んで御礼申し上げます。
[気になる点]
誤字報告

誤>>>多くのムール人が従事している牧畜は羊や山羊などを遊牧し

正>>多くのムールド人が従事している牧畜は羊や山羊などを遊牧し
[一言]
ペルシャ絨毯とかすごく高いですよね、昔テレビの紹介で伝統的技法で作ったものは1000万以上とかであまりの高さに驚きました。

しかしムールド人の兵装がすごいですね、イエニチェリみたいです。
 グラーバクさん、感想ありがとうございます。
 確かにペルシャ絨毯は非常に高価ですね。物にもよりますが、数十万、数百万するものも多く、数千万という値の物も少なくありません。また、上等なものは作るのに数年もかかるとか。ペルシャ絨毯は現代でもイランの重要な輸出品の一つでもあります(最近は核問題にかかる経済制裁の打撃を受けているようですが……)。
 作中でもムールドの絨毯や刺繍、織物については度々触れていたところで、レオポルドはこれに目を付けていたのです。
 ムールドの兵装はイエニチェリも一部参考としていますが、イメージとしては西洋化した中東の軍隊、或いは中東に影響されたズアーブ兵をモデルとしました。

 誤字ご指摘ありがとうございました。謹んで御礼申し上げます。
[一言]
読ませてもらい楽しんでます(^_^)ソフィーネとフィオリアがレオポルドの恋人役にいつになったらなるのか心待ちにしています。正妻を含むと4人の制限に抵触しますが何とか2人もまぜてあげて欲しいですm(_ _)m今年も頑張ってください(^_^)
  • 投稿者: 山本山
  • 30歳~39歳 男性
  • 2014年 01月20日 11時13分
 山本山さん、感想ありがとうございます。
 フィオリアとソフィーネの今後の立ち位置ですが、彼女たちがレオポルドの妻なり、恋人なりの立場になり得る日が果たして来るのでしょうか。いや、私の中ではある程度決まっているのですけれども。
 本年もどうにかこうにか定期更新は続けてまいりたいと思っておりますので、何卒宜しくお付き合い下さいませ。
 応援ありがとうございます。謹んで御礼申し上げます。
[一言]
いい忘れましたが、

祝三周年!!
 グラーバクさん、感想ありがとうございます。
 そういえば、三周年でしたか。三年も経って、まだ辺境伯に就任していないとは、なんと遅い展開でしょうか。
 とはいえ、これからもお付き合い頂ければ嬉しいです。
[一言]
かなり遅いですが新年明けましておめでとうございます。
本年もまた楽しみにしています。

西方式建築何て言葉が登場し、世界史で習うギリシャやローマの建築方式が頭のなかに登場してきました。
ただ時代背景的に言えばバロックやロココ調あたりなんでしょうが、説明有ったら嬉しいです。
ヨーロッパの建築は日本人からするとほとんど装飾過多に感じるものも多いですがあの手の込んだ仕上げには驚きますし、イスラム圏の幾何学模様のモスクの内装もまた美しいと感じます。ムールドの建築がどう発展していくかもおもしろい気がします。
 グラーバクさん、いつも感想ありがとうございます。
 今年も宜しくお願いいたします。
 西方式建築という語は、西方大陸で用いられる設計・建築法をムールドでの建築と対比して使われた語であり、建築様式を指す語ではありません。
 ムールドは長らく遊牧の民であり、定住を始めてからも数世代しか経っていない為、あまり建築の経験がなく、大型建築物はほとんど建てられていません。そこで西方の建築方式を導入して会堂やら集合住宅やらを建設しているわけです。
 建築様式としては、現実世界でいうなれば、バロックの後期、ロココに移りゆく時期でしょう(ロココ自体がバロックの一潮流なんですけれども)。かなり装飾過剰で大仰な建築様式で、これが帝都や西方各国では流行しています。が、レオポルドと彼の招聘した建築家バジルカはこれが好みではなく、もっと装飾を抑え、シンプルで機能的な建築を試みています。
 また、建築法の全てが全て西方式の建築というわけでもなく、建築資材の一部に日干し煉瓦を使うなど、ムールドの地勢に合わせ、その影響も受けた独自のものとなるでしょう。
 昨年は度々感想頂きまして大変嬉しゅうございました。これからもよろしくお付き合い頂ければ幸いです。謹んで御礼申し上げます。
[良い点]
普通のネット小説だとあまりない政治の話を詳しくやること
[一言]
 毎度更新を楽しみにさせて頂いてます。
 面白いんですが、今一レッケンバルム卿の存在価値がわかりません。
 人脈が~って今回書いてありましたが、主人公の権力の源泉はムールドで、レッケンバルム卿がなんかの役に立ってるとはさっぱり思えないんですが…
 主人の対抗馬を立てようとするっていうのは、粛清されても全くおかしくないと思うんですが、(対抗馬にムールドが支配できるわけがないから、嫌がらせ以上の意味は無いですし)
  • 投稿者: 須々木
  • 2013年 12月30日 09時14分
 須々木さん、感想ありがとうございます。
 私は常々こういった領地経営なり王侯貴族社会を舞台としたお話において政治的な部分の描写に物足りなさを感じており、実際の政治はもっと複雑で面倒くさいんだってことを本作で延々と書いておるつもりでございます。
 そもそも、国や社会は非常に複雑な構造をしているものです。権力者でも拘束される法や慣習、掟、常識などがあり、支配している領域に住む貴族や聖職者、庶民らの意向も無視することはできません。絶対的な権力を持った専制君主であっても、様々な配慮をせねばらないことは多く、権力を維持する方策や仕組みに苦心しなければなりません。社会はそういった様々な勢力の思惑や利権や感情などが絡み合い、作用し合って動いているものです。
 レッケンバルム卿を重用せざるを得ないのも、これが大きな理由です。

 そもそも、レオポルドのムールド伯領は決してムールド人の国というわけではありません。法的にも実質的にも帝国の中の一領邦なのです(更に厳密に言うとサーザンエンド辺境伯領に付属している領土という感じ。簡単にいえばサーザンエンド辺境伯領の衛星領邦的な立ち位置です)。レオポルドはムールド人を自身の権力の基盤としていますが、自身は帝国人であると自覚しています。
 その為、ムールド伯領には帝国の法や慣習が通用し、ムールド伯といえど、これを無視することはできません。
 そして、レッケンバルム卿はれっきとした帝国の貴族身分であり、貴族には生まれながらに多くの特権があって、彼らを支配する者であっても、その特権を容易に侵すことはできません。彼らは自身の特権が侵されたと考えれば、上位の支配者を帝国政府などに訴えることができます。臣下から訴えられたとなればその諸侯の権威が大きく傷つくことは言うまでもなく、帝国政府にも領地を統治できているのか不安視される危険性があります。
 故にレオポルドは何の罪もないレッケンバルム卿を粛清したりはできないのです。アルトゥールとエリーザベト嬢の縁組は、レオポルドの対抗馬になり得るというだけで、実際にレオポルドに対して反乱を起こしたわけではないので、罪に問えるほどではないのです。しかも、レオポルド帰還後、縁組話は凍結しているので、強行したわけでもないのですから。

 そして、レッケンバルム卿の価値についてですが、レオポルド旗下のサーザンエンド貴族のかなりの数が卿を自分たちの利権を代表する立場として彼を支持しており、卿を排除することは彼らとの対立を招くことになるでしょう。
 では、これらの貴族が何の価値があるかといえば、彼らはレオポルドの下で士官や上級官僚として彼の治世を支え、ムールド人の反抗を防止する役割も担っています。
 ムールド人は今のところレオポルドに忠実ではありますが、やはり、異民族であり、レオポルドとは文化や価値観に大きな乖離があります。彼らをこのまま遊牧の異民族のままにしておくと後々に禍根を残す可能性が大いにあります。
 これを防ぐために、レオポルドはムールド人の帝国化を推進しており、定住化や帝国式の諸制度の整備はその一歩です。サーザンエンド貴族はその為の重要な役割を担っています。
 また、彼らはレオポルドとサーザンエンドを結ぶパイプのようなものであり、今後、サーザンエンド辺境伯領を攻略するにあたって、彼らのサーザンエンドにおける人脈や権限は大いに有用でしょう。

 以上のような理由から、レオポルドはレッケンバルム卿を代表格とするサーザンエンド貴族をしっかりと自身の配下に組み込み、彼らが自身に協力するように仕向けなければならないのです。
 また、自分がサーザンエンド辺境伯になり、彼らが旧領に復しても、引き続き配下に留まるように気を使わないといけません。このときに対抗馬になり得る勢力がいると邪魔くさいのです。

 長々と書きましたが、よくよく考えれば、このあたりの説明が本文中で不足していたような気も致しますので、遠からず本文中でも彼らの価値について述べようと思います。
 感想ありがとうございます。謹んで御礼申し上げます。
[1] << Back 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40  Next >> [55]
↑ページトップへ